中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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派遣社員にもテレワーク

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おはようございます。

新型コロナウイルスの猛威が止まりません。東京都の小池都知事や大阪の吉村知事らが強い口調で週末の不要不急の外出を呼びかけ、一応繁華街などの人手ではかなり減っていましたが、ニュースを見ると一部の若者らはそれを無視して繁華街や花見に出歩いていました。ニュースによれば、以前は高齢者の感染者が多かったのですが、このところ20代・30代の割合が増えてきているとのことです。阪神の藤波選手らが罹ったのはどうも合コンの席だったようです。本来なら開幕しているこの時期に情けないものです。もう少し緊張感を持って行動してもらいたいものです。いつ、日本もイタリアやアメリカNY州のような事態になるかわかりません。このところの感染者数の増加傾向からすれば、ここ1,2週間が要注意でしょう。

東京都や近隣県では平日でも自宅勤務を心がけるような要請が出されています。そこで、「派遣社員もテレワーク 一気に NTTコム約1400人に1週間で導入」と言うニュースを取り上げます。

NTTコミュニケーションズは、新型コロナウイルスへの対応を検討し始めたのは1月中旬からということで当時の状況からすればかなり早い段階から警戒を行っていたことがうかがえます。対応が遅く後手に回っていた政府とは大違いです。どの時点でどの施策を実施するかを見極め、国内で感染経路不明者が出た2月初旬段階でリモートに移行する対策をとったというのです。2月17日に従業員の2割を占める派遣社員の雇用主約100社に「これまで正社員だけだったテレワークの対象を当人が同意すれば派遣社員も加える」と言うメールを一斉送信しました。派遣会社1社ごとと協議するのは時間がかかるため一気に決断したのです。流石に対応も早いです。そして3月初旬には派遣社員を含む全従業員約7000人のうち約65%に当たる約4500人がテレワークを実施しているというのです。

通信端末を持たない派遣社員には貸し出し、通信環境がなければWi-Fiルーターなどを自分で調達の上費用は会社が負担することにしたのです。それによって、一斉メールから1週間でほぼすべての派遣社員のテレワーク環境が出来上がったということです。

NTTコムのような大規模なテレワークを実施するのは、IT基盤が整っていないとなかなか困難です。制度、IT環境、運用・管理がうまくかみ合わないと急激なタイミングでのシフトは難しいと思います。NTTコムでは、様々な働き方改革を実施する中で、オフィスのあり方や社員間のコミュニケーションの仕方などを改革してきたことが今回のテレワークに行かされているというのです。また、災害時の安否確認ツールも全社員にメッセージを届けるのに役立っていると言います。社内ポータルに掲示するだけでは見ない人もいるので、スマホや携帯に一斉通知できるために役立つのです。

また会社として、手洗いやうがいなどの徹底、出張自粛、大規模会議の自粛、イベントの自粛を促しているものの、会議やイベントは一切禁止ではなく、精査して行い、予防対策をしっかりするようにしているというのです。

NTTコムによれば、テレワークによる悪影響は現在のところ出ていないが、社員の生産性がどうなっているのかは今後の検証によるしています。長期化する在宅勤務で社員間のコミュニケーション不足が影響を及ぼす可能性もあることからテレビ会議などの実施が必要となるでしょう。

さて、問題は派遣社員にテレワークを行わせることに法的に問題はないのかということです。

まず、派遣元と派遣先との間の派遣契約において就業場所が明記されているのですが、今の契約の多くは在宅勤務を想定していません。また、派遣会社には定期的に派遣先を巡回する義務もあります。派遣社員にテレワークを認めるためには既存契約にかぶせる形で覚書を締結する必要があるでしょう。

政府も感染対策でテレワーク支援を打ち出し、中小企業向けの補助金助成金などを拡充しています。厚労省も、派遣社員のテレワークについてグレーゾーンであることを認めつつも現行法上も可能であるとの見解をとっています。

4月から施行される「同一労働同一賃金」で問題視される可能性が指摘されています。厚労省ガイドラインでは、賃金のほか福利厚生と教育訓練についての不合理な待遇差を認めないとしていますが、テレワークもこの対象になるのではないかということです。派遣会社でも派遣先でも正社員はテレワークできるのに派遣社員はできないなら、不合理な待遇差で派遣社員が責任を問われる可能性があるということです。

中小企業においてテレワークを実施するのは困難だと思いますが、NTTコムを参考に取り組むようにしてください。