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社内の「同調圧力」に対する対処法

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で24,976人、そのうち東京4704人、神奈川2632人、埼玉1709人、千葉1396人、愛知2141人、大阪2830人、兵庫1007人、京都608人、福岡992人、沖縄680人、北海道504人などとなっています。オ愛知、大阪、京都をはじめ、7府県で過去最多を更新しました。東京では4日連続で前週の同じ曜日を下回りましたが、検査が追い付かず(検査数が減っている)、同じ数くらいの「隠れ感染者」がいるとの指摘もあります。東京商工リサーチによればコロナ関連の破綻が2000社に迫ろうとしています。これは東日本大震災後10年間の震災関連破綻に匹敵する数字です。今まではコロナ関連融資や政府の支援で何とか持ちこたえていた「破綻予備軍」が多数存在し、今後、政府が迅速かつ適切な措置を取らなければそれが顕在化する可能性は高いと思われます。国民の安全安心を守ることもできず、経済の破綻を招き企業を窮地に陥れる(アトキンソンの『中小企業不要論』を信奉する菅首相としては思い通りかもしれませんが)菅政権は早急に退席してもらいたいものです。自民党総裁選が9月29日投開票と決まりましたが、相変わらず「派閥の論理」で動いています。派閥の論理で行けば菅再選もあり得ます。少なくとも今回は前回と違い、党員投票も行われますが、どちらにしても、国民が選ぶわけではありません。国民が選んだわけではない自民党総裁が一国の首相になるというシステムは改めるべきです。国のリーダーは国民自身が直接選出する大統領制を導入すべきです。いずれにしても、このコロナ禍という緊急事態で、臨時国会も召集せず、政局を放置して総裁選に没頭するというのはいかがなものかと思います。奇しくも石破茂氏が言うように、「今は政局よりもコロナ対策を優先し、与野党が知恵を出して国民の不安を払拭すべき」です。一昨日、菅首相は「明かりがはっきりと見えている」と言いました。しかし、国民の目には明かりは見えません。国民は、長い真っ暗なトンネルの中を、出口も見えずに不安を抱えながら手探りだけで進んでいます。菅首相や政府がやるべきことは、国民が出口に向かって堂々と進んでいけるように国民の足元をしっかりと照らすことです。今は、コロナ対策を最優先にし、総裁選は衆議院選挙後でいいと思うのですが。

さて、今日はダイヤモンドオンラインの「社内の『同調圧力』への正しい対処法 組織論の専門家が解説」という記事を取り上げます。この記事では、「同調圧力の正体」(PHP新書)の著者である太田肇・同志社大学政策学部教授が、日本特有の「同調圧力」について解説しています。

コロナ禍になって「同調圧力」という言葉がメディアで使われる頻度が増えています。そこでは「同調圧力」という言葉がネガティブな意味合いで使われるのが一般的ですが、三省堂大辞林では「集団での意思決定の際に多数派の意見に同調させるように作用する暗黙の圧力」と書かれています。「同調圧力」とは、自分の考えや意見と異なる判断基準を他者から押し付けられ、その押し付けられた判断基準に基づいて行動してしまう時に感じるものです。それは、押し付けた側が多数派であり、その多数派の判断基準に従わないと何らかの不利益を被るかもしれないと感じてしまうことから生まれるものです。このように「同調圧力」という言葉は、少数派の視点に立った言葉で、多数派からすれば、少数派は集団全体のことを考えない「自分勝手」「自己中心的」な理不尽な存在と映るのです。

集団の構成員全員が同じ意見や考えを持っていれば「同調圧力」は存在しません。1000人の中の1人が多数派に反対する意見や考えを述べても「変わり者」と相手にされず「同調圧力」が問題になることはありません。それが10人、100人、200人と増えるにつれて、反対意見を無視することができなくなり、少数派の意見も取り上げられるようになるのです。そうなると少数派としても自己主張をさらに強め、多数派を「同調圧力」と批判するようになります。このところ「同調圧力」という言葉が頻繁に使われるようになったのは、マスコミやSNSの影響からそれだけ少数意見が取り上げられ、力を持ってきたからではないかと思います。

1.日本で同調圧力が発生する3つの要因

 太田教授は、日本の同調圧力の発生について3つの要因があると言っています。

  1. 閉鎖性・・・日本は島国であり他国に比べ移民も少ない。企業では終身雇用、年功序列企業別組合があり、転職による移動もしにくく、閉鎖性が強い。
  2. 同質性・・・日本は他国に比べ異民族の割合が低く、宗教や価値観、文化に大きな違いがなく、同質性が高い。
  3. 個人の未分化・・・日本では、個人ごとに仕事が割り当てられるのではなく、チームや課で行うことが多い。学校でも地域社会(町内会等)でも共同作業が重視され、組織だけでなく社会全体で、個人よりも全体を重視するきらいが強い。

2.SNSの普及で同調圧力が過激化

 日本では、共同体の一員と自覚し、帰属することで精神的な安定を得ようとする「共同体意識」と絆や結束を謳い一致団結を最優先する「共同体主義」がありました。このような共同体主義が戦後日本の復興には大いに役立ってきたことは否定できません。

 しかし、IT化やグローバル化に伴い大きく変わった社会の中で、従来の閉鎖的・同質的な日本の社会構造や企業の体制では上手く回らなくなってきました。

 太田教授は、「同調圧力を表面化させ、さらに過激にしているのはSNSだ」と指摘します。かつての同調圧力はタテ方向から与えられていたのに、現在ではSNSに代表されるヨコ方向の圧力が強くなったというのです。かつては政府などの体制側からの圧力、無際限な貢献を求める企業のルール(騎乗組織からの圧力)、上司からのパワハラといった上から同調圧力タテ方向の圧力)ですが、今ではSNSなどの姿も見えず名前もわからない人からの水平方向からの圧力(ヨコ方向の圧力)が強力になってきているのです。

 タテ方向の同調圧力には「権力」や「序列」が前提としてあるのですが、ヨコ方向の同調圧力には「正義」が前提としてあります。しかも厄介なのが、「正しい正義」だけではなく、本人が正義と信じる「間違った正義」も多いのです。SNSの無数の声によって、仮に間違っていたとしても「正義」のお墨付きが与えられると、それに異を唱える者は容赦なく糾弾されてしまいます。姿も見えず名前もわからない人たちからのヨコ方向からの圧力に抵抗することは容易ではありません。

 仮に「正義」が正しいものであったとしても、異なる意見を言える余地と尊重できる土壌が必要で、それが社会の健全化につながります。SNSももともとは自由に自分の意見や考えが言える場であったはずです。それが、どんな小さなミスや間違いでも他者を徹底的に糾弾し、追放し、時には自殺にまで追い詰めるという場になったのは絶対に許されることではありません。

3.フリーランスの増加で同調圧力社会は変わるか

 SNSの普及やコロナの自粛によって同調圧力は強まるばかりですが、個人がそれに対抗するにはどうすればいいのでしょうか。

 太田教授は「閉鎖性・同質性・個人の未分化と逆の行動をとればいい」と言います。会社で言えば、「閉鎖性を破り、他部署とネットワークを築く。特定のグループや派閥に近づきすぎず等距離外交を図る、『自分のタスクさえこなせばムダな残業はしない』と公言する」などです。なかなか難しいことです。

 また、太田教授は、「現状を改善するには仕組みを変え、組織から変革していくしかない」と言います。これについては異論はありません。全くその通りです。企業は時代や社会の変化に伴い、成長を続けるために組織の変革は欠かせません。コロナ禍により社会や環境が著しく変化している今、その変化に合わせて変革を行った企業が成長し続けることができるのです。

太田教授は、「組織にフリーランスを多く入れたり、中途採用の割合を高めたり異質な人を増やす。フリーランスがもっと増えれば、自然に同調圧力が強い組織には自然と人が集まらなくなりオープンな社会に近づく」と言っています。

しかし、雇用の流動化だけでは、同調圧力を抑制することは困難ではないかと思います。ヨコからの同調圧力は、単にSNSだけに限らず、職場における「同僚からのいじめ」としても顕在化しています。雇用の流動化としてフリーランス中途採用者を増やしても、それだけで同調圧力社会が変わるとは思えません。結局は、どのような人を増やすのか、人材をどのように育成していくのかといった「人の問題」につきるように思います。それは、より良い人間関係や信頼関係を築くこと、そのために心を通わせる対話やコミュニケーションが大切だということに行きつきます。