中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 0ベース思考

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おはようございます。

来週25日には、北海道、関東4都県について緊急事態宣言解除の是非が検討され、うまくいけば、全国の緊急事態宣言が解除される運びとなります。ここ数日の東京の感染者数は一桁で全国的にも新規感染者数は減少しています。このところの新規感染者数は、GW明けの感染状況が反映されているということなので、国民が一丸となってGW中の外出自粛・帰省自粛・旅行自粛、さらにGW後も若干緩みは出ましたが自粛を守った成果です。多くの方が自粛要請を守っているのに、一部芸能人の沖縄旅行など問題になっています。どの世界にもルールを守らない人はいます。今回の事態は自粛要請で強制ではありません。それを批判するのがいいのかどうか・・・行き過ぎれば自営警察になってしまいます。昨日、杉並区役所の職員が営業している店舗に「営業やめろ。火を点けるぞ」と張り紙して営業妨害で逮捕されました。こうした行き過ぎた正義感は犯罪になります。マスクをしていない人を監視して非難する「マスク警察」なる言葉も出てきます。以前にも書きましたが、新型コロナに対する不安や恐怖が、行き過ぎた正義感や差別感情を生み出すのです。おおらかな気持ちや優しさをもって人に接したいものです。

今日は、スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー著「0ベース思考ーどんな難問もシンプルに解決できる」(ダイヤモンド社)を紹介します。スティーヴン・レヴィットは「ヤバい経済学」(東洋経済新報社)で有名で、「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれたシカゴ大学経済学部教授で、スティーヴン・ダブナーはジャーナリストです。

0ベース思考というのは、バイアスをゼロにしてアプローチする思考法です。

「脳を鍛えなおして、大小問わずいろいろな問題を普通とは違う方法で考える。違う角度から、違う筋肉を使って、違う前提で考える。やみくもな楽観も、ひねくれた不信ももたず、すなおな心で考える」

第1章…何でもゼロベースで考える=バイアスをゼロにしてアプローチする方法

  • あなたはサッカー選手、それも超一流の選手でチームをワールドカップの決勝まで導いていた。あとはPKを決めれば優勝だ。PKの成功率は75%。あなたは、どこに蹴るか。利き足が右なら得意なのは左サイド、キーパーが左に飛ぶ確率は57%で、右に跳ぶ確率は41%だ。ということはキーパーが真ん中から動かない確率は2%に過ぎないのだ。データによれば、真ん中を蹴って成功する確率はサイドを蹴って成功する確率よりも7%も高いのだ。データを見る限り真ん中を蹴るのがいい。だが、多数のキッカーはサイドを蹴る。キッカーはゴールを決めて勝ちたいだけではない。格好よくゴールを決めたいのだ。利他的な利益よりも利己的な利益を優先してしまう。ここでは、「直観」や「主義主張」を排除してデータを元に世の中の仕組みを理解し、どんなインセンティブがうまくいくのか明らかにする方法が語られる。

第2章…世界でいちばん言いづらい言葉=「知らない」を言えれば合理的に考えられる

  • 人は「知っている」と思い込んでいるだけ。知ったかぶりをしている。問題は「事実」を集めるだけではできない。ある問題を引き起こした原因を「知る」のはとてつもなく難しい。専門家の予想の的中率はチンパンジー並みだ。人は世の中のことだけでなく「自分のこと」も分かっていない。「知ったかぶりをする」のは、「知らない」と白状した時のダメージの方が「知ったかぶり」をして間違いが判明した時のダメージより大きいからだ。「知らない」と白状して間抜けだとか負け犬だとか思われるより知ったかぶりをして自分の評判を守る方が大事というわけだ。しかし、自分が何を知らないかがわからなければ、必要なことを学ぶことが出来ない。答えられない質問には分からないと答え、調べればいい。もしあなたがこれまで「分からない」と言っているとしよう。そのあとで答えられない質問にぶつかったとき、知ったかぶりをして答えてもみんな信じてくれる。これも一つの戦略になりうる。

第3章…あなたが解決したい問題は何?=問題設定を変えて、すごい答えを見つける

  • 見当違いの「問い」を立てたら見当違いの「答え」しか得られない。どんな問題を解決しようとするときでも、たまたま目についた気になる部分だけを取り上げていないか検討する。問題を正しくとらえること、正しくとらえなおすことが肝心だ。ここでは、アメリカのホットドッグ大食い競争で優勝した日本人コバヤシの話が出ている。

第4章…真実はいつもルーツにある=ここまでさかのぼって根本原因を考える

  • 問題の根本原因を突き止め、それを取り除けるよう、力の限りを尽くす。根本原因を見つめるのは不安だし怖いことでもある。だからなるべく避けて通ろうとする。しかし、その「避けて通りたいところ」に鍵があるのだ。徹底的にさかのぼって「要因」を見つける。胃潰瘍の原因発見のために細菌をビーカー一杯ん飲んだ科学者の話が出てくる。

第5章…子供のように考える=「分かり切ったこと」にゼロベースで向き合う

  • 子供はどんなに無茶なアイデアだろうと臆せずに口に出す。良いアイデアと÷アイデアを区別できさえすれば、船一杯のアイデアを思いつくのは突飛なものが混ざっていても良いことずくめだ。最終的に20個のアイデアのうち、追及する価値があるのは1個だけ、でもその1個は子供みたいに頭に浮かんだことをそのまま口に出さなければ生まれてこなかったアイデアだ。問題を解決しようと思ったら子供心を解き放つことは大きな成果につながることがある。

第6章…赤ちゃんにお菓子を与えるように=地球はインセンティブで回っている

第7章…ソロモン王とデイビッド・リー・ロスの共通点=庭に雑草を引っこ抜かせる方法

  • ソロモン王の元に2人の女性が争いの裁きを求めやってきた。2人は数日違いで男の子を生んだ。1人目の女が言うには2人目の女は「自分の子を死なせてしまい真夜中にわたしの蕎麦に寝ていた息子を盗み、代わりに死んだ赤ちゃんを置いていった」。2人目の女は「生きているのが自分の息子だ」と言う。どちらかが嘘をついているのは明らか。ソロモン王は、「生きている子を真っ2つに切って、半分を1人に、ほかのはんぶんをもう1人に与えよう」と言った。1人目の女は「同課赤ん坊を殺さないでください。赤ちゃんをその女にあげてください」と懇願したが、2人目の女は「そうすれば、その子は私のものでもあなたの物でもなくなるでしょう。どうぞ切って下さい」と言った。ソロモン王は1人目の女の赤ん坊と判断した。ソロモン王は罠を仕掛けて罪を犯したものと罪なき者が判れるように仕向けたのだ。
  • ヴァン・ヘイレンは1980年代の最強のロックバンドの1つでデイヴィッドはそのメンバーだ。彼らのバンドのツアーに関する契約書は53ページもの付帯条件があって、技術や安全面の細かい指示のほか、食べ物や飲み物に関する要求事項までが事細かに指示されていた。このヴァン・ヘイレン付帯条項の40ページの「スナック」に関するところに、ポテトチップやナッツのほか「m&m‘s(警告:茶色のものがあってはいけない)」とあった。デイヴィッドによれば、悪ふざけや我儘によるのではない。付帯条項は各会場で十分な物理的空間と荷重に対する剛性、必要な電圧を確保するために指示を与える。ステージが機材の重さに耐えかねて崩壊したり、照明がショートしたりして不慮の事故での生命に危険が及ばないようにするためだ。デイヴィッドは会場に着くと「m&m‘s」の入ったボウルを調べた。茶色が混じっていたら、相手が条項を真面目に読んでいないことがわかる。
  • ソロモン王もデイヴィッドも、ゲーム理論を有意義に実践していた。

第8章…聞く耳を持たない人を説得するのは=その話し方では100年かけても人は動かない

  • 人を説得することがどんなに難しいことなのか、なぜそうなのかを理解する。相手の考えは事実や論理よりもイデオロギーや群集心理に根差している場合が多い。面と向かって言っても相手に否定されるだけ。さりげない後押しや新しい初期設定によって相手を肘でそっと突くように誘導した方がいい。例えばトイレを綺麗に使ってもらいたいなら、「綺麗に使いましょう」と書くより小便器の真ん中に的を書いて、あとは的に命中させようとする男性に本能に任せればいいのだ。
  • 相手の意見を変えさせるには、①主役は自分ではなく相手(お客様がすべて) ➁自分の主張が完璧だというふりはしない ③相手の主張の良い点を求める ④罵詈雑言は胸にしまっておく ⑤物語を語る

第9章…やめる=人生を「コイン投げ」で決める正確なやり方

  • あなたは「やめるべきこと」を続けている。辞めるのをためらわせる力は3つある。①やめるのは失敗を意味する。 ②サンクコスト(埋没費用)=今更やめるのはもったいないという心理 ③目に見えるコストに囚われ「機会費用」(逸失利益)のことまで頭が回らない 失敗は別段悪いことではない。つかの間の挫折でしかないし、場合によっては「勝利」になる。
  • 「コイン投げで人生を決める実験」の結果、みじめになるようなデータも得られなかった。コイン投げという全くランダムな結果の出る方法を元に生活を変えることに抵抗があるかもしれない。それに決断の責任を放棄するのにもっと抵抗があるかもしれない。しかし、ちょっとした決断でいいなら、コイン投げに任せてみれば「やめるのはタブーだ」という思い込みを捨て去れるとが出来る。

この本の中で、最も大事なのは、子供の感性を持ち続けることではないかと思います。どのような問題でも好奇心をもって子供のように色々なアイデアを出して、その中から答えを導き出すのです。昨日も書きましたが、イノベーションの芽を探しアイデアを出すためには子供の用は発想が必要かもしれません。また、一般通念を捨て去る。自分を引き留めている人為的なバリアを捨て去る。自分が知らないということを恐れる気持ちを捨て去る。真ん中を狙う方が成功率が高いと知りながら、ついゴールの隅を狙ってしまう癖を捨て去る。このように「捨て去る」「やめる」ならば新しい発想が生まれてくるはずです。

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