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パワハラにならない叱り方

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1万6814人で、累計で900万人を超えました。1ヶ月強で100万人増加しており、減少傾向にあると言っても、毎日1万人以上が新規感染しています。こうした状況の中、今日から訪日外国人旅行者の受け入れが2年2ヶ月ぶりに再開され、いわゆる「県民割」も来月から近隣県から全国に広げられるようです。新型コロナはこのまま終息するのではなく、再び新たな変異株が生まれ感染拡大に転じる懸念も残されています。いつも書いていますが、アクセル全開でなくうまくブレーキを使いながら、臨機応変に対策をとってもらいたいものです。

さて、今日は、現代ビジネスの「あなたも使っているかも?部下にストレスを与え『燃え尽き』させる上司のNGワード」という記事を取り上げます。

以前、「燃え尽き症候群」についても書きましたが、燃え尽き症候群とは、仕事との関係で言えば、今まで熱心に取り組んでいた人が急に意欲を失ってしまう状態で「バーン・アウト」とも呼ばれます。

燃え尽き症候群の兆候としては、無気力や感情のない状態、仕事への熱意や意欲の欠如、相手にいい加減な態度や適当な態度をとってしまう状態などです。遅刻や欠勤が増え、仕事中にボーッとしている状態が多くみられるようになります。

燃え尽き症候群の症状としては、次の3つが挙げられることが多いです。

  1. 情緒的消耗感=仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態 ①自分の仕事がつまらなく思える ②体も気持ちも疲れ果てたと思う
  2. 脱人格化=無常で非人間的な対応 ①顧客や同僚などの顔を見るのも嫌だ ②顧客や同僚などと何も話したくないことがある
  3. 個人的達成度の低下=仕事を通した達成感の低下 ①こまごま気配りをするのが嫌になる ②仕事の結果がどうでもよくなる

こうした燃え尽き症候群は、コロナ禍で明らかに増えてきています。「自社の従業員が情緒的・メンタル的に充実している」と答えるリーダーの割合は低く、「燃え尽き症候群が原因でハイパフォーマー(業績の高い人材)が退職する可能性がある」と考えているリーダーは多いのです。

燃え尽き症候群のために、売上やイノベーション、生産性が低下し、更にこれらを牽引していた優秀な人材が退職するという事態になれば、企業は大きな痛手を被ります。それにもかかわらず、従業員の燃え尽き症候群に対する対策をとっている企業は少ないのです。

1.部下を燃え尽きさせる上司とは?

 上司の一言が、部下の心を傷つけ、燃え尽きさせているかも知れません。パワハラにならなくても、上司の言葉が部下にストレスを与え、やる気をそいでしまうケースは多いのです。部下にストレスを与え、やる気をそぎ、最終的には燃え尽き症候群に陥らせる上司の言葉とはどのようなものでしょうか。

 一つは「たら・れば言葉」です。

 「一本電話を入れ確認していたら、こんなミスは起きなかった」「もっと早く報告してくれれば、カバーできたのに」というように「たら」「れば」という言葉を使って、過ぎてしまった過去を蒸し返し、失敗した部下を責める表現です。もちろん失敗やトラブルがあったときに原因を分析し、反省することは大切ですが、追求が過剰になっているのです。繰り返しになりますが「失敗は成功の母」であり、失敗を成功につなげるためにはネガティブな批判や責任追及ではなくポジティブな言葉で次へとつなげていくべきです。原因をしつこく掘り返すよりは、今後どうするかという前向きな改善策等を話し合いアドバイスすることです。

 もう一つは、「ねば・べき言葉」です。

 「これは我が社のルール、どんなことがあっても守らねばならない」「分からないことがあれば、部下自ら相談に来るべきだ」というように「ねば」「べき」という言葉を使って、頭ごなしに命令口調で言うことです。言っている内容は正しいことですが、こうした表現で言われると、反発を招き拒否反応が出ます。

 正しいが故に、部下がそれに見合った行動を取らなければ、強い怒りを感じ、感情的に頭ごなしに叱責してしまうこともあります。正しいことであれば、感情的にならず、正しい方法で伝えることです。正しい方法で伝えれば、部下は反発することなく、理解して受け入れます。

 一方で、パワハラを恐れて、何も言えずにいる上司も結構います。部下に対して何も言えず指導できていないというのであれば、これは組織としても間違っています。

 パワハラにならないように感情をコントロールしながら叱るときには叱らなければなりません。そのためには、いつも言うように、よりよい人間関係・信頼関係の構築が重要です。

2.パワハラにならない叱り方

 部下の指導方法については、いつも言うように、「認めて、任せて、褒める」ですが、ミスをしても褒めると言うことではありません。叱るときには叱らなければならないのです。叱らなければならないときに叱らなければ、部下は成長の機会を失います。 

 褒め方にしろ、叱り方にしろ、小手先の技術ではありません。あくまでも前提にあるのは、部下との人間関係・信頼関係です。信頼関係もないのに小手先だけでやろうとしてもうまくいくはずはありません。ここで重要なのは、コミュニケーションを通じてよりよい人間関係・信頼関係を構築することです。そのためには、相手のことを心底思い、相手の心に響く言葉を掛けることです。その際、言語化にこだわる必要はありません。コミュニケーションは言葉と想いのキャッチボールですが、もとはと言えば、人と人との関係をよくし、信頼関係を構築するものです。コミュニケーションは言葉だけで構成されているのではなく、そこには表情、身振り、行動、間などの言語以外の要素も大きく作用しています。言語化ばかりにとらわれ、拘りすぎていたのでは、上司の部下への思いがないがしろにされてしまいます。

 言葉にとらわれず、つたない言葉であっても、部下の心に響くような言葉であれば、部下は素直にその言葉を聞き、上司の想いを理解し、行動してくれるでしょう。

 この記事では、パワハラにならない叱り方として、次の4つのポイントが上げられています。

  1. 叱る前に一呼吸置く・・・怒りを感じたときに6秒我慢できれば怒りのピークは過ぎると言われています。深呼吸して一呼吸入れることで感情が抑えられ、冷静に叱ることができます。
  2. 指導が必要な具体的な行動に焦点を当てる・・・具体的な出来事を取り上げて叱ることです。抽象的に叱っても、叱られた方は、何が悪かったのか、どうすればいいのか判断できません。
  3. 性格の非難や人格の否定はNG・・・当然のことです。感情にまかせて性格や人格批判をする人が見受けられますが、これは絶対にやってはいけないことです。叱る前に一呼吸置き、怒りなどの感情がコントロールできれば、このようなことはしなくなります。
  4. 指導が部下にどう伝わったか、確認する・・・指導後のフォローや声かけは重要です。指導したつもりが、相手には否定や批判と受け取られていると言うことはよくあります。コミュニケーションに齟齬が起きていないか、十人に確認し、精神面・感情面ともにフォローすることです。