中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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日本企業のマネジメント不在

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で936人、そのうち東京209人、神奈川141人、埼玉41人、千葉91人、愛知46人、大阪57人、兵庫21人、京都9人、広島22人、副科23人、沖縄54人、北海道74人などとなっています。休日のデータとはいえ大幅な減少が却って気になります。東京五輪開催のため、IOCの「はったり男爵」コーツ副会長来日に合わせ、緊急事態宣言解除に向けて着々と裏で工作が進んでいるように思えます。オリンピック開催には反対ですが、いくら国民が声を上げても強行開催されることは間違いありません。強行開催させるならワクチン接種を加速させることです。新型コロナワクチンの職域接種も始まりつつありますが、ワクチン接種率に各都道府県で大きな差があります。佐賀県(全国1位)では65歳以上の高齢者の50%が接種したのに、東京約35%(全国21位)、大阪約29%(全国36位)です。こうした地域格差は準備不足に起因しているように思います。しっかりとワクチン接種の体制を作った自治体が成果を上げています。こうした地域格差は協力金支給にも表れています。時短要請・休業要請を出しながら協力金の支給が大幅に遅れています。これでは反発が出るのも当然です。特に大阪はひどいです。大阪では約50%の支給率で、その原因として膨大な申請数やそれに伴う申請書類の不備、不正請求を巡る精査などが挙げられていますが、大阪の2倍状の申請数がる東京では約90%が支給されていますので、大阪府が挙げる理由は理由になりません。これも準備不足、知事以下公務員の質の悪さなどが原因です。先ずは支給することが先決、不正請求を巡る問題はあとから刑事・民事を含め厳粛に対処すればいいだけです。支給の遅れにより潰れなくてもいい店が潰れたり廃業に追い込まれた時、吉村知事はどう責任を取るのでしょうか。

さて、今日はダイヤモンドオンラインの「日本企業の95%は『井の中の蛙』、なぜマネジメントが不在なのか」という記事を取り上げます。

日本企業の多くは、令和になり新型コロナで疲弊するなかでも、平成時代の経営を引き継いだままで、変化やチャレンジには臆病になっています。この記事は、東京都立大学の松田千恵子教授(専攻:経営戦略)に日本企業の「マネジメント不足」について聞いた内容をまとめたものです。

松田教授は、日本企業は二極化が進んでいて意味ある変革の渦中にある企業も増えているものの、進化する企業は5%程度で、残りの95%は相変わらず「井の中の蛙」だと言います。しかも、両者に共通する加地は共通で『マネジメント不足』なのです。

昭和から平成にかけての成長期では、企業を取り巻く環境も、カネの面ではメインバンクシステム、ヒトの面では終身雇用や年功序列という日本型経営システムによって安定しており、経営者は事業拡大に集中していればよかったのです。今は批判される多様性の欠如も均一性の高さと評価され、効率を上げるのに役立ちました。しかも、国内市場は比較的大きく多くの企業が十分食べて行ける状況でした。現在求められているようなマネジメントなど必要がなかったのです。確かにおマネジメントには歴史もあり、昭和の経営者たちもマネジメントを学んでいましたが、現実にそれを使う必要がないというか、使う場がなかったのです。

1.マネジメントの3つの要諦

 マネジメントには大きく言って3つの要素があります。それは 戦略、経営管理、経営人材の3つです。日本にはこの3つが欠けています。 

  1. 戦略・・・マイケル・ポーターは「日本の大企業には戦略がない」と常に言っていました。これは経営者が仕事をしていないと言われたようなものです。
  2. 経営管理・・・財務経理部門を例にとれば、ファイナンスの視点でバランスシートをマネジメントできる人材が不足しているということです。
  3. 経営人材・・・日本では出世街道を上って経営者になりますが、そういう人たちが経験してきたのはオペレーションであってマネジメントではありません。オペレーション管理とマネジメントでは視点やスキル、使い方が違います。

2.3つの欠如に対する解

 90年代後半の金融ビッグバン以降、日本企業も変革を求めるようになり、欧米型の経営への関心が高まってきました。しかし、それは一種「流行り」のようなもので、その裏にある本質的なところを理解し進めていかないと意味はありません。表面だけを真似て、マネジメントがうまくできていないという状況なのです。

 これまで出世街道を上りながらオペレーションのスキルは磨いていても、マネジメントについて学んだり悩んだりしたことがない人が「さあ、マネジメントするぞ」となっても経験がないのでゴールが見えないし、ゴールが見えないからやるべきことの手順を理解できないのです。だから取り組みが中途半端になり、行動変革が起こらず、人気が短いので尻切れトンボで次にバトンタッチという状況が繰り返されるのです。

 本人は真剣に取り組んでいるのでしょうが、客観的に見れば危機感とスピード感が不足しています。真面目な人ほど「まずは勉強してから」となります。しかし、学習することとそれが現場で役に立つかは全く別次元の話です。座学の勉強をしても実際の経営にそのまま役立つとは思えません。机上の学問では意味がありません。進化する企業は、将来のマネジメント人材を選抜して、例えば海外法人のマネジメントポジションを経験させるなど、修羅場で鍛えています。そうしたジョブローテーションを戦略的に行って行くことが大切です。

3.子会社の経営を任せて、マネジメント・トレーニングをする

 多くの企業では、成功したはずの執行役員が、失敗が怖くてチャレンジできない、経営トップの意に沿う行動しかしないというのが現状です。それでは多様な視点を取り入れた健全な議論のない中で経営トップの意志決定に追従するだけになってしまいます。変化だ、チャレンジだ、多様性・ダイバーシティだが叫ばれていますが、組織にいる安心感や組織の慣性に引っ張られ、結局、同調圧力が働きマネジメントは変わらないということになります。

 しかし、一部には、失敗を糧にワールドクラスに比肩するマネジメントを再構築している企業があります。斬新な発想をする役員が率いる企業は進化しています。そのホトンだが海外拠点で組織の長を経験しています。組織を統率する権限と責任を駆使してグローバル市場で戦い、日々修羅場を生き抜く中でマネジメント・トレーニングをしてきたのです。海外の子会社はマネジメントスキルがしd津最適な場なのかもしれません。しかし、中小企業では海外に拠点がないという企業も多いのです。こうした場合には、国内の子会社や特定の部署を完全に任せてみるということでも、マネジメント・トレーニングはできるはずです。それには、自分で考え、自分で決めて組織を動かすという経験をさせることです。これは人を育てるということです。能力の高い人材を選抜する、適切な場を与える、という当たり前のことを粛々と行っていくことで、若い人材も育つのです。トップが代わると、戦略も人材育成方針も変わるようではいけません。仕組み化するということが重要です。

4.戦略とは、取捨選択である

 松田教授は、「戦略とは取捨選択である」と言います。複数のオプションを準備して、検討を重ねて、1つを選んだら他は捨てる、これが戦略です。それができないから、あれもこれもと中途半端になってしまうのです。

 松田教授が言われる通り、戦略は取捨選択です。しかし、選んだものが正しいとは限りません。リスクのない確実な意思決定はありませんし、当然、確実な戦略もありません。間違えたら、気づいた時点で柔軟に対応して、修正していけばいいのです。

 松田教授は、「戦略策定の勉強と、意思決定のオプション準備と、リスクをとる胆力が備われば、あとは行動あるのみ」と言っています。先ずは行動を起こして場数を踏んで経験していくこと、その先にリーダーとしての責任、リスクをどうとるかの解が見えてきます。