休日の本棚 催眠術 占い
おはようございます。
政府の緊急事態宣言の延長を受け、各都道府県が独自に判断を示しています。大阪では、吉村知事が「大阪モデル」を打ち立てました。主観に頼らず客観的なデータに基づいて今後緊急事態宣言を緩和していくということです。政府は、出口戦略について何ら明確な基準を出さず、「専門家の意見を聞いて判断する」というのみです。こうした中で各都道府県の知事はよく頑張っていると思います。ただ、それぞれが独自の政策を打ち出すと、パチンコ店に見るように緩和された地域に他府県から人がなだれ込み第2波が起きるのではないかと危惧します。また、数字で判断するという「大阪モデル」も分かりやすく恣意が入らないという意味では良いのかもしれませんが、新型コロナ問題はかつて誰も経験したことのない状況になっています。何が正解かは分かりません。臨機応変に、柔軟に対処する必要があるようにも思います。あまり数字に縛られすぎると、柔軟性を発揮できなくなります。「大阪モデル」を基本に据えて、あとは手探りで臨機応変・柔軟に事態を見極めて対処してもらいたいものです。
さて、今日もトルステン・ハーフェナー著「心を上手に操作する方法」を紹介します。昨日は、カードマジックでしたが、今日は催眠術・占いを中心に紹介します。
他人の手によって行われるのが「催眠」で、自分の手によって行うのが「瞑想」です。これで人を操ったり自分を操ったりできるのです。
まず、「磁石の指」です。
- リラックスして座る。
- 両手の指を伸ばしてから、それぞれの手の指がもう片方の手の甲の上になるように両手の指を組む。
- これでお祈りをしているように両手を組んでいるはずだ。この状態で、指をしっかりぎゅっと閉じる。
- 両手の人差し指をぴんと上に伸ばし、人差し指同士をぴったりとくっつける。
- 次に両手の人差し指の先をグンと引き離す。指と指の間の空間を見つめる。その指先に磁石が埋め込まれているとイメージする。
さて、どうなったでしょうか。指先と指先が互いに引き合い勝手に近づいたのではないでしょうか。これには暗示の力以外の力も働いています。手の筋肉が疲れて自然とくっつくのです。
催眠術の具体的手順も載っています。興味のある方は本書を読んでください。
催眠術の危険性についても書かれています。被験者が身近な人にヒ素を盛るか、命令通りに拳銃で人を撃つかなどの実験の結果、催眠術をかけられた人は躊躇うことなく命じられた通りの行動をとったのです。非道徳的な人が催眠術を身に付けたら危険な道具となってしまいます。
この本では、心をうまく操作するために「ラポール」の重要性が語られています。「ラポール」というのは、信頼関係、広い意味での人間関係を表す言葉です。「目線を変える」すなわち、「相手の目線になって物事を見る」ことが重要なのです。誰かに話を聞いてもらおうとしたら、相手との間にラポール、つまり信頼関係を築かなければなりません。話をしている相手と波長が合うと感じるときは、無意識のうちにそれを作っているのです。テキサス大学の調査で、「2人の人間が話し始めると数秒のうちに同じ話し方をする」ということが判明し「言語レベルの適応」と名付けられました。コミュニケーションでは、メッセージの内容のみならず、関係性が重要です。メッセージに含まれているのは単なる情報にしかすぎません。このメッセージを相手にどのように受け取ってもらいたいか、このメッセージから何を感じ取ってほしいかは相手との関係性に関わります。「ラポール」を築くには、相手をしっかりと観察し、自分の行動を相手の行動に合わせることが重要です。その指針となるのが、①体の姿勢と身振り ②話す声の大きさとスピード ③呼吸のリズム ④語調や抑揚 です。
ここで挙げられているのがミラーリングとマッチングです。ミラーリングは向かい合っている場合に鏡に映っているように振る舞うこと(相手が右手を動かしたら左手を動かす)、マッチングは横並びの場合に相手と同じ動作をする(相手が左手を動かしたら左手を動かす)ことです。あからさまにこれらの動作をすると変な人と思われるので、相手が気付かないように行うことが必要です。特にミラーリングは効果が大きい半面バレやすくやり方を間違えると逆効果です。また、相手に合わせることに慎重になる必要がある場面もあります。例えば、ショッピングの際に店員があなたが気付かないうちにミラーリングをしていたら、買うつもりがなかった品物を買ってしまうかもしれません。
次は、「ページング」と「リーディング」です。「ページング」は相手を深く観察し、相手の言葉遣いやしぐさの特徴が判ったら、同じペースで進むことです。「リーディング」とは、「導く」ということで、相手をあなたが望む場所へと連れていくことです。
「ラポール」を築く最も簡単な方法は、「相手が正しいと認める」ことです。必ずしも相手が完全に正しいわけではありません。しかし、相手の目線・立場に立てば、相手は正しいのです。「あなたの立場だったら、私も同じように考えます」こう言った後であなたの意見を言えばいいのです。
次は「誰にでもできる、占いを的中させる方法」です。ここでも重要なのは被験者とラポールを築き上げることです。
相手の立場になって考えると、誰かに相談したり占ってもらいたいものは、①健康 ②恋愛 ③お金 ④仕事 ⑤願望や将来 ⑥教育 ⑦旅行や引っ越し、といった分野と「自分の人生」「自分自身」のことです。相手に自分のことを語らせれば簡単に「ラポール」を築くことが出来ます。「相手が自分自身のことを話すようにもっていけば、相手はあなたが素晴らしい話し相手だと納得する。その瞬間から、あなたは相手の話をよく聞き、ミラーリングを始め、相手がさらに続きを話しように勇気づける」(デール・カーネギー著「人を動かす」)のです。こうすることで、①相手は根掘り葉掘り聞かれたという印象は持たず、②相手はあなたが相手の心を読めるのだと信じ、③仮にあなたが間違っていても,最後にはあなたが正しいと思ってくれる のです。
占いにとってもう一つ重要なものがあります。それは年齢です。人間は一人一人違っていて悩みも違うと思いがちですが、実際に抱えている問題や悩みは年代に特有なものが多いのです。それぞれの年齢層の特徴や条件を理解しておけば、予測しやすいということなのです。本書では、それぞれの年代の特徴や関心ごとが挙げられています。これらを覚えていれば、占いを的中させることが出来るというわけです。
この本は面白いので、まだまだ紹介したいところがあります。続きはまた次回の「休日の本棚」で。