中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

オフィス改革から始める働き方改革

f:id:business-doctor-28:20210707080717j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1670人、そのうち東京593人、神奈川198人、埼玉137人、千葉138人、愛知52人、大阪136人、兵庫34人、京都20人、福岡43人、沖縄62人、北海道34人などとなっています。東京は先週火曜日より117人明らかにリバウンドしていますし、大阪もリバウンドの傾向が見られます。繁華街をはじめ各地の人出は増加していますし、望みの綱であったワクチン接種も供給不足で滞っていますので、リバウンドするのも当然と言えば当然です。東京五輪選手村スタッフがルールを破り4人で会食しそのうち2人がコロナに感染しました。また1日以降大会感染者の9人が陽性になったと発表されています。東京五輪まで20日を切りました。いかに隔離をしコロナ対策を行ったとしても、ちょっとしたルール違反や油断でコロナは感染します。ここにきて国民が「中止」を叫んでも強行されるのは目に見えているので、せめて東京五輪がコロナ五輪とならないことを祈ります。

さて、今日は、JB pressの「『働き方改革』先進企業・損保ジャパンのオフィス改革に学ぼう」という記事を取り上げます。

この記事では、損保ジャパンが、働き方改革に伴うオフィス改革をどのように進めていったのか、「オフィス改革におけるデジタル活用術」について書かれたものですが、働き改革の1つとして、どのような組織、企業においても容易に取り入れることができるもので役に立つと思います。

1.オフィス改革

損保ジャパンは、比較的早い段階から働き方改革に取り組み、2018年にはすでに、テレワークをはじめとする、多様で自由な働き方をするための設備や制度などの環境を整えています。しかし、当時はコロナ禍とは違い、そういった環境を活用する社員は少数で、働き方改革を推し進めるために「従来とは違う環境の中で仕事をする」ということにトライアルできる場所づくりを始めています。

例えば、食堂の一部に、働くことも食事もできるワークプレイスをつくりWi-Fiを飛ばしたり、執務エリアにあるようなデスク以外の机を置きリラックスできる空間を作ったりしています。こうした空間、環境を作ることによって、これまで馴染みのない「自由な働き方とはどういうものか」「自分には合うのか」を体験できるようにしたのです。

 また、このワークプレイスを夕方からは「損保ジャPUB」という名前のパブにして、酒を飲みながら参加できるイベントを開催したり、仲間同士で学び合ったり、語らい合ったりできる場にしています。

 このように、「本当の働き方改革」は、「働いたり、イベントで楽しんだり、学んだり、色々なことができる場を提供する」ことからスタートさせているのです。

 そして、損保ジャパンでは、部分的にオフィス改革に取り組んでいるうちに、本社全体をリニューアルしたいという話になり、総務部門だけで企画を進めることは難しく、全体からリニューアルプロジェクトの推進メンバーを募集することになります。このプロジェクトメンバーにより本プロジェクトの目的とそのための実施する企画が決められます。「従来の働き方にとらわれずに、イノベーションを起こしていける場。そのためのワークプレース」を作るということです。具体的には、

  • イノベーションが起こせる場
  • 選べる働き方、セクションができる場
  • 安心・安全・健康でリラックスできる場
  • 上記の3つが備わったワークプレイス

です。

 その中で、最初に出てきた食堂もリノベーションが行われ、食事以外の時間は、ワークプレイスとして打ち合わせや仕事ができる場に完了さえ、ヘルスという観点からグリーンを取り入れたり、食事の質を見直したりと健康面での支援ができる場に作り変えられています。

 食堂のリニューアルが完成したのは2020年3月で、コロナの影響もあり、十分な活用話されていないようですが、コロナ後を見据えて、どう活用していくべきかが議論されているということです。コロナ下で出社率が減少し、テレワークの普及の手伝い、必要なオフィス面積も大幅に減少しています。

 「オフィスは必要ないのか?」と言うと、そうではなく、オフィスに来るからこそはかどる仕事もあるはずです。そうなると、本当に必要なオフィスとはどのようなものかが重要になってきます。そのため、損保ジャパンでは、必要でなくなった面積で浮いた賃料によって、オフィスをさらに「あるべき姿、くるべき姿」に変えていくようにしているのです。つまり、オフィスを集約し、浮いた賃料をオフィス変革の投資に使うということです。

2.デジタルの活用

 損保ジャパンでは、オフィス改革を行うのであれば、このタイミングでデジタル化にも取り組むのが効率的であると判断されました。具体的には、ファシリティ・マネジメントの視点からBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用して数値化・データ化できないかということです。

 ファシリティ・マネジメントとは、「企業や団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動」のことです。これは、従来の「設備管理」「施設管理」とは異なり、企業等が保有・使用する全施設資産およびその利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画・管理・活用するものです。

 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は、建築に関わる人が活用できるビジネスとデザインを変革するワークフローで、コンピュータ上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕入れ、管理情報などの属性データを追加した建物のデータベースを、設計、施工から維持管理まであらゆる工程で情報活用できるものです。

 BIMとファシリティ・マネジメントを結びつけることで、デジタル技術を利用した経営戦略的な施設の企画・管理・活用を図ろうとしたのです。 

 出社人数に対する必要面積やオフィスに関するコストなど、あらゆることがデータ、数字化され、ひと目で確認できるようになっているのです。図面だけ見て、そこからどんなものが完成するかは難しいですが、BIMを活用し視覚化できれば、色々な判断もスピーディーに行えるようになります。

 働き方改革を進めるうえで、制度や環境を整えるだけでは不十分で、「体感」できるような場所を作っていくことが重要です。

 しかし、今すぐすべてを作り込むことは困難です。だからこそ疑似体験としてデジタルを活用していくことが有用になるのです。

以前から何度も言っていますが、働き方改革にしろ、デジタル化にしろ、それ自体が目的ではありません。それは自社が抱えている課題・問題の解決や目的を達成するための手段にしかありません。自社が抱えている課題や問題をあぶり出し解決するために、あるいは自社の目的・目標を達成するために、どのような働き方改革やデジタル化が適しているのかを検討し、少しずつ必要に応じて少しずつ取り組んでいくことが大切です。

そのために、働き方改革の第一歩としてオフィス改革に取り組むことは有用だと思います。そこから自社に合うように少しずつ言勧めていけばいいのです。