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休日の本棚 好奇心を収益向上に結びつける5つの方法

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1万5351人、このところ落ち着きを見せています。政府はGOTOトラブルではなく、「県民割」の全国への拡大を検討しています。県民割はブロックを分けブロック内での旅行に割引があるもので、全国に広げると従前のGOTOトラベルと一緒ではないかという疑問が出ます。県民割りは宿泊でしか適用できないので、ホテルと交通費(飛行機・新幹線代等)のセットパッケージツワーにも適用があったGOTおトラベルとは違い、金額も大きく違ってきます。これまでの県民割りの場合、ブロック内での良好にのみ適用されましたが、全国展開されると、北海道・沖縄と言った人気の行楽地に集中し、不公平が出る懸念があります。翻って考えると、コロナ禍で苦しいのは飲食・旅行業界だけではありません。旅行に行きたくてもさまざまな事情で行けない人もいます。支援が偏っているように思います。

さて、今日は、ハーバード・ビジネスレビューに掲載されたフランチェスカジーノ(ハーバード・ビジネススクール教授)の「好奇心を収益向上に結びつける5つの方法」を紹介します。

1.好奇心と組織

 先日「Dark Horse 好きなことだけで生きる人が成功できる時代」でも書きましたが、価値観が多様化し、個性が重視される現在、成功するためには、これまでのような「競争心」や「創造性の追求」でなく、自分の好みや興味に突き動かされることが重要なのです。自分の興味や関心、つまり好奇心をもとに、本当に「やりたいこと」「ワクワクすること」を考えなければなりません。これは個人だけでなく、企業・組織についても言えることです。

 最近の研究では、好奇心が企業業績に果たす役割は、従来考えられているよりも遙かに大きいことが判明しています。また、リーダーがマネジメントを少し改めるとメンバーの好奇心が刺激され、会社をよりよい方向に導けることと、その一方でリーダーは、それに伴うリスクを恐れて、メンバーの好奇心を押さえ込んでしまう傾向にあることも明らかになっています。

 「好奇心が組織の潜在力を引き出しビジネスを成長させる」ということは間違いありません。

 この論文では、組織がメンバーの好奇心を活かすための方法として次の5つが挙げられています。

  1. 好奇心旺盛な人材を採用する
  2. 探究心や知識欲を発揮して範を示す
  3. 学習目標を強調する
  4. 興味関心の対象を広げて探求するよう、従業員の背中を押す
  5. 「なぜ」「どうすれば」という疑問をぶつける日を設ける

 好奇心とは、新しい情報や経験を求め、新たな可能性を追求する衝動であり、組織がイノベーションを起こし成長・発展するためには、組織内における職務や職位に関わりなく必要なものです。また、従業員のやる気やモチベーションを高く保つことは難しい課題ですが、好奇心が旺盛であるという利点は、モチベーションの維持といった課題に重要な役割を果たしています。

 しかし、好奇心は重要なスキルでありますが、これをスキルとして育て、奨励していくことは難しいものです。たとえ好奇心の重要性を理解しても、マネジャーやリーダーは好奇心の旺盛度を見極める方法を持ち合わせていないのです。好奇心が組織の潜在力を引き出しビジネスを成長させることは理解できても、組織が従業員の好奇心を活用する方法を特定できていないのです。

 この問題を解決する方法が、この論文に挙げられている5つの方法です。

 ここで重要なのは、好奇心を高く評価する組織やリーダーに目を向けることです。好奇心の価値を受け入れる組織やリーダーは、好奇心を抱くことを奨励し、社内研修や能力開発、従業員の業績評価、昇進や採用、会社のミッションやビジョン、価値観など、あらゆる機会において、好奇心の価値を認める傾向にあります。こうした組織やリーダーは従業員やメンバーに対しても、さまざまな手法を用いて、従業員やメンバーの好奇心を伸ばそうとします。人事考査で好奇心への評価を反映させる、1対1ミーティングの活用、好奇心を明確に発揮した従業員を公の場で称賛するなどの方法が具体的に考えられています。

 もはや、好奇心は持つことが望ましいスキルではなく、持たねばならないスキルとなっているのです。

2.好奇心と個人

 好奇心が持たなければならないスキルとすると、個人もそのスキルを伸ばし、磨かなければなりません。個人の視点で、好奇心を活かす方法は次の5つです。

  1. 好奇心旺盛な人材になる
  2. 探究心や知識欲を持つ
  3. 学習目標を設定する
  4. 興味関心の対象を広げて探求するよう、自分の背中を押す
  5. 「なぜ」「どうすれば」という疑問を持つ

 これは、ジーノ教授の5つを個人に書き換えたものです。

 個人も、好奇心を持って、何事に対しても「なぜ」「どうして」という気持ちを持つことが大切です。「なぜ」「どうして」という疑問を持ち探究心を持つことで、視野を広げることができ、そこから新しい知識が入ってきます。また新しい経験を積むこともできます。また人間関係も広がります。今は情報過多の時代です。間違えれば情報に振り回されてしまいます。しっかりとした目標設定が必要になります。好奇心を持つことは良いことですが、ありとあらゆるものに好奇心を持つということは不可能です。それこそ、中途半端で終わってしまいます。目標を設定し、その目標に向かって好奇心を発揮することです。興味関心の範囲を広げることは大切ですが、広げすぎるのもよくはありません。自分が「やりたいこと」「ワクワクすること」は何かを真剣に考えて、それに向けて好奇心をかきたてることです。