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休日の本棚 幸せの経営学

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おはようございます。

昨日が仕事納めという方も多かったのではないでしょうか。

今日から1月5日までは(正月三が日は休むかもしれませんが)、「休日の本棚」or「休日のつぶやき」として、本の紹介など思いつきで書いていきますので宜しくお願いします。本もいろんなジャンルを取り上げるつもりですが、初日はやはり「経営」の本からスタートです。

今日は、若干古い本ですが、2014年出版の酒井穣氏著「幸せの経営学」(JMAM)を紹介します。

経営学は机上の学問で実際の経営に役立たないという方もいます。果たしてそうでしょうか?確かに、経営理論の中には理論のための理論で終わっているように見えるものもあります。しかし、そう見える理論も、理論の先には必ず実践があります。自ら使いこなせなければ役立たないことは言うまでもありません。これは経営学に限ったことではなくすべての学問に当てはまることです。

本書で、酒井氏は、経営学は究極的には「人間を幸福にする」という明確な目的を持った学問であるとして、他者を幸福にすることで、自らも幸福になるということが経営学を学ぶ意義であると言っています。そして、人が幸福を感じる要素として①仕事のやりがい②人間関係の充実③経済的満足④心身の健康⑤地域社会の活性化の5つを挙げ、これら5つの要素の充実を目指すのがよいとしています。

このような観点から、第1章「幸せを生み出すーイノベーション」、第2章「幸せを広げるーマーケティング」、第3章「幸せを支えるー財務会計論」第4章「幸せをデザインするー戦略論」、第5章「幸せを創るー人的資源管理論」と5章に分けし、幸せという視点で経営理論を取り扱っているのです。ここでの理論は、酒井氏も言われている通り、学問的・科学的というよりは実務的であることを目指しており、実務家にとっての読み物として分かりやすい本になっています。経営学に本気で取り組みたいという方には物足りないかもしれませんが、経営学に一歩足を踏み入れたいという初心者や経営に携わる実務家の方には有意義な本になるでしょう。

酒井氏は、「経営学は『お金儲けのための学問』ではなく、『人を幸せにする学問』である」と言っています。経営とはまさにそういうものです。お客様を売上か数字でしか見ない会社は駄目です。「お客様は神様です」という言葉があるようにお客様あっての会社なのです。お客様を大切にしない会社は潰れます。以前にも言いましたが、自社の売上や利益を追求することが悪いわけではありません。企業である以上それを求めて当然です。しかし、顧客視点を忘れずに自ら提供する商品やサービスを通じて社会にどう貢献できるかということを念頭に置くことが大切だと思います。顧客視点で社会・顧客のニーズをとらえ社会貢献すれば、当然それに伴って売上・利益はついてきます。これが、まさしく酒井氏が言われている「他者を幸福にすることで自らも幸福になる」ということなのです。経営の神様と言われる稲森和夫氏も「利他の心で経営を行う」と仰っておられます。

そしてこのことはビジネスに限ったことではありません。

極端な話(例)になりますが、仏教用語で「忘己利他(もうこりた)」という言葉があります。釈尊が森を歩いていると出産したばかりの虎が飢えて生んだばかりの子を食べようとしているのに出会います。釈尊は、自分が虎の餌になろうとして横たわりますが、虎は釈尊に襲いかかることができせん。そこで、釈尊は崖から飛び降りて自らを殺し虎の餌になったというのです。

自分を殺してまで他を助けるのはおかしいという見方もありますが、この逸話は、本来自分の利益を忘れて皆が幸せになるために尽くすことが理想的な生き方だと示しているように思います。

年末に当たり、私も、自己中心的でなく「人を幸せにする」という思いで行動していたかどうか、この1年を振り返り反省したいと思います。

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