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ワークマン式「社員のやる気を高める方法」

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で3973人、そのうち東京973人、神奈川386人、埼玉247人、千葉259人、愛知227人、大阪357人、兵庫211人、京都128人、福岡185人、沖縄131人、北海道147人などとなっています。緊急事態宣言の効果か、若干の減少傾向が見られますが、これが保健所の負担軽減から感染経路の追跡を止めて検査件数を減らしたことが要因でなければよいのですが・・・

重傷者は1043人と過去最多、死者は90人となっています。東京で18人、大阪で23人が亡くなりいずれも過去最多となっています。重症者数の増加と死者の増加、自宅待機中の死亡例などが医療体制のひっ迫状態を表しています。

日本医師会の中川会長は、「東京都で新規感染者が連日1000人以上が報告されてきた中で数百人という報告があるとかなり少ないという印象を受ける人もいるが、これは”コロナ慣れ”だ」「過大な評価は避けなければならない」と指摘し、「新規感染者が下げ止まりの状態から再び感染拡大に転じたときには前回以上に感染者が急増するといった傾向がこれまでも見られている。決して気の抜ける状況ではない」と緊急事態宣言の解除について「極めて慎重にすべき」との見解を示しています。また、日本医師会が考える緊急事態宣言解除の要件として、①病床のひっ迫度 ➁療養者数 ③PCR検査の陽性率 ④感染者の新規陽性者数 ⑤直近1週間と前の週の感染者数の比較 ⑥感染経路不明者の割合 の6つの指標を挙げ、これらすべてが「ステージ2の基準になるか、あるいはステージ3であるものの、この状況が続けばステージ2になる可能性が確実になった時点に解除の検討を開始すべき」と述べています。かなり厳しい基準ですが、これをクリアしないと、緊急事態宣言解除後に再び感染拡大に転じ3回目の緊急事態宣言発令という事態にもなりかねません。昨日も書きましたが、経済の痛手を考えると、どのようなことをしても2月末までに6つの指標において基準をクリアできる状況に押さえ込む必要があります。こういう中、与党国会議員の銀座通い、二階派議員秘書らによるカラオケでのコロナ感染など、国会議員それも与党議員の気の緩み、バカさ加減には呆れて開いた口がふさがりません。バカで無能な国会議員は放っておいて、一人ひとりがあと1か月余り、新型コロナウイルスの抑え込み、緊急事態宣言解除に向けて自粛の努力を続けましょう。

さて、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「なぜ、社員のやる気を追求すると会社の業績はどんどん上がるのか?」という記事を取り上げます。この記事は、ワークマンの土屋哲雄専務とボストンコンサルティングファーム御立尚資氏との対談です。ワークマンは、「高機能・低価格」という4000億円の空白市場を開拓し10期連続で最高益を続け、国内店舗数でユニクロを抜きました。作業着という地味な市場でこれほどまで躍進した背景に何があるのか、この記事から読み取ることができます。それは、どのような企業においても参考になるように思います。

1.会社の夢(経営ビジョン)に、社員の夢は同居しているのか

  マズローの5段階説というのがあります。これは、モチベーションの内在理論の1つで、人間を動機づけるものは何かという点に焦点を当てた理論です。マズローによれば、人間の欲求には階層があり、それは低次のものから高次のものへと、①生理的欲求⇒②安全欲求⇒③社会的欲求⇒④自我の欲求⇒自己実現の欲求と階層をなしており、低次の欲求が充足されると、それはもはやモチベーションの要因とはならなくなり、次第に、高次の欲求の充足へと動機付けされるというものです。比較的低次の欲求は基本的には満たされているので、高次の自己実現欲求を充足する必要があると言います。

社員のモチベーションを高めるためには、この高次の自己実現欲求をどのように満たすのかということが重要になってきます。土屋氏も言うように、社員が何のために働くのかを考えるのが大切になるのです。

土屋氏が言うように、会社の夢(経営ビジョン)が語られることがあっても、そこに社員の夢が同居していることはほとんどありません。「ビジョンを共有する」と語られることがありますが、それは会社のビジョンを社員が理解せよということでしかありません。ある意味、会社の夢(経営ビジョン)の社員への押し付けです。それは「会社はこのような夢(ビジョン)を持って進めていくから、お前ら(社員)も同じ夢を抱いて突き進め」というようなものです。そういう会社ではノルマや期限を厳格に管理し、社員にそれを守るように要請します。それは経営者や上司の「不安」の表れです。経営者や上司は、短い期間で多くの目標を設定し、社員個人に責任を振りノルマ化します。社員にとっては押し付けられた夢(ビジョン)のなので、社員自身は本当に納得していないから、仕事が楽しくない・面白くないのです。これではモチベーションが上がるはずはありません。

ワークマンにはノルマも期限もないのです。土屋氏は、「目標、ノルマ、期限があるほど、自発性が下がり、パフォーマンスが下がる」と言います。ワークマンは、社員がやりたいことだけで経営が成り立つことを目指しているのです。「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」ではなく「ワークインライフ(生活の中に仕事がある)」を目指しているというのです。

ワークマンでは、以前、製品開発者には「作業服以外をやってみたい」「独自のPB製品を作りたい」、営業には「作業着だけでは不安」などといった閉塞感がありました。こうした閉塞感を解放すると、すごいエネルギーになるんじゃないかという予感があり、新業態へ行く計画を立てたときも、社員は自分の夢として一所懸命に取り組んでくれたと言います。会社の押し付けではないと分かると、社員はワクワク感を持ち、大きな力を発揮したのです。

ワークマンにおける客層拡大でできた新業態の運営は、社員が「エクセル経営」によるデータを活用しながら、仕事の改善の仮説を立て、現場で試していくものです。ワークマンの「エクセル経営」というのはデータ経営ですが、AIやビックデータ、DXなどによる高度なデータ分析ではなく、エクセルという簡単なツールを全員が使いこなすことによってデータ経営を行うことが重要なのです。ワークマンはFC店が増えても店舗をデータで管理するワークマンの社員は増えていないので、売上高に対する固定費(特に人件費)の比率が年々下がっています。ワークマンは、「仮に売上高が半減しても営業赤字にならない超効率経営になった」のです。

2.社員の気持ちを高める、過激ファッションショー

 ワークマンでは、雨・雪・風が吹き荒れるボルダリングウォールやランウェイの中、ワークマンのウェアを着たアンバサダーがさっそうと登場する「過激ファッションショー」を行っています。これは一つには話題作りですが、社員の士気を鼓舞するという目的もあるというのです。ファッションショーの場所も新宿ルミネや渋谷ヒカリエなど社員が夢が持てる場所にしたと言います。自分たちの会社が「いい意味で注目される存在になった、日の当たる存在になった」と思うことができるようになることが重要になります。 

3.組織論、モチベーション論こそ、隠れた大きなテーマ

 御立氏は、「ワークマンは『社員が楽しく仕事をし、結果的に本人も幸せで、会社も儲かる』仕組みを作っている」と言います。ワークマンの成功は、戦略面やオペレーションで語られることが多いのですが、組織論、モチベーション論こそが裏に隠れた大テーマだというのです。

 ワークマンでは、外部の人よりも内部の人を大切にし、エクセル経営の時も外部のデータサイエンティストに頼らず内部の人間を教育し、内部の社員が成長するのを待つのです。人を育てようとする会社は、10年、20年単位で稼ごうとしています。今年の業績だけを考えれば、外部に頼った方が効果は大ですが、10年は持ちません。時間をかけて人を育てていくことによって長く生き延びることができる企業が生まれるのです。土屋氏は「経営の基本は人だ」と言います。「ワークインライフ」で自分のやりたいことをできる人が多ければ多いほどいい仕事ができ、社員が夢と興味を持ちながら仕事をしてくれたからこそ、客層拡大という難しい仕事をやりきることができ、ワークマンの現状があるのです。

「経営の基本は人」と言い、「人の育成が大切」ということは、先日来書いている「人治」による経営につながるようにも思います。