異業種に起こっていることにイノベーションの芽がある
おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で1681人で、その内訳は東京305人、神奈川121人、埼玉102人、千葉80人、愛知114人、大阪185人、兵庫65人、広島107人などとなっています。休日の集計なのに相変わらず高い数字になっています。重症者も588人と過去最多を更新し、1日の死者過去最多と並ぶ47人となっています。
漸く、菅首相も、GoToトラベルの12月28日から1月11日までの全国一斉停止と東京と名古屋の先行停止を発表しました。遅きに失するとはいえ、全国一律の停止を決定したことは妥当な判断と思いますが、なぜ28日からなのか、もっと早い時期からスタートさせるべきではないかと思います。なぜ急に方向転換したのか、結局は「ガースーです」とのニコ生でのおふざけに対するネット批判と急激な支持率低下に触発され保身に回ったからとしか思えません。コロナ感染防止に対し「先手先手で対策をとる」と言いながら、安倍前首相と同様、二階の顔色を伺いながら「後手後手に回った」対策しか取れていません。
元々は菅、二階の肝いりで始まったGoToですが、極めて不公平な政策・事業です。医療関係者、福祉関係者をはじめ多くの人が利用できませんし、高齢者や基礎疾患を有している人たちは利用しません。使えない人がいる一方で何度も使っている人がいます。
また、コロナ禍の影響を受け疲弊しているのは観光業・飲食業だけではありません。致命的な打撃を受けている業種はいっぱいあります。偏りすぎた不公平な政策なのです。
新型コロナ禍で疲弊しているあらゆる業種に幅広く直接的な支援が必要なのです。
新型コロナで多くの企業が倒産し、多くの人が職を失い、国民は心身ともに疲弊しています。中でも政府の無策によって、医療関係者は患者の命を救うために日夜休むことなく働き続けてくれています。こうした状況の中で、菅首相は、ニコ生に出演し「ガースーです」などとへらへら笑ってお道化ることが出来るのでしょうか。その無神経さには腹が立ちます。
ニコ生での発言でも心のこもった発言はありませんし、昨日のGoTo全国一斉停止の会見でも下を向いて原稿を読むだけ、全く発信力がありません。
就任3カ月で早々と政権の末期症状を呈しています。
さて、今日は、東洋経済オンラインの「Uberが後発なのに世界一になれた経営学的理由」を取り上げます。この記事は、早稲田大学ビジネススクールの菅野寛教授が書かれています。
18世紀の産業革命では、大型設備を作り集中生産することによってコスト低下を効率向上という「大企業モデル」と「資本主義の下での市場経済」も生み出されました。産業革命以前は小規模分散の小さな村単位の自給自足経済でした。ここでは、多くは共有財産で、私有財産という概念は希薄で、村の都合を無視して自己利益を追求することは「悪」とされ、これに違反すれば村八分にあうという状況でした。
- 営利企業の方がより良いサービスを提供できる。
- 貨幣による在・サービスの交換がベストである。
- 消費者には所有欲がある。
- 生産者と消費者は別の主体でる。
という4つの原則があります。
この記事では、ウイキペディアを例に挙げ、これらの原則が崩れてきていると言っています。1については、非営利団体であるウィキペディアが百科事典を凌駕し、2については、ウィキペディアは執筆者も利用者も無料であり、3については、人は百科事典のようにウィキペディアを所有しているわけではなく、4については、自分で加筆修正できて読者であるとともに執筆者でもある、ということです。
資本主義こそがイノベーションを起こすはずなのに、資本主義の原則から逸脱しているウィキペディアがイノベーションを起こし既存の百科事典を凌駕しているのです。
また、デジタル化により分散している資源を安価でつなぐことが可能になり、その結果以前には不可能であった「小規模分散資源の組織化」が可能になったのです。その典型がUberやAirbnbです。ここで重要なことは、資本主義の前提でもある「大企業による大規模先行投資」という勝ちパターンが崩れたことです。Uberは世界最大のタクシー会社であり、Airbnbは世界最大のホテル会社といっていい状況ですが、それぞれタクシーも部屋も所有していません。資源を持たない後発の小企業が分散小資源を組織して先行大企業を倒すことが可能になったのです。
菅野教授は「ウィキペディアが百科事典を凌駕した時に『同じことがわが業界でも起きるかもしれない』と気が付いたタクシー会社やホテル会社があったでしょうか?」と問いかけています。人間の想像力がいかに貧困でるかを示す事例で、「他業界だから関係ない」では済まされないのです。むしろ異業種で起こっていることにイノベーションの新たの芽があるかもしれません。
200~300年に1度起きるか起きないかというパラダイムシフト(大きな価値観の転換)が起こりつつあるという見方があります。特に新型コロナウイルスの世界的な大拡大は私たちの生活や価値観に大きな変化を与え、半ば強制的に「ニューノーマル」と言われる新しい生活様式が生まれ働き方を変えようとしています。こうしたことが、パラダイムシフトになるかどうかはまだ分かりませんが、少しずつ変わりつつあるように思います。資本主義にしても200~300年前に確立した新しいパラダイムで、それ以前は真逆な価値観が支配していたのです。
菅野教授は、「(企業戦略の根本原則が)どのような方向で変わっていくかは定かではありませんが、うまく対応すれば大きなチャンスになるでしょう。逆に、過去の成功にしがみつく企業にとっては脅威にもなります」といいながら、「このことは、ぜひ皆さん自身で考えてください」と突き放したような記述で終わっています。
「自分の頭で考えろ」と言ってしまえば身も蓋もありませんが、「自分で考えなければならない」というのも事実です。
しかし、誰も思いつかなアイデアや卓越したひらめきだけがイノベーションを生み出すわけではありません。市場の変化と時代の流れに対し、常にアンテナを張り巡らし常に模索し続けることが重要です。
イノベーションには「不確実性」と「リスク」が伴います。この「不確実性」と「リスク」を恐れ何もしなければ他社に後れを取ることになります。「リスク」というのは常にマイナスや悪ではありません。取らなければならないリスクもあります。リスクを取ることでプラスに転じ事態が好転することもあります。イノベーションを起こすには「正確なリスクの把握」と「適切なアクション」が必要です。
ウイズコロナ、アフターコロナの時代には、益々今後の予測が困難となり、企業の存続と成長にイノベーションが欠かせないものになってきそうです。しかし、他社で成功したイノベーションが自社で通用するかというと不確実です。菅野教授と同じようになってしまいますが、自社の状況にあったものを見つけ出し、自社が解決すべき課題にあったイノベーションを創造することが重要なのです。