中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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コロワイドによる大戸屋へのTOB成立か

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おはようございます。昨日の新規感染者は全国で498人、うち東京170人、神奈川63人、大阪82人、愛知12人、福岡11人、沖縄9人となっています。全国的には感染者は減少傾向にありますが、家庭内感染が増え高齢者の感染が増えています。それに伴い死者数は16人と感染者が多い時と変わらず、高齢者の死亡が増えているようです。若年層は軽症・無症状が多いですが、高齢者や基礎疾患を有する人は重症化するリスクが高いので、注意が必要です。

コロナとは全く話が変わりますが、外食大手のコロワイドが、定食チェーンの大戸屋ホールディングに対する株式の公開買い付け(TOB)が成立する見通しだと発表しました。コロワイド大戸屋の株式保有率を19%から47%に高めました。もう少しで過半数を取得する状況です。コロワイドは居酒屋の「甘太郎」、焼き肉の「牛角」、回転ずしの「かっぱ寿司」などを展開する外食産業の大手です。元々大戸屋筆頭株主でしたが、コロワイドは外部で調理した食材を店内で仕上げるセントラルキッチンを大戸屋に導入し、仕入れや配送を効率化しコスト削減につなげると訴え、大戸屋の現経営陣から反対されていました。大戸屋の経営方針は「お客様思考、町のご飯屋、オンリーワン」で、大戸屋の売りは注文を受けてから調理をする店内調理です。コロワイドが掲げる経営方針は大戸屋の経営方針とは全く異なります。コロワイド大戸屋TOBに乗り出したのは、新型コロナウイルス感染拡大で外食産業が痛手を受け、コロワイドも4月~6月期決済で売り上げは半減・41億円の赤字となり、直営の居酒屋など190店舗ほどを閉店し、昼食(ランチ)に強い大戸屋コロワイドを取り込んでコロワイドの経営を立て直そうと図ったからです。コロワイドは、TOBが成立すれば経営陣を刷新する模様ですが、今後の大戸屋がどのように事業展開するのかは注目に値します。コロワイドが展開しようとしているセントラルキッチンで大戸屋の再建が進むかもしれませんし、逆に店内調理で出せていた味が出せずに客足が遠のくかは分かりません。

コロワイド大戸屋に仕掛けたような敵対的TOBはもともと「和」を重んずる日本ではあまり流行りませんでした。しかし、このところ徐々に増えてきています。と言ってもここ数年は多くて2件、昨年は5件、今年は今のところ4件といった具合です。

2000年代は外資投資ファンドが短期的な利益を狙って敵対的買収を仕掛ける例が見られましたが、株主の理解が得られずに失敗するケースがほとんどでした。このところは株主である企業が会社経営の刷新を図り提案するというケースが増えています。昨年は伊藤忠商事デサントへのTOBに成功しています。

今回のコロワイドによる大戸屋へのTOBは、外食産業では初だと思われます。外食産業では、振るわない居酒屋への依存度を下げたり、事業の縮小、売却に動いている例がありました。例えば、ワタミは来年3月までに振るわない居酒屋など65店舗を閉店させ、から揚げ店やファミリー向け焼き肉店を出店を増やすようですし、「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは「ペッパーランチ」の事業を投資ファンドに売却しました。

コロナ禍に伴う企業業績の悪化は買収価格を引き下げる方向に働き、厳しさを増している業界では敵対的なTOBが今後広がり業界再編が進むように思います。ただ、気を付けなければならないのは、中国・アメリカをはじめとするハゲタカ資本が敵対的TOBに乗り出して、日本企業が外資に乗っ取られることです。グローバルな視点で考えればそれもやむを得ないことかもしれませんが、守らなければならない企業や業界は存在します。日本の優れた技術や特許が海外に流出するのは避けなければなりません。だからといって政府が規制を行うべきかというとそれも違うような気がします。悩ましいところです。日本や日本企業の将来を慮って、ハゲタカ資本による企業買収には株主が目先の利益に目がくらんでハゲタカ資本に株式を売却しないということが必要です。