おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で7800人、東京では3日連続で前週同曜日を上回っています。10万人当たり感染者数が全国最多の沖縄では梅雨明けしました。県民割りの全国拡大に伴い、沖縄への旅行客は当然増えることが予想され、今後も沖縄の感染者数は減少するどころか増加するのではないかと懸念されます。全国的にも水際対策緩和、県民割りの全国拡大、更に夏休みと人の移動が活発になり、感染者が増加に転ずるのではないかと心配です。
さて、今日は、東洋経済オンラインの「最近の若手は意見ないと思う上司の傲慢な勘違い~社員が萎縮『安心できない職場』3つの特徴」という記事を取り上げます。
社長が来るとその場が凍り付く、部長が現れる職場の会話がピタッと止まる、ということはどこの職場でもあり得ることです。その度が過ぎて上の顔色ばかりをうかがうようになっては、おしまいです。自由にものが言えない職場では、新しいアイデアは生まれませんしイノベーションを起こすこともできません。
一方的な上意下達のコミュニケーションだけでは、組織は回りません。ビジョンや会社方針の伝達にはトップダウンが必要ですが、個々のタスクにおいてはボドムアップで十分です。トップがすべてを把握して指示を出すことはできませんし、的確な判断を下すこともできません。変化は現場で起こるので、情報や意見がボトムアップで速やかに伝わることが重要です。
このようにトップダウンとボトムアップというように、双方向のコミュニケーションがとれる組織に変わらなければなりません。
上が一方的に命令・指示し、下は上の顔色をうかがいながら言われたことだけを行なうような組織では、生産性が上がるはずはありません。むしろそのような組織では成長どころか生き残ることも難しくなります。
また上下のコミュニケーションだけでなく、横方向のコミュニケーションに問題がある場合もあります。同僚たちと集まった席で何気なく話した会話の内容が翌日に上司に漏れているということもあるのです。これでは、不信感が募り同僚たちとも気を許して会話をすることができません。誰が上司に告げ口したのかと疑心暗鬼になり誰も信じることができなくなります。このような職場では、横方向のコミュニケーションでも必要最低限のことしか言わなくなり、自分に与えられた仕事を粛々とこなすだけになってしまいます。
1.心理的安定性
上下だけでなく横方向のコミュニケーションも活性化させる必要があります。いずれにおいても大事なのは職場の「心理的安定性」です。「心理的安定性」はGoogleが『チームの生産性を高めるには、心理的安定性を高める必要がある』と発表し、注目を浴びるようになりました。
「心理的安定性」とは、psycological safetyを日本語に訳したもので、「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰を与えるようなことをしないという確信を持っている状態であり、チームは対人リスクを取るのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」のことです。これは心理的安定性の提唱者エドモンドソン教授(ハーバード大学)の定義です。簡単に言えば、上司や同僚の飯能を恥ずかしがったり怖がったりすることなく、自然体で自分を隠すことナクオイー分にできる状態のことで、そのような穏やかな雰囲気がある職場は「心理的安定性」が高いと言えるのです。
今、職場において「心理的安定性」が求められるのは、他人の知見や経験を活用することが求められているからです。「こんなことを話したらどう思われるだろうか」と気にしながら発言しなければならない社風では、真の知のコラボレーションが怒るはずはありません。
エドモンドソン教授は、組織の「心理的安定性」を測る7つの質問を挙げています。
- このチーム内でミスをしたら、決まってとがめられるか
- このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができるか
- このチームの人々は他と違っていることを認めないか
- このチームでは、安心してリスクを取ることができるか
- このチームのメンバーには、支援を求めにくいか
- このチームには、私の努力を踏みにじるような行動を故意にする人は誰もいないか
- このチームのメンバーと仕事をするときには、私ならではのスキルと能力が高く評価され、活用されているか
2.マイナスよりもプラスを評価していく
ミスや失敗に厳しすぎる環境も心理的安定性が低いと言えます。これまで失敗やミスの重要性について指摘し、ミスや失敗を学びに変える環境が重要であると書きました。減点主義でマイナス面ばかりに注目するような職場では、モチベーションは上がらず、組織全体のやる気が落ちていきます。
マイナス探しは、あら探しで、これでは新しいことにチャレンジしようという気は起きません。新しいアイデアも発想も生まれるはずはありません。何が正解か分からず、変化の激しい時代には、自ら考え、指示された内容以上に期待を越えようとする集団と、最低限の期待ギリギリのところまでしかやらない集団では企業力に大きな差が出ます。
以前も紹介しましたが、モチベーション理論であるマクレガーのXY理論のY理論では、「人間は本来進んで仕事をしたがり、自己実現のために進んで行動する」ものとしています。人間は生来仕事嫌いで、強制・命令・処罰が必要とする」X理論は現代には通用しないのです。マズローの5段階説でも、人間は、生存のための物質的欲求は満たされているので、高度の自己実現の欲求を充足させる必要があるのです。
そのためには、性善説に基づき、良いところ、できていることに注目した評価制度、加点主義への転換が必要です。
3.ウェルビーイング
人間のプラス面に注目していくことで、よりよい状態を実現すべく組織が目指していくのが、マーティン・E・P・セリグマ氏が提唱する「ウェルビーイング」という状態です。ウェルビーイングは「心身ともに充実した良い状態」を指し、人が幸せになるためのキーワードとして用いられています。
セリグマ氏は、ウェルビーイングを目指すための5つの条件を挙げています。
- Positive Emotion・・・ポジティブな感情を抱く
- Engagement・・・活動に没頭して集中している状態がある
- Relationship・・・他者とのつながり、関係性を実感する
- Meaning・・・人生や仕事に意味や意義を感じる。貢献している感覚
- Achievement・・・仕事や活動における達成感や成功体験
組織作りにおいても、これらの5つの条件を満たしていることが、心理的安定性の高い職場には必要です。