中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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中小企業が倒産しないで済む方法

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おはようございます。

今日は、プレジデントオンラインの「伝説のコンサルの遺言『中小企業がコロナ倒産をしないで済む方法』」を取り上げます。

ここにいう伝説のコンサルとは、5000社を超える企業を指導し、多くの倒産寸前の企業を立て直した経営コンサルタント一倉定氏です。一倉氏(1918年4月ー1999年3月)は、苛烈なまで「ダメな会社はTOPが悪い。人のせいにするな。部下のせいにするな。環境のせいにするな」と経営者を叱り飛ばし、ダメ社長の再生から企業の再生を行った伝説の人物です。「一倉定の社長学」シリーズをはじめ多くの著書もあります。

新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言が出され、企業、特に中小企業は会社経営において極めて厳しい局面を迎えています。こういう局面になると、売上の激減による手持ち現預金の減少からコストカット、経費削減、更に閉店まで考えてしまいます。利益の確保よりも経営の存族を優先しなければならない場面も圧倒的に多くなります。そのために大幅な経費削減・コストカットを行えば、製品の品質が落ち、サービスの質が低下して顧客の信用を失うということになりかねません。

この記事は、こうした事態に、一倉氏の教えから学び今後の行動指針にしようとしています。当然のことですが、一倉氏の教えは、今回のコロナショックを想定していたものではありませんが、危機的状況にどのように対処すべきかということは教えてくれています。参考になると思います。

  • 定期預金は解約、預貯金はすぐに使える状態にする。会社にとって経営環境が悪化した場合に重要なのは「資金に万全の対策をとる」ことです。目の前の資金を潤沢にすることです。一倉氏は著書「経営心得」の中で、「景気下降期に入った時、まず手を打たなければならないのは資金対策である」と言っています。それも一刻も早く、誰よりも先に手を打つことです。仮に定期預金や資産があっても、すぐに現金化できなければ、場合によっては「黒字倒産」ということにもなりかねません。定期預金は解約して普通預金にするのです。そして出来たら取引のある(借り入れのある)銀行ではなく別の金融機関の口座に入れていくのです。そしてそれらは社長がすべきことです。社員や幹部、他の役員に任せることではありません。社長自らの仕事です。
  • 銀行が「OK」と言っても安心するな。「担当者がOKと言っても、口座に入金され使える状況になるまで絶対に気を抜いてはいけない」ということです。融資申し込みで担当者が大丈夫と言っていても、最後の最後に本部がNOという結論を出すことがあります。入金が確認されるまで他の打つ手も考えておかなければなりません。最後の最後に「No」と最後通牒を突きつけられれば遅きに失したということになってしまいます。打つ手はすべて打って万全の態勢で臨むことです。
  • 社員の生活を守るのが日本の社長だ。今回のコロナで欧米では店舗へ移転と同時に大量の失業者が出ました。日本でも一部で解雇が行われていますが、欧米ほどでなく多くの企業では従業員を守ろうとしています。日本の社長たちが出来ることは、社員の生活を守るために資金の手当てをし、経費を削り、満額が無理でも給料を支払う努力をすることです。雇用調整助成金などの助成金などを利用するのです。従業員の生活を守るということは企業の存続にもつながります。そうしないと、営業を再開した時に誰もいなくなって会社が成り立たなくなってしまいます。
  • 利益は会社存続の経費である。緊急時に資金手当てがすぐにできる会社は、内部留保の高い会社、つまり、無借金の会社ないし実質的に無借金の会社です。事業経営は何が起こるか分かりません。だから常日頃から利益をコツコツと溜めて強い財政基盤を築いている会社が難局を乗り切れる可能性が高いのです。まさにその通りですが、コロナショックが蔓延して危機にある中、今更それを言っても始まりません。この記事では「借りれられるときに借りておくべきだ、などとと言う人がいるがとんでもない話だ」といっていますが、無利子・無担保など多くの特別融資が用意されています。借りられるなら借りておくべきだと思います。今後どのような事態になるか分かりません。取りあえず借りられるのであれば借りておき、事態が収束して必要がなかったなら返済すればいいのです。
  • 手形を切るな、「カネ余り」の経営を目指せ。一倉氏は、「経営心得」の中で、「会社は借金では潰れない。支払手形の身が会社を潰す危険のある唯一の資金調達方法だ」と言っています。手形を切るから手形が不渡りとなり倒産するというわけです。支払手形をゼロにするには何年もかけて徐々に手形を減らし、キャッシュフロー重視の経営に徹していかなければ実現できません。この経営法を続けていけば、「過剰流動性」つまり、現預金が必要な水準を上回る「カネ余り」の経営になるのです。今回のコロナでも、皮肉な話、お金を持っている企業が銀行からお金を借りやすかったのです。

確かに、この記事のような経営を目指していれば、今回のコロナショックでも倒産危機は免れるように思います。しかし、大多数の中小企業は日々の資金繰りに追われています。今回のコロナによって、不十分ながら政府も中小企業向けの支援策を出し多くの助成金や給付金が支給されるようになり、また前述したように特別融資制度もあります。手続きが難しく煩雑であるとか、時間がかかると言った課題・問題もありますが、受けられるものはすべて手続きをして受けることで、この危機を乗り切っていきましょう。次に何らかの危機が襲ってきた場合にどのように乗り切るか、どのような経営を行っていくかは、コロナ後の問題です。コロナ後にこの記事や一倉氏の教えを参考に目指す経営の在り方を考えましょう。今は、潰さないために遮二無二なって利用できるものを利用するという姿勢で臨みましょう。