迫りくる倒産爆発
おはようございます。
昨日の新型コロナの新規感染者数は、東京5人、大阪0人、全国で24人と大幅に減少しました。休日で検査件数が少なかったとはいえ、GW中の自粛の成果です。しかし、緊急事態宣言解除から初めての週末は各地で多くの人が外出し、緊急事態宣言が解除されていない大阪の心斎橋筋もすごい人通りで混み合っていました(ニュースで見ただけですが)。気の緩みに気を付けたいものです。
今日は現代ビジネスの「コロナショック『倒産爆発』が大企業にまで広がっている」を取り上げます。39県で緊急事態宣言が解除されましたが、東京、大阪をはじめ一部地域は継続されました。大阪は「大阪モデル」を作りそれをクリアしたので自粛緩和に向かっています。政府は緊急事態宣言解除の基準を「直近1週間の累積報告数が10万人当たり0.5人程度以下」としています。この基準はかなり厳しい目標基準です。東京都の小池知事は、「1週間平均で1日当たり新規感染者数が20人以下」という基準をはじめとした独自の7つの指標に基づく休業要請の緩和に向けたロードマップの考えを示しました。この記事は、東京都が政府の基準より緩やかの基準を示したのは、緊急事態宣言発令後に「倒産爆発」が顕在化してきているからだと言っています。
2月に2件、3月に23件だった「新型コロナウイルス関連倒産」が4月に84件、5月に入り15日までの44県置き、累計で153件となっています。今後も増えていくでしょう。
これまでの倒産は、宿泊業や飲食業をはじめとしたインバウンド需要依存の業種と個人消費関連の行書の中小・中堅企業が中心でした。
ところが、5月15日、東証一部上場のアパレル大手レナウンが民事再生法適用を申請しました。負債総額は138億円ということです。レナウンは長年経営不振に苦しんでおり必ずしも「新型コロナウイルス関連」の経営破綻とはいえない面もありますが、新型コロナウイルスの感染拡大により店舗の営業休止によって資金繰りが行き詰ったことは明らかで「新型コロナウイルスがとどめを刺した」ことは間違いありません。レナウンの従業員数905人、嘱託従業員3040人、臨時従業員503人と、雇用面でもその影響は小さくはありません。このように、新型コロナウイルスによる「倒産爆発」が大企業にまで迫ってきています。
以前にも書きましたが、リーマンショック時の不況、大倒産時代は、金融機関に端を発し大企業から中小企業へと、「上から下へ」と「倒産爆発」が拡がりました。しかし、ン回の新型コロナショックでは、中小企業から大企業へと「下から上へ」と「倒産爆発」が拡がっていきます。早期に食い止めなければ、上へ(大企業へ)広がった後に再び下へ広がっていくことは目に見えています。つまり、「下→上→下」と大爆発を起こします。大爆発を防止するために中小企業に対する経済対策が重要なのですが、政府の中小企業対策は極めて不十分でスピード感がありません。中小企業支援のために持続化給付金が用意されていますが、申請70万件に対し、現金給付が実施されたのは2万件にすぎません。給付される前に倒産・廃業に追い込まれる企業も出てきそうです。
この記事では、中小零細企業に対するボトムアップ型の対策と同時に、大企業救済というトップダウン型の対策の両方が必要になったと言っています。しかし、政府は大企業の支援に乗り出し、中小企業よりも手厚い支援を行おうとしているように思えます。むしろ、中小企業に対する支援を重視すべきです。いまだに家賃補助に対する具体策が出ていません。アベノマスクも届きませんし、10万円の給付金もいつ届くのか分かりません。あまりにもスピードが遅く、その間に倒産する企業がでてきます。そうなれば、それは新型コロナウイルスによる天災ではなく、人災、安倍政権の政治責任です。
この記事は、政府の「経済・雇用対策」に関する提言について「『補正予算を含む新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を含む各施策を、国・地方を挙げて迅速かつ着実に実行することにより、感染拡大を防止し、事態の早期収束に全力で取り組むとともに、雇用の維持、事業の継続、生活の下支えに万全を期す。引き続き、内外における事態の収束までの期間と広がり、経済や国民生活への影響を注意深く見極め、必要に応じて、時機を逸することなく臨機応変活果敢に対応する』と中身の乏しいひっ迫感のないものになっている」と批判しています。この理由について、この記事は、5月14日に開催された「基本的対処方針等諮問委員会」に4人の経済の専門家が加わったが、金融の専門家がいないからだとしています。非常時に必要なのは「経済の専門家」ではなく「金融の専門家」だということです。「平時に財政均衡を求める多くの『経済の専門家』が、財政の話を忘れて国家の予算をはるかに上回る規模の経済対策を求めるのは異様だ」と言っています。また、「金融の専門家であれば経済危機を規模だけで抑え込もうという考えは持たず限られた資金と時間を最大限有効に使うことを優先しただろう」と言っています。
しかし、この危機的状況で、果たして「金融の専門家」だからと言って適切な判断が下せたかというと疑問です。今必要なのは、赤字国債を発行してでも経済を回していくことなのです。それによって倒産を防止し国民生活を安定させることです。スピード感がなく支援策が決まらないのは「経済の専門家」だからではありません。財務省・経産省をはじめとする官僚と安倍政権の責任です。「金融の専門家」がいたとしても同じだったでしょう。金融の専門家も大したことはできません。金融の専門家たる中央銀行・日銀の現状を見れば明らかでしょう。
今必要なのは倒産爆発を抑え込むことです。そのために必要なのは中小企業へのさらなる支援です。また、中小企業の経営者の方々も、あらゆる手を打って倒産を回避しましょう。申請できるものはすべて申請し、借り入れできるならできるだけ借り入れておきましょう。そして、「新たな生活様式」「新たな日常」のために「新商品・新サービスの開発・提供」に取り組み、イノベーションを起こしましょう。これが中小企業が生き延びる道です。