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トヨタ式「日常管理版」とは?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で4093人、そのうち東京543人、神奈川220人、埼玉166人、千葉145人、愛知207人、大阪1220人、兵庫406人、京都116人、奈良79人、福岡110人、沖縄92人、北海道98人、宮城28人などとなっています。日曜というのに大阪では過去最多を更新し、変異株の急増が止まるところを知りません。山形県の感染者から変異株が検出され、これで全都道府県で変異株が確認されました。変異株の全国的感染拡大は明らかです。東京都の小池知事は、「先手先手の対策が必要」と今週中にも緊急事態宣言発令を政府に要請するように動いていますが、大阪府の吉村知事は、医療崩壊の状況にあるにもかかわらず、いまだに「感染者の推移を見たうえで緊急事態宣言要請を検討する」としています。もはや大阪はそのような時期ではありません。大阪こそ先手先手の対策が必要ですが、すでに時機を逸していると言っていい状況です。

さて、今日は、日経ビジネスの「情報共有が圧倒的にうまくいくトヨタ式『日常管理板』とは」を取り上げます。

トヨタ生産方式と呼ばれる現場マネジメントのノウハウが世界的に注目を浴びています。その中で、トヨタ式「カイゼンは、生産性のムダをなくし業務効率を改善させることが目的とされています。

カイゼンの最も大きな特徴は現場で作業している従業員を中心としたボトムアップであるという点です。現場の人たちが問題や課題を提起し、その改善を図るために知恵を出し合い解決策を考え、さらに将来的な改善策まで考えるのです。

カイゼンは製造業だけでなく、さまざまな業界で取り入れられていますが、改善の根本となる基本原則を押さえたうえで実践することが大切です。

  1. まずは顧客を知る・・・顧客の価値観やニーズを理解してからどうすれば高い満足度を与えられるかを考える。
  2. あらゆる事柄を明確にする・・・これまでの成果や経過をデータとして収集し組織がどのように変化・進化を遂げているかをクリアにして、数値やデータで可視化することで、現場の人間にも具体的なカイゼン活動が伝わり、モチベーションも高まる。
  3. スムーズな業務を目指す・・・全員で真剣に取り組むことで、これまで見えてこなかったムダが見えるようになり、具体的な対策を全社で検討でき、スムーズな業務につながる。
  4. 現場を視察する・・・カイゼンの原則が伝わっているかどうかを確認するために現場を視察する。
  5. 社員全員ができるようになる・・・チームの一体感を生み出し、社員全員がモチベーションを維持するために、できるだけ明確な目標や会社としての方向性を示すことが大切である。目標や方向性が見えてくると、何をなすべきかが見えてきます。

社員のモチベ―ション維持のためにも、実現可能な目標を設定し、それがクリア出来たらさらに大きな目標へと近づけていくことが重要で、そのために現場の協力、ツールやシステムを整えることが必要になってきます。

そこで、役立つのが、本記事のトヨタ式「日常管理板」です。

日常管理板」とは、会社の方針や目標を現場が取り組む課題にブレークダウンして、一枚のボードなどにまとめるという情報共有の方法です。ボードに部署の目標やそれに関係する数値を記入していき、それを人目につくところに大きく掲示し、全員で共有するものです。 

「日常管理板」は「目標の指数に対してうまく進んでいるのか、あるいはよくないのかを明確化するとともにどちらもその要因が何なのかを全員で共有するツールで、生産現場だけでなく、さまざまな現場で取り入られている」ものです。

具体的には、ホワイトボードなどに紙を貼ったり直接文字を書き込んだりして、縦横のマトリックス状にさまざまな情報を詰め込んでいきます。一番上の列には課題に基づく「方針・目標」を掲示し、その下には「達成するための数値目標」としてデータなどを掲示します。一番下の列には「カイゼン・問題解決のテーマと進捗」で、目標達成にひも付く問題について、改善のための対策などを共有します。

ポイントは、これを複数のジャンルについて同列に並べて見えるようにすることです。それぞれのジャンルについて方針・目標から数値目標と進捗が並びます。

例えば、トヨタ生産現場では、ジャンルは「安全」「品質」「生産」「原価」「人材育成」という「5大管理項目」に設定され、それにひも付く目標が、例えば、「品質」なら「不良を作らない」、「安全」なら「職場災害ゼロ」などです。こうすることで、社内で自分の部署はもちろん、別の部署が掲げている目標や進捗も一目で理解できるのです。

日常管理板を活用することのメリットは目標を全員で共有することです。会社が目指す目標と現場で実践していることとが紐づけられ、一人ひとりが自分がやっていることがどのように会社や職場の目標達成に寄与しているかが分かります。目標を達成するための数値の推移や進捗が、日常管理板を通して共有されることで、目標に近づいているかどうかも常にチェックできるのです。

目標を達成したかどうかだけでなく、「目標をクリアしたものの、実は徐々に伸びが鈍化している」という場合もすぐに気づけ、目標未達につながる問題について、事前に対策を打つことができます。

会社の目標とメンバーの役割が明確になっているので、メンバーの仕事に無駄な努力が生まれません。成果となる数値は日常管理板に明示され、マネジャーはメンバーの状況を把握できるので「褒める」「認める」機会が増え、コミュニケーションも増えてマネジャーとメンバーの結束力も高まります。

このようにトヨタ式「日常管理版」は優れた効果を示します。全社的に取り入れるのが難しいというのであれば、一部にでも取り入れて、その効果を確かめながら徐々に広げていけば良いのではないかと思います。