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テレワークを拒む経営者の意識の低さ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で4万1485人で、東京7377人、神奈川2288人、埼玉2215人、千葉1605人、愛知2881人、大阪6101人、兵庫2514人、京都1202人、広島1042人、福岡2208人、沖縄1433人、北海道1170人などとなり28都道府県で過去最多を更新しています。今日から1都12県にまん延防止等重点措置が適用されますが、会食人数の制限・時短要請・酒類提供制限など飲食店を対象としたものです。どこまで飲食店を悪者扱いすれば気が済むのでしょうか。オミクロン株の感染拡大は、飲食店よりはむしろ学校・職場・家庭での濃厚接触によるものが主です。この点での対策が十分ではありません。これでは第5波の時と同じでたいした効果は期待できません。一人ひとりがしっかりと自粛して従来通りの感染防止策をとるしかありませんが、ネット投稿を見ると、オミクロン株を単なる風邪と同じに考え自制する気のない人たちで溢れています。困ったものです。昨日も書きましたが、欧米では感染者の急増に伴いそれなりに死者も出ていますし、社会機能も麻痺しつつあります。明日は我が身です。

さて、今日は、bizSPA!フレッシュの「感染再拡大でも『テレワークを拒む』のは誰か?元凶は経営層の意識の低さ」という記事を取り挙げます。

コロナ禍で、テレワークやリモートワークが導入され、新しい働き方として定着しつつありましたが、緊急事態宣言が解除されると再びオフィスワークに戻ったという企業が多いのです。確かに、出社を強制する企業は少なくなったようですが、通勤時間帯(ラッシュ時)は駅も電車の人で溢れています。

この記事では、「なぜ、こうした矛盾が起きるのか」について説明されています。

1.仕事の勝ちパターンが見つかった

 テレワークのメリットとして、「通勤という個人にも企業にもお金にならない行為をなくしたことが大きい」と言っています。確かに通勤にかかる時間と労力を節約できたことは大きいでしょう。しかし、通勤時に目にするもの(他の人や広告、風景など)で新しいアイデアや発想が生まれるという機会を奪っていることは否定できません。

 又、「ハラスメントの回避や馬の合わない人と顔をあわせずに済む」ことをメリットの1つとして挙げていますが、ビジネスは人と人との人間関係で成り立っています。馬の合わない同僚や上司であっても、そこから得られることがあるはずですし、本当にコミュニケーションをとり相手のことを知れば馬が合うかも知れません。テレワークのデメリットは人とのコミュニケーションが減り人間関係を希薄にすることにあるのです。

 テレワークのメリットは「仕事に集中できる」という点にあります。オフィスワークでは周りの同僚や上司から話しかけられて集中できないということがあり得ます。しかし、これも人それぞれです。周りの目がなければサボってしまう人もいるからです。

 この記事では、テレワークなど仕事のやり方(働き方)のメリットを「仕事の勝ちパターン」と呼んでいますが、人や業務の内容によって「仕事の勝ちパターン」は変わります。

 これまでは、社員全員がが同じ時間帯に同じ場所に集まって仕事をすることが当たり前で、どこに「仕事の勝ちパターン」があるか分かりませんでした。テレワークの普及により、「この業務(仕事)はテレワークに向いているな」「この仕事はオフィスワークに向いているな」というように「仕事の勝ちパターン」が分かってきたことが大きいと言えるのです。この点は間違いありません。

2.デジタル化は外部との交流を加速させる

 従業員が時間や場所を自由に選択して働くABW(Activity based working)が世界的に注目されてきています。先日のニュースにありましたが、ヤフージャパンは「通勤手段の制限を緩和し(飛行機による通勤も可)、居住地を全国に拡大できるなど、社員一人ひとりのニーズに合わせて働く場所や環境を選択できる人事制度『どこでもオフィス』を拡充」しています。

 確かに、企業側がそれぞれの業務に応じた最適な労働環境を提供することで、生産性が向上するとともにウェルビーイングに繋がることは否定できません。

 この記事では、「テレワークを廃止すると外部とのコラボレーションが生まれにくくなる」と言っています。同じオフィスに籠もっていると外部の情報が入りにくくなり、外部と交流する機会が減るというのがその理由です。しかし、必ずしもそうとは言い切れません。外部との交流をとるかどうかとテレワークの導入とは関係ありません。オフィスワークでも積極的に異業者の人や外部の人との交流を持つことに熱心な人もいますし、テレワークでも自宅に籠もって外部との接触を持とうとしない人もいます。これは人それぞれの特性です。外向的な人と内向的な人がいるのと同じです。

3.地方の中小企業でもテレワークは可能

 テレワークにはメリットとデメリットがあります。是が非でもテレワークを導入しなければならないわけではありませんし、テレワークを導入してそれを強制することは間違っています。

 価値観は多様化しています。働き方についても考え方は人それぞれです。テレワークという選択肢を用意して、業務内容に応じて選択の幅を広げることは重要です。強制ではなく自由に選べるようにすることです。

 これは大企業だけに限りません。地方の中小企業でも同じです。働き方の選択の幅があり自由に選択できるのであれば、優秀な人材も集まりやすくなります。

 確かにテレワークを導入するとなると、ある程度のIT化は必要ですが、必要な範囲で行なえばいいのですからそれほどの費用も労力もかかりません。IT導入補助金の利用もできます。

4.テレワークを廃止したい経営者の特徴

 緊急事態宣言が解除されるやいなやテレワークを廃止した経営層の特徴は「変わりたくない」という一言に尽きます。変わることが怖いのです。これまで行なってきた「勝ちパターン」と揺るがしかねないテレワークなどの新しい働き方は、自分の存在意義すら否定しかねない危険分子と判断するのです。結局これまで慣れ親しんだ勝ちパターンにしがみついている方が楽なのです。

 特に日本の社会は、他人と違うことを良しとしない風潮があります。すべて横並びで、減点主義の評価制度です。「上司に反発すれば減点」「これまでと違うことをすれば減点」なのです。これでは従来の風習を踏襲するしかありません。それは従業員だけでなく経営者もそうです。

 コロナ禍で先行きが不透明な今、企業が生き残り成長するためには新しいことにチャレンジし続けるしかありません。それには今まで通りのやり方を踏襲していたのではイノベーションを起こすことはできません。これまでの勝ちパターン通用しない時代になっています。

 コロナ禍で、新たな投資をすることを躊躇する気持ちも分かります。しかし、今こそ新たな投資を行なって新しいことにチャレンジしなければ負けて生き残ることすら困難になります。

 経営者自身が意識を変えることです。これはテレワークだけに限りません。

 経営者自身が過去の勝ちパターンにこだわらず、意識を変えてそれを全社全員に浸透させることが、中小企業が生き残り成長できる唯一の方法です。