中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

DXに失敗する理由

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おはようございます。

昨日の新規感染者は1676人、そのうち東京570人、神奈川192人、埼玉119人、千葉129人、愛知100人、大阪116人、兵庫17人、京都10人、福岡36人、沖縄62人、北海道26人などとなっています。全国的に下げ止まっているように見受けられますが、東京・大阪では前週同曜日の数を上回っています。リバウンドが懸念されます。五輪強行開催に踏み切る政府は当てにできず、ワクチン接種しか頼れるものはありませんが、ワクチンが絶対ではありません。ワクチン接種が進んでいる英国やイスラエルでも感染者は増加しています。感染者が増えたとしても、ワクチン接種により重症化が抑えられれば医療をひっ迫させることは少なくなるでしょう。ただ、問題はワクチン接種の副反応です。私も6月22日に1回目のワクチンを接種しましたが、今も接種部が痛く腕が上げられません。また、若干微熱があり全身倦怠感です。先にワクチン(ファイザー社製)接種した両親(90歳)は特に副反応は見られませんでした。私に副反応が出ているのはモデルナ製ワクチンだったことが影響しているのか、それとも糖尿病・喘息という基礎疾患を有していることが原因なのか分かりません。ただ、今のところ重篤な副反応ではなさそうなので安心はしていますが、接種後数日後に急変し亡くなった人もいるとのことなので若干心配です。

さて、今日は、再びDXです。プレジデントオンラインの「DXを『エンジニアとマーケター』に頼む会社が、必ずDXに失敗するワケ」を取り上げます。

ここ数年、DXが話題となりその重要性に気づいている企業も多数あります。しかし、DXを取り入れようとして失敗する企業も後を絶ちません。

1.DXのスムーズな進行を阻む「5つの原因」

 この記事では、DXに苦戦する要因を5つに大別して説明されています。

  1. 経営者は掛け声ばかりで担当者は不在・・・トップが「DXを進めるぞ!」と意気込み、推進担当者も不明確なまま、企画部や社長室などのサポート部門がDXを担当するケース。企画部や社長室は調整が主な業務であり、リーダーシップを必要とする変革業務は不得手、時間ばかりが過ぎ、まったく進まない状態が続く
  2. 専門部門を新設しても、ノウハウ不足・・・デジタル推進部、新規ビジネス準備室などの新設部門がDXを担当するケース。社内の各部署から精鋭人材が集められるが、社内のルールを壊し新しいルールを作るという変革の経験が不足しており、停滞しがちになる。
  3. マーケティング部門が盛り上げるが、全社的には何も変わらない・・・マーケティング部門がDXを担当するケース。マーケティング部門はデジタルに精通しているように見えるが、事業やシステムへの理解は浅い。外部のこうっく代理店とともにコンセプトは作れるが、報告異議の業務は他部門に丸投げしてしまう。
  4. システム部門に任せたため、開発・ツール導入が増加・・・システム部門がDXを担当するケース。システム部門は基本的には現場要件をシステム化するという受託型の仕事スタイル。システム会社の提案は最新のシステムや流行している者の提案が多くなり、システム部門はこれらの提案を受け入れ、費用がかさみ、現場を複雑化してしまう。
  5. 変革するも長続きせず、全社定着に至らず自然消滅・・・DXに取り込む場合、コンサル会社やシステム会社に丸投げしてしまうケース。その結果費用がかさみ、長続きせず、自然消滅し、社内にはノウハウすら残らない。

2.DXが「他人任せ」になってしまう原因

 上の5つの要因に共通しているのは、すべて「他人任せの意識」です。インターネットに詳しいエンジニアやマーケティング経験のあるマーケターであればDXを進めてくれると思い込み、エンジニアやマーケターを採用する企業が増えています。コロナ禍においても、エンジニアやマーケターの有効求人倍率は5倍を超えています。高額な年収で採用されるケースもあり、異常でいびつな雇用格差を引き起こす要因にもなります。本当に優秀な人材は一握りで、エンジニアやマーケターへの過度の期待がDXを停滞させている可能性があるのです。

 エンジニアやマーケターはDXの人材要員ではありません。エンジニアはシステムの専門家、マーケターはプロモーションの専門家にすぎません。DX人材とは「業務・システムを熟知し、企業に変革を起こせる人」でなければならないのです。いくら専門的な知識やスキルを持っていても、現状を変革するためのスキルを持っていなければ意味がありません。むしろ専門的なスキルではなく変革するスキルこそが重要なのです。

 本来、DXは 全社を巻き込み、トライ&エラーを繰り返しながら前進していくことで達成できるものです。何度も言いますが、DXは手段であって目的ではありません。どんな企業にも経営理念やビジョンがあります。その企業理念やビジョンを達成するために各企業が抱える課題や問題を解決していかなければなりません。その問題や課題解決の手段の一つがDXなのです。現状を変えるのだという強い意識が必要です。そしてその強い意識を持てるのは経営陣しかいません。

 したがって経営陣が率先して取り組み、全社を巻き込むことが重要になるのです。他人任せでいいはずはありません。

 だから、エンジニアやマーケターを採用しても、システム導入やWEB販促などの表面的なことはできても本来のDXは実現できないのです。

 重要なことは、DX人材は「会社の業務・システムを熟知し、企業に変革を起こせる人」だということです。こうした人材は社内で育てるしかありません。しかし、DX人財で育てると言ってもなかなか難しいことです。最初は外部の力を借りつつ、最終的に自社にノウハウが残るようにすることです。変革やITスキルを教えるノウハウを持つ外部の力を借りて社内の人材にDXを経験してもらい、DXw御自社で継続していくことです。

この記事でも「DXは他人任せにしてはいけません。自社で自立し、自走できるように、社内人材を育成すべきです」と言っています。

デザイン経営・デザイン思考

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おはようございます。

昨日の新規感染者は1779人で、そのうち東京619人、神奈川201人、埼玉108人、千葉131人、愛知75人、大阪125人、兵庫22人、京都21人、福岡32人、沖縄96人、北海道49人などとなっています。先週の水曜日より東京では118人増え、大阪も17人増えています。リバウンドが懸念されます。ウガンダ選手団の1人に陽性反応が見られたものの他の選手らは成田の航空検疫では濃厚接触者と判断されず滞在先の大阪・泉佐野で濃厚接触者とされ新たに1人に陽性反応が見られました。あまりにも杜撰な水際対策です。これから多くの選手や五輪関係者が入国してきます。このままでは、五輪が安心・安全どころか、国民の健康と命を犠牲にすることになりかねません。厚労省専門家会合で、7月初旬に50%程度が「インド型」に置き換わるとの試算を示しました。順調なワクチン接種でいったん抑え込んだイギリスで、インド型が猛威を振るい、6月に予定されていた経済活動の再開や移動の制限解除を延期する事態になっています。インド型はイギリス型よりも感染力が60%強く、入院する確率も2.2倍高いとされています。日本でも五輪開催前に50%以上がインド型に置き換わるとすれば、その後の感染拡大は目に見えています。五輪開催にうつつを抜かすのではなく、今何を為すべきかを真剣に検討し、実行してもらいたいものです。

さて、ビジネス+ITの「デザイン経営、デザイン思考とは何か?特許庁CDO補佐官に聞く、9つの実践事例」を取り上げます。

デザインをビジネスに取り込む「デザイン経営」や「デザイン思考」という言葉が流行っています。しかし、「デザイン経営」や「デザイン思考」がどのようなものかを理解している人は少ないと思われます。この記事は、デザイン経営とは何か、なぜ注目が集まっているのかについて、特許庁のデザイン経営プロジェクトに携わってきた特許庁審査業務部長西垣淳子氏に話を聞いた内容をまとめたものです。

1.デザイン経営・デザイン思考とは何か

 デザイン経営とはデザインを活用した経営手法のことですが、ここで言う「デザイン」とは「『企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営み』に基づいてブランドを構築し、『顧客の潜在的ニーズを基に既存の事業に縛られずに、事業化を構想する営み』を通してイノベーションにつなげていくこと」です。デザインには「ブランド構築に資するデザイン」と「イノベーションに資するデザイン」の2つがあるということです。

 西垣氏によれば、デザイン経営とは「ユーザーの声にもっと耳を傾けようという活動。ユーザーを中心に考えることで、自分たちが生み出している商品やサービスを使っている人たち、あるいはこれから使ってもらいたいと思っている人たちは一体誰で、その人たちは何を欲しているのか、それを知るところから始まり、そこで根本的な課題を発見したら、これまでの発想にとらわれずに、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出していくこと」です。

 従来の経営は、社内で策定された企画立案から始まって、製品・サービスの開発、協議のデザインプロセスを経て、市場投入とひたすら線形に進みます。これは「良いものを作れば売れる」という考えに立脚したプロダクトアウト型と言えます。

 一方、デザイン経営は、ユーザーに対する共感と理解、課題の設定、試作、実験というサイクルを何度も行きつ戻りつして完成度を高め、ようやく商品化して市場投入します。そこでは「新商品・新サービスでも顧客に選ばれなければ売れない」という価値基準の転換があり、その中心にあるのが「デザイン思考」です。

2.なぜ今? デザイン経営が重要視される理由

 デザイン経営やデザイン思考という考え方は1987年のピーター・ロー著「デザインの思考過程」という本で出てきたのが最初で、それほど新しいものではありません。それなのに、今になってどうしてデザイン経営が注目されるようになったのかと言えば、西垣氏は「21世紀以降の市場の大きな変化がある」と言っています。大量生産を前提としたモノの豊かさから、ユーザーが求めるものが心の豊かさへシフトしたことが影響しています。ユーザーが、何か自分に新しい価値を与えてくれるものであったり、共感できる価値や企業コンセプトで選択するといった方向に変化が起こっており、これらの変化を十分にとらえた企業が伸びているのです。

 企業も従来の価値観のままでは、顧客・ユーザー側の変化を十分にとらえることはできません。ユーザーが変わる中で、企業も経営も変わっていかなければならないのです。その時の経営手法として、視点を顧客側に置く「デザイン思考」が受け入られつつあるのです。

 西垣氏は、デザイン経営を十分に理解している企業としてアップルを挙げています。アップルの製品は機能もデザインも優れていますが、購買者がアップルというブランド価値に満足していることもよく知られています。購入する店舗から製品のパッケージに至るまでブランド価値が確立されており、それらは購入時点だけでなく利用期間も続きます。

 西垣氏は、「日本企業もこうしたブランド価値を、デザイン経営を通じて構築していくべきだ」と主張しています。

3.デザイン経営は何からすべき魔、9つの入り口とは

 中小企業にとっては「理屈は分かるが、うちとは関係ない」「どこから手をつければいいか分からない」というのが本音でしょう。

 特許庁は、中小企業向けに、「みんなのデザイン経営」というデザイン経営ハンドブックを作成しています。そこでは、デザイン経営のすすめ方に正しい順番はないとし、「9つの入り口」を設定しています。企業の課題に合わせてそれを解決してくれる入り口からスタートすればいいのです。

その9つの入り口というのは、次の9つです。

価値の創造をゴールとした

  • 人を観察・洞察する
  • 実験と失敗を繰り返す
  • 心をつかむモノ・サービスをつくる

会社の人格形成をゴールとした

  • 意志と情熱を持つ
  • 歴史や強みを棚卸する
  • 未来を妄想する

企業文化の醸成をゴールとした

  • 社会の行動変容を促す
  • 社内外の仲間を巻き込む
  • 魅力ある物語を発信する

このハンドブックには、デザイン経営を実践した中小企業の具体的な事例も紹介されています。

4.デザイン経営は「手段であって目的ではない」

 これまでも、手段と目的の履き違いについては何度も指摘してきました(DX化、ジョブ型雇用など)。デザイン経営というのも手段であって目的ではありません。流行りだからと飛びつくのではなく、自社の目的・目標を明確にしたうえで、自社が抱える課題や問題の解決の手段としてデザイン経営という手法が役立つかを考えなければならないのです。

 西垣氏も「デザイン経営も、伝え方を誤ると目的化しかねず、そうなったら元も子もありません。デザイン経営を実践していこうという明確な意思が経営者にあり、それを従業員みんなが共有することで、『自分たちの企業とは?』と考える方向に向かっていただきたく、『デザイン経営することがゴールではありません』と一言添えるのを忘れないようにしています」と言っています。

ビジョナリーカンパニー

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おはようございます。

昨日の新規感染者は1437人、そのうち東京435人、神奈川163人、埼玉93人、千葉74人、愛知96人、大阪107人、兵庫27人、京都12人、広島13人、福岡36人、沖縄98人、北海道29人などとなっています。全国的に減少、あるいは下げ止まりといった感じですが、東京は3日連続で前週の同じ曜日よりは増加しておりリバウンドが懸念されます。緊急事態宣言解除での人出増を考えると、他の地域でもリバウンドの恐れがあります。まだまだ国民一人ひとりが気を緩めることなく感染防止対策にしっかりと取り組むべきですが、自粛疲れでいったん弛んだ気を引き締めることは容易ではありません。ワクチン接種が順調に進み集団免疫が獲得されることしか、コロナに打ち勝つ術はなさそうです。色々悩んだ末、昨日、自衛隊の大規模会場(大阪)で第1回目のワクチンを接種してきました。接種したのはモデルナ製のワクチンです。接種自体はチクっとする程度でほとんど痛みもなく簡単に終わりましたが、数時間後から接種部位が熱を持っているようで硬くなり痛みがあります。特に腕を上げるとさらに痛みが増します。副反応なのかもしれませんが、河野大臣も同じようにツイッターで呟いています。それでもこの程度の副反応ならば我慢できます。ワクチンを接種したからといって感染しないわけではなさそうなので、今しばらくはこれまでと同様、密を避けマスク・手洗いなどの感染防止対策を行い、気を付けて生活していきたいと思います。

さて、今日は、サライの「【ビジネスの極意】知らないと恥ずかしい名著『ビジョナリーカンパニー』って何?」を取り上げます。本来であるならば、「ビジョナリーカンパニー」は休日の本棚で紹介すべきかもしれませんが、ビジョナリーカンパニーは単なる本の紹介で取り上げるだけではもったいなく、経営における一つの理念のようなものなので、今日この記事を取り上げました。

ビジョナリーカンパニー」はジム・コリンズが書いた本の題名ですが、ベストセラーとなり、シリーズ化され、1巻から4巻まで出ています。

ビジョナリーカンパニーとは、ビジョンを持っている企業のことを指します。「ビジョナリー」というのは「先見性」「未来志向」といった意味を持っています。

ビジョナリーカンパニーというのは、業界内で卓越した企業とか、不景気でも安定的に成長を続ける優れた企業を指すことが多いのです。コリンズ著「ビジョナリーカンパニー」によれば、具体的には次のような企業です。

  • 業界で卓越した企業である
  • 見識ある経営者や企業幹部の間で広く尊敬されている
  • 私たちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している
  • 最高経営責任者(CEO)が世代交代している
  • 当初の主力商品またはサービスのライフ・サイクルを超えて反映している
  • 1950年以前に設立されている(設立以後50年以上経過している)

本の中には、ジョンソン・エンド・ジョンソンアメリカン・エクスプレス、ソニーウォルト・ディズニー、3M、フォード、ボーイング、ⅠBM、ウォルマートなどが取り上げられています。

1.ビジョナリーカンパニーの基本理念

 すべての会社には「基本理念」があるはずです。ビジョナリーカンパニーにおいては、その基本理念が全員に浸透し、熱狂的に支持されています。全員が企業の基本理念に共感し働けているので、社員が自己成長できる土壌があるのです。

  1. BHAG・・・「社運を賭けた大胆な目標」という意味の言葉です。ビジョナリーカンパニーでは、企業が真に成長するためには「社運を賭けた大胆な目標(BHAG)が必要」と言われています。リスクを取って大きな事業をするということです。ビジョナリーカンパニーでは、社員が一致団結しているため、仮にリスクがあるとしても恐れず立ち向かっていきます。そうしたマインドを共有しているというのがビジョナリーカンパニーの強みです。
  2. カルト文化・・・ビジョナリーカンパニーは、「カルトのような文化」を醸成することによって、社員に「特別な会社にいる特別な人間」という強い自覚を与えます。自社で働くために必要な資質を明確にして、企業文化と一体化を促すのです。社員に「特別な自覚」を与えることで高い意識を継続させ、みんなが同じ文化に染まっているので、会社一丸となって物事に取り組むことができます。
  3. はえぬきの経営陣・・・ビジョナリーカンパニーでは、外部の経営のプロを招聘するのではなく、内務のことをしっかりと理解している「生え抜きの経営陣」を重視します。
  4. 大量に実験してうまくいったものを残す・・・ビジョナリーカンパニーも最初から順風満帆、成功続きだったわけではありません。むしろ数々の失敗を乗り越えてきた企業が多いのです。失敗を成功の糧にしたからこそ、圧倒的な存在感を放っています。高い目標を設定したうえでの失敗は、会社や社員にとって大きな経験値になり、試行錯誤の中で上手くいった経験を残し、上手くいかなかった失敗もしっかりと生かしていくことで、想像もつかない成長を成し遂げることができます。
  5. 決して満足しない・・・「現状に決して満足せず、貪欲に成長を欲する」ことは強みなります。ビジョナリーカンパニーは、絶えず自己改善に勤しんでおり、成長に次ぐ成長を達成しています。「成長」したならば、それで満足せず「更なる高み」を目指していくのが、ビジョナリーカンパニーです。

2.ビジョナリーカンパニーの第一歩とは

 ビジョナリーカンパニーの第一歩と言われているものは「時を告げるよりも、時計を作る」というものです。「時を告げる人」というのは「カリスマ的存在」であり、「時計」は「ビジョナリーカンパニー」を指しています。

 コリンズは「ビジョナリーカンパニーにはカリスマ的存在は必要ない」と言います。カリスマ的指導者が生み出した価値はいずれは終わりが来るもので、そうした刹那的な成長はビジョナリーカンパニーを築くうえで障害になるのです。ビジョナリーカンパニーはどのような状況に陥ろうとも、復活し、新しい価値を創造し続ける企業です。

 ビジョナリーカンパニーの指導者たちが目指すのは、刹那的な成長ではなく「いついかなる時にも正確な時を打ち続けてくれる時計を作る」ことです。そのためには。文化レベルから企業を見直し、試行錯誤を繰り返していき、常に成長に植えたマインドが必要になってくるのです。

3.ビジョナリーカンパニーを読むメリット

 多くの人は「会社にはカリスマ的存在が必要であり、なるべくフラットな文化であるべき」という常識を持っています。そんな常識がビジョナリーカンパニーによって揺さぶられ、経営に対して新しい視点を持つことができるようになります。新しい視点を持つということは物事を見る角度を増やすことができるということです。

ビジョナリーカンパニーは、すでに出版から20年以上が経ちますが、今なお読み継がれています。「長く活躍できる企業を作りたい」と考える経営者には最適です。

ビジョナリーカンパニーの理念をしっかりと理解することが大切です。そして「時を告げる人」ではなく「時計を作る人」になることです。 

 

新しい働き方の新ルール

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おはようございます。

昨日の新規感染者は868人、そのうち東京236人、神奈川135人、埼玉53人、千葉85人、愛知35人、大阪42人、兵庫14人、京都1人、福岡17人、沖縄33人、北海道37人などとなっています。休日の検査結果とはいえ、1000人を下回りました。良い傾向ですが、緊急事態宣言解除、条件付き酒類提供などの規制緩和の影響がどのように出てくるのかが心配です。人出は大きく増えていて、街行く人にも気の緩みが見られます。東京五輪について、組織委員会は観客を最大1万人とする方針を打ち出すとともに、五輪関係者は別枠で入場を認める方針で調整しています。ネットで批判されるように「五輪貴族」です。国民の命や健康を犠牲にしてなぜ五輪貴族だけが優遇されなければならないのか、五輪開催の意義について国民に真摯に説明すべきですが、菅首相は貝の如く口を閉ざしたままです。一国のリーダーとしては失格、五輪開催強行で感染が拡大した場合にはしっかりと責任を取ってもらうだけです。

さて、今日は、With online の「残用時間が伸びている面も・・・?デジタルによる"仕事効率化”のメリット・デメリット」という記事を取り上げます。

コロナ禍でリモートワークが増え、リモートワークが新しい働き方の一つとしてアルターコロナの時代にもある程度は定着するのではないかと思います。これまでも、リモートワーク・テレワークのメリット・デメリットについて書いてきました。

この記事では、これからの働き方の新ルール「みんな快適」なデジタルの仕組みを作ることの重要性を語っています。

テレワーク・リモートワークのなれば、極端に言えば、会社に通える範囲に住まなくてもよくなったということ、好きな環境を職場にできるということです。ここで重要なのは、「どこに住み、どう働くか」ということで、働き方改革においては、「働き方」と「住み方」はセットで考える時代になっています。ライクワークバランスをどうとるのかということも関わってきます。

しかし、リモートで一人で仕事をする時間が増えるようになると、誰しも心がささくれ立ってくる瞬間があります。こうした時には相手を思いやる温かい言葉が必要です。 これは、コロナ禍でマネジメントを行う上司も同じで、上司にとっても未知数です。無茶ぶりに文句を言うのではなく、管理しやすくなるようなアイデアを提案してみるなど、下から上への優しい声掛けも働きやすい職場づくりには欠かせません。

何度も対話や雑談の重要性は書いていますが、コロナ前はオフィスの何気ない雑談から斬新なアイデアが浮かぶこともありました。デジタル環境でも、相手を思いやる気持ちをもって対話や雑談をする機会を作ることで、チームへの帰属意識や働く意欲を高めることができます。対話や雑談を通じて、暗黙知形式知化し、互いに情報を共有することで効率化が図れます。これはリアルだけでなくリモートでも同じです。

リモートで効率化が進んだ一方で、単純に仕事量が増え、時間の際限がなくなり、集中力が続かずダラダラ仕事をしがちになったことから、残業時間が伸びているという弊害も生まれています。テレワークに切り替わったことで負担増を感じている人も多いのですが、オンオフの切り替えを自分だけで工夫するだけではなかなか難しいです。チーム内でお互いが働きやすいラインの共通認識を作ることが状況改善のカギとなります。だからこそ、上司とのコミュニケーションが重要になってきます。

この記事では、「リアルとリモートの線引きは慎重にすべき。初仕事の相手とは一度会って話すなど、効率化を焦らないことがルール」と言っています。

すべての仕事をリモートで行うことは不可能です。リモートでやる仕事とリアルにする仕事とを整理することが重要です。その際、コミュニケーションの取り方も視野に入れておく必要があります。リモートでしか会ったことのない人との信頼関係の構築にはリアルで会った人以上に時間がかかります。一度実際に会って話をすることで早期に信頼関係を構築する方が効率面でも良い結果が生まれます。

また、この記事では「デジタル化は企業の存続に関わる話。個人的なライフハックで終わらせず、会社全体の仕組みづくりを目指すことが大切」と言っています。

働き方改革にしろデジタル化にしろ、それは企業の存続に関わる問題です。これまでも書いていますが、働き方改革やデジタル化は目的ではなく手段です。これらを導入することによってどのような目的が達成されるのかということが重要です。単なる流行りだからといって導入しても役に立たないどころが悪い結果をもたらします。導入の目的を明確にして、導入のための仕組みをきっちりと作り上げることが重要です。 

「良い失敗」と「悪い失敗」 プロジェクト失敗の原因は要員稼働不足

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1308人、そのうち東京376人、神奈川162人、埼玉72人、千葉103人、愛知84人、大阪106人、兵庫19人、京都16人、福岡36人、沖縄61人、北海道52人などとなっています。減少スピードが鈍化し、下げ止まりの傾向がみられるとともに、東京では前週よりも増加しリバウンドの兆候が見られます。昨日、仕事で外出しましたが、大阪難波・心斎橋周辺は凄い人出でコロナ禍にあるとは思えないような状況でした。今日から緊急事態宣言が解除されまん延防止等重点措置に移行し、一定の条件で酒類の提供が認められますが、緊急事態宣言解除・外飲みOKということだけが独り歩きし、人々の気が緩むことが心配です。昨日の人出などを見ると、既にそうした状況にあるように思います。新型コロナが収まったわけではなく、まだマンボウ下にあります。気を緩めることなく、一人ひとりが感染防止対策に取り組んでいきましょう。

さて、今日は、月曜ということもあってか、これと言った記事はありませんでした。そこで、その中からJBpress の「その失敗、『要因稼働不足がボトルネック』の可能性が高い」という記事を取り上げます。

多くの企業で、プロジェクトを行うにあたり、プロジェクトを成功させるために必要な要員リソースの質・量ともに不足している状態で戦いに突入し、不完全な成果に終わるか、玉砕して何も成果を挙げないまま時間と予算を使い切って解散するというケースが見られます。このような状態でプロジェクトを遂行しようとしても成功するはずはありません。

1.明らかに要員が不足している状態で強行し「戦力の分散投入、各個撃破」になっている。

 プロジェクト遂行に当たり、⑴目的・目標を明確に定め ⑵的確な状況整理を行い、⑶成功の見込みが高い計画概要を作成したとしても、必要な戦力を投入しなければ、成功が覚束ないのは当たり前です。しかし、それができていないのが現状でしょう。

「プロジェクト開始前に必要な要員リソースの質・量のチェックを行っていない」「プロジェクトメンバーにはいつも同じ名前がある」「兼務で工程のやりくりができていない」など、多くの企業で見られるところです。

2.プロジェクトに必要な要員リソースの割り当てができない理由

 プロジェクトには、ヒト・カネ・モノといったリソース(経営資源)が必要なことは言うまでもありません。このリソースを分配する意思決定を行うのは経営陣の仕事です。カネやモノについては必要十分かのチェックを行ったとしても、ヒトに関してはそのチェックが十分に行われていないのです。カネやモノについてはある程度数値化できますが、人については量・質ともに数値化が困難なからです。

 またそれだけではなく、組織横断的なプロジェクトの要員リソースの兼業稼働率を把握する手段を持っていないというのも原因です。プロジェクトを独立した組織にしない限り、一般的に既存組織横断、兼務で参画するメンバーの稼働負荷の実態を把握する仕組みがありません。また、他部門のプロジェクトに兼務で参画する場合、本務部門の都合を優先しプロジェクトワークを後回しにしがちです。これは人事評価が本務の組織で行われることが多いことが影響しています。

 しかし、人事。労務の仕組みを変える必要はありません。プロジェクトに参画しているメンバーは全従業員のうちの一握りに過ぎないからです。「本務で目標達成できなくても、プロジェクトでなすべきことをしていれば、その努力に見合った評価を行う」という特別ルールを作ればいいのです。

3.次につながらない失敗は、単なる経営資源の浪費である

 「失敗は成功の母」と言われますが、これは「良い失敗」に限った話で、「悪い失敗」は次の成功に結びつかず、企業組織において何の学びももたらしません。

 多くのプロジェクトは「プロジェクト開始前のプロセス」が軽視されています。「勝算が立っていないプロジェクト」は成功率が低いだけでなく、うまくいかなかった場合、その理由を特定することができず、次に成功するための示唆が得られず、同じような失敗を繰り返すことになります。これは「悪い失敗」の例です。

 「良い失敗」というのは、やるべきことを明確にして、できる範囲でやりつくして、それでも期待に沿った成果を挙げられなかったものです。この場合、その原因をたどることができ、解決方法を見出すことができます。

 「良い失敗」は組織に経験や暗黙知を蓄積することに役立ちますが、「悪い失敗」は投資したコストや要員の工数、時間などすべてが無駄になってしまいます。そのために、企業は「良い失敗」を許容し社員にチャレンジできる機会を与える反面、「悪い失敗」を徹底的に回避しなければなりません。

 プロジェクト開始前の「悪い失敗」を引き起こしている原因は、企画段階での検討不足とともに、要員の質と量の不足があると言えるのです。

 プロジェクトを成功に導くためには、プロジェクト開始前にしっかりとした計画を立て、それに、ヒト・カネ・モノといったリソースを必要十分に投入していくことです。中途半端に始めたプロジェクトは失敗します。それは「悪い失敗」です。

最後に、稲盛和夫氏の言葉を挙げておきます。

  • そのプロジェクトが、本当に価値のあると心底納得しない限り、着手しません。だからこそ、いったん着手したら、たとえ障害に遭遇してもあきらめないのです。もしある方法で成功しなければ、成功するための別の方法を追い求め続けるのです。
  • 計画の段階では、悲観的に構想を見つめなおす必要があります。悲観的とは、どのくらい難しいのかを慎重に、小心に考えつくすことです。
  • 「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」ことが物事を成就させ、思いを現実に変えるのに必要なのです。

休日の本棚 カイシャの3バカ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1520人、そのうち東京388人、神奈川182人、埼玉79人、千葉119人、愛知89人、大阪111人、兵庫18人、京都16人、広島22人、福岡47人、沖縄97人、北海道73人などとなっています。全国的に下げ止まっているように思います。緊急事態宣言解除が発表されてから、各地の人出は30%以上増えているようで、リバウンドが懸念されます。また、東京オリンピックは強行開催で、各競技で上限1万人、開会式は2万人の観客を入れることで調整が進められているようです。昨日来日したウガンダ選手団の1人に陽性者が見つかりました。オリンピックで海外から多くの選手、関係者が来日します。日本の水際対策は極めて不十分で、多くの感染者がザルから洩れて市中に感染を広げます。その中に新たな変異株がないとは限りません。万全の感染防止対策が必要ですが、東京オリンピック開催しか頭にない今の政府に期待しても無理なことでしょう。バカな政治家はとっとと辞めてもらいたいものです。

さて、今日は、榎本博明著「カイシャの3バカ」(朝日新書を紹介します。著者の榎本氏は、カリフォルニア大学客員教授大阪大学大学院助教授を経て、現在MP人間科学研究所代表を務める心理学博士です。

組織には様々なタイプの「バカ」がはびこっています。「おしゃべり」バカ、「イエスマン」バカ、「かわいこちゃん」バカ、「前例踏襲」バカ、「手柄横取り」バカ、t「使い分け」バカ、「グローバル風」バカ、「根性論」バカ、「自己アピール」バカ、「輝きたい」バカ、「評価不安」バカ、「残業好き」バカ、「ハラスメント」バカ、「自慢話」バカ、「コンプライアンス」バカ、「俺は聞いていない」バカなど多岐にわたります。

どんな組織にもこうした様々な手に負えないバカがいて、周囲の人たちを困らせていますが、厄介なのは、こうしたバカが自分たちが周りに迷惑をかけているといった自覚がないことです。榎本氏は「バカに自覚がないのは当然」で、それは3つの幻想(心理傾向)で説明できると言っています。その3つとは、①非現実的なほど肯定的な自己評価 ②過大視されたコントロール感 ③非現実的な楽観主義です。人間はこうした3つの幻想によって、心の健康を維持しているのです。

3つの幻想を持ち、やたらと楽観的な人物は、自分自身は極めて健康なわけですが、周囲の人たちを困らせ、組織のバカたちの方が健康度が高いという困ったことになっています。正常な感覚を持つ人たちを蹴散らして組織のバカばかりがしぶとく生き残っていきます。正常な感覚を持つ人よりも健康なのでなかなか何とかすることは困難です。しかし、組織のバカを何とかすることはできなくても、最低限そういった連中から身を学ぶ術を身につける必要があります。

この本では、特に手に負えない3つのバカに対する対処法を教えてくれています。

その3つのバカとは

  1. 責任を取らない「会議好き」バカ
  2. 前例ばかりの「規則好き」バカ
  3. 手柄を横取り「数字」バカ

です。勝手に決めずに会議でみんなの意見や承認を取るのが悪いとは言えません。規則を守るべきという言い分を否定するのも難しく、数字で根拠を示せと言われて反論するのも難しいことです。だかrこそ、この3バカはタチが悪いのです。このなんとも迷惑な3バカの生態を探り、その心理メカニズムを解明し、その弊害から身を守る術についてのヒントを示してくれているのです。

1 「会議好き」バカ

 「会議好き」バカの特徴は、①何かにつけて会議を開きたがる ②現場の忙しさを無視して会議を開く ③意味のない会議が多い ④会議が儀式化している ⑤会議をやたらと長引かせる ⑥いつも会議戦略しか考えていない などです。

 このような「会議好き」バカには、①現場の業務に支障が出る ②決定に時間がかかり機動力が発揮できずに出遅れる ③会議が怠惰な人たちの気晴らしの場となるだけ ④会議が存在アピールの場となり、本来の仕事が滞る ⑤やる気のある人のモチベーションを下げさせる ⑥責任の所在があいまいになり無責任体質になる などの弊害が生まれます。

 「会議好き」バカの心理メカニズムはというと、①ただ座っていて、仕事をしている気分になれる ②仕事のできない上司は、会議で存在を誇示できる ③必要なことを決める場でなく、「承認欲求」を満たす場になっている のです。

 ムダな会議がはびこるのは日本文化特有の事情があると言われています。それは、日本には「一方的な自己主張で人を困らせたり嫌な思いをさせてはいけない、相手の気持ちや立場を配慮して判断すべき」という「間柄の文化」があるのです。「会議好き」バカが的外れな議論を議論の蒸し返しをしても、相手を傷つけず敗者を作らないように配慮することから、会議が無駄に長くなり「会議好き」バカが猛威を振るうことができるのです。

 普通は上司ともなれば、「自分が何とかしなければ」と当事者意識が活性化し責任感が意識されますが、会議で話し合ってみんなで決めるという体裁をとることで当事者意識を希薄化させ、責任回避をするために。責任を取りたくない人物が「会議好き」になるのです。

2.「規則好き」バカ

 「規則好き」バカの特徴は、①規則・原則を盾に仕事の妨害をする ②ひたすら指示に従うように強いる ③どうでもよいような細かな規則にこだわる ④どんな小さなことでも「ホウレンソウ(報・連・相)」を求める ⑤問題が生じるたびに新たな規則を作る ⑥規則を逆手にとってサボったり、勝手な行動を取ったりする ⑦規則やマニュアルにないことは対応できない などです。

 このような「規則好き」バカには、①仕事が止まり、チャレンジできなくなる ②周囲の人物のモチベーションを下げさせる ③これまでのやり方が通用しなくなった時に行き詰まる ④新たな発想を生む邪魔になる ⑤規則に縛られて身動きが取れない職場になる無意味なコンプライアンスに足を引っ張られるという弊害が生まれます。

 「規則好き」バカの心理メカニズムは ①自分で考える習慣も能力もないが、規則を検索する能力はある ②自己判断を避けるのは、「成功追求動機」よりも「失敗回避動機」が強いから ③「レジリエンス(回復力)」が低いのd失敗を強く怖れる ④自己防衛本能で、妬みの感情を無意識の世界に封じ込める ⑤自己チェックのモニターカメラが壊れていて、「セルフ・モニタリング」ができない のです。

3.「数字好き」バカ

 「数字好き」バカの特徴は、①数字でしか人を評価しない ②数字にしか興味がなく、目の前の人間い関心がない ③数字は客観的で正しいと信じ切っている ④数字は好きだが、数字の背景を考えようとしない ⑤何でも「見える化」と言って、むやみに数値化、グラフ化にこだわる ⑥何かにつけ、「でーたでしめされてるんですか?」が口癖 ⑦数字で表せないことがあるのをわかっていない ⑧とんでもない数値目標を突き付けてくる ⑨なんでも金額に換算して説教したがる ⑩目先の数字を追い求めるだけ です。

 このような「数字好き」バカは、①数字にならない仕事の質が低下する ②背後の要因が読めないので、仕事の改善につながらない ③見せかけの数字にこだわるため、数字の偽装、横取りが横行する ④意味のない数字が独り歩きする ⑤数字を信奉することで、思考停止に陥りやすい ⑥数字ばかりが猛威を振るい、仕事のやりがいが感じられなくなる ⑦部下の信頼を得られず、組織が機能しなくなる ⑧目先の死意地に囚われることで、将来を誤る ⑨「見える化」のために本来の業務時間が犠牲になる といった弊害が生まれます。

 「数字好き」バカの心理メカニズムは、①「認知的複雑性」が低く多面的な観察ができないから、数字を単純に信奉してしまう ②「一面的説得法」と「両面的説得法」の使い分けが理解できない ③論理的思考力と発想力が、普通の人よりもかけている ④学生時代の数学コンプレックスが尾を引いている ⑤「目標設定理論:のさじ加減ができない です。

4.会社の3バカからの身の守り方

 3バカは、すべて自信のない保身的な小人物であり、自信のない「自分好き」です。

 3バカ共通の心理メカニズムは

  • 劣等コンプレックスの強い人物は、往々にして「敵意貴族バイアス」が働いている。
  • 日本人の自己愛過剰タイプは「誇大型」より「脆弱型」が多い。
  • 能力に自信のない人物ほど「見下され不安」が強い。
  • 自尊心を保てるかどうかは、「上方比較」と「下方比較」がカギとなる
  • 傷つきやすい人は、ストレスコーピングができていない。「情動コントロール志向のコーピング」が効果的
  • 人は理屈では動かない。情動コミュニケーションなら、相手の心をつかめる。

です。

 3バカの弊害をなくそうとして、本人に、いかに迷惑化、いかに困っているか、説明しても感情的に反発されるだけです。3バカの気持ちのケアを心掛けながら、その弊害を最小限に食い止める工夫が必要です。そのためには、本当の信頼関係が築ける上役、先輩、同僚、後輩、部下のネットワークを築いておくということが重要になります。

個別の対処法として次のようなものが挙げられています。

(1)「会議好き」バカへの対処法

  • 会議中に本来の仕事に関わる内職をする
  • やむを得ないとみなされるサボり方を工夫する

(2)「規則好き」バカへの対処法

  • 前例を探す
  • 例外規定を作ろうと提案する
  • 自己愛をくすぐる(自己防衛的な気持ちを刺激する)
  • ツルの一声を期待する
  • 加点法的発想に導く

3)「数字好き」バカへの対処法

  • 数字好きに付け込んで数字好きの弊害を防ぐ
  • 苛つかずに、数字で納得する思考力のなさに合わせる
  • 見える化」へのこだわりに合わせて、大げさに見せる工夫をする
  • 都合の良いデータを生み出す

どのような社会、組織、会社にも困った手に負えないバカはいます。こうしたバカとうまく付き合わなければこちらの精神が疲弊します。この本て紹介されている対処法は心理学に則ったものなので参考になります。また、自分がバカになっていないかもチェックしてみましょう。

 

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休日の本棚 戦略がすべて

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1623人、そのうち東京453人、神奈川231人、埼玉64人、千葉135人、愛知106人、大阪79人、兵庫37人、京都18人、広島30人、福岡26人、沖縄86人、北海道76人などとなっています。東京・神奈川・沖縄など一部地域を除き減少傾向にあり、落ち着きを見せています。緊急事態宣言解除・まん延防止等重点措置移行に伴い、多くの自治体が一定の要件を満たす店舗に酒類提供を認める方針です。協力金も遅延している状況で苦しい飲食店にとっては朗報ですが、やり方を間違えると感染再拡大につながります。われわれもコロナが完全に収まったのではなく、今後も感染対策を取りつつ経済を回していかなければならないという意識をもって慎重に行動すべきです。まだワクチン接種率も12%程度で、集団免疫獲得には程遠い状況です。一気に気を緩ませることがないように気をつけましょう。

さて、今日は瀧本哲史著「戦略がすべて」(新潮新書を紹介します。

著者の瀧本氏は、京都大学産官学連携センターの客員准教授でしたが、惜しくも2019年に47歳の若さでお亡くなりになりました。東京大学法学部卒業後に助手となりましたが、助手の任期終了後は学界に残らず、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、コンサルタントとして日本交通の再建に取り組むなど実務で活躍されていました。著書には「武器としての決断思考」「の句は君たちに武器を配りたい」「武器としての交渉思考」などがあります。

本書「戦略がすべて」は「ビジネス市場、芸能界、労働市場、教育現場、国家事業、ネット社会・・・どの世界にも各々の「ルール」と成功の「方程式」が存在する。無駄な努力を重ねる前に、「戦略」を手に入れて世界を支配する側に立て」と、AKB48からオリンピック、就職活動、地方創生まで社会の諸問題をち密に分析し、戦略の重要性を示唆してくれている一冊です。

本書の最初に「AKB48成功の方程式」が語られています。面白いので紹介します。

資本主義社会で成功するには「戦略」が必要です。それは芸能界でも同じです。タレントや芸能人が成功するのは難しく、その理由は、①どの人材が売れるか分からない ②生身の人間なので稼働率に限界がある ③売れるとタレント側に主導権が移る という3つの理由があるからです。これらを克服したのがAKB48だというのです。タレント一人ひとりを個別に売り出すのではなく、複数のタレントを包摂するプラットフォームを創ることで、グループ自体に価値がありその名のもとに大勢のタレントを揃えれば消費者の好みを反映しやすく、稼働率も上げられて、主導権が移るというリスクも回避できるというわけです。これは昔から宝塚歌劇団などでも採用されている仕組だということです。

さて、本書の構成は次のようになっています。

Ⅰ ヒットコンテンツには「仕掛けがある」

  1. コケるリスクを排除する ― AKB48の方程式
  2. すべてをプラットフォームとして考える ― 鉄道会社の方程式
  3. ブランド価値を再構築する ― 五輪誘致の方程式

Ⅱ 労働市場でバカは「評価」されない

  1. 「儲ける仕組み」を手に入れる ― スター俳優の方程式
  2. 資本主義社会の歩き方を学ぶ ― RPGの方程式
  3. コンピューターにできる仕事はやめる ― 編集者の方程式
  4. 人の流れで企業を読む ― 人材市場の方程式
  5. 二束三文の人材とならないために ― 2030年の方程式

Ⅲ 「革新」なきプロジェクトは報われない

  1. 勝てる土俵を創り出す ― オリンピックの方程式
  2. 多数決は不毛である ― iPS細胞の方程式
  3. 人脈とは「外部の脳」である ― トップマネジメントの方程式
  4. アナロジーから予測を立てる ― 北海道の方程式

Ⅳ 情報に潜む「企み」を見抜け

  1. ネットの炎上は必然である ー ネットビジネスの方程式
  2. 不都合な情報を重視する ― 新聞誤報の方程式
  3. 若者とは仲間になる ― デジタルデバイスの方程式
  4. 教養とはパスポートである ― リベラルアーツの方程式

Ⅴ 人間の「価値」は教育で決まる

  1. 優秀な人材を大学で作る ― 就活の方程式
  2. エリート教育で差別化を図る ― 東京大学の方程式
  3. コミュニティの文化を意識する ― 部活動の方程式
  4. 頭の良さをスクリーニングする ― 英語入試の方程式
  5. 入試で人間力を養う ― AO入試の方程式

Ⅵ 政治は社会を動かす「ゲーム」だ

  1. 勝ち組の街を「足」が運ぶ ― 地方創生の方程式
  2. マーケティングで政治を捉える ― 選挙戦の方程式
  3. 身近な代理人を利用する ― 地方政治の方程式

Ⅶ 「戦略」を持てない日本人のために

各章のポイントを列挙します

1.コケるリスクを排除する ― AKB48の方程式

  • 「人」を売るビジネスには「成功の不確実性」「稼働率の限界」「交渉主導権の逆転」の壁がある
  • プラットフォームを創れば「リスク軽減」と「持続可能性の向上」が期待できる
  • 「才能勝負」の世界ほど才能は事後的にしかわからないので「AKB48方式」で選ぶべき
  • 「見える仕事」には顔をなる人材を、「見えない仕事」にはコモディティ化された人材を使う
  • 選抜を生き抜く厳しい競争に参加することが、コモディティ化した人材から抜け出す道である

2.すべてをプラットフォームとして考える ― 鉄道会社の方程式

  • プラットフォームビジネスの関係者は「顧客」「プラットフォームのプレイヤー(運営者)」「プラットフォームの参加者」
  • プレイヤーの仕事は「集客」「ビジネスモデルの提供」「プラットフォームの管理」
  • ヒト、モノ、カネ、情報をネットワーク化し、そのハブとして利益を上げる
  • 強いプラットフォームは、利益を独占し、リスクを回避できる
  • リアル空間においても、プラットフォームビジネスを構築することは可能である
  • ブランドの打ち出し、スタイルやクオリティの提案が成功の鍵
  • 国家や個人も自分の所に人を集めるプラットフォームとして戦略を練ることができる

3.ブランド価値を再構築する ― 五輪誘致の方程式

  • プレゼンテーションは「聴衆が何を求めているか」で見せ方が決まる
  • 固定観念や過去の経験にとられず、時代や状況の変化からメリットを導き出す
  • オリンピックは千載一遇の日本ブランド再構築の機会である
  • 日本独自のポジショニングは東西を超えた、技術と伝統、発展と環境の調和、融合である
  • 時間とともに成長する「ブランド価値」こそ日本再生のカギを握る

4.「儲ける仕組み」を手に入れる ― スター俳優の方程式

  • 給与の差は所属企業が社員に与える資源量で決まる
  • 「儲ける仕組み」の外にいるコモディティは高い報酬を与えられない
  • 「儲ける仕組み」に参画し、ビジネスの利益と損失を帰属された資本家に報酬は集まる
  • 希少なスキルを持っていても、より大掛かりな「儲ける仕組み」との関係ではコモディティになってしまう

5.資本主義社会の歩き方を学ぶ ― RPGロールプレイングゲーム)の方程式

  • RPGには、「職業システム」や「ショートカット」など資本主義社会の世界観、働き方がひそかに組み込まれている
  • 「不確実な状況下で、効率よく解を見つけ、自分の能力を差別化し、組織目標に貢献する」というのは資本主義のルールと一致する
  • ゲームのルールを内面化させている人は、実際のビジネスでも良いパフォーマンスを上げられる可能性が高い
  • スマホの課金で決まるゲームをやるよりも、勝ち方が多様な麻雀をやるべき

6.コンピュータにできる仕事はやめる ― 編集者の方程式

  • 既存メディアとネットメディアとの戦いは、人の知恵とコンピューターアルゴリズムの戦いだ
  • 無から有を生み出せるのは「人間の知恵」だけ
  • コンピューターにできる仕事しかできない人間は淘汰される
  • 人の知恵とコンピューターの計算を融合させたハイブリッドモデルが勝利する
  • 粗製乱造のネットメディアと、少数精鋭のクオリティメディアに二分される

7.人の流れで企業を読む ―人材市場の方程式

  • 企業は、商品市場、資本市場、そして人材市場で評価される
  • 人材市場とは、内部情報を基にした「インサイダー取引」なので内情が分かる
  • 優秀な人材が次々と辞めていく企業は傾きかけている可能性がある
  • 人の移動は定期的にモニターし、指標となる人物には定期的に会う

8.二束三文の人材とならない ―2030年の方程式

  • 安易に起業を考えるよりも、社内の評価と会社の変革を考える
  • 熟知している業界で足りないビジネスを始めることで、企業の成功性が高まる
  • 上司を取り込んで仕事の主導権を握る「技」を身につける

9.勝てる土俵を作り出す ― オリンピックの方程式

  • 「楽勝できる土俵」を見極め、徹底的にそこに資源を投資する
  • 「場」を作ることで、人間が刺激し合い、ネットワークを作り、能力を高める
  • 舞台裏の「ヒト」への投資が、表舞台の「ヒト」の成果につながる
  • リソースの投入には「カネ」が必要。成果のためには「カネ」を集めてうまく使う
  • 資金援助を切実に必要としている人に直接投資することが、「カネ」の最も効率的な使い方
  • 「個人の才能と努力」を最大化するには、組織による戦略的マネジメントが重要

10.多数決は不毛である ― iPS細胞の方程式

  • 合議制、効率性からイノベーションは生まれない
  • 選択と集中」は、ハイリスク・ハイリターンのチャレンジ案件を潰してしまう
  • 社会も企業も個人も、一見非効率でみんなが賛成しない戦略的な投資を一定の比率で行う必要がある
  • リスクを軽減するためにも、新しい産官学の連携モデルを模索する必要がる

11.人脈とも「外部の脳」である ― トップマネジメントの方程式

  • 組織の方向性はトップではなく、トップが外部から招く人材で占うことができる
  • トップマネジメントにとって、異見を持つ多様な人材との関りが優れた意思決定を生む
  • 個人にいても、「教養としての人脈」の重要性は増している
  • 付き合っている人間が同じような人間ばかりでは新しいものは生まれない

12.アナロジーから予測を立てる ― 北海道の方程式

  • アナロジー(類推)から未来を予測することで、ビッグデータには導けない仮説を導き出せる
  • 北海道のように、未来を読むための縮図や実験場を見つけるー「土地改良」のノウハウだけを海外に輸出、「知恵」の部分だけを輸出するというビジネスモデル
  • ドラスティックな変化は新らしいビジネスのチャンスになる
  • 「日本人の知恵」の部分を輸出するというビジネスモデルには勝機がある

13.ネットの炎上は必然である ― ネットビジネスの方程式

  • ネットメディアはスクリーニングの機能がないものが多く、情報の精度は低い
  • ネットには炎上するような情報の方が収益を生みやすい構造がある
  • 怪しげな情報に引っかかる少数の「信者」を見つけることが、ネットビジネスの重要な戦略となる
  • 危険な思想でもごく一部の共感者が現れる恐れがある

14.不都合な情報を重視する ― 新聞誤報の方程式

  • 新聞などメディアの取材は、結論ありきのものが多い
  • 誤報」事態が増えたのではなく、発覚する機会が多くなった
  • ネット媒体との競争で、質の低い記事や噂レベルの情報に振り回されることが増えた
  • 読み手側は自説と「反対の考え方」を検証するという自衛策を取ろう
  • より破綻のない主張を支持するという意思決定も一つの手だ

15.若者とは仲間になる ― デジタルデバイスの方程式

  • 変化は日常の些細なところから始まっている
  • 環境の変化に応じてコミュニケーションやビジネスのやり方は自然に変化する
  • 昔を知らない若い世代の方が、新しい環境を構築しやすい
  • 古い世代は未来の変化に敏感になり、若者とのコラボレーションを図るべき

16.教養とはパスポートである ― リベラルアーツの方程式

  • 現在は情報をなるべき制限し、自分に都合のいい情報だけを吸収する風潮にある
  • 「自分とは違う立場の考えがありうる」と知ることで狭い社会認識から脱却できる
  • 社会の繋がりを再構築するには、普遍的な価値、教養を手に入れる必要がある
  • イノベーションを生むには「異なる複数の考え方」を組み合わせることだ
  • 教養とは、情報消費社会のカウンターとして「異なる思想」に触れることだ

17.優秀な人材を大学で作る ― 就活の方程式

  • 企業の採用には、「育成」型のシステムAと「競争」型のシステムBがある
  • 優秀で才能のなる人材は、システムBに集中する
  • 企業が大学教育に求めているのは、「思考力」「多様な視点」「コミュニケーション能力」である

18.エリート教育で差別化を図る ― 東京大学の方程式

  • 大学は社会の状況に合わせて戦略的に差別化し、競争していくべき
  • イノベーションを生むには「実学」だけでは不十分であり、多様な分野の「独自性」と「ネットワーク」を両立させなければならない
  • 大学のプロジェクトにも、適切な戦略目標と説明責任を持つべき
  • 大学のトップには、広い知識、ネットワーク化能力、コミュニケーション能力が必要

19.コミュニティの文化を意識化する ― 部活動の方程式

  • 「部活」が当人が意識しないままにその後の人生を左右することは意外と多い
  • 人は社会に出てから所属した会社、業界、組織の暗黙のルールを知らないうちに身につけている
  • 自らの属している「部活」の特徴、ルールを意識し、その変化に敏感であるべき

20.頭の良さをスクリーニングする ― 英語入試の方程式

  • 東大入試は記憶力やある種の地頭力だけでなく、高速な論理操作や判断推理の力が求められる
  • 現在の大学入試は、大学教育を受ける前提能力をはかれない
  • 英語入試を廃止すると、知的スクリーニングの役割が失われる
  • 英語入試によって、論理的思考力や判断推理力がある程度測定できる

21.入試で人間力を養う ― AO入試の方程式

  • 大学入試改革は高校教育を変えるという意味で意味がある
  • 「多面的な人物評価」は難しいが、高校生活を組み替えるように誘導する効果はある
  • 大学入試には問題設定能力、仮説を立てる能力、説明能力など、大学校郁の前段階の学習を促すという価値を持たせることができる

22.勝ち組の街を「足」が選ぶ ― 地方創生の方程式

  • 資本主義は常に「勝ち組」と「負け組」を作る
  • 救済すべきは「負け組」の「個人」であって「企業」ではない
  • 東京と地方の格差だけではなく、地方の間にも格差が生じている
  • 地方自治体も提供するサービスを巡る競争によって淘汰されるべき
  • 移転費用を援助して、住民の「足による投票」を行わせ、自治体の競争を促すべき

23.マーケティングで政治を捉える ― 選挙戦の方程式

  • 現代の日本において政策で差別化するのは困難である
  • 各党は「ニッチな政策」か「ブランドイメージ」で差別化を図るしかない
  • 選挙を消費財マーケティングととらえると全体の構図、問題点が分かりやすい
  • 細かい政策より、ワンフレーズのインパクトや感情的なストーリー性の方が強い
  • 候補者の宣伝文句より、実際に支持している人の信用性で選ぶ
  • 「抱き合わせ販売」「イメージ広告」は国民に不利に働く場合が多い

24.身近な代理人を利用する ― 地方政治の方程式

  • コモディティ化、万年化によって、組織は構造的に無能な人であふれている
  • 地方議員は構造的にも権限が少なく、能力が身につきづらい
  • 先進的な政策に通じていて、国政の政治家にネットワークを持つ地方議員を、市民のため野呂日にストとして活用することができる

25.「戦略」を持てない日本人のために

  • 「戦略」で勝つとは、横一列の競争をせず、他とは違うアプローチを模索すること
  • 日本の組織の多くは、意思決定能力の低い人が上に立つ構造になっている
  • 理論や手法を学ぶだけでなく、「実践」の場を何度も経験することが重要
  • 日常的に身の回りのことを「戦略的思考」で分析する習慣を身につけよう

この本では、AKB48から、オリンピック、政治まで幅広く取り上げられていますが、そこで語られているのは「戦略」の立て方、使い方です。これはそのままビジネスに応用できます。面白く読めて役に立つ本です。

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「人財」と「人財」、ジンザイの4つの意味

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1664人、そのうち東京452人、神奈川185人、埼玉79人、千葉124人、愛知99人、大阪95人、兵庫39人、京都19人、広島21人、福岡41人、沖縄97人、北海道73人などとなっています。全国的に減少していますが、東京はこのところ前週に比べて増加しており、リバウンドの懸念があります。昨日、大規模イベントについて1万人までの入場を認めるということになり、そのときオリンピックとは関係がないと言っていましたが、早くもオリンピックに1万人を上限とする観客を入れることで調整されています。菅首相や政府は、自らが言った言葉の意味・重さを考えてもらいたいものです。まるで、分科会や尾身会長を騙したようなものです。二枚舌、嘘つき首相はもういりません。

さて、今日は、まずwithnewsの「『人材』じゃなくて『人財』どんな意図が?期限は高度経済成長に、好景気が作り出した働き手の理想像」という記事を取り上げます。

「人材」という漢字に変えて「人財」という漢字がよく使われます。私も、これまでに「人財で勝つ会社を創る」(2021.2.9)や「『人財』が育つ社長、『人罪』をつくる社長」(2020.12.21)などで「人財」という漢字を使っています。

この記事は、「人財」という漢字が使われるようになった経緯について、調べた結果が紹介されています。

これによれば、高度成長期に、経営者、労働者双方が作り上げた「人財」像というものが垣間見られます。それは、生き馬の目を抜くような激しい企業間競争に打ち勝ち、事業の規模を拡大するために、自己研鑽を怠らない「人財」像であり、企業もお金と時間をかけて働き手を育てようとする姿勢です。

ビジネスや商売の本質は「お客様を喜ばせて、しっかりと儲けること」につきます。そのためには働いてくれる社員・従業員が必要ですし、その事業の価値を信頼して「買いたい」と思ってくれるお客様に支えられています。

企業経営というものは永続するものでなければなりません。仕事をしてくれた従業員に給料を支払い、事業に要した経費や出資してくれた株主への配当金を差し引いて、残った利益を積み上げて、それを使って事業を拡大・発展させていくものです。企業の発展の原動力となりうる知識や知見は人件費として扱われ、人件費を抑制すると優秀な人材が知恵の集積を会社に残すことなく退職することになり、会社にとって極めて大きな損失となります。いかに人を育て会社の財産にするかということが重要なのです。だから、「人材」は「人財」なのです。

古い記事になりますがMS-Japanの「『人材』や『人財』、4つのジンザイの意味と違い」という記事を取り上げます。この記事は採用で「人財」という漢字を使うことの注意点の指摘しています。

1.「人材」と「人財」の意味

 「人材」というのは、「才能のある人。役に立つ人物」(大辞林)という意味です。「材」には「才能」という意味もあって、実務を適切に処理できる実力のある人を表しているといってよいでしょう。

 一方で、「人財」とは、人は会社の経営資源である財産であるという意味を持つ言葉です。会社にとって利益を生み出す存在であることを意味します。

 両者の意味を見れば、どちらも会社にとって大切な人であることに変わりはありません。しかし「人材」の「材」には材料の意味があることから使い捨てのような存在として捉えられることもあります。また、「人財」の「財」は「お金」という意味をも表しており、「人をカネとしか見ていない」という批判もありえます。

2.ジンザイのその他の漢字

  1. 人罪・・・企業にとってのお荷物。トラブルばかりを起こす人、実績がなく、成長も見込めない人のことです。人は雇っているだけでコストがかかります。コスト以上の成果がないなら企業にとってはマイナスの人と言えます。
  2. 人在・・・会社にただいるだけの人。過去に実績はあってもそれ以上の成長が期待できず、仕事も回してもらえないような人です。

3.新入社員は人材の卵

 新入社員は人材の卵といった位置づけです。やる気を示し仕事を覚え実績を積み上げれば、人材や人財に成長します。何年たっても成長もせず、実績をあげず、トラブルばかりを起こしていれば、人罪や人在になってしまいます。

 強い組織を作るには、人を育て、社員一人一人の成長を促し生き生きと活動できる環境を提供することです。また、社員は、人材もしくは人財と認められるためには、日ごろからしっかりと仕事をして、成果を上げることです。努力課程だけでは意味はありません。きっちりと成果を上げてこそ評価されるのです。自分がどのジンザイなのかを定期的にチェックし、目指す人材や人財になれるように仕事をしていくことが大切です。会社は、人が成長できるようにサポートし、人材育成を行うことが重要です。

4.採用で「人財」の語を使うメリットと問題点

 先ほども書きましたが、「人材」という言葉には、本来否定的な意味はありません。しかし、使い捨ての人材(材料)ととられることがないとは限りません。そこで、「人材募集」ではなく「人財募集」という語が使われることが多くなっています。

 確かに、人財という表記が好印象を与えていることが多いのですが、一部で否定的な意見もあります。そもそも本当に人を大切にしている企業なら、人財とわざわざ書かなくても人は集まります。あえて人財という言葉を選んで社内外にアピールする必要があるのは、従業員を大切にしない実態・風土をごまかして少しでも印象を良くしようとしているのではないかと勘繰られるのです。

 重要なのは、表記の仕方ではなく実態です。実態が伴わなければ、逆に不信感が強まります。

 しかし、人財という言葉を選ぶことで、従業員のモチベーションが上がったり、経営者が人を大切にするという目的を忘れないようになったり、会社に人を大切にする風土ができるのならば、「人財」という言葉を使う意義はあるでしょう。

 大切なのは実情です。人を大切にするということは短絡的な経営資源としてではなく、長期的な経営資源と考えて教育し活動の機会を提供するということです。人が最大限に輝いて生き生きとしている企業は組織力も強いのです。 

 

顔の見えない時代のチームワークとマネジメント

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1709人、そのうち東京501人、神奈川210人、埼玉87人、千葉113人、愛知110人、大阪108人、兵庫34人、広島27人、福岡40人、沖縄115人、北海道88人などとなっています。政府は、8都道府県に出されている緊急事態宣言について沖縄を除く7都道府県は解除し、広島(完全解除)以外の6都道府県はまん延防止等重点措置に移行させることを決定しました。また、それに伴い、まん延防止等重点措置が取られている地域での酒類提供を午後7時まで認めることにするようです。政府分科会は、オリンピックとは無関係という政府の言を信じ、「大規模イベントについて1万人を上限として観客を入れる」ことを認めましたが、二枚舌の政府の言うことを鵜呑みにしてはいけません。あくまでもオリンピックで観客を入れるための布石でしかありません。今回の緊急事態宣言解除、規制緩和もすべてオリンピック開催に向けての布石です。オリンピック開催前に変異株による第5波が襲来し再び緊急事態宣言発令ということにならないことを祈るばかりです。万が一そのような事態になった時は、オリンピック開催という理由で発令を先延ばしするのではなく速やかに発令すべきです。発令が遅れさらに感染拡大し多数の死者が出るようになれば、それこそ人災、政府・菅首相の責任です。

さて、今日は@ITの「顔色が見えない時代のチームワークとマネジメント」という記事を取り上げます。

コロナ禍でテレワークが導入され、緊急事態宣言で飲み会もなく、外に出る機会も大幅に減った人も多いと思います。コロナが収束しても新しい働き方としてテレワーク、リモートワークが定着するかは未知数ですが、働き方が変化していくことは間違いありません。

この記事では、テレワークを続ける日々で、われわれの仕事がどのように変化していくのか、それに対して、われわれはどのようにしたらいいのかが語られています。

1.顔色が見えない時代

 これまでも何度も書いていますが、テレワーク、在宅勤務で問題に挙げられるのが「コミュニケーション」です。テレワーク、在宅勤務は、通勤の時間や疲労もなく、自由に仕事ができるというメリットはありますが、オフィス勤務と違い上司や同僚に相談するということもしにくく、上司は部下の管理に目が届かずというように、コミュニケーション不足が問題となります。

 昨日も書きましたが、対面のコミュニケーションと違い、メールやチャットでは、伝達される情報が激減します。相手の表情やしぐさ、抑揚・イントネーションから相手の感情を読み取ることができません。オフィス出社なら、挨拶や顔色で「今日は元気がないな」と気づき、声掛けをして悩みや抱えている問題の相談に乗ったり、息抜きをするタイミングで雑談をする機会があります。テレワークでは、気軽な声掛けや息抜きの雑談などができにくくなります。

 テレワークで、上司や同僚に何かを相談しようとすると結構面倒です。

 相談したい → 「今会話できますか」とチャットで呼びかける → 返事がない  → 相手のカレンダーで予定を確認する(別の会議中) → 相手の予定の空き時間を探す → 相手の空き時間に再度呼びかける

 このような流れになることが多いのです。面倒くさ過ぎてやる気が失せ、「相談したい」「会話したい」と思った瞬間の熱意が冷めてしまったりします。この諦めてしまった会話の中に、仕事の不安やトラブル、プライベートな悩み事が含まれていれば、本人だけでなく、チームや会社にとっても大きな損失になりかねません。

 テレワークの時代というのは、相手の顔色が見えない時代なのです。

(1)顔色が見えない時代の「チーム」

 現代の仕事の多くは複雑で、一人でできるものではなく、チームで取り組んで成果を出すというものです。それはテレワーク下の仕事も同じです。

 テレワークでもチームで仕事をすることになりますが、テレワークの期間が長くなると、これまで一度も顔を合わせたことのないメンバーとオンラインで一緒に仕事をするという機会が増えてきます。顔色が見えない時代であっても、チームとして一緒に仕事をする以上、チームが抱える問題や課題を共有し解決し成果を上げるためにメンバー間のコミュニケーションがしっかりと行えなければなりません。

(2)顔色が見えない時代の「マネジメント」

 テレワーク下では、チームとして仕事をするのも大変ですが、そのチームをマネジメントしていくことはもっと大変です。マネージャーにとってオフィス勤務の時にできていたメンバーの「困った顔」や「ため息」のキャッチができにくくなっています。オフィスであれば、カジュアルな立ち話で済んでいた進捗確認も、テレワークでは、カレンダーを見る→空き時間を探す→チャットにつなぐ→会話をする という手順を踏まなければならず面倒です。

 また、コミュニケーション不足を思い、何らかの方法で会話や雑談をしようとしても、マネジャーもメンバーも慣れていないので、対面では何の問題もなくできていた会話や雑談がぎこちなくなり、緊張したり身構えて何を話していいのかわからなくなってしまいます。

 また、マネジャーの重要な仕事である「メンバーが成果を出せるようにサポートする」ということも相手の顔色が見えずに難しくなってしまいます。

2.チームのアップデート

 テレワークが前提になると、コミュニケーションが難しくなり、チームワークが難しくなり、マネジメントが難しくなります。しかし、「難しい」と嘆いていても仕方ありません。テレワークに対処するために、今までのやり方をアップデートしなければなりません。

 チームで成果を出すために、最も重要なものは「心理的安全性」です。この「心理的安全性」というのは、「成果を出すチームに共通の重要な因子である、人間関係のリスクなしに議論や実験が行える雰囲気」のことです。テレワーク下ではこの心理的安全性の需要はさらに高まります。

 テレワークでは、対面のコミュニケーションではそれほど問題とならない「会話の品質」によってコミュニケーションが阻害されてしまうのです。マイクの音質、周囲の雑音、通信回線の状況などによりコミュニケションが妨げられ、聞き取れなかったことをその場で聞き返して確認するということに気後れしてしまいます。心理的安全性があれば、躊躇することなく聞き返すということができるようになります。

 心理的安全性は、チームで成果を出すためのチャレンジを奨励し、学びを共有し、建設的な議論を促すために重要なものです。それに加えて、テレワークの「顔が見えない時代」では、不足しがちなコミュニケーションを補うためにも重要なものになっています。

3.同期を取ろう

 テレワークの時代になると、日々の業務は。1人でもくもく作業を進める(非同期)⇒時々ミーティングや相談で会話をする(同期)というようになります。これでは非同期が主流になってしまいます。テレワークでも、オフィスでも、同期的に相談してタスクを分担する→非同期に個々がタスクを進める→集まって相談し状況を同期する という流れが必要です。オフィスでは「ちょっといいかな」と簡単な相談(同期)ができますが、テレワークでは難しくなります。同期の頻度が下がり、非同期でタスクを進める時間が長くなると、発生する「手戻り」のダメージが大きくなってしまいます。同期コミュニケーションでは、コミュニケーションを通じてブレ・ズレを修正し方向性を一致させることが可能ですが、非同期の時間が長くなればなるほど、ちょっとしたズレやブレが大きな差となり最終的には修正不可能になってしまいます。手戻りのダメージを小さくするために、テレワークだからこそ小まめに同期を取ることが必要なのです。そのためにはカジュアルに相談できる「心理的安全性」が重要です。

4.マネジメントのアップデート

 テレワークになってマネージョーは顔色を見ることで得られる情報が少なくなり、そのためにマネジャーの仕事は増えています。仕事が増えたことによる忙しさがメンバーにも影響を与えます。「忙しそうだから声をかけるのをやめよう」とか「ちょっと相談したいことがあるけであとにしよう」というようにメンバーが気を使い、かえってメンバーの情報収集がますます難しくなるのです。下手をすると「なんでもっと早く相談してくれないんだ」と手痛い失敗をしてチームにも大きな損失となりかねません。

 マネジャーは仕事量が増えたことを自覚し、情報の質、量を見直し、仕事の優先順位をつけていくことが求められます。

 特に、テレワーク下では「コミュニケーションデザイン」という仕事が重要になっています。それは、メンバーとマネージャーの、メンバー同士がチームとして行うコミュニケーションをデザインするという仕事です。

  1. 同期・・・デザインすべきコミュニケーションの一つは、同期です。作業の方向性がずれたまま進んでしまうことによる手戻りを防ぎ、仕事の効率を上げていくのがマネージャーの仕事となります。チームとして理想的なのは、メンバー同士が自発的に同期を行い、効率よく進めてくれる状態です。そのためにマネジャーは、問題を提起しメンバー各自に認識させることで、実際に同期する機会を提供することが必要です。
  2. 雑談・・・雑談の重要性はこれまでも何度も書きました。仕組みとして雑談をデザインすることで、チームに雑談の習慣ができることが大切です。仕組みによる雑談でコミュニケーションの障壁を減らし、相談しやすい空気を耕し、心理的安全性を育てていくことです。
  3. ファシリテーション・・・ファシリテーションとは、会議や研修、ミーティングなどで良質な結果が得られるようにサポートしていくことです。単にデザインした「機会」をメンバーに丸投げするのではなく、「場」へと成長させていくことがマネージャーの仕事です。具体的には、コミュニケーションの目的を見失わないようにリードする、特定の人がじゃべりすぎたり黙ったりしないようにケアする、予定された時間内で終わらせるようにタイムキープするなどです。

コロナ禍でテレワークが導入されましたが、コロナが去った次の時代でも新しい働き方としてある程度は残っていくように思います。オフィスワークでもリモートワークでもコミュニケーションは極めて重要です。コミュニケーションの機会が増えれば、メンバーとの信頼関係を育てる場にもなります。コミュニケーションによって「経験値を形式知化する」ことができますし、マネージャー自身にとってもフィードバックを得られるような関係を構築すること、マネージャー自身も成長することが重要です。

リモートでも対面でも、より良いコミュニケーションができ、その結果としてチームが生き生きと働き、成果を出していけるように、マネージャーとして何をするべきか、を考えることが必要です。 

「おじさん構文」を使う上司のの問題点

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1418人、そのうち東京337人、神奈川160人、埼玉70人、千葉87人、愛知98人、大阪110人、兵庫44人、京都18人、広島14人、副科35人、沖縄107人、北海道87人などとなっています。政府は、こうした減少傾向から緊急事態宣言を解除するかまん延防止等重点措置に移行させるかを検討中です。更にイベントについては最大1万人までの入場を認める案を軸に検討されています。これはオリンピックの有観客で実施するための布石と思われます。新型コロナの感染対策は死亡者や重傷者を最小限に抑えて国民の命と健康を守ることが本来の目的ですが、政府はオリンピック最優先で感染防止対策が置き去りにされています。こうしたオリンピック最優先の姿勢で、自粛要請をしても、それに素直に従う国民がどれだけいるでしょうか? 協力金も迅速に支給されず、時短や営業自粛も限界に来ています。規制を無視して酒類の提供に踏み切る店舗を攻めることはできません。五輪のためだけに国民の命と健康をリスクに晒し、中途半端な感染対策を行ってきたツケは、五輪強行開催後に必ずやってきます。東京型変異株が生まれ世界に拡散するかもしれません。五輪後に感染が拡大し、死者が出た場合に、菅首相は命をかける覚悟はあるのでしょうか。五輪を開催するというのであれば、開催の意義を丁寧に国民に説明し、万が一感染拡大を引き起こした場合腹を切る覚悟を示すべきです。それがリーダーの覚悟です。

さて、今日は現代ビジネスの「社内チャットで『おじさん構文』を振りまわす上司が、無意識にやっている『4つの問題行動』」という記事を取り上げます。

先日、朝の情報番組「めざましテレビ」で「おじさん構文」が取り上げられました。「おじさん構文」は、もともと「気持ち悪い」「おじさん感が強すぎる」など、おじさん独特の文体を揶揄する意味で使われていました。しかし、最近では若い女性を中心にブームとなり、若者が真似てわざと「おじさん構文」を使うようになってきているというのです。

「おじさん構文」というのは、絵文字や!、!!、?、?? などを多用したり、句読点の打ち方、語尾のカタカナ変換などに特徴のある、中高年の男性が女性に送る文体のことだそうです。

テレワークの機会が増え、チャットツールなど、テキストだけのコミュニケーションが以前よりも増えました。社内だからとフランクな言葉遣いや絵文字を多用したメッセージのやり取りをしていると、部下や後輩に「おじさん構文を使っている」と馬鹿にされるかもしれません。部下とのコミュニケーションの重要性は言うまでもありませんが、プライベートとは違います。仕事上ではそれに見合った文体があります。プライベートならいざ知らず、仕事で「おじさん構文」を多用すると人間関係が良くなるとか信頼関係が生まれるとかはなく、むしろ逆効果です。

この記事でも、「おじさん構文が相手にストレスを与えかねない」と言っています。

「おじさん構文」の特徴は

  • 絵文字が多すぎる
  • 不自然なカタカナを使用
  • 一文が長く、句読点が多くて読みづらい
  • 何に対して話しているのかわかりずらい

などです。こうした「おじさん構文」と言われるメッセージは、相手にストレスを与えます。それは「心理的距離感を勘違いして、相手と温度差がある」からです。テキストコミュニケーションは、対面で話すときよりも相手が読み取れる情報が少ないのです。表情や言葉の強弱・抑揚などから得られる情報がないのです。相手と違う温度感でメッセージを送るということは、伝えたい内容以前に、相手に不快感を与えます。そのような状況で、業務上の指示やアドバイスをしても説得力はありませんし、相手も素直に聞く耳を持ちません。

「おじさん構文」を不快と感じる理由は「相手との距離感が分かっておらず、一方的なコミュニケーションで終始している」からですから、社内やビジネスシーンでそうならないためには、「相手への思いやり」をもって文章を書くことが大切です。

また、対面ではタメ口でも違和感がない場合でも、テキストコミュニケーションの場合には敬語を使う方が無難です。なぜなら、両者の良好な関係性が構築されているとはいいきれず、心理的距離感がお互いに違う可能性もあるからです。冗談で書いた一言が取り返しなつかない事態を生むこともありますし、分かるだろうと相手の読解力に甘えるのも相手にストレスを与え不本意な受け取られ方をされることもあります。

チャットなどのカジュアルなコミュニケーションができるツールでも節度と思いやりを持って、相手に伝わる文章を送ることが大事です。

1.無意識にやっている「4つの問題行動」

  1. 感情を表現した絵文字とカタカナが相手を「ゾワッ」とさせる・・・絵文字は絶対禁止ではなく、多様せず、見やすい文章を送る。語尾のカタカナは、そもそも不自然なので使わない
  2. 「情報が多いから」と、くどくど書いたチャットがストレスになる・・・多くの情報を伝えたいときこそ、分かりやすい簡潔な文章を心掛ける。最後まで読まないと分からない文章ではなく、まずは結論から書く。情報を整理して伝える。最初にタイトルを入れるのも伝わりやすくなる。
  3. 「あれ」「それ」などの指示後はすれ違いや誤解を生む・・・「あれ」「それ」が何を意味するか考えることがストイレスになることもあり、認識が違うまま話が進む可能性もある。何について話しているのかを明確にすることが大切。
  4. チャットツールの機能を使えない、知らない、で流れを止める・・・機能をしっかり把握していない、便利な機能があるのに使っていない、ということがないようにすること。複数のメンバーがいるチャットグループの場合、以前投稿された内容に突然用件を伝えても、誰宛てなのか、何についてなのかが把握できず、誰もリアクションができないということになる。

2.世代間のギャップを甘く見ない

 コミュニケーションのすれ違いは、世代間が離れていればいるほど出てきてしまいますし、簡単には埋められない溝です。スマホとSNS慣れした世代と、顔文字・絵文字が流行ったガラケー世代のコミュニケーションは大きく異なるのです。

 この溝を無理に埋めようとしても、それは不可能です。そのために、相手との距離を縮めようとおじさん構文を多用しても、心理的距離感は縮まるどころかさらに離れてしまいます。必要なことは、相手を思いやる心です。相手を思いやる心がなく、形式だけで親近感を示そうと「おじさん構文」を使っても、若者は引いてしまうだけです。仕事やビジネスシーンで「おじさん構文」を使うなど、もってのほかだと思います。