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リモートワーク、変革にはストーリーの共有が必要

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で24,321人、園生と東京4228人、神奈川2304人、埼玉1641人、千葉1452人、愛知1815人、大阪2808人、兵庫1088人、京都531人、福岡1094人、沖縄809人、北海道568人などとなっています。大阪をはじめ10府県で過去最多を更新しました。東京は3日連続で前週の同曜日の数字よりは減少していますが、検査数自体減っており陽性率はほぼ20%でほとんど変わりません。重傷者は最多を更新しています。緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の適用範囲が拡大され、昨夜菅首相が会見を開きました。原稿棒読み、覇気のない喋り方、発信力の低さは相変わらずです。記者の質問に対し「自分もテレワークをしている」と発言しましたが、菅首相が言おうとしたのはオンライン会議のこと、テレワークとオンライン会議の区別・意味の違いも理解できていないバカさを露呈しました。また、菅首相は、ワクチン接種率が上がっていることを理由に「明かりははっきりと見え始めている」と相変わらずの根拠なき楽観論を振りかざしました。危機管理の基本は的確な現状認識と分析ですが、まともな現状認識すらできていません。菅首相は、完全に認知バイアスと確証バイアスに支配されています。認知バイアスとは、自分の思い込みや偏った常識から引き起こされるもので、確証バイアスは自分の都合のいい情報ばかり集めてしまう現象です。人間だれしも、多かれ少なかれ、認知バイアスと確証バイアスを持っていますが、菅首相は異常です。異常な認知バイアスと確証バイアスで適正な現状認識・分析も判断もできないリーダーでは、危機管理以前の問題で国が滅んでしまいます。ジャーナリストの元木昌彦氏が、「ついに安倍前首相を上回り『戦後で最悪最低の首相』になった」と言っていますが、まったくその通りです。困ったものです。

さて、今日は、DIGIDAYの「リモートワークの推進役、なぜマーケターが抜擢されるのか?変革にはストーリーの共有が大切」という記事を取り上げます。

コロナ禍で多くの企業がリモートワーク・テレワークを取り入れました。多くの企業では、リモートワーク・テレワークの推進は人事部の仕事だとしています。

日本の企業ではありませんが、ネット印刷通販のビスタプリントでは、コミュニケーション領域の上級役員マッキンレー氏がリモートワーク推進の責任者に抜擢され、ソフトウェア開発のギットラボもマーケティング部門に所属するマーフ氏をリモートワークの責任者に抜擢しました。これらの企業以外でも、フェースブック、ドロップボックス、など多くの企業がリモートワーク専任の役職者を採用しています。

マッキンレー氏は「これまでのオフィスワークからリモートワークに大転換させるには、強力なコミュニケーション戦略が必要だ」と言い、マーフ氏は「リモートワークの推進は人事部の仕事だという思い込みは捨てたほうがいい」と言っています。

リモートワーク責任者の最も重要な仕事は、リモートワークという新しい働き方の価値やメリットを社内外に伝えることです。そうすると、リモートワークに関する知識やノウハウというのは、マーケティングやコミュニケーション分野に通ずるものがあるといえそうです。

ジョブ型雇用や成果主義アメリカにおいてすら、リモートワークの推進は大変な変革なのですから、年功序列・終身雇用の日本ではなおさら困難な変革になります。

1.ストーリーの共有が大切

 ストーリー不在の変革では「強制」感が出てしまいます。「ストーリーを皆と共有し、『この変革は目的(目標)実現のためだ』という動機付けを行うことが重要である」とマーフ氏は言います。

 これは、リモートワーク推進に限ったことではありません。

 楠木建氏が「ストーリーとしての競争戦略」の中で言っているように「戦略の神髄は思わず話したくなる面白いストーリーにある」のです。企業経営は、社長や経営トップが掲げる経営理念に社員が共感し、一丸となって目標や目的に向かって突き進むことで、成長・発展していくものです。

 マーフ氏が言うように「リモート化の推進は経営理念の直結する課題で、なぜリモートワークへの転換を進めるのか、その理由を従業員に正しく伝えなければならない」のです。それを従業員に正しく伝え、従業員の共感を得るためには、従業員が面白いと感じるストーリーがなければなりません。

 企業が商品やサービスを顧客に販売するためには、顧客のニーズを把握して顧客から共感を得られる商品やサービスを開発しなければなりません。そして開発した商品やサービスを顧客に購入してもらうためには、その商品やサービスの良さを顧客に伝えなければなりません。これらはマーケティング部門やコミュニケーション領域です。

 会社が大変革を行おうとして従業員の共感を得ようとすることは、商品やサービスを顧客の共感を得て開発し販売することと似ています。まさにマーケティング部門、コミュニケーション領域です。

 「人材の再定義」の著者であるシュミット氏は「リモート化を推進する企業が増えるにつれて、リモートワークやハイブリッドワークの課題が浮き彫りになる。その解決には、マーケティング経験者の支援が必要になる」と言っています。

 リモートワークの責任者には、組織横断的な発信力が要求されます。人材コンサルタントクロケット氏は「とりわけ、人材の部門では従業員のエンゲージメントやリテーション、報酬、諸手当など、勤務綱連携と調整が必要になる」と言っています。

 特に日本では、リモートワークの導入を考える際には、これまでの日本型雇用形態をどうするのか、ジョブ型なり成果主義なりをどの程度取り入れるのかといった問題が出てきます。これらの問題をないがしろにして不十分であれば、統一感のない、断片的な戦略になりかねません。

2.リモートワーク推進の目的や要件を明確に

 リモート化を推進するなら、なによりもまず要件定義を行うべきです。

 リモートワーク・コンサルタントのローレル・ファーラー氏は、「リモート施策を推進する目的が、優秀な人材を集めること、あるいはリモート製品の販売を促進することにある企業もある。一方で、あくまでも従業員のためにリモート化を進める企業もある」と言い、「前者では、リモート施策の価値を外に向かって発信できる人材、マーケティングやノウハウを備えた人材が必要だ。後者ではバーチャルな業務運営に通じた人材が必要になる」と言っています。

 何度も言っているようにリモート化は目的ではなく手段にしかすぎません。何のために、つまりどのような目的や目標を達成するためにリモート化という手段をとるのかということが重要になります。目的が異なれば手段であるリモート化の内容や程度も異なります。まずは、リモートワーク推進の目的を明確にしたうえで、その目的達成のために、どのようなリモートワークをどのような方法でどの程度推進していくのか、事細かに決めていかなければなりません。

3.マーケティングスキルで対処できるとは限らない

 前述のようにリモートで働く従業員の会社への帰属意識(エンゲージメント)を維持するためにコミュニケーションの果たす役割は重要ですが、だからと言って、コミュニケーションやマーケティング部門に任せきりにしていたのではメリットを十分に引き出すことはできません。必ずしも、マーケティングやコミュニケーションスキルで対処できるということではないのです。

 事業の中にはリモートに向く事業もあれば不向きな事業もあります。従業員にもリモートワークを求める者もいれば求めない者もいます。これまでの組織形態や運営体制のままでリモートワークを進められるのかという問題もあります。企業の構想や戦略にも関わってきます。単にマーケティング部門やコミュニケーションに限らない全社的な視点が不可欠なのです。

この記事は、英文を翻訳したものですが、コロナ禍でリモートワークを導入する企業が増えつつある日本でも参考になると思います。