中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 ビジネスモデル✖仕事術

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5048人、そのうち東京1175人、神奈川627人、埼玉358人、千葉463人、愛知246人、大阪450人、兵庫283人、京都130人、福岡236人、沖縄103人、北海道111人などとなっています。金曜日としては大幅に減少していますが、死者は108人と過去最多となっています。緊急事態宣言の効果が徐々に出てきていますが、まだまだ油断はできません。

東京都内で、渡航歴のない10歳未満の児童にイギリス型変異種が見つかり市中感染が危惧されます。イギリスの変異種は、「感染力が従来型より1.7倍強い」ということは知られていますが、「子供のような若年層にも容易にうつりやすく、更に重症化しやすいかもしれない」とも言われています。イギリスのジョンソン首相は、昨日の記者会見で「感染力が強いことに加え、死亡率の上昇にも新たな変異種が関係している可能性を示す証拠が出てきた」と述べています。日本国内での変異種の市中感染の拡大は是が非でも食い止めなければなりません。

今日は、細谷功&井上和幸&西本伸行著「ビジネスモデル✖仕事術」(日本実業出版)を紹介します。本の帯に「自分を陳腐化させないためのビジネスモデルを探せ!」とあり、進んだ業界や会社のビジネスモデルを見抜き、それを借りてきて自分や自分の会社に当てはめるという思考モデルを提唱しています。

ビジネスモデル」という言葉は、分かって分かりにくい言葉ですが、ピーター・ドラッカーは「顧客は誰か?顧客にとっての価値は何か?どのようにして適切な価格で価値を提供するのか?」という3つの質問に対する答えであると説明しています。ジョージア州立大学ブリティッシュコロンビア大学のアレックス・オスターワルダー客員教授はビジネスを「組織が価値を精製・提供・獲得する方法の論理的根拠を説明するもの」と定義づけています。したがって、ビジネスモデルとは、簡単に言えば、「ビジネスとしてお金を継続的に稼ぐ仕組み」のことです。

いま、ビジネスの世界では、個別の製品やサービスでは差別化がしにくい競争環境になってきています。競争他社と差別化を図るために「ビジネスモデルを工夫する」という考えが出てきているのです。

従来では、新規ビジネスを立ち上げる場合、どのような商品・サービスを提供しようかと考えることが主な検討項目でしたが、ビジネスモデルで差をつける時代には、ビジネスモデルの検討が欠かせません。商品・サービスの検討は、4P(プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション)という型があるので比較的簡単です。しかし、ビジネスモデルは、決まった型が存在しないので考えることが難しいものです。そこで、この本では他から「借りてくる」という考えが提唱されています。「借りてくる」と言っても、「パクる」のではなく、もう少し高度化・抽象化した状態で、他のビジネスのアイデアを持ってくるということです。100社あれば100通りのビジネスモデルはあります。他社のビジネスモデルをそのままパクっても、自社にとって最良のビジネスモデルにはなりません。他社のアイデアを借りて、それを自社にうまく適合するように独自のビジネスモデルを作り上げなければなりません。「借りる」というのは自社のビジネスモデル構築のヒントを得るということです。

この本では、ビジネスモデルを借りてくるということは、新しいビジネスの立ち上げだけでなく、個人の日々の仕事でもビジネスモデルを借りてくることによって役に立つことがたくさんあると言っています。

この本では、20個のビジネスモデルが紹介され、それを使って実際にビジネスを生み出す場合のヒントなどが紹介され、更に、個人の仕事に活かす場合の例などが紹介されています。

1.「王道」のビジネスモデル 変わらない安定感のあるビジネスモデルから学ぶ。

(1)トライアルモデルー「試せばわかるはず」というビジネス

  • お試し・・・試供品・無料期間など・・・①継続的に使うもの ➁肌に触れるものや体に取り込むもの ③比較的原価率が低いもの ④体験しないとよさを理解できないもの。まずは無料で使ってもらいことで今使っているものと比較してもらい、乗り換えてもらう。
  • 使ってもらえば後発でもチャンスはある
  • 百聞は一見に如かず。とにかく一度使ってもらう。一緒に働かせてもらう

(2)マッチングモデルー誰かと誰かを結び付けるビジネス

  • 少し領域を狭めたり、ユニークなものを対象にしたりすることで新しいビジネスが生まれる可能性がる。両側の顧客をうまくマネージすることが重要
  • 人脈が重要な社会になる。マッチング力が自分の価値を底上げする。

(3)冠婚葬祭モデルー利益率が高くなる理由を持つ

  • 安くしたいというニーズが働きにくく、価格競争になりにくい。「高くても仕方がない」と思える業界・市場を選ぶ。
  • 「高育雨量でも仕方ない」と思える仕事をする。自分だけの「高くても仕方ない」価値を作る。

(4)特売モデルー1つ際立ったもので人を惹きつける

  • 特売品・・・①需要が高いもの ブランド価値を持ちたい場合には使えない ②複数の商品がある会社で使えるモデル
  • 「利益は少ないが顧客を獲得する商品」と「利益を上げる商品」とで沸けてビジネスを考えれば、より利益が出やすいビジネスにすることができる。
  • 得意技が1つ目立てば、全体が目立つ。

2.「超速」を極めるビジネスモデルー驚異的なスピードで生き抜く

(5)ベータ版モデルー8割出来でもまず出してみる

  • サービスの出来、不出来を効率的に判断することにより失敗を減らし、投資を回収しやすくすることによって、利益を得るビジネスモデル
  • 完成してから始めるのでは遅すぎる。範囲を狭めることで、全部を作るよりもdン前早く開発でき、開発費も大きく抑えることができる。
  • 作り込むより、顧客と一緒に作る発想が必要
  • 未完成版のリリースこそ成功の秘訣。途中で見せて、軌道修正する。

(6)オンデマンドモデルーリアルタイムという価値

  • 今までオンデマンド化(需要に即して)できていなかったものをオンデマンド化することで利益を得るモデル・・・在庫の削減と言ったコスト津んの側面と顧客のニーズに合わせることで満足度を向上させる売上アップの側面の両方を改善する。
  • 「すぐやります」を技術で可能に。たとえば3Dプリンターでその場で自分の欲しいものを作ってもらうなど
  • 技術トレンドにのれば下克上もありうる。技術革新の波に常に乗ることが求められるようになる。

(7)多産多死モデルーベータ版モデルの進化型。取り敢えず出し続ける。

  • ヒットが生まれにくい時代になっている。下手な鉄砲も数打てば、でヒットを作り出す。
  • 比較的大きな企業や、1つのサービスで急成長した企業に最適なモデル
  • 戦略脳だけでなく、柔らかいアイデア脳も必要

3.「協働」で価値を高めるビジネスモデルー1社だけではできないという考え

(8)ワイドレンズモデルー幅広い視点で見ることが利益を生む

  • 緩やかな協業により、開発費や販促費の負担を減らし、効率的に利益を上げることができるため、利益が得やすい。
  • 資本力で劣る企業が「勝ち馬」に乗れるモデル・・・誰と組むかを考えるのが重要
  • 起業において、将来的に成長が見込めるエコシステム(生態系)を見極めることが必要。どのエコシステムの中で生きていくのがよいのか見極める。
  • 自分の所属する会社だけを見ず、ワイドレンズで見る。エコシステムの動向を見ながら自分の実の処し方を考える。

(9)オープンソースモデルー無料に見せかけた囲い込み

  • オープンソース部分は無料だがその周辺が有料だから利益が得られる。
  • 無償ということはそれだけ仲間づくりがしやすい。仲間づくりをして一大勢力をつくることが成長の秘訣・・・短期的な成長や資金が乏しい会社には向かない。
  • 比較的小さな企業でもオープンソースモデルの恩恵を受けることは可能。中心メンバーとしてではなく、名を連ねておくことで、オープンソースがリリースされたときに、それに合わせた自社の商品やサービスを一早く販売することが可能になる。
  • オープンソースモデルに合った新しいマネジメント・・・「命令」ではなく「理由を明確にして依頼する」

(10)アウトソースモデルーパートナーに任せるというビジネス

  • 本来自分たちで行うことが普通である業務を外部に委託することでコストを削減し、利益を得るモデル ①初期費用をかけたくない場合 ➁コストが安いところに業務を委託
  • 自社のコア(中核)でない業務を委託
  • 得意でないことは外部に委託して事業を立ち上げる
  • 個人の仕事でもアウトソースする。嫌な仕事を押し付けるということではなく、任せることでお互いにメリットがある仕事であることが条件。

4.「細分化」で稼ぐビジネスモデルー細分化する社会で生き抜く

(11)ミルフィーユモデルーニッチよりも狭いビジネス

  • ニッチよりも狭いミルフィーユの1枚1枚のような薄い領域でビジネスを行うことで利益を得るモデル。非常に狭い領域であっても、全世界を相手にすることにより「そこそこ」のビジネスができる。
  • 新しいビジネスを始める分野として、今市場自体がミルフィーユ化していく可能性があるものを選ぶ。
  • 世界が細分化されていく一方で、規模を拡大していく領域も存在し二極化する。独立していくか、インフラの一部として会社に所属していくか、キャリアの別れ道になる。

(12)ロングテールモデルー需要が少ないもので書くという発想

  • 需要の少ないテールの部分で売上を上げるビジネス。低コストで品ぞろえを確保して全体の販売量を増やすことで、需要が少ないテール部分でも利益を上げる仕組み。
  • ロングテールを作り出すコツ・・・ユーザーとサイトを作り上げていくことで、テール部分の情報を集め、それが結果的に品ぞろえの優れたサイトになっていく
  • スペシャリストの時代・・・希少価値のある人材を目指す。

(13)稼働率最大化モデルーITを使って細分化し、隅々まで埋める

  • キャパが決まっているビジネスにおいて、文字通り稼働率を最大化することによって利益を得るモデル。ITの進化により、過去の膨大な販売データを分析し、どこまで下げればどれだけ売れるかが分かるようになった。
  • 余っている者をビジネスにする・・・稼働率が低いものに対して、稼働率を高めることによって利益を上げる。あまり使っていない身近なものにチャンスがある。
  • 労働時間を稼働率で考える・・・業務を効率化し、クリエイティブな時間を作り出す。

5.「賢く」稼ぐビジネスモデルー賢く稼ぐということ

(14)二次利用モデルー自分を真似るか、他人を真似るか

  • 同じものを違う方法で販売することで二次的な利益を得るモデル。いわば「骨までしゃぶる」ことで利益を最大化する。
  • 二次利用は自社の製品を流用することだが、他社の製品を流用する模倣モデルもある。他社のものを流用することで開発費などの固定費を削減し利益を得る。
  • まずは模倣モデル電停的なビジネスを作り、その後オリジナリティを出していくというのも立派な戦略の一つ。
  • 仕事でも、成功している方法や細心の事例をまねることは成功を続けるために必要なスキル。

(15)アズアサービスモデルー知らぬ間に継続してしまう魔力

  • アズアサービスとはSAASやPAASなどの総称で、今まで購入していたものを購入せず、月額利用料を払うことでサービスとして提供してもらうことを指す。一度契約してもらえば、何か問題が発生しない限り継続して使い続けてくれるため安定的に収入を得ることができる。
  • 「所有から利用」の流れがある業界に、新規参入のチャンスがある。
  • 会社員はアズアサービスモデル・・・アズアサービスから抜け出すか、その中で生き延びるか

(16)中抜きモデルー余分なものはいずれなくなるという考え方

  • 間に入って中間マージンを取っている人を中抜きし、直接取引することで利益を得るモデル。
  • しがらみのない起業家には中抜きモデルのチャンス。「何が抜けるか」を考えてビジネスチャンスを見つける。
  • 自分が目指す姿を明確にし、中抜きされないキャリアプランを考える。

(17)早熟モデル/成熟モデルー差別化するか、コストで勝つか

  • 早熟モデルはライフサイクル(導入期・成長期・成熟期・衰退期)の中で、成長期前に利益を借る採ってしまい、その後市場から撤退するモデル、成熟モデルは、販売が飽和した成熟期に利益を得るモデル。
  • 起業するなら、コスト戦略の成熟モデルがいい、大企業の新規事業は差別化の早熟モデルがいい。
  • 成熟型の人材は、能力や知識に磨きをかけておトク人材になる。

6.「今後注目」のビジネスモデルー新しいビジネスモデルから学ぶ

(18)O2Oモデルーリアルからネットへ、そしてまたリアルへ

  • O2Oとはオンライン・トゥ・オフラインのことで、ネットで集客し、リアル店舗に送客するという意味合い。ネットで完結するという考えを崩し、ネットでは完結しないことを前提にしたという意味で新しい考え方。
  • ネットビジネスでもないリアルビジネスでもないというビジネスは比較的商圏が狭いエリアで成り立つ。商圏を絞った形でビジネスを行うことでチャンスが生まれる可能性がある。エリアを限定し、リアルと融合する方法がポイントとなる。
  • どれだけ進歩しても、結局は対人スキルが勝負を分ける。コミュニケーション力が重要。

(19)オプトアウトモデルー交換条件を出すビジネス

  • 交換条件を出すことによって顧客接点を持つというモデル。商品を安くする代わりにメールマガジンを購読してもらう、レビューを書く代わりに値引きするなど。
  • コストを下げて薄く広く稼ぐことが基本。新しい事業を立ち上げる場合、いかに固定客を持つことができるかが重要。オプトアウトの仕組みで半ば強制的にリピート客になってもらう。少し荒っぽい手法であるので、企業としての信頼や安心を大切にする必要があるモデル。
  • オプトアウト的な意思決定・・・「反対意見がなければ進めます」「一度やって問題があれば辞めたいと思います」など反論するのに一定のハードルを設ける。

(20)複合モデルービジネスモデルを組み合わせて対応力を生む

  • 1つのサービスの中で異なるビジネスモデルを組み合わせて成り立たせるビジネスモデル。複合的なビジネスモデルであれば、大きな落ち込みを避けて津語のビジネスへ軸足を移していくことも可能。
  • 会社の発展の中で目指していくモデル。ビジネスが拡大するにつれて、同じ商品・サービスの中でビジネスモデルを増やしていく。
  • 時代の流れ、要請に応じ、経験を活かしながら新しいキャリアを切り開く。

ビジネスモデルには色々なものがあり、どれが優れたビジネスモデルかは一概に言えません。それぞれの会社の状況によって適したビジネスモデルがあります。この本に挙げられている20のビジネスモデルを参考に、そこからアイデアやヒントを得て、あるいはそれらを組み合わせ、自社・自分に合ったビジネスモデルを構築し、それをビジネスや仕事に活かしていくことが重要になると思います。

参考にしてください。