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ブルシット・ジョブの問題点

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で214人で、東京35人、神奈川26人、大阪11人などとなっています。休日のデータにもかかわらず、あまり減っていなくてオミクロン株が広がってきているのではないかと懸念します。今年も残すところ4日、コロナに振り回された1年でしたが、気を緩めてオミクロン株が感染拡大すれば、来年もコロナに振り回されます。年末年始の行動が来年を占うように思います。お互い気を付けましょう。

さて、今日もブルシット・ジョブです。文春オンラインの「全力で仕事したのに『怠けるんじゃない』と叱られて…努力より”忙しいフリ”が評価されるブルシット・ジョブの問題点」という記事を取り上げます。

仕事というのは何らかの目的達成を名目としており、その目的が達成されたらその時点で帰ってもいいはずなのに、そうならないからブルシットジョブが生まれるのです。「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」の著者クレーバーは、自分の学生時代していたレストランのバイトの例を挙げています。

言われた仕事を最速で仕上げようと全力で取り組み短時間で終わらせます。ボスからお褒めの言葉が聞けるかと思ったところ、嫌な顔をされ「怠けるんじゃない」と叱られたというのです。その後クレーバーはのろのろと仕事をするようにしたところ何も言われなくなったということです。

作業を効率よくこなすよりも、とにかく仕事時間中はずっと仕事をしている様子を見せることや、頑張っているふりをしていることが重要なのです。日本の社会でも同様です。勤務時間中デスクに向かっていれば仕事をしていると評価されます。たとえ、デスクに向かって私的なメールを打っていても、こっそり漫画を読んでいたり動画を視聴したりしていてもです。

1.タスク指向

 労働というのは、雇用主が自分の時間を買ったものだから、その時間の間働かないといけないという考え方は普遍的なものではありません。むしろ、狩猟民族も農耕民族も、仕事が必要な時に集中的に行い、それ以外はぶらぶらしたり寝ていたりしてもいいものでした。

 クレーバーが例に挙げるのは学生で、普段からコツコツ真面目に勉強し試験に慌てない者は変人で、たいていは普段から勉強しているわけではなく試験間際になって集中的に勉強するものです。

 クレーバーは資本主義的モラルの浸透以前の仕事のあり方を「タスク指向」と表現します。その特徴は

  • 時間労働よりも人間的にわかりやすい。必要性を見て取りながら活動する。
  • 「仕事」と「生活」の境界線がほとんどない。社会的交流と労働は混ざり合っており、労働日は仕事に応じて長くなったり短くなったりする
  • 時間ではかられた労働に慣れている物からすれば、無駄が多く、緊張に欠けるように映る

 このタスク指向の労働のパタンは激しい労働と怠惰が交互に繰り返されるもので、現在でも、アーティスト、小説家、小規模農家、一部の自営業者などには残されており、それが「本来的」な人間の労働のリズムなのです(E・P・トムソン「時間、労働規律、産業資本主義」)。タスク指向の労働は自分の意志で労働生活を統制している(できる)のです。

2.時間指向

 ところが資本主義の進展に伴い、われわれの社会は、必要な時にガーッと仕事をしてそうではないときにゆるくしているという労働形態を許さなくなり、仕事の性格にお構いなしに時間によって抽象的に区切るようになったのです。これが「時間指向」の仕事です。

 現在のサラリーマンをはじめ多くの労働者は、時間に応じて賃金が支払われるのも、時間指向が関係しています。

 しかし、本来的な仕事というのは、自分の意志で統制できるもので、働く現場において、自らの才覚と裁量を発揮できる余地が多かれ少なかれありました。こうした本来的な仕事に、時間指向の仕事の形態を押し付けようとしたことで、ブルシット・ジョブが生まれるのです。つまり、時間指向で与えられた時間(勤務時間)の間は例え仕事が終わりやるべき仕事がなくなってもやっているフリをしなければならず、クソどうでもいい仕事が生み出され、それをやる(やるフリをする)ことになるということです。

3.ブルシット・ジョブの5つの類型

 クレーバーは、ブルシットジョブを次の5つに分類しています。

  1. 取り巻きの仕事・・・誰かを偉そうに見せたり、誰かに偉そうな気分を味わわせるという、ただそれだけのために存在している仕事。
  2. 脅し屋の仕事・・・脅迫的な要素を持っている人間たち、その存在を他社の雇用に全面的に依存している人間たち。例えば軍隊
  3. 尻ぬぐいの仕事・・・組織に欠陥が存在しているためにその仕事が存在しているに過ぎない雇われ人。
  4. 書類穴埋め人の仕事・・・実際に流行っていないことをやっていると主張できるようにすることが唯一の存在理由であるような雇用者。
  5. タスクマスターの仕事・・・他人への仕事の割り当てだけからなる仕事と、他者に対するブルシットな仕事の形成だけが仕事。

4.ブルシット・ジョブをなくすには

 ブルシット・ジョブをなくすということは、我々の仕事が時間指向に基づいている限り、なかなか難しいものです。

 しかし、コロナ禍でわれわれの働き方も大きく変わりました。日本型の雇用形態からジョブ型雇用、成果主義も取り入れられてきています。時間よりもタスク重視へと少しずつ移行してきています。

 昨日も書きましたが、ブルシット・ジョブはクソどうでもいい仕事でワクワクするものではありません。自分が本当にワクワクするものは何か、自分のモチベーションを高めてくれるものは何かを考えて、それに全力を傾けることが、ブルシットジョブから解放される唯一の方法ではないかと思います。