中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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正しい叱り方

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おはようございます。昨日の新規感染者は全国で6605人で、内訳は、東京1502人、神奈川952人、埼玉455人、千葉488人、愛知312人、大阪592人、兵庫292人、京都131人、北海道194人などとなっています。重傷者は920人と過去最多となり66人が亡くなられました。大阪の累計死者数が東京を超え全国最多となりました。大阪では重症者も過去最多で、受け入れ可能な重症病床の使用率は80%を超え、医療のひっ迫が懸念されます。東京都のモニタリング会議では、「新規陽性者数が本当に多くて、これまで経験したことがない速さで増えている。その影響もあり、接触歴など不明者の割合が増えている」「爆発的な感染拡大を示す兆候を示す水準になっている。実効性ある対策を直ちに行う必要がある」と危機感を募らせました。また、東京都医師会の猪口会長は「医療提供体制がひっ迫して、通常の救急医療を含めて危機的状況にある」と警鐘を鳴らしています。

1都3県の首都圏の緊急事態宣言については「東京の感染者数が500人を下回るようになると解除」ということが西村担当相によって言われていますが、大阪の吉村知事が「大阪の感染者数が300人を下回るようになることが解除の1つの基準」と述べました。吉村知事も菅首相同様、経済優先の姿勢が垣間見えます。東京の500人という基準については、専門家からは「500人を下回るには早くて2カ月はかかる。その段階で解除すれば2カ月後には再び感染拡大する」との厳しい意見が出されています。このことは大阪でも同様です。春の緊急事態宣言の時には、東京は令和2年5月25日の解除時の感染者数は8人で、10人を下回る状況が続いていたことで解除となりました。また、大阪は5月21日の解除時の感染者数は4人でした。第1回目の緊急事態宣言時は感染者が1桁になったことを目安に解除されています。検査数が増加しているなど1回目の時とは状況は違いますが、感染者の数だけで判断するのは問題で、人口当たりの感染者数、陽性率、実効生産数、病床使用率など総合的に判断すべきです。いずれにしても、500人、300人という数字だけでは解除後に再び急増することは目に見えています。1桁とは言いませんが、せめて100人を下回るところまで抑え込まなければなりません。

今日は、東洋経済オンラインの「日本人が苦手な『叱り方』、一気に上達する秘訣」を取り上げます。この記事は、「世界最高の話し方:1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!『伝説の家庭教師』が教える門外不出の50のルール」の著者岡本純子氏が「やる気が爆上がりする世界最高のしかり方」について解説したものです。

リーダーは何でもかんでも自分でやろうとしては駄目です。また、手取り足取り教えるというのも間違っています。部下を「認めて、任せて、褒める」ということが重要です。しかし、部下がミスをすることもあり、褒めているばかりでは部下は成長しません。時に厳しく叱ることも必要です。叱るときには「叱り方」があるのです。

この記事では、「現代人は『正しく叱る力』が著しく低下している」と言っています。特に、日本人は「正しく叱る」ということができない国民性を有しているように思います。かつて(と言っても昭和40年~50年代)ブームとなったルース・ベネディクト著「菊と刀によれば、欧米のキリスト教的な正邪(善悪)の文化とは異なり、日本文化の特徴は恥の文化です。例えば、電車内で騒いでいる子どもを叱る親ですが、「公衆の場で騒ぐのは悪いこと・間違ったことだ」と言って叱るのではなく、「みっともない」「他の人が見ている」などと「騒ぐことは恥ずかしいことだ」と叱ります。これは「正しい叱り方」でないことは明らかです。しかし、頭の中では分かっていても、現実に叱る場になると「正しい叱り方」ができず、間違った叱り方をしてしまいます。

人を育てるというのは、子供を育てるときはもとより、部下を育成するときも、「褒める」ばかりでなく、きちんと「叱り」、「間違いを正す」ということが必要です。

著者によれば、コミュニケーションは「科学」で、多くの学者が研究し、その「解」を示している額門であり、一生学び続けるものです。確かにコミュニケーションは一つのスキルです。しかし、日本人は「何んとなく」「周りがやっているから」「その場、その時の気分で」叱りがちです。

1.1回叱ったら6回は褒める。

 「叱る」と「褒める」のバランスが重要です。叱るだけでは駄目でフォローが必要なのです。そして、アメリカのコンサルティング・ファームの研究では「ネガティブ1でポジティブのフィードバックが6」、つまり、そのベストバランスが「叱る1:褒める6」なのだそうです。

2.「褒めるとき」と「叱るとき」は、きっちり分ける。

 日本では「褒める→叱る→褒める」の順にする「サンドイッチ話法」が人気ですが、これも時代遅れだというのです。組織心理学者でペンシルバニア大学ウォートン校のアダム・グラント教授によれば、サンドイッチ話法は話し手はいい気分になるが聞き手にとっては何の役にも立たないのです。人にはネガティブバイアスがあり、ネガティブに引っ張られるので、一度の褒め言葉では意味がなく役に立たないということです。また、この方法に慣れてしまうと、「褒められた後には何か叱られるのでは?」という思い込みが働き、褒められる場面でも素直に受け入られなくなってしまいます。また、このサンドイッチ法では、「叱るべき内容」がポジティブワードの間に挟まれ隠れてしまい、きっちりと伝わらない可能性も出てきます。したがって、「叱るとき」と「褒めるとき」は、きっちりと分けた方がよいのです。

3.やってはいけない5つの叱り方

  1. ダメだし:何に対してもとにかく否定ばかり
  2. 押しつけ:自分の意見を押しつける。
  3. 決めつけ:根拠なく、思い込む。
  4. 長々とした説教
  5. 感情的に怒りをぶつける

 「ダメ出し」「押しつけ」「決めつけ」「長々とした説教」は、一方的に相手を攻撃する行為で、相手を防御に追い込み、頑なにさせてしまいます。「感情的に怒りをぶつける」というのも、「自分のむしゃくしゃした気分や苛立ちを晴らしているだけ」と思われ「叱られている当人のため」であることがきっちりと伝わりません。

4.「あなたを信頼し、あなたのことを思っている」ことを伝える。

 叱るときに大切なのは、相手に「攻撃されているという気持ちを抱かせないこと」です。「今から言うことは、君に対して非常に高い期待を持っているからだ。そして君ならその期待に応えられると信じている」と伝えることです。人は、自ら考え、自ら気付きを得なければ、本質的に変わることもできなければ成長もできません。相手を攻撃したところで意味はありません。それよりは成就に「質問」をしながら、相手に「揉んぢ」も「解決策」も自分で発見させるように仕向ける方がよほど効果的で、成長につながります。

4.叱り方に加える4要素

 相手の心にしっかりと届く「建設的なネガティブフィードバック」(批判的な評価を伝え、改善を促す)には、次の4つの要素が必要です。

  1. 叱るべき事実
  2. 何故、それがダメなのか(理由)
  3. それについて自分はどう思うか(主観)
  4. 解決策を提示させる

叱るときは、「事実」「理由」を盛り込み「解決策」を提示させることです。「主観」というのは、相手を主語に「お前は○○なんだ」と非難するのではなく、自分を主語に「私は○○と思う」というように想いを伝えることです。

5.「正しい叱り方」を身につけたコミュニケーションを

 「ネガティブでもフィードバックがあった人」のエンゲージメント(やる気)は「全くフィードバックを受けない人」の20倍に上ることが研究t調査で分かっています。最悪なのはポジティブもネガティブも、何のコミュニケーションもないことです。

「褒める」ことも大事ですが「正しい叱り方」はもっと大事で、うまく叱ることで相手のやる気もモチベーションも高くなります。

「正しく褒めて」「正しく叱る」、これはスキルです。これはリーダーが身につけなければならない「正しいスキル」です。