中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

「叱り方」「褒め方」の極意

f:id:business-doctor-28:20210917081321j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5705人、そのうち東京831人、神奈川534人、埼玉360人、千葉296人、愛知595人、大阪858人、兵庫301人、京都151人、福岡234人、沖縄229人、北海道94人などとなっています。東京では先週の同曜日と比べれば半減し、全国的にも減少傾向が見られますが、いまだに病床使用率は高い水準にあります。現在の減少傾向の要因の一つは、8月の長雨で外出を控えた人が多かったことが挙げられています。今週末から秋のシルバーウィークが始まります。台風が日本列島を横断するようで外出も儘なりませんが、リバウンドさせないためにも、不要不急の外出は控えましょう。2回のワクチン接種を終えても万全ではありませんし、10代以下の感染者が急増し小学校クラスターが倍増しています。子供から親へ、親から子供へという家庭内感染を防ぐためには、子供を持つ世代へのワクチン接種を早急に進めるとともに、これまで通りの感染防止対策をとっていくしかありません。菅首相は、「新型コロナ対策に専念する」と言って総裁選への出馬を断念しましたが、自民党は総裁選で盛り上がり、政府のコロナ対策も見えてきません。立憲民主党をはじめとする野党も体たらくです。誰が新総裁に選出されるかはわかりませんが、いずれにせよ政治に過度な期待をするのはやめた方がよさそうです。結局は、自分の身は自分で守るしかありません。

さて、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「『やる気が出るのは叱られた時?褒められた時?』心理学が明らかにした意外な事実」という記事を取り上げます。

これまでも、部下の育成方法として、「褒めるのか、叱るのか」ということを話題として取り上げたことはあります。

部下の育成方法としては、「認めて、任せて、褒める」というのが基本で、ミスをした時には「叱る」ことも必要です。ただ、「叱る」ばかりで後のフォローがなければ、反感を買うだけで、より良い人間関係・信頼関係を築くことはできません。叱った後には必ずフォローすることが大切です。

1.褒めるべきか、叱るべきか

 この2つの対応は、職場だけでなく家庭でも、学校でも、古くから問題となっています。どちらが正しいというわけではなく、両方を上手く使い分けることが大切です。

 日本は、ベネディクトが「菊と刀」で言ったように、欧米の「罪の文化」ではなく「恥の文化」に支配されています。日本の社会は、正しいのか正しくないのか(正か邪か・善か悪か)ではなく、恥ずかしいか恥ずかしくないかという価値観に支配されています。親が子供を叱るときも、「悪いからやめなさい」ではなく「恥ずかしいからやめなさい」的な叱り方をします。良し悪しは別として、欧米にはキリスト教的な価値観が根付き、善悪の基準が明確になっていますが、日本には明確な善悪の基準はないのです。今の若者だけでなく、昔から日本人は、曖昧模糊とした甘えの中で生活しているのです。

 「叱る」というのは、相手のことを思って行うものでなければなりません。しかし、親や教師、上司も、叱られる相手のことを思って叱っているとは思えない場合が多いのです。叱っている本人は相手のことを思って叱っているつもりかもしれませんが、心底相手のことを思っているわけではなく、背後に自己満足や驕りが見え隠れしています。相手のことを思っていなければ、それは怒りに任せた感情の発露にしかすぎません。「叱る」というのは、相手に対してどのような思いや感情を込めて言葉を発するのか、「この一言で、相手が持つ素晴らしい可能性が花開いて、大きく成長してほしい」と思い、真剣に相手にその言葉を響かせようとすることであって、ある意味「命がけ」の行動なのです。

 このことは「褒める」にも当てはまります。「褒める」ときも、相手のことを思って心から褒める必要があります。口先だけ、上辺だけの褒め言葉など、相手の心に響きません。褒める場合も、相手の心に響いてこそ意味があります。「褒める」ことも「命がけ」なのです。

 組織心理学の研究によれば、ネガティブなフィードバック(叱るなど)よりもポジティブなフィードバック(褒めるなど)の方が、モチベーションなどポジティブな心理的・行動的な反応をもたらすと報告されています。

 例えば、ポジティブなフィードバックを受けた人は、フィードバックの内容を「的確である」「役に立つ」と評価し、それを受け入れて肯定的な自己イメージや自己効力感を高めます。また、組織に対する愛着(エンゲージメント)を持ち、役割外の仕事や創造的な活動に積極的に取り組んで、会社を辞めようという気持ちが低いことも報告されています。

 また、脳科学の研究では、金銭的報酬がもらえるときに賦活する脳の部位が、褒められるなどの社会的報酬が与えられたときにも同様の反応を示すことが明らかになっています。つまり、他者からも褒められるということは、お金をもらうのと同じくらいの喜びや満足を得るということです。 

2.能力をほめるか、努力をほめるか

 褒め方によって、効果が違うということも明らかになっています。

 ある問題を与えて、解けた者に対して、①能力を褒める ②努力を褒める ③全く褒めないという3パターをしたのちに、別のさらに難しい問題を与えたところ、努力を褒めたグループの成績が向上しています。

 「努力を褒められたグループ」は「能力を褒められたグループ」よりも、問題を解くことを楽しみ、新しいことも学びたいという意欲が高まっています。

 また、悪い成績だと告げられたのちに自分のスコアを他の者に伝えるように指示したところ、「能力を褒められたグループ」は「努力を褒められたグループ」に比べ、スコアをごまかして伝えるケースが多いことも判明しています。

 これらのことから、褒める場合には、達成できた成果を褒めることも重要ですが、その過程での努力・頑張りを褒めることがより重要だということが分かります。

こうしたことから、部下の育成方法の基本は「認めて、任せて、褒める」です。しかし、褒めてばかりいたのでは思い上がりや過度な自信過剰が生まれ、小さなミスが大きなミスにつながってしまいます。時にはブレーキをかける意味で、「叱る」ことも必要になります。 

 認めて、任せて、褒める ⇒ 時折叱る ⇒ アフターフォローをする

というのが一番良いと思います。このサイクルを回していくのが最も良い部下の育成方法ではないでしょうか。

「叱る」ことも「褒める」ことも、相手のことを思いやる心が一番です。そのためには、相手とのより良い人間関係や信頼関係の構築が大前提になります。コロナ禍デ難しい面はありますが、お互いが共感できるように普段から対話や雑談に心がけましょう。