中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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ペーパーレス・脱ハンコ

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おはようございます。

日本における新型コロナウイルス対策は、いかに東京の感染者数を抑え込むかにかかっています。昨日の東京の新規感染者は27人で、「夜の街」関連が10人、感染経路不明者が16人です。2日連続の40人台から20人台へと減少したのは良かったですが、感染経路不明者の割合が約6割というのが心配です。

昨日、政府は新型コロナウイルスの抗体保有率調査の結果を公表しました。それによりますと、東京が0.1%、大阪が0.7%、宮城が0.03%だったということです。NY州では12.3%で、海外に比べると極端に低い割合で、国内の大半の人が抗体を持っていないという実態が明らかになりました。ウイルスに打ち勝つためには集団免疫を獲得するということが重要になりますが、日本の数字を見ると、集団免疫には程遠いということになります。「流行の第2波に向けて危険な数字であり」(日本医科大:北村教授)、流行の第2波に備えるうえで気がかりな結果になっています。

抗体は一度できると同じ感染症にかかりにくくなりますが、新型コロナの場合、まだ不明点も多く、厚労省は今後どのように診断や免疫調査で活用できるか見極めるとしています。しかし、第2波に向けて心配な結果です。

さて、日本銀行は、政府が第2次補正予算で決定した実質無利子・無担保融資の拡大に合わせ、金融機関への新しい資金供給策を拡大しました。政府と足並みをそろえる形で企業の資金繰り支援を強化することになりますが、迅速な融資拡大につなげられるかが課題です。第1次補正予算で決定された持続化給付金の支給も遅れており、新型コロナウイルス感染症特別融資もスムーズに融資が受けられていないのが現状です。コロナ関連の倒産件数も増えています。また、アンケートで、新型コロナの影響で7割の企業が「売上が2~4割減少」と答え、特に「小売業」「物流・運輸業」では「売上8割減」と答えています。このように新型コロナの企業への影響は甚大で、資金繰りはひっ迫しています。こうした企業への貸し出しを後押しするという狙いです。しかし、融資は一時的に資金繰りを支えられたとしても、新型コロナは長期化すれば企業の倒産防止や雇用維持につなげられるかは不透明です。融資はあくまでも借り入れで返済しなければなりません。実質無利子・無担保と言っても、企業の債務として算定されるため、企業の借り入れが増えれば財務の健全性が損なわれます。金融機関サイドは「資金調達は有利になるが、融資回収が出来なくなる与信リスクはなくならない」と言っており、かえって審査が厳しくなって融資を受けにくくなる恐れがあります。

また、日銀は、大規模な金融緩和策は少なくとも再来年まで続くという見通しを示しました。アメリカの中央銀行も再来年までゼロ金利政策を維持する未投資で、世界中で低金利政策が長期化します。

今日は、AERA「コロナ禍で進む働き方改革 ペーパーレス化や脱ハンコ加速の背景」を取り上げます。

テレワークを導入する企業が増えましたが、テレワーク導入にもかかわらず、「毎日出社しなければならない」(16.3%)、「週に2,3回程度」(21.6%)というアンケート結果になっています。その理由は、「取引先から送られてくる書類の確認・整理作業」(38.3%)、「請求書など取引先関係書類の郵送業務」(22.5%)、「契約書の押印」(22.2%)と言った書類やハンコ業務といった慣習がテレワークの妨げになっていることが分かります。

この記事では、こうした紙文化や印鑑に対して、アース製薬がどのように対処したのかが書かれています。

まず、社内と同じネットワーク環境を社外に構築するVPN(仮想プライベートネットワーク)の同時接続数が増え渋滞するという事態が生じます。アース製薬では、社員に「業務上必要がないときは、極力VPNに接続しないで」という注意喚起をしています。また、自宅のある地域によってVPNに接続する時間帯を変えてもらうという工夫が功を奏し、接続がダウンするというトラブルは回避できたと言っています。

アース製薬では、以前から準備を進めていたペーパーレス化が新型コロナの影響で一気に加速したと言います。「このコロナの機会に、一気に社内システムの電子化を進めてしまおう」ということになったのです。同社は紙文化が根強く残っていました。テレワークに移行すると、印鑑を押すためだけに出社するのは無駄ではないかと、電子化に向けた機運が一気に高まったのです。

総務と人事と連携し、これまであいまいだった社内申請のワークフローを明確化しました。「この書類は、そもそも誰に見てもらう必要があるのか」という根本から整理しなおしたうえで電子化することで手続きがスムーズになります。ペーパーとして残す必要がある文書とペーパーレスでよい文書を区別することです。同社は、今後ペーパーレスの範囲のさらなる拡大や、印鑑の電子化などを進めていく予定だといいます。

アーク製薬以外にもペーパーレスや脱ハンコに取り組む企業も増えてきています。中小企業においても取り組まなければならない課題となるでしょう。