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組織の徹底力

おはようございます。

今日も過去のブログを貼り付けます。

以前にマネジャーとリーダーの違いについて触れたことがあります。厳密にいえば両者は異なりますが、組織運営と顧客創造のマネジメントは密接につながっているので、リーダーにもマネジメントのスキルや能力は必要です。その意味では、マネジャーとリーダーはに近づいていきます。この記事のマネジャーをリーダーと読み替えても問題はありません。

1.リモートワーク下でより重要になる組織の「徹底力」とは何か

 新型コロナの感染拡大の影響によって、マネジャーの役割はより複雑化し、より重要になっています。単なる部署、部門の管理に留まらず、チームをまとめ、みんなの気持ちを奮い立たせ成果を生み出していくマネジャーの仕事には高度のスキルが要求されます。オフィス内での勤務であれば、場の雰囲気や暗黙のやり取りによって言葉によらないコミュニケーション(「非言語的情報」によるコミュニケーション)がたくさん行われ、おのずと自社のミッションやビジョン、組織カルチャー、行動規範などが共有されたり、部下の顔色を見て「元気がなさそうだなあ」と気づいてフォローしたりすることができました。

 しかし、テレワークやサテライトオフィスなど時間と場所を共有しない働き方が増えると、言葉によらないコミュニケーションがなかなか成立しづらくなります。マネジャーは、オンライン会議などで部下の顔色や表情など非言語的情報を読み取ることが必要になりますし、これまで非言語的に行われていたコミュニケーションをきちんと言葉にしてみんなに伝えていくということが重要になってきます。特に、自社のミッションやビジョンを理解し、自分たちの現場に合わせた言葉にチューニングし、チームで共有する取り組みは欠かせません。これがなければ、離れた場所で働いている一人ひとりの判断がブレる上に組織の強さを生み出すことができにくくなります。

 組織の強さといっても色々ありますが、この記事では成果を生み出すためには「徹底力」が重要と言っています。ミッションやビジョンの文言の上っ面をなぞるだけの組織と、一人ひとりに腹落ちしている組織では、何かを決めて実行するときの徹底力に違いが出ます。マネジャーがビジョンやミッションを理解しメンバーにきちんと伝え、全体で共有できている組織では「これをやろう」と決めた瞬間から全員が一つの方向に向かって動き出し、徹底して実行されます。

 非言語的なコミュニケーションが難しいテレワークにおいては、マネジャーが中心となり、意識して組織の徹底力を醸成する必要があるのです。

2.強い組織はミッション、ビジョンが日常会話の中で頻出する

 マネジャーがミッションやビジョンの共有を行うためには、まずマネジャー自身が深い水準でそれらを理解しなければなりません。そのためにはミッションやビジョンを制定した経営者の思考を理解する必要があります。

 ミッションとビジョン、それらが作られた背景にある経営者の思考や考え方を知り、腹落ちしたら、次はそれを自分の現場に応じた言葉で表現し、部下に伝え、みんなで話題にすることです。「ビジョンやミッションから考えると、このアクションはどうなるのか?」「この取り組みはビジョンの実現にどのように貢献するのか?」というような会話が日常的に出るようになればしめたものです。そうしたやり取りの中から、自分たちにとって何が大切で、何がどうでもよいのかの価値基準が共有されて行くからです。

 何が大切で何がどうでもよいのかが共有され、自由に議論できる風土があれば、「こんな意味ないことに手間と費用をかけるのはおかしい」と本質的な議論ができ、それに基づいて適切な対応が取れるようになるのです。

 マネジャーやリーダーの仕事というのは本当に大変な仕事です。現在、マネージャーやリーダーであっても部下の管理だけを行っているという人はほとんどいません。部下の管理だけでなく、自分自身もプレーヤーとして動き回っています。特にリモートワークが日常化すると、部下の管理は更に困難になります。

しかし、マネジャーやリーダーがビジョンやミッションを理解し腹落ちして自分の言葉で部下に伝え、全員がそれを共有できるようになれば、部下のモチベーションを高め自発的に動くようになります。そうなれば、マネジャーやリーダーによる部下の管理は軽減されます。そのためにも組織の徹底力の醸成が必要不可欠です。