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組織文化とウイニングカルチャー

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5020人、そのうち東京1763人、神奈川531人、埼玉449人、千葉279人、愛知109人、大阪471人、兵庫138人、京都80人、福岡162人、沖縄209人、北海道113人などとなっています。東京など日曜としては過去最多を記録し、沖縄も先週日曜に比べて約3倍となっています。検査数が少ないにもかかわらずこれだけの感染者が出ているというのは、かなりやばい状況にあります。政府は東京五輪一辺倒でまともに新たに感染防止策を取ろうとせず、人々はコロナ慣れ・自粛疲れで出歩き、これでは感染が拡大するのもやむを得ません。無為無策、無知無能の政府やルールを守らない人に何を言っても始まりません。もはや自分の身は自分で守るしかありません。

さて、今日は、日本の人事部の「変化の時代に勝ち続けるのは『自分たちにとってのウィニングカルチャー』を問い続ける企業。自社を知ることから組織文化改革の第一歩が始まる」という記事を取り上げます。

今は、先が見通しにくいVUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)の時代であると言われています。

これまでは、売上高、シェア、株価といった目に見えるもの、可視化できるものが重視され、それが基準となっていましたが、VUCAの時代では、目に見えるものだけでなく、目に見えないものにも大きな価値があるという事実の向き合わなければならなくなってきています。企業は、単に売上や利益を追求だけではなく、環境への配慮、法律の順守、人権擁護、労働環境、消費者保護といった社会的責任を負っています。これらは目に見えないものです。

この記事では、ケン・ウイルバーが提唱したインテグラル理論(個人の内面/外面、組織の内面/外面の4象限に分類して物事をとらえる)によって、目に見えていたものは個人や組織の外面、目に見えないものは個人や組織の内面ととらえています。こうした捉え方は短絡的すぎるように思うのですが、事案を簡略化するにはよいでしょう。敢て否定や批判はしません。

この内面にある目に見えないものの一つに「組織文化」があります。変化の激しい時代に対応できる強い組織を作るために重要な役割を果たすのが「組織文化」です。

「組織文化」というのは、組織の構成員間で共有されたものの考え方、ものの見方、感じ方に基づく組織全体の行動原理や思考様式のことです。

「組織文化」に似たもので組織風土というのがあります。両者を同列に論じることもありますが、組織風土は意図的ではなく自然に醸成されたもの、いつのまにか定着してしまった組織の習慣で、意図的にデザインし計画的に介入していく組織文化とは異なります。

この記事では、「組織の中で何となく共有している、自然と無意識的に共有してしまっている癖や雰囲気」を組織文化と呼んでいます。その意味では、厳密な組織文化というよりも組織風土も含めた広い意味での組織文化のように思います。これからは、ここで述べられているように広い意味で「組織文化」という言葉を使います。

組織文化は企業の成長につながるものであることが重要で、成長を阻害するような組織文化は変えていかなければなりません。

しかし、組織文化改革はなかなか難しいものです。

1.悪い組織文化は「まっさらな人」も飲み込んで拡大する

 組織文化は、新しく組織に加わった「まっさらな人」も徐々に染めていきます。組織に入り、その組織の組織文化に由来する人の言葉や行動に違和感を覚えても、抵抗できないストレスを感じながらも、その違和感を飲み込んでしまうのです。そうして、「まっさらな人」も徐々にそうした組織文化に染まっていくのです。良い組織文化に染まるのならいいのですが、悪い組織文化に染まれば最悪です。

 組織文化を変革することは容易ではありません。組織文化に違和感を覚えてもアクションを起こさなければ組織文化は変わりません。この記事では、変われない組織の背景には、何かしらの恩恵を受けている人がいるからではないかと言っています。現在の組織文化から利益を得ている人が一部にでもいれば組織文化を変えることは容易ではないのです。なぜなら、こうした利益を得ている人は経営のトップにいることが多いからです。

2.声を上げるだけでは組織文化は変わらない

 組織文化を変えていくには相当な時間と労力が必要です。現在の組織文化の恩恵を受けている人が組織の上層部にいればなおさら難しいでしょう。中間管理職やミドル層がいきなり声を上げて組織文化を語って変えようとしてもかえって危険です。「なぜ、今のような組織文化になってしまったのか」を考察し、言及し、どれくらいの仲間が必要で、どれくらいの期間が必要なのかを考えたうえで行動を起こすべきなのです。いきなり行動を起こしてもかえって共感を呼ぶどころか反感を買うだけです。慎重に行動しなければなりません。そもそも、組織文化というのは長い時間をかけて培われてきたものです。一朝一夕で変えることなどできません。変革するにも長い時間が必要なのです。

3.他社に勝つことではなく「自分たちにとってのウイニング」を考えるべき

 企業である以上他社との競争に勝たなければなりません。競争に負けて市場から撤退せざるを得なくなれば、企業として生き残ることはできません。しかし、勝つことだけがすべてではないはずです。他社との競争に勝つことよりも、人や地球にやさしい・良いことをする方が大事ではないかと考える企業も出てきています。でも、そうした考えができるのは敗者ではないからでしょう。

 勝ち負けというのは、個人や企業にとっても様々です。他社・他人との競争での勝ち負けもあれば、自分(自社)との戦いでの勝ち負けもあります。自社にとっての「勝ち」とは何かを考えてみることが重要です。

 この記事では、「そもそも、なぜ勝つべきなのか?」「勝つとは何なのか?」を問い続ける文化をウイニングカルチャーと読んでいます。

ウイニング(勝つ)の定義と言えば、企業では売上高や利益・株価、スポーツでは勝利や優勝ですが、ビジネスでもスポーツでも結果的に勝ち続けているのは「自分たちのウイニングの定義」を明確に示しているところです。

 企業・ビジネスで言えば、「生きたビジョンやミッション」を持っている企業です。自分たちのウイニングを定義していけば、それはビジョンやミッションを重なり合う部分が大いにあるはずです。

4.これからはオンラインを前提に組織文化を作っていかなければならない

 「ウイニングカルチャー」のある組織を作るには、まず「自社を知ること」です。「自社を知ること」で自分たちが気づいていなかったことがたくさんあることが明らかになります。それらを「自社は外部からどう見えているのか」と照らし合わせていくことで、組織文化の現在地が明らかになります。

 コロナ禍で、テレワークなどの新しい働き方が導入されましたが、コロナ後にも完全に元に戻るとは思われません。テレワークやオンライン中心の状況が続いていくとすれば、組織文化もこれらを受け入れたうえで作り替えていかなければならなくなります。

組織文化を変えていくこと、新しくい組織文化を作っていくことは根気や時間がいる作業です。明るい未来像を描きながら、長期的な視野で向き合わなければなりません。

この記事でも言っていますが、「組織文化には単一の正解はない」ということです。それぞれの企業にとって「自分たちにとってのウイニング」が違っている以上組織文化も様々です。また「自分たちは良い企業文化を作った」と満足してしまうと、知らないうちに世の中からは取り残されてしまうことにもなります。組織文化は進化し続けなければならないものなのです。