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トップダウン型組織とイノベーション

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おはようございます。

今日は、JBpressの「トップダウン型組織でイノベーションが滞る理由」を取り上げます。この記事は、2000年代初頭小泉純一郎元首相の「小泉旋風」が吹き荒れていた頃、「強いリーダーシップ」と「トップダウン型の改革」がもてはやされたが、小泉旋風後に見えてきたものは、責任を取らずに消えてしまったリーダーと大失敗に終わった数々のプロジェクト、失われた時間と金だったとし、イノベーションに必要なのは、「ボトムアップ型の意見集約」と「責任を取るリーダーの存在」だとしています。

ボトムアップ型とは、意思決定が下位の管理層から下意上達の方向に向かうスタイルのことで、部下から問題提起や解決方法の模索がなされ、トップがその提案を受け入れそれを承認するという形態がとられます。このスタイルの場合、アイデアを採用された部下は意気に感じ何としても成功させよう、リーダーが責任を取らされてはいけないと自然と意欲がわきます。これに対し、トップダウン型では、部下の方から上のアイデアを批判するなどたてつくことができず、押し付けられた感が強く意欲がわかないのです。プロジェクトが終了する頃にはリーダーはすでに転勤していてだれも責任を取る者がいないという状況になります。

ボトムアップ型でリーダーが責任を持つ体制であれば、リーダーも「提案した部下に責任を取らせてなるものか」と責任感が強まり、部下の方でも「リーダーに恥をかかせてなるものか」と当事者意識が高まり、リーダーと部下との一体感が生まれるのです。

この記事は、最後に、日本において小泉旋風以来、「リーダーシップ」と「トップダウン型」が大流行した結果、組織を停滞させてしまいイノベーションが起きなくなったのではないかとしています。あまりにも短絡的な発想・結論であることは否めませんが、トップダウンボトムアップか、それがイノベーションにどのような影響を与えるかを考える良い機会になるように思います。

まず、トップダウン型のメリットとデメリットを見てみます。トップダウン型が機能するためにはリーダーと部下との間に信頼関係が形成されていて意思疎通がスムーズに行えることが条件となります。メリットとして①スピード経営が可能②組織としての一体感③先見性のある経営者の場合爆発的成長の可能性が挙げられ、デメリットとして①指示待ち人間が多くなる②クレームなどの課題が共有されにくい③経営者の判断が間違っていた場合会社存続に影響する可能性などが挙げられます。

次にボトムアップ型のメリットとデメリットです。メリットとして①現場の意見をくみ取りやすい②自ら考え行動する社員が育つ③社員のモチベーションを維持しやすくなるというのが挙げられ、デメリットとして①意思決定に時間がかかる②部門間の意見対立により組織の一体感がなくなる③自ら判断・指示できる優秀な人材が不可欠というのが挙げられます。

中小企業やベンチャー企業の場合、トップダウン型のスピード感や爆発的成長力が役立つ場合もあります。しかし、専門性が高い場合や事業や部署が多い場合、トップがすべて把握して意思決定をすることが困難となります。この場合にはボトムアップ型が有効です。

このように、トップダウン型にもボトムアップ型にもいずれもメリットとデメリットがあります。必ずしもどちらが良いとは言い切れません。意思決定したい内容や事業に応じてどちらが適しているか、また自社の企業風土においてどちらが良いかを判断することです。

イノベーションという点から考えても、この記事のようにボトムアップが良いとは言い切れないように思います。確かにトップダウンの場合、意思決定が硬直化して新たな改革・イノベーションが困難な場合もあり得ますが、優秀なリーダーによってイノベーションが達成される場合もあり得ます。これも一概にどちらが良いということにはならないでしょう。ボトムアップによって引き起こされるイノベーショントップダウンによって引き起こされるイノベーションがあるはずです。ここでも意思決定したい内容や業務によってどちらが良いか、また自社においてどちらが適しているか判断すべきです。