中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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新型肺炎に対処 コンティンジェンシー・プラン

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おはようございます。

今日の朝日新聞にSDGsの17目標が載っていました。パナソニックらの社員食堂がサスシー(持続可能な魚介類)を提供し、出光興産がCo2削減を目標に社会と環境に配慮した中長期計画を立案するという記事です。SDGsやサスシーについては、一昨日・昨日に書きましたので、今日はやめておきます。

今日は、「新型肺炎 新型コロナウイルス」を取り上げます。中国武漢市の市場で動物から人へ、さらに人から人へ感染し、今現在死者131人、観戦者5400人を超えたということです。日本でも武漢渡航歴のない人への感染が確認され、2003年のSARSを超える勢いで蔓延しています。テレビのワイドショー番組で、感染症の専門家がこのペースでいけば2月3日ころには死者が800人を超えるとの見方を示していました。本当に恐ろしいことです。

新型肺炎が世界経済に大きな影響を与えています。日米の株価が大きく下落しました。日本経済にも悪影響を及ぼしつつあります。武漢市には自動車関連を中心に約160社が進出していますが、春節休暇明けに工場再開のめどが立っていないとのことです。また、中国政府が海外への団体旅行の禁止に踏み切り、日本国内でも中国旅行者の数が激減し観光業に大きな影響を与えています。さらに、新型肺炎中国経済に与える影響も無視できません。中国経済の減速は日本からの輸出減につながります。中国に進出している企業の生産停滞が、日本から輸入される部品や素材の需要を減少させます。また、ようやく米中貿易協議の第1段の合意が成立したにもかかわらず、中国経済の減速が米国からの輸入減につながり米中貿易に新たな火種を生む可能性もあります。

企業にとってこうした事態にどう取り組むべきでしょうか。

まず、抽象的な話になりますが、現に発生している事態には、情報を的確に把握して適切に対応し、被害の拡大を最小限に食い止める努力をする必要があります。ここでも必要なのは利益や売上といった目先の数字ではなく、従業員や顧客への影響を最優先にすることです。それが企業の社会的責任です。

また、事前的な対策としては、このような新型肺炎の蔓延が企業に与える影響をあらかじめ予測して計画を立てておくということが必要になります。「阪神淡路震災から25年」(1/17)の時に触れた不測事象対応計画(コンティンジェンシー・プラン)です。これは、予測外の不測事態に対応するための計画をあらかじめ決めておき、それが起きた際にそれに対応した計画に切り替えることによって迅速な対応を果たし損害を最小限に食い止めるものです。通常、不測事態として挙げられるのは、地震等の災害、政変・テロ、石油資源・食料等の輸入ストップ、資源購入価格の高騰などですが、今回の新型肺炎の蔓延なども不測事態に含まれるものと思います。こうした不測事態が発生し工場を閉鎖しなければならない緊急事態が起こった場合、それを埋め合わせるために他のどの工場の稼働率をどのようにして上げるのか予め計画しておき速やかに切り替えるのです。また、このような不測事態が発生した場合に、どの時点で工場を閉鎖するのか、どの段階で現地滞在者を帰国させるかもあらかじめ決めておく必要があるでしょう。不測事象対応計画は、不測事象が発生した場合に、企業の損失を最小限にすることを目的としていますが、ここでいう「企業の損失」は金銭的な損失ばかりではなく、有形無形の損失を意味し、従業員の健康及び安全もこれに含まれます。従業員の健康・安全及び顧客への影響を第一に計画を立てるべきでしょう。