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「褒める技術」の落とし穴

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2191人、そのうち東京920人、神奈川250人、埼玉157人、千葉139人、愛知85人、大阪151人、兵庫36人、京都24人、福岡43人、沖縄58人、北海道67人などとなっています。東京は近日中に1000人を超える勢いで感染が拡大し、政府は11日で期限が切れるまん延防止等重点措置を緊急事態宣言発令に切り替えることを決定しました。また、大阪・神奈川・埼玉・千葉に出されているまん延防止等重点措置は延長する方針で、北海道・愛知・兵庫・京都・福岡については解除するようです。しかし、昨日の状況を見ても全国的に増加の兆しが見られます。県境に壁はありません。ウイルスは自由の出入りします。解除した地域に再発令とならないことを願います。東京に出される緊急事態宣言の期限は来月22日までとのことで、オリンピックの期間中は緊急事態宣言で自粛が迫られます。国民に自粛を強いながら、一方でオリンピックは強行開催。国民の健康や命にリスクを課してまで行うべきことですか?菅首相は、どの口で「安心安全なオリンピック」「コロナに打ち勝った証」というのですか?今もその言葉を口にできますか?もはやオリンピックは単なる商業イベントにしかすぎません。何のため・誰のためのオリンピックか明確に説明してもらいたいものです。

さて、今日は、Forbes JAPANの「『褒める技術』の落とし穴」という記事を取り上げます。これまでも部下の育成方法について書いていますが、部下に対して「認めて、任せて、褒める」ことが大事ですし、ミスを犯した時には「叱る」ことも必要です。「部下の叱り方」については、6月1日に書いていますので、参考にしてください。

若手社員の中には、「自分の上司は褒めてくれない。褒めると負けだと思っているようだ」という不満を抱いている人もいますし、一方で上司は「もう学生や子供ではないので褒めてほしいという甘えは捨てるべきだ」という意見もあります。

元来、日本は、ベネディクトが「菊と刀」で言ったように、罪の文化ではなく恥の文化です。今の若者だけでなく、昔から曖昧模糊とした甘えの中で生活しています。親や教師、社会も本当にその人のことを思って叱るということができていないのです。叱るための基準が明確でないからです。「叱る」というのは、本当に相手のことを思っていなければできません。相手のことを思っていなければ、それは怒りに任せた感情にしかすぎなくなります。「叱る」というのは、相手に対するどのような思いを抱いて言葉を発するのか、「この一言で、部下が持つ素晴らしい可能性が開花してほしい」という思いをもって、真剣に部下にその言葉を響かせようとすることであって、ある意味「命がけ」なのです。だから、昨今の上司は、「部下にアドバイスしたい」「成長してほしい」と思いながらも、黙っている方が無難ということになってしまいます。

これは、「叱る」ことだけでなく「褒める」ことにも、同じことが言えます。

「叱る」ことはできるが「褒める」ことは苦手という人がいます。そういう人は、自分が本当に「叱る」ことができているのか考えてみてください。本当に部下のことを思い心から「叱る」ことができているのか、怒りや苛立ちの感情から相手を非難しているだけなのか、考えてみることです。「褒める」ことも、相手のことを思って心から「褒める」必要があります。単に口先だけ、上辺だけの褒め言葉など、相手の心に響きません。それでは、部下の成長など期待できません。

「叱る」ことが苦手な人は「褒める」ことも苦手で、本当に「叱る」ことができている人は「褒める」こともできるはずです。

この記事では、「褒めり技術」や「褒める言葉」に関する本が流行っていることに警鐘を鳴らしています。昨今の「褒める技術」や「褒めり言葉」といったものに依拠したマネジメントには「危うい落とし穴」があるというのです。その「落とし穴」というのは、「操作主義」です。これは、「褒める技術や褒め言葉」を用いるとき、上司の心の中には、「このように褒めれば、部下は喜び、自分についてくる」「こう褒めれば部下のモチベーションは上がり、仕事の成果も上がる」といった発想、「部下を思い通りに動かしたい」という密やかな「操作主義」があるということです。

先ほども書きましたように、「褒める」場合も「叱る」時と同じく、相手を思いやる心がなければなりません。上司の心の中に「自己中心的な発想」や「無意識の傲慢さ」が垣間見られるとき、部下は反感を抱くことはあっても、上司に共感することはなく、良い結果をもたらすことはありません。

部下を褒める時には、「タイミング」や「ポイント」も重要ですが、それ以上に大切なのは、どのような「思い」を込めて褒めるのかということです。ここでも、「叱る」ときと同じように「この言葉で部下が持っている素晴らしい可能性が開花してほしい」「(仕事だけでなく人間としても)成長してほしい」という思いを抱き、その思いを言葉に込めて、部下の心に響かせることです。部下に対する温かい思いと愛情、「自分の一言に部下の人生がかかっているという覚悟」が必要なのです。まさに「褒める」ことも「命がけ」なのです。

次に、東洋経済ONLINEの「褒めるのが苦手な人に欠かせない3つのコツ」という記事を取り上げます。

誰でも、努力して結果を出した時や仕事で成果を上げたときには褒めてもらいたいものです。褒めてもらえなければむなしくなってしまいます。褒めるということは、感謝の気持ちを表し、相手のモチベーションを上げることにつながるのです。

それでも、褒めるのは苦手という人に対して、この記事ではとっておきの3つのコツが示されています。

  1. 褒めない褒め方=「他の誰かが言ったこと」にして褒める・・・「褒めると偉そうだ」「褒めるガラじゃない」と思う場合、「部長が言っていたよ」などほかの人が言っていたようにして褒める。相手も、直接褒められたわけではないので喜びの感情を表しやすい。その上で、「自分も(部長と)同じように思う」などと褒め言葉を付け加える。
  2. 時間差・褒め=すぐに褒めずに後で褒める・・・すぐに「いいね」「すごい」とほめるのではなく、忘れた頃に「そういえば、あれはよかった」と時間差で褒める。「そんな前のこと、細かいことをよく覚えてくれているなあ」と相手は嬉しくなる。そのためには記憶、「いつ・どこで・何をした」という具体的な内容が必要になる。
  3. 「言葉」より「顔」=表情で褒める・・・口先だけの言葉よりも顔に気持ちを表すことが大事だ。本心で相手をたたえる気持ちが一番相手に響く。

この記事でも、言葉だけでなく、本心で気持ちを伝えることが相手の心に響くと言っています。

「叱る」ことも「褒める」ことも、相手を思いやる心が一番です。そのためには普段から相手とのより良い人間関係、信頼関係を築いていることが大前提です。普段から対話や雑談を通じて共感していることが重要なのです。