中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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コロナ融資で貸し渋り

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おはようございます。

昨日の新型コロナ新規感染者は東京で15人、大阪で1人、全国で45人と大幅に減少しています。政府は5月14日に緊急事態宣言の解除を検討・発表するようですが、特定地域13都道府県を除く34件については解除されそうです。こうなると、また気の緩みが心配です。

さて、「中小企業経営者に聞く資金繰り策TOP3」という記事がありました。今回の新型コロナウイルスで資金需要が発生したという中小企業の具体的資金策は、第3位が親族からの借入、第2位が銀行からの借入、そして第1位が公的機関からの融資だそうです。また、外的要因による経営危機への資金面の備えの対策で最も多かったのは「預貯金」、次に「保険商品」となっています。多くの中小企業経営者が、昨日書いた「倒産しないで済む方法」で「預貯金を蓄えておく」という方策を実践されていることが分かります。ただ昨日も書きましたが、預貯金を蓄えておくだけでは不十分で、すぐに現金化できるようにしておかなければなりません。備えておきたい事業資金は「雇用を含め事業を維持・継続していくための事業運転資金」がトップです。一方で、約半数の中小企業は「資金面での備えはしていない(できる状況にない)」ということです。

今回の新型コロナウイルスの自粛要請・休業要請などで、多くに中小企業が経営面・資金面で極めて厳しい局面を迎えています。前述のように、資金繰りに際し、親族に頭を下げて借り入れ、また金融機関からの融資に頼らざるを得なくなっています。

現代ビジネスには「コロナ融資『貸し渋り』が続出!『死ねってことか・・・?」壮絶の現場ルポ」という記事が載っていました。

5月4日、緊急事態宣言の延長を決めた安部首相は「現在、休業などによって売り上げがゼロになるような厳しい経営環境に置かれている皆さんの苦しみは痛いほどわかっています。事業と雇用を何としても守り抜くという決意のもとで、政府の総力を挙げスピード感をもって支援をお手元にお届けしてまいります」と言っています(全くスピード感は感じられません。スピード感を挙げて火事場泥棒的に行っているのは「検察庁法改正」です。著名人を含め500万人もの反対がツイートされるのも納得です。今スピード感をもってあたらねばならないのはコロナです)。(それはさておき、)安倍首相の発言は現場の実態とは全くかけ離れています。

中小企業庁は、「新型コロナ感染症特別貸付」などの支援を打ち出し、「5年元本返済が不要」「金利負担が実質ゼロ」「担保なしの借り入れも可能」と謳っていますが、現実とは全くかけ離れているのです。緊急対策とは程遠く、この審査は平時と変わらず厳しいものになっています。コロナ以前から赤字だった企業は審査が通らない、またリーマンショック時に創設された中小企業金融円滑化法を利用して借り入れの返済猶予を受けていた企業は審査が通らないというのです。

この記事でも言っていますが、自助努力のない企業が淘汰されるのは止むをえませんが、それは雇用の受け皿の多い「平時」にやることです。今いたずらに淘汰すると、日本経済全体へのダメージを深く、長期化させてしまいます。以前「ゾンビ企業」のところで書きましたが、ゾンビ企業になるのはほんの一部です。大半の企業は「融資を受けても急場しのぎにしかならず、借金を増やすだけで首を絞めることになるかもしれないと考えつつも、真剣に会社の再建を画策している」のです。会社再建・経営維持に乗り出し色々画策した結果已む無く倒産・廃業することになったとしてもそれは結果です。「ゾンビ企業」という副作用があるからと言って支援策を縮小すべきではありません。今やるべきは積極的に中小企業への支援です。それも安倍首相が言うようにスピード感を持たせてしなければなりません。ある程度の審査は必要でしょうが、今必要なのは今月の給料の支払いに事欠く企業に対して融資し支援することです。雇用調整助成金は給料を全額支給した企業に支給されるもので、従業員に直接支給されるものではありません。融資を得てでも給料を支払わなければ助成金はもらえないのです。融資が下りなけれな従業員の生活にも直接影響します。悠長なことをしている時間はありません。金融機関において迅速に判断し融資実行してもらいたいものです。

また、提出書類も多いといいます。事業計画書も作成しなければならないようですが、この緊急時に少しでも売り上げを得ようと「デリバリー」や「お持ち帰り」で営業努力されている個人商店の経営者にそれを求めることは酷です。リーマンショック以降弱者保護のセイフティネットが進行し「セイフティネット保証」という保証協会の仕組みが生まれましたが、かえって要件が厳しくなっているようにも思えます。金融庁は、補正予算が成立すると、「コロナ関連融資も従来通り厳しいままやるように」との通達を各金融機関に出したと言われています。セイフティネット保証では、回収不能となった債権は政府系金融機関、ひいては政府が補償することになりますが、政府としてはこの不良債権を補填したくないからだと思われます。金融機関としては融資したいが政府の意向を無視できないということです。困ったものです。

更に、うまく融資が通ったとしても、現実に融資が下りるまで数か月かかるようです。今審査が通ったとしても実際に口座に現金が入金されるのが7月とか8月という話です。5月末までの資金繰りが持つかという状況で、スピード感は全くありません。

金融機関からの借り入れがままならないから「親族から借りる」というのがTOP3に入ってくるのも当然でしょう。受けられるものはすべて申請し、借りられるところから借りて何とかこの危機を乗り切りましょう。倒産→失業→自殺という悪循環は是が非でも避けねばなりません。