中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

休日の本棚 SINGLE TASK 一点集中術 

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で3万9647人で、東京都の新規感染者は前週の1.5倍になり、大阪が東京を抜いて最多となりました。GWの影響かは分かりませんが、これまで減少傾向にあった都市部での感染者数が増えてきています。来週あたりの感染者数の推移を注視する必要があります。岸田首相は、水際対策で近く実証事業を行なうと明らかにしました。今は20年ぶりの円安水準なので、外国人観光客にとっては割安感でインバウンド消費が拡大する可能性があります。ただ、外国人観光客の受け入れを再開する場合、マスク着用が常態化していない外国人とマスク着用が常態化している日本人との間でトラブルが発生する恐れがあります。最近、マスク着用緩和の動きがありますが、外国人に対するマスク着用の基準を明確にする必要があります。しかし、岸田首相は、「マスク着用緩和は現実的でない」「5類に検討する段階でない」と言っているのに、外国人の受け入れだけを最優先するのは順序が違います。経済を回したいのは分かりますが、まずは日本国民の行動緩和からスタートです。日本国内での行動制限緩和で感染拡大の恐れがないことが判明した後に海外からの受け入れです。順序を間違えては再び感染拡大してしまいます。日本国内の死者が3万人を超えましたが、このうち1万人は、今年に入ってから亡くなった人です。まだコロナを甘く見てはいけません。

さて今日は、デボラ・ザック著「SINGLE TASK 一点集中術」(ダイヤモンド社という本を紹介します。著者のザック氏は、オンリー・コネクト・コンサルティング社のCEOで、コーネル大学ジョンソンスクール(経営大学院)で15年以上も客員教員を務めマネジメントスキルやネットワーキングについて講義を行なっています。

この本のタイトルである「シングルタスク」というのは、2つの業務や作業(タスク)が完了してから、他のタスクに着手する仕事の手法です。1つずつ薦めるので、他のタスクのことを気にせずに集中できます。

これに対して「マルチタスク」というのは、2つ以上のタスクを並行して同時進行する仕事の手法です。

マルチタスク」は複数のタスクを動じ並行的に行なうので効率がいいように思えますが、人間の脳は一度に複数のことを処理できない構造になっており、複数の情報が入ってくると適切に処理できず、長期記憶にも短期記憶にも取り込まれずに抜け落ちてしまいます。

現在は情報過多の時代にネットで多くの情報が氾濫し、同時にそれらを処理しなければならないこともあります。しかし、人間の脳はマルチタスクには不向きなのです。同時に複数の作業をこなし、効率的に動けていると思っていても、シングルタスクで行なっているよりも内容の理解や成果が中途半端になってしまっているのです。

マルチタスクには、①記憶力・集中力・理解力の低下を招く ②感情のコントロールがきかなくなるというデメリットが指摘されています。今はWEB検索すれば情報が出てくる時代で、記憶にとどめておく必要もなく、浅く理解するだけで自分の頭で考えることが少なくなり、理解力も低下しています。複数のタスクを同時並行的に行なっていれば、感情を司る脳の部位も疲弊し、感情のコントロールもきかなくなります。

「シングルタスク」は、一つのタスクに集中するので丁寧の仕事をこなすことができ、満足のいく成果を上げやすくなります。マルチタスクでは、作業開始直後はスピードが乗らず、スピードが乗ってきた頃に他のタスクに切り替えなければならないという事態が生じますが、シングルタスクでは、1つの作業にある程度時間をとれるので、エンジンがかかってスピードが出た状態をキープできます。他の業務のことを気にせずじっくりと取り組めます。マルチタスクの場合には複雑なタスク管理が求められますが、シングルタスクでは優先順位を決めた1つずつ順番に集中的に行なえばいいので、タスク管理もシンプルです。

しかし、シングルタスクにもデメリットがないわけではありません。シングルタスクで注意しなければならないのはモチベーションの低下です。単調な作業が続くと集中力が落ちて効率が悪くなります。ひたすら同じ作業を繰り返し行なわなければならない作業では、シングルタスクは適していないのです。また、シングルタスクの場合、1つずつ作業をこなすので優先順位を間違えると、重要なタスクが後回しになってしまうというリスクもあります。

このようなデメリットがありますが、マルチタスクのデメリットに比べればたいしたことではありません。

この本では、シングルタスクを習慣にするための具体的な8つの方法が紹介されています。

1.「シンプルに考える」ための時間を作る

 自分が楽しいと思えることで頭の中を整理します。心地よい空間と実践しやすいやり方で、じっくりと頭の中を整理するのです。「5分日記をつける」「散歩をする」など何でもいいのです。できるだけ、容易に実践でき続けられるシンプルなことでいいのです。これが、意識を集中させる訓練になります。

2.関係のないことが頭に浮かんだらメモに書き留めておく

 集中して1つのタスクに取り組んでいるときにも、関係のないことが頭に浮かびます。これは仕方のないことですが、自分の意識からそれを追い払おうとすれば、益々沸き起こってきます。そのときには、メモに書き留めて、後で考えるようにするのです。追い払うのではなく、メモに書き留めるというワンクッションで受け止めて、後に回すのです。これによって現在取り組んでいるタスクに一点集中できるようになります。

3.スマホは身近に置かない

 集中したいときほどスマホは邪魔なものです。電話やメール受信音をミュートにすることで、今やっているタスクの邪魔にならずに済みます。

 しかし、スマホが手の届くところにあれば、ついつい手を伸ばし見てしまうものです。隣の部屋に置くとか、カギのかかる引き出しに入れるとか、安易に手に取って見ることができない状況に置くことが必要です。

4.電話は15分で集中して対応する

 電話をする(受ける)場合、相手に予め話せる時間を伝えておくことです。電話できる時間を限ることで、自分の意識も集中させることができます。電話をしながら、他の作業をしたり、考え事をしていたのでは相手にも失礼です。時間を決めて、電話の内容に集中することが相手とのよりよい人間関係の構築にも繋がります。

5.毎朝仕事前に今日しなければならない仕事の予定を立てる

今日やることが分かっていれば、先を見越して行動を起こし、積極的に1日のタスクを進めることができます。先ほども書きましたが、シングルタスクの場合、優先順位の付け方を間違えると大変なことになる恐れがあります。仕事を始める前にしっかりと1日の予定を立て、優先順位を決めて、余裕を持って取り組むことです。

6.類似タスクはまとめて片付ける

 「メールの返信」「電話を掛ける」「取材や打ち合わせの予定を組む」など類似タスクは1日の同じ時間にまとめて片付けた方が効率的です。又、その作業に充てる時間も予め制限することで、だらだら続けずにすみます。

 また、類似タスクだけでなく、関連タスクもまとめて行なった方が効率的です。

7.山積みのタスクは1×10×1に分ける

 タスクを所要時間別に分ける方法です。1×10×1はタスクに係る所要時間を表わします。

 最初の1は1分前後で終わるタスクです。10は10分以内に終わるタスクです。最後の1は1時間以上かかるタスクです。1分前後で終わるタスクは今すぐに着手し、10分以内に終わるタスクはできるだけ早い時期に着手し、1時間以上かかるタスクは今後数日間のスケジュールに組み込みます。このように、いつどのタイミングで行なうかを時間数で割り振ることで、着実のタスクをこなすことができます。

8.1日に2回「30分の空白時間」をつくる

 空白の時間は予期せぬ出来事に備えるためです。予定はあくまでも予定、予定通りに行かないことの方が多いのです。詰め込んだ予定を立てるよりも、余裕を持った予定を立てる方が、心にも余裕が生まれスムーズにタスクをこなしていくことができます。

以上が、この本に書かれているシングルタスクを習慣化する具体的な方法ですが、意識的な努力を必要としない活動は同時に行なっても問題はありません。例えば、簡単で機械的に行える作業や集中力を必要としない作業などです。しかし、これも、当人がどのような環境で、どのような状況にいるのかにも関わってきます。

企画の立案など、頭を使ってじっくりと取り組まなければならない仕事はシングルタスク向きですし、1つのものを作り上げる開発に携わる仕事もシングルタスク向きです。