中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

マネジメントに必要な5つの能力

f:id:business-doctor-28:20200924082749j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1485人、そのうち東京518人、神奈川226人、埼玉124人、千葉141人、愛知64人、大阪88人、兵庫27人、京都18人、福岡28人、沖縄34人、北海道39人などとなっています。東京では先週日曜日より132人増えています。検査数が少ない日曜日でも、これほど増えているというのは完全にリバウンドしています。もはやまん延防止等重点措置を延長しようが、緊急事態宣言を発令しようが、一旦緩んだ国民の気を引き締め人流を止めることは困難です。加えて政府はオリンピック開催に向けて緩みっぱなし、ワクチン供給も滞り、打つ手なしです。また、ウガンダに続きセルビアから入国した五輪選手団にコロナ感染者が見つかりました。今後も入国者の中からコロナ感染者が出てくる可能性は高いと思われます。それらをしっかりと検査し隔離できるかどうかが課題です。それができなければ、東京五輪はコロナ五輪になってしまいます。

さて、今日は、サライの「【ビジネスの極意】ドラッカーに学ぶ、必要なマネジメント能力5つ」という記事を取り上げます。

ピーター・ドラッカーと言えば、マネジメントの父と言われた経営学者です。2005年に亡くなっていますが、今なおドラッカー経営学は読み継がれ実践されています。

以前にも書きましたが、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は著書「世界の経営学者は今何を考えているのか」の中で、「アメリカの経営学の最前線にいるほぼすべての経営学者は、ドラッカーの本などほとんど読んでいません」と言っています。今の経営学が目指しているのは、科学としての経営学だからです。かつて経済学が科学を目指し、経済事象をモデル化しすべてを数学の式で計算し解を出そうとしたのに似ています。その結果、経済学は現実の経済事象から大きく離れてしまったように思います。学問としての経営学が経済学と同じように、机上の学問になりつつあるように思えてなりません。経営学こそ実務に根差した実践でなければならないはずです。

日本において、ドラッカーの本は流行っています。それはドラッカーの名言が経営者の心にスッと入ってくるからです。現場で経営に携わる企業経営者にとって、必要なのは机上の学問ではなく、日々現場で起こる切実な課題を解決するための指針です。「いかに苦しい企業経営を乗り切っていくのか」「赤字企業を黒字化するにはどうすればいいのか」「売上や利益を上げるために何をすればいいのか」といった問題に指針や心の拠り所を与えてくれるのがドラッカー経営学です。

この記事では、ドラッカーの本領である「マネジメント」に関して必要な能力は何かについて解説されています。

「マネジメント」という言葉は多用されていますが、その意味はあいまいであり時に誤解されています。日本では、「マネジメント=管理」として使われています。この「管理」という訳語は静的で受動的な意味合いが強く、本来のマネジメントの動的で能動的な面が無視されているように思います。ドラッカーによれば、「マネジメントは人間と創造に関わるもの」で「人や組織の強みや創造性を最大限に引き出して経済的・社会的に価値ある成果を上げること」なのです。

マネジメントは、一般に考えられているようなマネジャーの仕事ではなく、リーダーの仕事なのです。マネジメントは1つのプロフェッショナルの仕事であり、特有の能力が必要です。マネジメントに必要な具体的な能力が何か認識していなければ、漫然とマネジメントをこなすことになり、マネジメントの成果は曖昧なものになってしまいます。

1.目標を設定する能力

 マネジメントは、目標に対して、深く広く向き合うことが重要であり、具体的かつ適切に目標を設定する能力が求められます。目標をきっちりと設定するには、目標とはどうあるべきかを知らなければなりません。

 組織で成果を上げるには、全従業員が同じ方故意に向かってエネルギーを集中させなければなりません。その時に大切なのが組織の目標(目的)と価値観の共有です。一人ひとりがてんでバラバラなことをしていたのでは組織としての成果など上がるはずはありません。

 目標には、はじめからチームとしての成果を組み込んでおかなければなりません。チームとしての目標は常に組織全体の目標から引き出されたものでなくてはなりません。つまり、組織としての成果を軸に、多様な視点で適切な目標を設定する能力が必要なのです。またドラッカーは、目標設定の観点について次のものを挙げています。

  • 短期的目標
  • 長期的目標
  • 無形の目標
  • 部下の仕事ぶりと態度における目標
  • 社会に対する責任についての目標

2.組織化する能力

 マネジメントには、人を束ね、組織として機能させる能力が求められます。組織化する能力というのは、個の集合から全体を創造する力です。

 資源が何かを常に考え、資源を強い力に変え、弱みをそぎ落としながら、全体の組織を昇華させる力が、マネジメントには必要です。

3.コミュニケーション能力

 マネジメントには、組織の成果を上げるための高いコミュニケーション能力が求められます。

 ドラッカーは「コミュニケーションとは、知覚であり、期待であり、欲求であり、情報法ではない」と言っています。

 受け手の知覚能力を考慮しなければ、コミュニケーションは成り立ちません。また、コミュニケーションは期待しているものは受け入られ、期待されていないものは避けられます。コミュニケーションは相手の欲求に左右され、またコミュニケーション力によって相手の欲求も変えることができます。コミュニケーションは単に情報を与えることではなく、きちんと知覚させることが大事だということです。

 相手の期待や欲求を理解し、それを利用しながら、知覚レベルに落とし込むコミュニケーションを行う力がマネジメントには必要なのです。

4.評価測定能力

 マネジメントには、組織を構成する基本単位となっている人を評価し、測定する能力が求められます。人にはそれぞれ、利息・目的・欲求・ニーズがあり、いかなる組織でもメンバーの欲求やニーズを満たさなければなりません。この個人の欲求を満たすものが賞や罰であり、各種の奨励策や抑止策です。

 組織に属する人の欲求やニーズをきちんと評価し、評価に対する具体策を管理することで、組織に働く人は自らの位置づけや役割を理解していきます。

5.問題解決能力

 マネジメントには、問題を見極め、適切に対処する力が求められます。問題というのはネガティブな壁ではなく、組織が成果を出すために考えられるあらゆる可能性です。

人という資源をどのように有効活用できるかがマネジメントの最大の課題であり、マネジメントの腕の見せ所です。ドラッカーは、「本当の資源は1つしかない。人である。組織が成果を上げるのは、人を生産的たらしめることによってである。それは仕事を通じて行われる」と言っています。 

人という経営資源をどのように生かしていくのか、人が生き生きと働き成果に結びついているのかがマネジメントにとって最も大切なことなのです。

ドラッカーは、常に「強み」ということを強調します。「人の強みを活かせ」ということです。「強み」を生かして「弱み」を排除するのです。そのためにマネジメントには上の5つの能力が必要となるのです。

休日の本棚 会計天国

f:id:business-doctor-28:20210704080643j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1881人、そのうち東京716人、神奈川254人、埼玉116人、千葉157人、愛知45人、大阪148人、兵庫22人、京都19人、副科36人、沖縄76人、北海道30人などとなっています。東京はリバウンドしていることは明らかで、首都圏の3県もその傾向が見られます。また大阪も5日連続で100人を超え増えてきています。繁華街の人出は増加し、午後7時以降も酒を出し、午後8時を過ぎても営業を続けている店に客が詰め掛け、これでは感染者数が増加するのも当然です。国民には自粛を強い、一方で東京五輪を是が非でも強行開催しようという政府の言うことを聞かなくなるのも頷けるので、ルールを守らない人たちだけを批判することはできません。すべて政治の責任です。

さて今日は、竹内謙礼・青木寿幸著「会計天国」(PHP文庫)を紹介します。以前、「戦略課長」「猿の部長」を紹介しました。今回は「これまでにない笑いと涙の実用会計ノベル」です。

ネタバレにならない程度にストーリーを話すと、フリーランスコンサルタント北条が娘の挙式の打ち合わせに向かう途中に事故に遭い脳死状態になります。誰かに呼びかけられ目を覚ますと、K と名乗る天使にいます。K からくじ引きを薦められた北条は現世復活チャンス券をゲットします。これは「自分にゆかりのある人物5人を幸せにすることができたら生き返らせてあげる」というものです。5人のうちの1人出も幸せにできなければ地獄行き。このまま天国に行くか、地獄行きのリスクを冒してでも現世復活の道を行くか、の選択が迫られます。何としても娘の結婚式に出席したい北条は、現世復活に賭けて、コンサルタントとしての知識を駆使して迷える5人を成功に導いていくというビジネス小説です。このストーリーに沿って、貸借対照表損益計算書の読み方、キャッシュフローの考え方、さらに事業戦略の基本を解説してくれています。

この本の構成は次の通りです。

序章  「1週間後にお亡くなりになります」

第1章 なぜ「儲かっている」と言われる会社が倒産するのか?

第2章 価格競争に陥ったら、会社がやるべきことが一つある

第3章 粉飾決算という泥沼から抜け出して再生する

第4章 部長課長が同期との競争に勝って出世する方法

第5章 会社の戦略が変われば、組織も当然変わる

最終章 「幸せ」になろうとする意志 

北条がコンサルタントとしての知識を駆使して幸せにしようというのは、次の5人です。

  1. アパレル会社を立ち上げた元アイドル社長・・・ずっと黒字なのに今月の給与と家賃が払えない!
  2. アニメグッズを販売する上場企業のオタク社長・・・直営店ビジネスが大コケして、株価が急降下!
  3. 親が買収した子会社へ出向した経理担当の娘・・・運転資金が足りなくなり、長年の粉飾決算が発覚!
  4. 大手専門商社の「売り上げ至上主義」の部長・・・ノルマ重視の一課と利益重視の二課の課長が大喧嘩!
  5. 2つの新規事業を立ち上げた青年実業家・・・多角化経営のつもりが戦略不足、資金繰りに行き詰まる!

第1章では貸借対照表の読み方が、第2章では損益計算書を使って会社の本質を分析することが、第3章ではキャッシュフロー計算書の考え方が示されています。そうした会計の知識については、本書を読んで学んでください。小説なので具体的で分かりやすく解説されています。

ここでは、この本の中で、北条や K ら登場人物が喋っている中から、役に立つと思われる言葉を引用しておきます。

  • 「北条さんが考える、社長として成功できる才能って、何ですかね?」「『スケベ』で『ワガママ』で『ケチ』ってことだ。『スケベ』は欲望が強いこと。『ワガママ』は自己実現の力の強さを意味して、『ケチ』はコスト管理に長けているってことさ」
  • 私、今まで自分ばっかりが運が悪いって思ってたけど、運は他人から耐えられるんじゃなく、自分の頭d考え、。努力して切り開いていくものだって、やっと分かった気がするの
  • 「スタートラインに立つってことは『ゴール』を決めたってことですからね。でも、それは、同時に失敗をする覚悟を持つってことですよね?」「その彼女にとっての『ゴール』って父親を見返すことでも、企業を成功させることでもなく、きっと『自分の殻を破ること』なんだって思ったんだ・・・」「他人と自分のどちらが『幸せ』かなんて比べても意味がないんだよ。重要なのは、自分の『ゴール』を見つけて、それに向かって走る意志を持つことなんだ」
  • 試験に合格できる頭の良さっていうのは、勉強をやる要領がいいってことなんだ。忙しい仕事の合間でも要領よく勉強して、その知識を仕事に活かせる人間だけが、成果を上げることができるって、会社は知っているんだ。仕事は本番の試験ってことなんだぞ。サラリーマンだから勉強しなくてもいいなんて思ってたら、いつまでたっても試験には合格できない。つまり、一人前のサラリーマンにはなれないんだ。
  • 仕事のテクニックを教えたり、モチベーションを上げるなど、部下の面倒を見ることは上司の大切な仕事だと思うぞ。部下とお酒を飲みに行くのも、悪いことじゃない。だが、本当に上司の仕事で大切なのは「利益を稼ぐこと」なんじゃないのかね?
  • いくら部下に英豪的にっ区を教えてモチベーションを上げることができても、公平な評価ができなければ、孰れ優秀な部下はあんたから離れて行ってしまう。感情的な目標設定だけでは、いつかチームは崩壊してしまうもんなんじゃ。
  • あんたは、すぐの犯人を捜したがるな。いつも口うるさいお客にペコペコしながら「責任は当社にありますから」って繰り返して、それが癖になったんじゃないのか?会社は責任を押し付け合う場所ではない。社員が協力し合って、売上を上げて利益を稼ぎ、その中から給料を分け合う組織体なんじゃ。その給料によって、社員やその家族が幸せに暮らせる、これを目標にすべきじゃないのか?
  • 仕事というのは、ちょっとした工夫で儲かるようになるもんじゃ。上司に言われたとおりの仕事をしているから儲からないし、工夫しないからつまらない。まあ、忙しすぎるとそんな感情も麻痺して分からなくなってしまうんだがな。一度突き放して自分の頭でゆっくり感がさせることは、善い経験になるはずじゃ。
  • 「私は、今まで実務を通じて仕事を覚えれば、それで終わりだと思っていました。でも、新しい知識を身につけたり、もっと数字に強くなるために勉強することが必要だったと、今、痛感しています」「勉強を始めるのに早い、遅いはない。やるべきだと感じたときから、一生懸命やれば十分なんじゃよ」
  • 「1人の仕事ができるスーパーマンを育てるよりも、組織的に対応できて、素早く動ける人間がたくさんいる方が、固定費が分散できるので利益につながるってことなんですね。皆で協力できる会社という組織が発展入てきた意味がよーく分かりました」「会社は社員が幸せになる組織でなければ発展できないんじゃ。効率よく稼ぐことで、みんなが早く帰れて、それでいてたくさんのお金を分配できるようにするのが、上司の役目なんじゃ」
  • 今、儲かっている組織が生き残るわけでも、結束力が強い組織が生き残るわけでもない。過去のやり方を反省し変わり続けることができる組織こそ、生き残ることができるんじゃ。
  • チームというのは、どんな場合でも目標との『ズレ』を確認し合い、より良い方向に進むようにみんなd考えるべきなんじゃよ。それを繰り返すことで、社員全員が自分に対して、「なぜ、こうなったのか?」と行動を見直すことにもつながるんじゃ。
  • 戦略が変わったら、組織もそれに従って帰るのは当たり前のことよ。だって組織外膜機能しなかったら、会社は絶対に儲からないもの。だからこそ、再syに会社の戦略をしっかり決めることが重要なの。いい加減に毛めていたら、組織もコロコロ変わって、社員がついてこなくなっちゃうわ
  • 自分の理想や夢を実現するためだけに、ビジネスをやるなんて最悪よ。『良い材料を使いたい』『良い設備を使いたい』『立地の良い広い場所でやりたい』というのは、一見、お客様のためのように思えるけど、それは自分のエゴでしかないわ。肝心なのは「利益を出すこと」。そして儲かっているからこそ、お客にそれが還元できるのよ。

f:id:business-doctor-28:20210704103316j:plain

 

休日の本棚 フレームワーク思考法

f:id:business-doctor-28:20210703083200j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1777人、そのうち東京660人、神奈川230人、埼玉125人、千葉149人、愛知44人、大阪123人、兵庫32人、京都14人、福岡24人、沖縄61人、北海道26人などとなっています。東京では13日連続で前週の同じ曜日を上回り、ここ1週間の1日当たり感染者数が500人を超え、ステージ4の基準に達しています。ワクチン接種の影響もあり高齢者の感染割合が低下し約9割が50歳代以下となり、死者や重傷者も若年化しています。現在、ワクチン供給が追い付かず、ワクチン接種予約を一時停止する自治体も出ており、ワクチン接種が当初予定よりも大幅に遅れそうです。一昨日の菅首相の発言を受けてか、小池都知事、橋本組織委員会長、丸山五輪相が相次いで、無観客開催について言及しています。私自身は、中止すべきと考えていますが、やるならばPVもすべて中止し無観客しかありません。

さて、今日は、高橋健三著「コンサルタントが使っているフレームワーク思考法」(中経出版という本を紹介します。「今日から即、使える!25の厳選知的生産ツール」とあります。

フレームワークというのは「枠組み」「骨組み」「構造」といった意味で、ビジネスフレームワークと言えば、経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組みのことです。簡単に言えば、ビジネスの課題を解決に導き成果を生み出す、思考の「型」です。

多くのビジネスパーソンは、「情報が多すぎてどう整理したらいいか分からない」「課題やクレームに振り回されどう対処したらいいか分からない」「いいアイデアが思い浮かばない」「上司や他部門をうまく説得できない」「顧客へのプレゼンがうまくいかない」などの悩みを抱えています。

フレームワークは幅広い情報をうまく整理して、活用するための「型」のようなものです。日頃から当たり前に行っている情報収集や課題の発見、または新しいアイデアの発想などにフレームワークは活用できます。この本では、コンサルタントである著者が厳選した特に活用頻度の高い25のフレームワークが紹介されています。また。単にフレームワークの内容の紹介だけにとどまらず、「あるメーカーの営業担当者」という主人口を想定し、具体的な活用性が示されているので大いに役立ちます。

フレームワークには次の3つのメリットがあるとされています。

  1. あるテーマについて考える際に「見落としを防ぐ」・・・フレームワークを用いれば、あらかじめ「枠組み」が示されているので枠組みに沿って順番に考えればいいので検討漏れが防げる。
  2. 効率的に考えられる・・・フレームワークでは検討すべき点が整理されているので何から検討すればいいか分からないというムダがない。
  3. コミュニケーションが容易になる・・・フレームワークはビジネスパーションの共通言語。フレームワークを使って整理した場合、社内外を問わずに相手に理解されやすい。

本書ではフレームワークを使うことで、①情報収集力 ②課題発見力 ③アイデア発想力 ④社内交渉力 ⑤顧客交渉力の5つの力が身につくと言っています。そして、この5つの力から、フレームワークを分類しています。

1.情報収集力を鍛える5つのフレームワーク

  • 5W2H・・・「場面」(いつ・どこで・誰が)「出来事」(何を・いくらで・どうした)「背景」(なぜ)の情報を整理する。情報共有の中で最も重要なのが「背景」(なぜ?)。「なぜその商品化」「なぜその価格なのか」「なぜその売り場なのか」と言った背景を洞察することで、戦略的な狙いが見えてくる。社内外への報告・連絡・相談、プレスリリースの原稿作成などに活用できる。
  • 経営資源の5視点・・・「ヒト・モノ・カネ・情報・時間」をチェックする。小さな会社の場合、「ヒト・カネ・モノ」では大企業に劣るので、「情報・時間」という応用リリースに着目するのがいい。競合企業の資源配分確認、業界の資源配分動向、自社の資源配分見直しなどに活用できる。
  • イノベーター理論・・・「誰を」タ-ゲットにしているかを確認する。イノベーターとアーリーアダプターを合わせた16%を超えると一気に普及すると言われているので、キャズムを乗り越える公告・宣伝活用が重要になる。自社の商品別ターゲット分析、自社商品の普及度確認、今日後y企業のターゲット設定確認などに活用できる。
  • 4C・・・顧客にとっての価値・顧客コスト・利便性・顧客とのコミュニケーションという4つの顧客視点で商品・サービスをチェックする。競合商品のチェック、自社商品の課題発見、他業種の4Cモデルからのヒント発見などに活用できる。
  • 五感・・・印象に残った感覚を記憶し、ビジネスに活かす。競業企業の店頭調査、イベントの魅力評価、自分の購買行動振り返りなどに活用できる。  

2.課題発見力を高める5つのフレームワーク

  • PEST・・・事業の推進に大きな影響を与えるマクロ環境の変化について、政治(Politics)・経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの要因から分析する。税制や規制の変革期、新技術の創出期、消費動向の変革期などに活用できる。
  • 5フォース・・・自社を取り巻く環境を「見える化」する。業界の収益性を決定づける5つの競争要因(①売り手の交渉力 ②買い手の交渉力 ③業界内の競合④新規参入の脅威 ⑤代替品の脅威)を分析する。仕入れ先との交渉、販売先との交渉、同業他社の動向確認などに活用できる。
  • 3C・・・顧客(Customer)・競合(Competitor)に対する自社(Company)の能力を知る。既存商品の販売促進、新商品の開発、新サービスの提供などに活用できる。
  • PLC(プロダクト・ライフ・サイクル)・・・自社商品の鮮度を知り、効率的に稼ぐ。導入期→成長期→成熟期→衰退期というサイクルに応じて顧客層とマーケティング戦略は異なる。既存商品の販売促進、長期販売商品のリニューアルなどに活用できる。
  • SWOT・・・内部環境(強み(S)と弱み(W))と外部環境(機会(O)と脅威(T))の変化を同時に分析し、それらを組み合わせることで、自社の強みを生かした施策を見つける。新たなビジネスチャンスの発見、自社の強み活用方法の検討などの活用できる。

3.アイデア発想力が身につく5つのフレームワーク

  • MECE(Mutually Exclusive Collectivery)・・・モレなくダブりなく発想する。MECEで検証することで、課題を見逃すことが亡くなり、その解決策を検討する際にもMECEでアイデアを整理することでなすべき施策がモレることが防げる。販売結果の要因分析、既存商品の販売促進間、新商品の開発アイデアなどに活用できる。
  • アンゾフ成長マトリクス・・・売り上げを拡大させるための施策を①市場浸透 ②商品開発 ③市場開拓 ④多角化 の4つに分類する。市場浸透→商品開発→市場開拓→多角化という順番で検討することが重要。事業計画の立案、営業計画の策定などに活用できる。
  • STP・・・セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つを順に検証し、効果的に売上を上げる。新商品の開発、既存商品の販売促進、新たな販売チャネル開拓などの活用できる。
  • 4P・・・「製品・価格・流通・仕掛け(プロモーション)」の施策をあぶりだす。顧客に提供する価値をどのように構築するかという視点が重要になる。4Pは規模に関わらず、すべてのビジネスに活用できる。新商品の開発、既存商品のリニューアル、商品の販路開拓及び販促企画などに活用できる。
  • AISAS・・・インターネットを積極的に活用する消費者ん購買行動プロセスを説明するモデル。Attention(注目)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(情報共有)というプロセスを表す。「検索→購入→情報共有」というグッドサークルを作ることができれば、継続的な売り上げを見込むことができる。新商品の年間販促計画、既存企業のキャンペーン企画などに活用できる。

4.社内交渉力が向上する5つのフレームワーク

  • VC(バリューチェーン・・・事業活動を機能ごとに分類し「どのプロセスで付加価値を生み出しているか」を分析する。ビジネスモデルの見直し、製造段階の施策発見、販売段階の施策発見、サービス段階の施策発見などに活用できる。
  • PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)・・・問題児→花形→金のなる木→負け犬という4つのステージに分けて自社の製品を分析する。商品ラインナップの評価、商品別マーケットシェア、商品のヒット率の確認などに活用できる。
  • KBFとKSF・・・「買う理由」と「売れる理由」を明らかにする。絞り込んだターゲットのニーズを、「品質」「価格」「場所(時間)」の何に優先順位をつけて購入を決めているかを把握し、そのニーズの合せて売れる理由を定義す実践する。顧客ニーズの把握、自社業績の要因分析、競業他者の競争力分析などに活用できる。
  • 7S・・・組織を思い通りに機能させるために必要な要素、①戦略 ②組織構造 ③組織運営 ④人材 ⑤能力 ⑥社風 ⑦共通の価値観 の相互関係を明らかにする。部分から全体へと視点を広げることが大切。販売施策の現場への浸透、新年度の組織体制、評価制度の見直しなどに活用できる。
  • PUSHとPULL・・・メーカーから卸売業者→小売店へと順に仕掛けるのがプッシュ戦略、メーカーが直接消費者に商品情報を伝え購買意欲w喚起するのがプル戦略。「営業力」と「集客力」のバランスを図ることが重要。新商品の導入時、既存商品の販売促進計画、取扱店対策などに活用できる。

5.顧客提案力が身につく5つのフレームワーク

  • Why・What・How・・・「なぜ・何を・どのように」は顧客提案の基本。「なぜ」で課題の本質を絞り込み、「何を」で解決のテーマを明確にして、「どのように」で具体的な解決方法を提示する。相手の立場に立って、「なぜ・何を・どのように」で質問進ければ分からない点は内かを事前にチェックする。社内での稟議・企画提案、社外での企画提案・新商品提案などに活用できる。
  • DMU(Decision Making Unit)・・・誰が意思決定しているかを特定する。提案活動がうまくいかない背景にはDMUを正しく分析・理解できていないことがある。窓口担当者を取り巻く関係者の同行は常にチェックする。法人顧客の情報整理、新規取引先の開拓などに活用できる。
  • 起承転結・・・起(前提情報の整理)→承(課題の本質を共有)→転(解決策を提示)→結(諸条件を確認)。プレゼンの目的は「伝えること」ではなく「共感し、行動してもらう」こと。1つの段落の中にも起承転結を組み込み、段落ごとの結論を相手と共有することが大事。社内外での企画提案・商談時の見積もり、新規顧客への会社案内などに活用できる。
  • 価値の三層構造・・・企業が製品を通じて顧客に提供する価値は、下から「機能価値」「付加価値」「心理価値」の3層に分類できる。「機能価値」d家では価格競争に巻き込まれやすく、「心理価値」が高い商品は利益率の高いビジネスができる。「心理価値」をどのように構築できるかが課題。新商品企画、既存商品のリニューアル、店頭キャッチコピーの見直しなどに活用できる。
  • PDCA・・・「計画→実施→点検→改善」というサイクルを回しながらスパイラルアップすることが狙い。顧客に提案する商品や企画も、常にPDCAサイクルを意識して継続的に改善することで、着実にファンを増やすことができる。開発、営業、管理すべての部門における日常業務、事業計画の策定と見直しなどに活用できる。

フレームワークの効果と活用方法を理解したら、後は実践あるのみです。

フレームワークを使うことで、最短で最適な答えを導き出すことができます。

しかし、フレームワークは万全ではありません。フレームワークの当てはめたからと言ってそのまま正しい答えが出てくるというものではありません。フレームワークは枠組みにしかすぎないので、それを自社や自分の業務に合わせて使いこなしていく必要があるのです。既存のフレームワークを適用して、自社や自分の仕事に合わなければそれを修正していくことが大切です。フレームワークは思考を整理するための道具・ツールにしかすぎません。フレームワークは役立ちますが、単なる手段と考えてうまく利用しましょう。

f:id:business-doctor-28:20210703113020j:plain

 

優秀すぎる上司や過去の栄光にしがみ付つく上司では部下は育たない

f:id:business-doctor-28:20200909080107j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1754人、そのうち東京673人、神奈川211人、埼玉142人、千葉139人、愛知49人、大阪108人、兵庫32人、京都14人、福岡26人、沖縄63人、北海道39人などとなっています。東京は連日前週同曜日を上回り、もはやリバウンドと言ってよい状況です。ようやく菅首相も、東京五輪の無観客開催について言及しました。既に多くの選手や関係者が入国しています。水際対策は万全なのか気になります。一度は収まりかけたイギリスでは、インド由来のデルタ株が蔓延し、1日に2万人もの感染者が出ています。また、イギリスで開かれたサッカー観戦(欧州選手権)で2000人の感染者が出ています。こうしたことを見ても少なくとも有観客でのオリンピック開催は論外です。また、オーストラリアのニューサウスウェールズ州保健局が、「インド由来のデルタ株はすれ違っただけでも感染する」との衝撃の事実を発表しました。日本国内でも従来型・イギリス型からインド型デルタ株に置き換わりつつあります。このまま何もしなければ(現状の中途半端な対策では)感染拡大は必至で避けることはできないように思います。東京オリンピック開催で東京(日本)がハブとなって世界にウイルスをまき散らすことにもなりかねません。そういう事態だけは避けたいものです。

さて、今日は、東洋経済ONLINEの「優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由」と取り上げます。この記事はコヴィー博士の「7つの習慣」で絶賛された伝説の艦長がいかに部下を育てるかについて語っています。

1.服従させると人の思考は停止する

 服従は人々に考えることをやめさせます。別の誰かが決めたルールや指示、行動内容に従うだけなら思考や意思決定という厄介なプロセスから解放され、ラクができます。おまけに責任も取らなくていいのです。これでは上司に言われるままに行動し、自分の頭で考えたり判断することなく自主的・自発的な行動は起こりません。

2.選択の自由が責任感を生む

 責任感を持つということは単なる決断とは違います。決断しても行動に移さなければ意味がありません。責任感が思考を行動に変えるのです。

 ビジネスは物事を成し遂げないことには始まりません。行動を起こすことに積極的であると同時に、しっかりと考えたうえでリスクが伴う行動に自発的に取り組む文化が必要になります。ここでカギになるのが選択の有無です。選択の自由がなければ責任は生まれません。「イエス」と応えるしかない状況に置かれたら、人は服従するしかありません。いくら「やる気を刺激する」「権限を委譲する」というスローガンを掲げ、社員に行動や責任を促し会社の目標を達成したいと期待をかけていても、彼らに選択の余地を持たせなければ、服従しかありません。今必要なのは、「責任感を持った取り組み」なのです。

 服従では社員は要求された最低限度のことしかしません。一方で「責任感を持って取り組む」ようになると、ただ何も考えずに実行するのではなく、自分で考えてそこから何かを学び、自主的・自発的に行動するようになります。

 実行するためには、仮説を立てて試すことが大切になります。仮説を立てると、人の思考心理は学習や改善に向かいます。これは、単に「作業をする」時間ではなく「何かを学ぶ」時間として受け止めるようになるのです。学ぶことのメリットとして次の3つが挙げられています。

  1. 実行への関心が強くなる・・・先のことを意識する感覚は先のことを自分の手でコントロールできるという感覚を強化する。
  2. 証明より改善を強く望むようになる・・・学習と改善の思考心理は、自分の力を証明するよりも、改善することを強く望む。改善によって、機敏で適応力や柔軟性に優れた組織が作られる。
  3. 失敗や遠回りへの嫌悪感が和らぐ・・・学習とは、予測を立て、起きたことを観察して検証し、予測を検証結果に照らして反省することである。失敗は遠回りになることは日常茶飯事に起こる。その時には反省して修正・改善すればいい。

優秀な上司の元手部下が育たないのは、優秀ゆえに、自ら決断・判断して部下に任せることができないからです。本人にその気がなくても、部下を服従させてしまっているのです。部下を育てるためには、言い古された言葉ですが、「任せる」こと、「責任を持たせる」ことです。任せる・責任を持たせるというのは、自分で考え自主的・自発的に決断し行動に移させるということです。任せた以上は口出しをしてはいけません。相談を受けたときには、命令や指示ではなくアドバイスすること、部下の成長の過程をしっかりと見守ることが大切です。

次に、幻冬舎GOLD ONLINEの「『10年前、俺は凄かった』過去にしがみつく管理職の害悪」を取り上げます。

この記事では「過去の経験値を絶対視する価値観はもはや手放そう」と言っています。日本の昔ながらの経営手法で運営している企業は「昔取った杵柄」を後生大事にして大きな利益を得ているところもあります。しかし、今後は過去の経験値が通用しなくなる時代が刻々と近づいているように思います。

かつて日本では「日本の役職はご褒美」という風潮がありました。年功序列の上りとして、ご褒美的に「部長」に昇進する、などこれまでの成果だけが役職に反映するというケースが往々にしてあります。これまでの成果と言っても、勤務年数や上司の覚え目出度く当たり障りがなく無難に世渡りしてきただけです。上司に盾突く半沢直樹的な人材は好まれません。しかし、今本当に必要なのは、時代の変化に対応して迅速に行動を起こせるリーダーです。

しかし、「俺は10年前は凄かった」と過去の栄光にしがみ付いている上司が多いのです。今は何の役にも立たないのに(言い過ぎ?)今現在、成果を上げている部下の足を引っ張っているのです。本来ならば、上司やリーダーこそが、今成果を上げなければななりません。そのためには、リーダー自身が、今ここで成果を出せているか、自分のアウトプットにどんな価値があるかを客観的に見つめ続けていく必要がるのです。そして、自分より優秀な人材を入れること、若手に譲ること、そんな高い目線を持った選択ができるリーダ-が求められるのです。

この記事では、リーダーに求められる能力として「問題提起力、課題を見極める力」を挙げています。以前は「リーダーには問題解決能力が必要」と言われていました。しかし、問題解決能力が必要とされていた時代には、問題や課題が比較的明確でした。こうした時代には多くの解決策を知っていて、それをスピーディに提示すればよかったのです。しかし、今の時代は問題や課題が複雑化して、問題や課題の本質がどこにあるかもわからなくなっています。問題の解決策以前に問題の本質がどこにあるのかを明確にできる能力、問題提起能力が必要になるのです。これまでの解決策がどんどん通用しなくなっています。先ずは問題の本質が何なのかを見極め、それに合った解決策を新たに見つけなければなりません。

リーダーが問題や課題の奥に潜む本質を明らかにして、メンバー全体でその解決策を考えていくというのがこれからの組織・チームの在り方です。

 

「働き方改革」から「休み方改革」へ

f:id:business-doctor-28:20210521081424j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1821人、そのうち東京714人、神奈川209人、埼玉109人、千葉156人、愛知53人、大阪108人、兵庫28人、京都27人、福岡43人、沖縄67人、北海道38人などとなっています。東京では11日連続で前週の同曜日の新規感染者数を上回っており、このままではすぐに1000人の大台に乗ってしまいます。リバウンドしていることは明らかです。東京に出されているまん延防止等重点措置の解除は難しく、延長するか場合によっては緊急事態宣言発出となりそうです。このような状況下で、菅首相を始め関係者がお題目のように唱える「安心安全な東京五輪」は実現できるのでしょうか。「無観客で」という話も関係者からは出てきているようですが、そもそも開催ありきが前提となっています。世界的なデルタ株の感染拡大、さらに新たなラムダ株の台頭という状況で、「ウイルスの祭典」となり得る可能性が高い東京五輪を強行する意味が分かりません。

さて、今日は、まずBUSINESS INSIDER JAPANの 「なぜ今、週休3日を政府は言い出したの?」という記事から始めます。

今、政府が重点政策に掲げて、にわかに注目を集め、一部企業では積極的に採用を検討している「選択的週休3日制」ですが、その背景には、能力開発やスキルアップを社会全体として進めていくということがあります。

世の中は大きく変わり、求められるスキルや能力も変化しています。また定年年齢が引き上げられ、働く期間も長くなります。刻一刻と変化する社会環境の中で、その都度必要となる能力やスキルを身につけていかなければならず、スキルアップの機会を増やしていかなければなりません。また、その人が輝ける場所、適材適所は環境や時代とともに移り変わります。移り変わった適材適所に動くことができるためにもスキルアップは必要となります。

スキルアップのための時間が欲しい人ができるだけ時間を確保できるようにするのが「選択的週休3日制」です。つまり、選択的週休3日制の目的は、⑴その時間を使って能力を高めてもらうことで、⑵より働きたいと思うところに人が動けるようにするということです。

ただ、選択的週休3日制は、これまで育児や介護のためにフルで働けなかった人に働く場を提供するというメリットもありますし、その休日を利用して副業や兼業が可能となります。

選択的週休3日制の良いところは、働く側が自分の意思で選べるということです。スキルアップさせたいと思う人は積極的に活用できるということですし、これまでの働き方でいいと思う人は選ばなければいいだけです。

しかし、選択的週休3日制を選ばなくても、この混迷する時代や社会ではスキルアップは欠かせません。安穏とこれまでと同じようにぬるま湯につかっていたのでは、自己の成長もありませんし、時代や社会から取り残されてしまうだけです。

「そうはいっても、スキルアップのために何をしたらいいのかわからない」という悩みがあるのも事実です。スキルアップにAIやプログラミングだといってもズブの素人が使えるスキルを身につけるのは困難ですし、競争も過熱し需要がどのくらい持続するかもわかりません。この先は何が流行るのか、どのようなスキルが必要か、誰も予想できません。

今は、自分がやりたいこと、自分が興味を持てることは何かということが重要になります。自分が一番関心を持って、自分が熱意をもって真剣にやれることでスキルアップを図るのです。

この記事も「世界中で誰もこの先が分からない時代には、結局は、自分の感情に正直になった方がいい」と言っています。

次に、マイナビニュースの「『働き方改革』ではなく『休み方改革』こそが必要だ。人生向上の鍵は、『休み方』にあり」という記事を取り上げます。

日本人は休み方が下手だと言われます。このところ「働き方改革」が叫ばれ、先ほどの「選択的週休3日制」も働き方改革の一環です。多くのビジネスパーソンは、平日は仕事に追われ、休日にはダラダラと過ごしてしまうというのが現実です。

働き方改革というのは、働く方に視点が置かれています。これでは、休日の有効的な使い方に目が向けられません。ダラダラした休日の使い方ではなく、自分が本当にやりたいことのために休日を使うためには「働き方改革」ではなく「休み方改革」という視点への切り替えが必要です。

この記事で語られている「休み方改革」というのは、「人生の中心を仕事から自分に変える」ということです。休日を、仕事のための休息に充てるのではなく、自分が本当にやりたいことのために使うということです。「休み方改革」という視点を持てば、自分の人生を充実することができます。働き方については仕事な内容や勤務先の事情によって思い通りにならず制約がありますが、休み方については自分の力で変えていくことができます。

この記事では、休み方を見直す効果として

  • 人生の幸福度が上がる・・・休日の「今日はこれをやるんだ」と自ら主体的に決めたことを行うことで幸福度が確実に上がる
  • 未来(将来)が充実する・・・休日にやりたいことをするので、「次の休みにはこれをやろう」と未来が待ち遠しくなり、未来が充実する
  • 仕事の効率や評価が上がる・・・自分がやりたいことを休日にするたっめ、仕事を休日に持ち越さなくなり、仕事の進め方を見直し、仕事の効率が上がり、周囲の評価も上がる

というメリットが挙げられています。

多忙な日本のビジネスパーソンの意識には「休みにくい」「休むことは良くない」という感覚が根強く残っています。この記事では、休日というのは「休んでいい日」ではなく「休んだ方がいい日」だと言っています。私に言わせれば、休日は「休むべき日」です。「休んでいい」とか「休んだ方がいい」という感覚が残っていると、ついダラダラしてしまいます。むしろ「休むべき日」ととらえ、仕事から意識を切り替えることです。オンとオフをしっかりつけることが重要です。

休日は仕事のための急速に充てるのではなく、自分が本当にやりたいことのために使えれば多くのメリットが得られ、それは更に自らのスキルアップ、成長につながります。

モチベーションをアップする方法

f:id:business-doctor-28:20210630080559j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1381人、そのうち東京476人、神奈川181人、埼玉76人、千葉92人。愛知49人、大阪101人、兵庫25人、京都15人、福岡26人、沖縄84人、北海道23人などとなっています。東京では10日連続前週の新規感染者数を上回りリバウンドが懸念されており、7月11日までのまん延防止等重点措置の適用をさらに延期する方向で検討されているようです。このままではまん延防止措置あるいは緊急事態宣言発令下での東京五輪開幕となりそうです。日本では従来型からインド由来のデルタ株への置き換わりが見られますが、新たな変異株であるラムダ株が世界各地で猛威を振るいつつあります。現在、ラムダ株は、ペルーを中心に南米で猛威を振るっていて、感染力が最も強くワクチンの効果が20~50%低減するとされ最強の変異株と言われています。東京五輪が開催されれば、南米などから選手や関係者が入国し、水際対策の杜撰さから日本でもこの最強変異種が猛威を振るう危険性は否定できません。東京五輪をハブとしてこの最強ラムダ株が世界に蔓延しパンデミックを引き渡すようになれば、東京五輪はウイルスの祭典と化してしまいます。こうした事態になれば、菅首相組織委員会の橋本はどのように責任を取るつもりなのか、明らかにしてもらいたいものです。以前にも書きましたが、五輪を強行するなら、腹を切って責任を取る覚悟が必要です。

さて、今日は、サライの「【ビジネスの極意】部下のモチベーションをアップさせる方法」を取り上げます。以前にもモチベーションについては書いていますが、モチベーション(やる気)をいかに上げるかが、仕事の効率の向上や成功につながることは言うまでもありません。上司としては部下のモチベーションをどのように上げるのかが重要な役割になります。しかし、自分のモチベーションを上げる以上に部下のモチベーションを上げるというのは難しいものです。

この記事では、自分と部下のモチベーションをどのように上げるのか、その方法が紹介されています。

1.幸福感から考える、自分と部下のモチベーションをアップさせるコツ

 モチベーションに関する悩みには、自分のモチベーションを上げられないという悩みと部下など周りの人のモチベーションを上げるのにどうすればいいか分からないという悩みの2種類があります。全社が自分のモチベーションをコントロールする問題であり、後者が他の人のモチベーションをコントロールする問題です。

 ここでは、「幸福感」という観点から、「自分自身のモチベーションをアップさせる方法」と「部下のモチベーションをアップさせる方法」が説明されています。

2.自分のモチベーションをアップさせるポイントは「幸福感」から切り離すこと

  一般に上司(管理職)の人は、仕事はバリバリできるが、プライベートでやる気が湧かない、モチベーションが上がらないという人が多いのです。職場での仕事にはやる気を出すのに、勤務時間外に英会話や新たなスキルを身につけようとしても、またダイエットやジム通いをやろうとしても長続きしないということはあります。仕事にエネルギーを使い果たし、仕事が終わればクタクタというのもやむを得ないことかもしれません。しかし、最後の力を振り絞ることができれば、スキルアップにつながるはずです。

  1. 根本的な考え方として、幸福感とモチベーションは「別物」と考える・・・職場では成果を出せば報酬(給与・出世)につながるなどはっきりとした幸福感が提供されていますが、プライベートな活動では自分の頑張りを見て評価してくれる人がいません。孤独との闘いの中で時として意味を見出しにくくなります。プライベートな活動では、幸福感や見返りを期待せず、「活動せざるを得ない状態」を作ってモチベーションを維持できるように工夫することです。
  2. それしかできない環境を作る・・・予約を入れて行かざるを得ない状況をあえて作るなどです。一人でスキルアップの勉強をする場合でも、その本しか置かないようにする、1時間と時間を決めて椅子に座り続けるなど、やらざるを得ない環境をつくるのです。
  3. 毎日「キリの悪いところ」で終わらせる・・・キリをつけてしまうとそれで満足して、モチベーションが翌日に続きません。あえてキリの悪いところで終わらせて、モチベーションを翌日に引き継ぐのです。また、何かを終わらせる前に次の計画を立て、少しでも次のことを始めている状態にして、モチベーションを途切れさせないようにすることも大切です。

3.部下のモチベーションをアップさせるポイントは部下の性格に応じて「幸福感」を与える量を考える

 部下の性格も千差万別です。部下の性格によってモチベーションの上げ方にも違いがあります。

  1. 自信のない部下には期待する・・・自信のない人は仕事という場においてある意味「謙虚」であり「素直」です。それが行き過ぎて、一つ一つの仕事に慎重になりすぎたり、新しい挑戦をするモチベーションが上げられないのです。また、ネガティブな発想から仕事への意欲を失っているケースも見られます。このような部下には「君はできる」と期待をかけること、信頼していることを伝えることによってモチベーションを上げることができます。
  2. プライドの高い部下は褒める・・・プライドの高い人は責任感も強いので仕事をきっちりこなす長所がありますが、プライドが傷つくことを恐れて慎重になりすぎたり新しい挑戦に躊躇するケースが見られます。この湯なプライドの高い部下に期待をかけるのは逆効果です。プレッシャーがかかりすぎ負担となってしまいます。プライドが高すぎて孤立し誰にも相談できないということも起こります。プライドの高い部下には成果が出たときにはしっかり褒め、「最低限やってほしいこと」を明確にして、一人勝手にハードルを上げすぎないようにしておくことがモチベーションの維持につながります。
  3. すぐ図に乗るタイプには、馴れ合いに注意する・・・すぐ図に乗る人は、幸福感が高くムードメーカーになります。しかし、行き過ぎれば、慎重さの欠如や大きなミスにつながってしまうこともあります。このタイプは自分でモチベーションを上げることができるタイプなのd、ほめ過ぎたり、hン値を明かしすぎたりして馴れ合いの関係にならないようにすることが大切です。小まめに新しい仕事を振り分け、「慣れ」からくる慎重さの欠如を防ぐようにすべきです。

自分のモチベーションを高めるには幸福感を利用せず、楽しみや喜びのないところからモチベーションを生み出す工夫(しくみ)が大切になります。一方で、部下のモチベーションを高めるには、正確に応じて対応することが重要になります。幸福感の低いタイプの部下には幸福感を与えてあげることが必要ですし、幸福感が高い部下には逆に幸福感を抑えるように対処するのです。部下の長所と短所を見極め、長所を伸ばし、短所を克服できるようにすればモチベーションは高まります。やはりここでも重要なのは、部下との人間関係、信頼関係の構築です。 

 

藤井聡太の師匠に学ぶ「部下の育て方」

f:id:business-doctor-28:20210531081314j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1003人、そのうち東京317人、神奈川192人、埼玉68人、千葉121人、愛知20人、大阪40人、兵庫4人、京都6人、福岡17人、沖縄25人、北海道27人などとなっています。休日のデータといえ全国的には減少していますが、東京、神奈川、千葉の3都県では増加しています。首都圏だけでなく関西圏の繁華街での人出は緊急事態宣言解除前から増え始め、インド型のデルタ株、さらにはデルタ・アルファ株の確認例も増えており、リバウンドが懸念されます。一旦緩んだ気を引き締めるのは大変ですが、今一度気を引き締めて感染防止対策を取り続けるしかありません。

さて、今日は、SPA!の「藤井聡太の師匠に学ぶ『部下や後輩の育て方』」を取り上げます。

藤井聡太と言えば、知らない人はいないと思われる将棋棋士で、2016年に史上最年少(14歳2か月)でプロ入りするとそのまま無敗で公式戦最多連勝記録(29連勝)を樹立し、数々のタイトルを獲得、現在は王位、棋聖のタイトルを保持しています。

藤井棋聖がプロ昇格を果たした奨励会三段リーグの成績は13勝5敗で、プロになれるのは上位2名のみ、その時12勝6敗が5名いるという接戦でした。この三段リーグで藤井棋聖の師匠杉本昌隆八段がかけたのが「心配していないから」という言葉でした。この励ましは、単なる気休めではなく、杉本八段の経験に裏打ちされた言葉です。杉本八段がプロ入りを目指していた16歳の頃、不調に陥り「負ければ降格」という局面で、師匠の板谷進九段から「心配しとらん。いつかはプロになる」と励まされたのです。杉本八段は、このころを振り返り、「弟子の未来を信じる大切さを学んだ」とインタビューで答えています。

1.自発的な成長

 将棋だけでなくスポーツやビジネスでも師匠の存在は不可欠です。ビジネスの場合、師匠は「メンター」(助言する人)と呼ばれます。「メンタリング」という若手育成法も存在します。

 メンタリングが目指すのは、部下や後輩の自発的成長です。そのため、「これをしろ。あれをやれ」などの具体的な指示や命令はしません。あくまでも本人の自発性に委ね、自ら成長するようにアドバイスするとともに見守るのです。ここではメンタルを重視するのです。

 杉本八段が藤井棋聖にかけた「心配してないから」という言葉も、藤井棋聖が後に「ほっとした」と言っていたように、メンタルに影響を与えます。

 このメンタルに影響を与えるのは、理屈ではなく人間性であり、誰かの言葉が心に響くのは、二人の間に共感が働いているからです。

 「弟子の未来を信じる」という心構えを持って、弟子である部下や後輩を導いていくことが大切です。師匠(上司)と弟子(部下・後輩)との間に共感が生まれれば、弟子は師匠の言葉を心に響かせて自発的に成長し続けるものです。

2.誰かを教え育てたいなら自分の過去を振り返るべき

 教え慣れていない人は、すでに何でもできるようになった現在の自分を基準にして「こんなこともできないのか」と判断しこき下ろします。それでは人は育ちません。誰かを育てたいなら「自分も昔は未熟だった。先輩や上司に色々教えてもらった」という過去を振り返ることが大切です。そうすることで、部下の悩みや苦しみを理解でき、自分の過去の体験から「どのように言ってもらえると成長できるか」も分かるようになります。

 杉本八段が藤井棋聖にかけた「心配していない」という励まし・心理的アドバイスは口先だけなら誰でも言えます。しかし、杉本八段の言葉が藤井棋聖の心にすっと入って安心感を与えたのは、杉本八段の言葉が自分の体験に裏打ちされていたからであり、また二人の間に心の通った共感があったからです。

 これまでも部下の育て方については書いてきました。その中で、部下を育てるために必要な「2つの自己〇〇感」について書いたことがあります。

2つの自己○○感というのは、自己効力感自己重要感です。

自己効力感というのは聞き慣れない言葉ですが、自分の中で「できる」「できるかもしれない」と前向きに思うことです。自己効力感を持つと、自分が「できる」と思う事態になると貢献したくなり、「任せてください」と手を挙げたくなります。自己効力感は様々なことを経験し、的確なフィードバックをされる中で育てられます。上司としては、チャンスやチャレンジできる環境を意識して提供するとともに部下が「できた」ことを評価するなど公平なフィードバックを心掛ける必要があります。上司と部下との間で、共感できるようになると、上司から「心配していない」という励まし・心理的アドバイスを与えられただけで「自分はできる」という自己効力感が高まります。

自己重要感というのは、組織の中で自分が重要な役割を担っていると思える力です。チームのメンバーがそれぞれ自己重要感を持っていれば、何か問題が起こった時には、大きな力を発揮します。「この分野は自分が得意だから任せてください」と自分の強みを持ってチームに貢献しようと自発的に行動するようになるのです。「心配していない」という励まし・心理的アドバイスによって、「自分は信頼されている」と思えると、自己重要感も高まり、積極的・自発的に行動するようになります。この自己重要感も部下の自発的成長には欠かせません。 

 

問題解決の5つのステップ

f:id:business-doctor-28:20210628080731j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1283人、そのうち東京386人、神奈川204人、埼玉85人、千葉108人、愛知41人、大阪96人、兵庫16人、京都14人、福岡25人、沖縄61人、北海道28人などとなっています。休日ということもあって新規感染者数は少ないですが、東京では同じ曜日と比較して8日連続で増加しています。専門家によれば、このまま何もしなければ7月後半(オリンピック開催時)には新規感染者が1日1000人を超えるかもしれないということです。大阪でも、週末の人出は完全に元に戻っています。2週間後にどれだけの新規感染者が出てくるのか心配です。

さて、今日は、Forbes JAPANの「業務上の厄介な問題を解決に導く5つのステップ」という記事を取り上げます。

オフィスワークでもテレワークでも、業務上の問題がひっきりなしに生じます。簡単な問題から特別でユニークなものまでさまざまです。どこから手を付けたらいいのか戸惑う問題も多いのです。オフィスワークであるなら、上司や同僚にすぐに相談することもできました。しかしテレワークでは、上司や同僚に相談するには、電話を架けたりSNSを利用したりと大変です。相手がどのような状況にあるのか(ミーティング中かもしれません)分からないので、躊躇することもあります。

オフィスワークにしろテレワークにしろ、本来自分に与えられた仕事に関わる問題は自分の手で解決しなければなりません。もちろん、同僚や上司にアドバイスを求めることも重要ですが、最後は自分で判断・決断して解決に導かなければなりません。

そのために、厄介な問題を解決する際には論理的で一貫した姿勢が必要になります。

この記事では、職場で微妙な問題に直面した時に、解決に導いてくれる5つのステップが紹介されています。

1.ルールやフレームワークに当てはめる

 問題が生じたら、すでに導入されている方針や評価プロセスに当てはめてみることです。例えば、会社の指針やワークストリーム、意思決定のための樹状図などに照らし合わせて、解決すべき問題を検討するのです。

 会社には、仕事を進める上での基本原則があります。この基本原則を無視することはできません。基本原則を維持しながら目前の問題を解決しなければなりません。

 問題解決に向けて指針となるルールや指針が必ずあるはずです。それを見つけてそれに照らし合わせて、問題の解決に導くのです。

2.既存のフレームワークと比較する

 批判的思考と分析スキルを駆使して、目前の問題と基準となる既存のフレームワークとを比較することです。自分が抱えている問題は、既存の基準やフレームワークにそぐわないものかを検討するのです。その答えがイエスなら、まったく合わないのか、部分的に合っていないだけなのかを見極めることです。食い違いの程度を把握することが重要です。

3.差し当たっての決断を下す

 自分の分析をもとに考えをまとめます。この問題にどのように対応すべきか、その対応は生じている問題に適しているのか、その解決方法は公正なものなのか、その対応は問題から生じた被害に対応しているのか、などを考えたうえで自分なりの決断を下すことになります。

4.同僚に意見を尋ねる

 問題を解決に導くと思えるアイデアを自分なりにまとめたら、次は他の人の意見を聞くことです。自分が気付かず見落としていた点を指摘してくれるかもしれません。自分が見落としていた新たな発見や新たなアイデアが生まれるかもしれません。

 会社の業績や評判、外部に影響を与えるような問題の解決は間違いは許されません。異なる見方や意見を取り入れることによって硬直化せず柔軟に考えることができるようになります。幅広い考え方を取り組めば、適切な対応策が見つかる可能性は格段高まります。その結果、失敗や間違いを犯すリスクは軽減されます。

5.実際に運用可能か 等を検証する

 自分なりの解決策ができたと確信すれば、次に最終段階に入ります。その解決策は「実行可能なのか」「別の問題が生じたときも対応できるのか」「決断の正しさを弁護できるか」について自問自答して、検証することです。

 計画の上では優れた解決策でも、実行できなければ意味がありません。実行に移せなければ絵に描いた餅で何の価値もありません。決断や方針のそれぞれについて、どのようにすれば実現できるのか、実行できる具体的なステップを明確にしていくことです。

 決定した解決方針を実行に移すことができても、一度しかできないとすれば、新たな問題が生じる可能性があります。様々な異なる状況でその決定が通じなければ、その決定はあまり役に立たないということです。方針というのはさまざまなシナリオに適応できるフレームワークでなければならないのです。確かに各問題が抱える背景は千差万別です。しかし、一見全く異なる問題であるように見えても共通する本質的なものは存在します。問題の解決策は、そうした共通する本質的な部分の解決に役立つものでなければならないのです。最終的には作り上げた解決策がスケールアップでき、自動化できるようなものであれば最高です。

 決定事項や方針は、ユーザーや利害関係者、社会全体を末永く守るべきものでなければなりません。また企業の評判を維持するのに役立つものでなければなりません。いくら会社の利益を上げるものであっても、法やコンプライアンスに違反するようなものであってはいけないのです。

コロナ禍でテレワークが導入され、自宅で仕事をする機会が増えました。多くの人が仕事に関する問題や課題を抱えて苦労しています。厳しい言い方ですが、自分が担当する仕事に関わる課題や問題は自分で解決するしかありません。問題の解決には論理的な思考法が必要です。先ずは、目前の問題が毀損のフレームワークに沿っているかを検討し、どのように解決されるべきかを考えることからのスタートです。自分なりの解決法が見つかったら、テレワークでっても他の人の意見を聞くことです。他の人の意見や見方を加味してさらに解決策を進化させ、最後は運用可能かどうかを検証するのです。

参考になると思います。 

休日の本棚 座右の書『貞観政要』

f:id:business-doctor-28:20210627081137j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1633人、そのうち東京534人、神奈川231人、埼玉86人、千葉108人、愛知46人、大阪88人、兵庫34人、京都20人、福岡40人、沖縄74人、北海道47人などとなっています。緊急事態宣言が解除されて初の修町、各地の繁華街はコロナ前ではないかというくらい人出が増えにぎわっています。現在は、まん延防止等重点措置の真っただ中です。それなのに、巷では、まるでコロナウイルスに打ち勝ったような浮かれ方です。今ですらこのような状況なので、東京五輪開催となれば、さらに人流が増え、気が緩み、感染拡大へとまっしぐらになりそうです。世界的にインド型デルタ株が猛威を振るい、コロナ優等生であった国や一度はコロナを抑え込んだ国で、再び規制強化がなされています。一人一人が気を引き締めて、ルールを守りしっかりと感染防止対策に取り組むべきです。

さて、今日は、出口治明著「座右の著『貞観政要』」(角川新書)を紹介します。副題に「中国古典に学ぶ『世界最高のリーダー論』」とありますが、「貞観政要」は唐の第2代皇帝、太宗・李世民の言行録です。「貞観」というのは当時の元号のことで(西暦627~649年)、今から1400年近く前です。貞観の時代は、中国史上、最も国内が治まった時代と言われています。「政要」というのは、政治の要諦のことで、太宗と臣下との政治上の議論や問答がまとめられたものです。

その後、クビライや乾隆帝などの中国の皇帝が帝王学を学ぶために愛読し、日本でも北条政子徳川家康明治天皇が学んだとされています。

太宗は、約24年間帝位についていました。出口氏は、名君と呼ばれる人の絶対要件は次の2つであると言っています。

  1. 「権限の感覚」を持っていること・・・臣下に一旦権限を与えたら、その権限は臣下のものです。部下に権限を与えて任せたなら、皇帝であっても部下の決定に従わなければなりません。皇帝が自分勝手に権力を行使すれば、人民や臣下を疲弊させ、やがては裸の王様になってしまいます。高い地位に就いた人が裸の王様になれば、君主の一言一句に組織が振り回されるようになり、やがて時代の変化から取り残されてしまいます。
  2. 臣下の「諫言」を得ること・・・諫言とは上司の過失を遠慮なく指摘して忠告することです。臣下の忌憚のない諫言を聞き入れ、彼らの批判に耐えることで自らを鍛え上げるのです。皇帝であっても、決して全能ではないことをわきまえた姿勢、欠点や過失を指摘されることを望み、喜んで聞き入れる姿勢です。

出口氏は、「貞観政要」に記された太宗と臣下たちとの問答の中から、リーダーや組織がどうあるべきかを学ぶべき、と言っています。そして、「貞観政要」で述べられている「三鏡」の考え方を座右の銘にしていると言います。

三鏡」というのは「銅の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」の3つの鏡のことです。

  • 鏡に自分を映し、元気で明るく楽しい顔をしているかをチェックする(銅の鏡)
  • 過去の出来事のほか将来を予想する教材がないので、歴史を学ぶ(歴史の鏡)
  • 部下の厳しい直言や諫言を受け入れる(人の鏡)

これらの3つの鏡、今の自分の表情、歴史、第三者の厳しい意見を知ることがリーダーには不可欠なのです。

 本書の構成は

 序章 「世界最高のリーダー論」はどうして生まれたのか 

 第1章 リーダーは「器」を大きくしようとせず、中身を捨てなさい

 第2章 「部下の小言を聞き続ける」という能力

 第3章 「いい決断」ができる人は、頭の中に「時間軸」がある

 第4章 「思い付きの指示」は部下に必ず見抜かれる

 第5章 伝家の宝刀は「抜かない」ほうが怖い

 第6章 有終の美は「自分」にかかっている

となっています。

まず、十思九徳(いいリーダーに共通する10の思慮と9の徳行)です。太宗の側近である魏徴が太宗に君主が心にとどめておくべき10の思慮と積むべき9の徳行を説いています。

10の思慮と9の徳行について現在の言葉で要約すると次のようになります。

【十思

  1. 欲しいものが現れたときは「足るを知る」を思い出し、自戒する。
  2. 大事業をするときは「止まるを知る」を思い出し、立ち止まって考え、人民を過度に働かせない。
  3. 大きなリスクを冒してまで野望を果たそうとしない。謙虚に自制すること。
  4. 満ち溢れるような状態になりたいという気持ちが起こったら、謙虚に振る舞う。
  5. 遊びたくなったら、自ら制限を設けて、節度を持って遊ぶこと
  6. 怠けそうになったら、何事にも一生懸命取り組んでいた初心を思い出すこと。最後までやり遂げたときも威張ったり自慢したりせず、謙虚さを忘れないこと。
  7. 自分の目や耳がふさがっていると思ったら、下の者の意見を素直に聞くこと。
  8. 讒言(目上の者に、ある人の悪口を言うこと)や中傷を恐れるなら、まずは自分の立ち居振る舞いを正すこと。
  9. 部下の手柄を褒める時に、恩賞を与え過ぎてはいけない。特定の部下を増長させてはいけない。
  10. 部下を叱責するときは、感情に任せて怒りをぶつけてはいけない。信賞必罰は公正であるべき。

九徳】

  1. 寛にして栗・・・寛大な心を持ちながら不正を許さない厳しさをあわせ持つ
  2. 柔にして立・・・柔和な姿勢をもってむやみに人と争わない。しかし、なすべきことは必ずやり遂げる
  3. 愿にして恭・・・真面目だが尊大なところがなく丁寧である
  4. 乱にして敬・・・事態を収束させる能力がありながら慎み深く謙虚である。
  5. 擾にして毅・・・威張ったりせず、普段は大人しいが、毅然とした態度や強い芯を持つ
  6. 直にして温・・・正直にものを言うが、冷淡ではなく、温かい心を持つ
  7. 簡にして廉・・・物事の細かい点にはこだわらない。大まかであるがしっかりしている
  8. 剛にして塞・・・剛健だが、心が充実している
  9. 彊にして義・・・いかなる困難でも正しいことをやり遂げる強さを持つ

魏徴は、君主が十思九徳をわきまえ、才能のある人を選んで任用し、善者を選んでその言に従えば、何もせず、何も言わずとも世の中が自然と治まると言っています。何もしないのが理想のリーダーであり、策を弄せずとも、物事がおのずと良い方向に導かれるように適材適所に人を配置すればいいということです。組織の強さは、人材の組み合わせと配置によって決まると言っても過言ではなく、誰に何を担当させるかを決めた段階で、その組織のパフォーマンスはほとんど決まります。リーダーの役割は適材適所に人を配置することに尽きるのです。職場の状況、社会の変化、部下の適性などを踏まえながら、最適な人材を最適な場所に、最適なタイミングで配置できれば、リーダーは、余計な干渉や口出しをせずいったん部下を信頼して任せればいいのです。これこそが理想のリーダーです。

また、貞観政要には「その身を収めるには、必ずその習うとことを慎む」と書かれています。つまり、謙虚になることです。そのために、つまらない自尊心や羞恥心を捨てて器を空にする、無の状態に戻すことです。太宗が部下の諫言を受け入れられたのは、器を無にすることができたからです。器は大きくするのではなく、中身を捨てるのです。中身を捨てて空にすると、新しい価値観や部下からの直言、新しい考え方などを吸収することができるようになるのです。

 貞観政要の中に、魏徴が文公(春秋時代の晋の君主)の逸話を用いながらリーダーの役割について説いた一節があります。文公が猟に出て獲物を追いかけているうちに道に迷います。そこで、一人の漁師に会い「私はお前の主君である。道を教えてくれれば礼をしよう」と漁師に言います。漁師は「君主のいるべき場所は広い場所であって、沢のような狭い場所ではないはずです。どうしてこんなに遠くまでやってきたのですか?」と問うのです。漁師が伝えたかったのは「自分の役割を忘れてはならない」と言うことです。君主の役割・機能は猟をすることではなく、国を治めることです。猟をするのは猟師の役割・機能です。君主といえども漁師の機能をみだりに奪ってはならないのです。

上司も部下も、組織を運営するための機能の一つにしかすぎません。チームで仕事を回すために上司はたまたま上司の機能を割り当てられただけです。上司は部下よりも人間的に偉いわけではありません。機能・役割が違うだけです。

強い組織を作るには、上司も部下も、君主も人民も、与えられた役割に注力すべきです。人間にはそれぞれ、組織上、仕事上の本分があります。自分の本分でないことに手を出すべきではありません。上司が部下に権限を与え任せたのなら、それは部下の本分であって、上司と言えども取り戻したり代行することはできないのです。リーダーにはこうした権限の感覚を身につける必要があるのです。

太宗は、古人の言葉を引用しながら、社会が良くなるも悪くなるも、上に立つ人の器によって決まると言っています。組織のマネジメントを円滑にするためには、人の心をつかむことが何より大切です。自分の地位を利用して強制的に従わせたなら単に従っているフリをしているだけになります。人事権をちらつかせ強制的に部下を動かすのと部下に権限を委譲して仕事を任せ動いてもらうのとでは天と地ほどの差があります。

 上に立つ人には、自分がやるべき仕事の範囲を把握する能力が必要です。自分の職務に関係あるものとないものの範囲を正しく理解して、関係ないことは聞かない、見ない、そして口に出さない。それが部下を伸び伸びと働かせ、かつリーダーが心身の健康を保つ最善策です。

病気は治りかけが肝心です。風邪の治りかけは、まだ免疫力が低下しているので、新たなウイルスが侵入したりすると、結果的にぶり返し悪化してしまいます。太宗は「病気は治りかけこそ気を付けるべきで、国家も同じ」と言っています。物事がうまくいかないときは、みんなが必死になって考え、努力を重ねるので気が緩むということはありません。トラブルや不祥事を抱えた時に組織が一致団結するのも、メンバー全員が危機感を持っているからです。反対に物事が順調な時は、どうしてもタガが緩みがちになります。苦しい時には緊張を保っていたのに、ちょっと良くなったとたんに、気が緩んで、それが事態の悪化を引き寄せる火種になることがあるのです。人間はアホだから慢心してつい調子に乗ってしまうことがあります。太宗はこれを自覚して、常に臣下の諫言を受け入れるようにしていたのです。どこかの政治家とは大違いです。

部下は上司の顔色を窺っています。上司が不機嫌な表情をしていると、部下は寄ってこないので、情報が入ってこなくなり、正しい意思決定ができません。上司は部下が話しかけやすいように鏡を見て、いつも元気で、明るく、楽しそうにしていなければならないのです(銅の鏡)。

貞観政要には、「いい判断」をするために大切な3つのことが挙げられています。その3つとは

  • 過去の皇帝から学ぶこと
  • 善良な人や行いの正しい人とともに、道義的に正しい道を歩むこと
  • 取るに足らない人たちは避けて、嘘、告げ口、悪口は聞かないこと

です。過去の歴史に学ぶというのは「歴史の鏡」です。「善人を進用する」と「讒言を聞かず」というのは、フラットでオープンな組織を作るうえで欠かせないものです。

小事は大事です。小さな失敗を見逃すと大きな失敗につながります。些細なことや小さなことを見逃さず、おろそかにせず、徹底することが大事を起こさないための抑止力になります。組織が傾く原因は、「わずかなほころびくらいでは大事に至らないだろう」という慢心です。太宗は、小事は大事であると考え、臣下にどんな小さな問題も放置してはいけないと周知徹底していました。

リーダーは部下に権限を与えて仕事を任せる必要があります。一方で任された部下は、自分の守備範囲については必死に仕事をしなければなりません。

太宗が偉いのは、「手を抜いたら許さない」と脅しているのではなく、何故小事を大事にしてはいけないのかをきちんと理由を付けて説明していることです。最初に道理を説いたからこそ太宗は臣下に信頼されたのです。

「善を善とし、悪を悪とする」だけで行動しなければ組織は滅びます。悪いことだと分かっているのなら、直ちにやめるべきです。良いことだと分かっているのなら直ちに行動を起こすべきです。

上に立つ人の言葉はとても重く、一度口にした言葉は簡単に取り消すことはできません。また、いくら口が重くても、人格が備わっていなければ、部下の信頼は得られません。常に言行一致を心がけていないと部下はついてきてくれません。「トップの話す言葉は非常によく考えられていて、大所高所から物事を判断できる」「悠揚迫らぬ鷹揚な人柄で誰からも好感を持たれる」そういう人物でなければ、上に立つことは難しく、仮に上に立ったとしても、部下は喜んでついてきてくれないでしょう。

リーダーが物事を考えるときは、時間軸の概念を取り入れることが大切です。目先の利益ばかりを追求すると、長期的な利益を失うことが多々あるからです。時間軸を正しく設定するのもリーダーの重要な役割です。上に立つ人は時間軸を自由に使える権限を持っています。だからこそ、その事象をどのくらいの年次で判断すべきかを冷静に考え、正しく時間軸を設定する必要があります。

貞観政要の中に、「天子はその人格がどろどろ濁っていてはいけない。かといって、輝くほど澄んでいてはいけない」と書かれているくだりがあります。リーダーの人格が濁っていてはいけないというのはもっともなことです。しかし、「輝くほど澄んでいてはいけない」というのは面白いところです。「水清ければ魚棲まず」ということわざの通り、あまりにも心が清らかで行いも正しく潔白すぎる人は他人から敬遠され孤立してしまいます。人間にはきれいな面も汚い面も両方あって、リーダーは清濁併せ呑む人物でなければならないのです。

貞観政要」は、組織に関わる人やリーダーにとって、現代でも全く色あせることのない古典の必読書です。この本は「貞観政要」のエッセンスを分かりやすく説明してくれています。

f:id:business-doctor-28:20210627120420j:plain

 

休日の本棚 「戦う組織」の作り方

f:id:business-doctor-28:20210626081241j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1709人、そのうち東京562人、神奈川221人、埼玉100人、千葉126人、愛知66人、大阪120人、兵庫20人、京都10人、福岡37人、沖縄82人、北海道33人などとなっています。山形、和歌山、鳥取、島根、岡山、徳島、佐賀など感染者ゼロのところもありますが、全国的に下げ止まり、東京・大阪では増加に転じています。東京だけでなく全国的に感染力の強いインド型デルタ株に置き換わりつつありますが、デルタ株に新たな変異が加わったデルタプラスも発見されるいるようで、予断を許しません。西村担当相や田村厚労相などは状況によっては速やかに緊急事態宣言を発令すると言っていますが、果たして菅首相東京五輪目前に緊急事態宣言発令に踏み切る決断ができるかは疑問です。

さて、今日は、渡邊美樹著「『戦う組織』の作り方」(PHPビジネス新書)を紹介します。渡邊美樹氏と言えば、言わずと知れたワタミの創業者です。

この本は、渡邊氏の経験を基に、厳しくも公正なリーダーになるための「覚悟」と「具体的方法」が語られています。

「褒めて伸ばす」ということが言われ、「叱れない上司」が増えています。最近の若者は打たれ弱く、叱るとすぐに辞めてしまうので、なるべく優しく接しなければならないなどと「厳しく躾ける」ことが嫌われる風潮にあります。それは会社だけでなく、学校や家庭、社会全体がそのような風潮にあるように思えます。

ベネディクトが「菊と刀」で述べたように、日本は「恥の文化」で欧米の「罪の文化」と対比されます。日本の「恥の文化」は他者の内的感情や思惑と自己の対面を重視する行動様式で、恥ずかしいか恥ずかしくないかで判断される価値観を持っています。親が子供を叱るときに「恥ずかしいからやめなさい」と注意するのはこうした「恥の文化」の影響です。「恥」という対面によって良いことと悪いことが区別されるのです。これに対しキリスト教の影響を受ける欧米は内面的な罪の意識を重視する行動様式で、「正と邪」で判断される価値観を持っています。日本では、江戸時代に、恥の文化に儒教朱子学)的な思想が加わり、日本独自の文化を生み出したのですが、戦後になると儒教的な思想の部分が薄れ、恥の文化が際立ってきています。良きにつけ悪しきにつけ日本では厳格なキリスト教的な価値基準が存在しないので正しいことと正しくないことの境界線があいまいとなっています。「正と邪」についての明確な価値基準が存在しないので、邪悪なことに対して厳しく叱るということができないのです。なあなあで済ます(相手と適当に折り合いをつけいい加減に済ませる)風潮が顕著に残っています。

話しを戻します。ワタミという会社は、「実力主義の厳しい会社」です。

渡邊氏は、「『厳しい』『優しい』という区別自体、あまり意味がない」と言っています。その人に愛情を持ち、本当に育ってほしいと願っているのなら、ここは厳しく言っておくべきだ、などといった判断が自然と生まれます。ここは優しく接しておいた方がいいという場面もあります。必要な時に必要な接し方をすればいいということです。

渡邊氏は「『叱れない上司』が増えるのは、相手(部下)のことを考えず、自分のことばかりを考えているからではないか。自分が嫌われたくないから叱ることができない」と言います。この見せかけのやさしさは自分を愛するがための狡さであり、相手のことなど何も思っていない薄情さだというのです。

また、ワタミ実力主義は、企業の目的「一人でも多くのお客様に幸せな飲食の機会を提供したい」「高齢者の方に幸せな老後を提供したい」という目的に向かって誰がどの仕事をしたら一番いいかを冷静に考え、役割分担することで、「適材適所」に人員を配置することであり、社員の扱いに差別を設けることではないのです。渡邊氏は「社長も店長も対等で、役割が違うだけ」と言い、最近の給与体系では真ん中よりも下の人の給料を厚くすることで、上下の格差が少なくなっています。

本書の構成は、

第1章 100年続く「強い組織」を作るために

第2章 成長を続ける「戦う組織」の作り方

第3章 組織を引っ張る「戦うリーダー」の条件

第4章 「戦う部下」を育てるリーダー力の磨き方

  • リーダーの資格とは 「俺が育ててやる」というのは大きな自惚れ
  • リーダーに求められる仕事とは? 部下の不出来をなじるのは上司の怠慢にすぎない  
  • 「叱れない」「嫌われたくない」では上司失格 リーダーの褒め方&叱り方
  • 厳しくも公正な部下評価 ○✕をつけるのではなく人を育てる機会として
  • リーダーが身につけておくべき「力」とは? 苦い経験を重ねるからこそ、成長がある
  • 仕事をする上での「幸せ」とは何かを考える 悩み多き時代に「夢」を持つことの重要性

エピローグ ワタミを支えるのは「人」である

となっています。

この中からいくつかのポイントを紹介します。

  • 100年続く「強い組織」を作るためには、⑴未来を見据えた新しい事業を生み出すこと ⑵企業にとって最も重要な「企業理念」を、決して忘れることの内容、すべての社員に徹底させていくこと の3つが必要。
  • お客様の声に耳を傾け、お客様の変化に対応すること、すなわち現場がすべてだ。経営と現場が乖離したら未来はない。
  • もし理念を失ったら、お客様の心もすぐに離れる。しかし理念の継承は、実はとても難しい。立派な理念を掲げてスタートした企業が創業後20年、50年、100年と経つうちに当初の志を忘れ、お客様の信用を失う不祥事を起こしてしまう例は枚挙にいとまがない。頻繁に社員に理念を訴えかけるしかない。理念を訴えかけるとその時は社員のモチベーションは高くなる。しかし日常業務に追われるうちにやがて理念は忘れがちになる。そこでまた理念を訴えかけモチベーションを上げる。また理念を忘れがちになる。その繰り返しである。定着は難しい。思いを相手に伝え続けていくしかない。
  • 社会に対するアンテナを立て「自分たちだからこそできること」や「自分たちだからやるべきこと」を必死になって考え続けるしかない
  • 組織は人を食いながら成長していく。組織はその成長過程に合わせて、必要とする人材をどんどん変えていく。また同じ人間に対しても、要求する水準をどんどん変化させていく。今必要な人間が5年後、10年後にも必要であるかどうかは誰にもわからない。
  • 「戦う組織」とは、厳しい集団でなければならないが、人の可能性を見切る冷たい集団であってはいけない。活きるかもしれない人材を見殺しにしてはいけない。チャンスは常に与え続ける必要がある。
  • 必要な場面で、必要な人材を登用するためには、まずは会社のあるべき姿と現状とのギャップを正確にとらえることが重要になる。「今どんな人材が社内に不足しているのか」をできる限り具体的にイメージする。そして、その求められる人材は、社内で育成することが可能なのか、中途で採用する必要があるのかを客観的に判断する。その上で中途社員を採用するとなった場合は、理念を共有できる人物かどうかを重視して、その採否を判断する。
  • いわば軌道に乗った事業の経営というのは「戦後統治」なのだ。トップは常に戦場の最前線、120%の力を発揮しなくては勝てない場所で戦わなければならない。それは非常に厳しいことだが、それこそが自分の存在対効果を最大限に高めることになる。そうでなければ強い組織、戦う組織など作ることはできない。
  • 硬直化した組織において、メンバーの意識を変えようと思うなら、覚悟を迫るしかない。土壇場まで追い込まれないと、人は変われないものだからだ。
  • 「戦う組織」を作れるかどうかは、リーダーで99%決まると言っても過言ではない。リーダーが先頭に立って戦う組織は部下も戦うし、リーダーが逃げてばかりの組織は部下も逃げてばかりになる。戦うリーダー育成のポイントは、「追い込むこと」である。追い込まれたときに逃げてしまうようだとリーダー失格だ。逃げずに立ち向かえる人間は、それだけでリーダーになる資質を備えている。自分のキャパシティを超える課題に立ち向かううちに、100しかなかった力が120になっていく。すると今度は140の課題に直面する。それをクリアすることで、140の力をつけていく。そうやってリーダーは成長していく。
  • リーダーになれる人間のもう一つの条件は「変わらないこと」だ。どんな時でも平常心で、ブレない判断ができる人が、組織を引っ張るだけの器を持っている人間である。心の奥底に熱さを持ちながらも、感情の浮き沈みが少ない。それがリーダーの条件であり、一流の条件でもある。
  • 120%ということは、自分のキャパシティを超えているわけだから、当然判断を誤ることもある。それでいい。もちろんお客様に迷惑をかけたり、経営が傾いたりするような決定的な失敗は避けなくてはならないが、それ以外の小さな失敗はどんどんすればいい。失敗を回避することよりも、逃げずに戦い続けることの方がリーダーの成長には大切だ。組織の将来を安心して任せられるリーダーを育てるためには、ときには敢えて突き放すことも必要だ。
  • リーダーに求められるのは、部下を育てながらチーム力を高めていくことだ。しかし、人は勝手に育つもの。伸びる人間は自分で考え、挑戦して失敗し、また挑戦して壁を乗り越えながら、自分で成長していくものだ。上司が『俺がいつを育ててやった』というのは大きな自惚れだ。リーダ-ができるのは環境を整えてきっかけを提供することだけだ。部下に対する愛情がないリーダーの下では部下は育たない。夢やビジョンを示せないリーダーの下では、部下も夢やビジョンを持てない。夢やビジョンがなければ、仕事に対する意欲を保てず、成長も止まってしまう。
  • 組織は愛情を注げる同じ志を持った仲間で支えられている。逆に言えば、社員の志を一つに纏め上げるビジョンやミッションが示されていない会社や部署は、社員がてんでんバラバラの意見や考え方で動くことになる。問われるのは、「リーダーがしっかりと夢や志を持っているか」どうかだ。そして「チームとしてどんな仕事を成し遂げたいのか、その思いをきちんと部下に伝えられているか」どうかだ。
  • 物事を深く考えないといけない場面では、「思考の3原則」を大切にしている。①目先に囚われないで、できるだけ長い目で見ること ②物事の一面に囚われないで、できるだけ多面的に、でき得れば全面的に見ること ③物事によらず枝葉末節に囚われず、根本的に考えること の3つだ。
  • 育つ環境を整えるうえでまず最初にやるべきことは、ビジネスや会社のルールをしっかりと教えること。スポーツと同じで、基本的な規則やマナーを知らない人間は仕事に参加する資格がない。仕事に参加できなければ、そもそも成長する機会自体が得られないから、有無を言わさず習得させなければならない。
  • 仕事で求められる本当の力、特に役員や経営者を目指すべき人が身につけるべき力は、「今、世の中で何が起きているのか、アンテナを立てて鋭くキャッチすること」や「状況を的確に把握し、自分や組織が進むべき道を判断できる」といった状況把握力と判断力である。これは上司が部下に教えたり育てたりすることができない力である。部下自身が試行錯誤を重ねながら身につけていくしかない。
  • リーダーに求められるのは、部下の資質や能力をシビアに見極めることだ。リーダ-は自らの努力で壁を乗り越えた人間を正当に評価する姿勢を持つことが大切だ。また、まだ壁を乗り越えられていないが、乗り越えようと努力している人間にチャンスを与え続けられることも大切だ。組織として成長を標榜するなら、部下が持っている能力や、今後伸びていく可能性をシビアに判断しながら、人事を遂行しなくてはいけない。
  • 人を見るときの判断基準はすでに自分の中に身につけている。しかし欲や焦りがあるとその判断基準がブレてしまう。リーダーとして透徹した目を獲得するには、いかに欲や焦りから離れられるかが条件になる。また、部下の資質や能力を、多面的に評価する視点を持つことも大切である。上に立つ人間に必要なのは、その人の適所がどこか、とことん考え抜くことだ。そのためにも日ごろから愛情と関心を持って部下のことを見守っていないといけない。適材適所の配置ができたとき、部下は一気に飛躍する。
  • 「揉める」「叱る」は上司と部下のコミュニケーションに欠かせないものである。100人いれば100通りの性格や資質、考え方がある。どんな場面でも、誰に対しても絶対的な効果を発揮する褒め言葉や叱り方など存在しない。同じ言葉でも、それが生きたものになるか死んだものになるかは、場面や相手によって変わる。一番大切なのは、部下と真剣に向き合い、相手の心に届く言葉を自分で見つけて発することである。
  • 褒めたり叱ったりというのは「機」を捉えることだ。部下を褒めたり叱ったりするときには、まず叱られることに耐えたり、褒められることで慢心したりしない気力や根性が、相手にあるかを見極めなければならない。部下の心の細かな働きにも意識を向けなければならない。叱る相手のことを事前に知ったうえで叱るのが基本だ。相手のことを理解していないのにしかりつけるのは、絶対にやってはいけない。
  • 人間同士だから、時には意思の疎通がうまくいかないこともある。ボタンの掛け違いが起きていることに気づいたら、すぐに誤解を解くために動かなくてはいけない。叱り方の失敗したら、その失敗を素直に認めることもリーダーには大切なことだ。部下が間違った方向に進んでいる時には、叱ることで正しい方向性を示す。部下が成長を遂げたときには、褒めてあげることで自信を持たせる。これができれば部下は迷うことなく伸びるべき方向に延びていく。叱ることとほめることは、上司が絶対に避けてはならない責務である。
  • リーダーには部下を評価するという役割がある。しかしそれは感情や損得で評価していいということではなく、理念と目標に沿って行われるべきものだ。そして同じ原則は、リーダー自身にも課せられるものである。こうした公正さが保たれたとき、リーダーが下す評価は周囲にとっても、そして評価された本人にとっても、必ず納得のいくものになる。評価とはその人の能力に〇✕をつけることではない。もっとも能力を発揮する役割は何かを判断するために行うものだ。評価はリーダーの役割であり、部下に適材適所で働いてもらうために必要なものである。
  • 部下への評価は公平でシビアなものでなくてはならない。しかしそれは、低い評価を下した部下を見放すことではない。何度でもチャンスを与えながら、部下の成長をじっと待つ。時には優しく寄り添う。リーダ-は部下に対してそこまで責任を持つ必要がある。
  • 「腹をくくれること」もリーダーにとって非常に重要な資質の一つである。腹をくくれないリーダーが多い。物事を判断するときは自分で決める。自分の責任として背負い込まなくてはいけないことは、自分で判断すべきだ。その際、じっくりと時間をかけ、様々な観点から問題を根本的に分析したうえで、結論を出す。
  • 会社が従業員を雇うということは、従業員やその家族の生活を預かり、命を預かるということである。会社とは理念集団であり、理念を持った人の集まりである。人は経営資源ではない。人は会社そのものである。会社と従業員は同体である。カネ。モノ、情報のように、売上や利益を獲得する手段として、買ったり売ったり、捨てたり拾ったりするものではない。会社が苦しい時でも、できる限り従業員の雇用は守らなければならない。

この本は、組織の作り方から人材の育成、リーダーのあり方について参考になるように思います。リーダーは求められるのは覚悟です。いかに覚悟のないリーダーが多いことかと嘆かわしく思います。

f:id:business-doctor-28:20210626123606j:plain