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休日の本棚 ビジネス思考を読む

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おはようございます。

一昨日は、「33の思考実験」「考えるとはどういうことか」を取り上げ、昨日は思考実験の関連で「タイムトラベル」「祖父殺しのパラドックス」をとりあげました。今日は思考という関連でビジネス思考に関連する本を紹介します。

まず、大森武著「高校生が学んでいるビジネス思考の授業」(阪急コミュニケーションズ)を取り上げます。この本は2014年出版で若干古く今も書店にあるかどうかわかりませんが、ビジネス思考についてわかりやすく説明されていて役に立つ本です。大森氏は早稲田高校の数学科・情報科の教諭です。2003年から高校のカリキュラムが変わり「情報科」が必修教科となり、ビジネスに必要なコミュニケーション能力や問題解決力の基礎はそこで身につけられるというのです。情報科と言うと「コンピュータの使い方を学ぶところ」というイメージがありますが、「情報をインプットしアレンジし、アウトプットするまでの一連の流れを扱う教科でコンピュータはその単なる道具に過ぎない」のです。2013年から、高校の情報科は「知識重視型」から「問題解決型」に方向転換されました。まさにここにビジネス思考と結びつくところがあるのです。

この本では、考えるための7つの道具が挙げられています。7番目はコンピュータですが残る6つの道具は次の通りです。

  1. 「デジタル論理式」です。ここでは狭い論理=記号論理を使います。デジタルの論理です。内容は、①情報のデジタル化 ②2進法 ③デジタル容量の容量計算です。最終的には、「文章を論理式で表してそれが筋の通ったものかどうか判定する」のです。つまり、文章の骨格を抜き出し「かつ」「または」「ならば」「~でない」の4つの記号で論理式を表し、それが筋の通った論理かどうかを判断するということです。ここで例文が挙げられています。「あなたはわたしのことが好きじゃないのね。だって、好きだったら私に優しくしてくれるはずなのにちっとも優しくしてくれない」この文章は正しい論法でしょうか?
  2. 「考え方の作法」です。これは論理の論理です。①意見(主張)には必ず理由(根拠)を添える。②反論は相手が挙げた根拠に向ける。③議論の目的はぼんやりしているものをはっきりさせる のです。ここで勧められている方法は①最初に意見を言う ②意見・根拠・反論を1行で書く ③五七調を封印する です。例としてマンホールの蓋はなぜ丸いのか?理由を3つ挙げてください(1行で)というのがあります。また、原発事故の損害をだれが負うべきか?意見と理由と反論を3セット挙げるというのもあります。
  3. 「駆け引きの科学」です。ここではゲーム理論が挙げられています。ゲーム感覚でゲームを楽しもうということです。ゲーム理論については以前取り上げました。ここでは例として、冷戦時代、アメリカ大統領は考えた。「このまま軍拡競争を続けたら経済が破たんしてしまう。何とか軍縮に切り替えたい。でもアメリカだけが軍縮したのではソ連に世界の覇権を取られてしまう。さて、どうしたものか?」というのが挙げられています。
  4. 「最大の情報源は自分である」です。ここではマインドマップの使い方が色々あげられています。マインドマップと言うのは、真ん中から外へ枝分かれしていく図のことで、すべてを芋づる式に書き出し、枝分かれするように「見える化」する技のことです。例として、昔話「桃太郎」を1枚の紙に再現するというのが挙げられています。まず、桃太郎を10字程度に要約し(桃太郎が鬼を退治した)これを紙の中央に書いて、枝を伸ばしながら再現jしていくのが挙げられています。
  5. 「自然現象・社会現象をモデルで斬る」です。ここではモデル化からシミュレーションまでが挙げられます。雑然と見える自然現象や社会現象から特定の要因を抜き出しモデル化し、その現象をシミュレーションしてみようということです。さぎょうは「条件設定→図解モデル→数式モデル→シミュレーション→グラフ化」と進みます。例として「車のアクセルを踏むと加速しますが、アクセルを踏み続けるとやがて無限に速くなるかと言うと、実際にはそうなりません。『車のアクセルを踏み続けるときの車の速度変化をモデル化してシミュレーションしてください』」と言うのがあります。
  6. 「曖昧の科学」です。ここで統計の勘所をつかむのです。ここで「平均値と中央値」「ばらつきと標準偏差」「散布図と相関係数」さらに「正規分布」「P値」「ベイズ推定」と統計理論に進みます。統計についても以前書きいていますので参考にしてください。ここでは、予防接種のどれくらいの効果があるかという例を考えます。①予防接種を受けた100人のうち、病気にかかったのは10人でした。②予防接種を受けなかった100人のうち病気にかかったのは20人でした。さて、あなたは予防接種を受けますか?このことは何を意味しているのでしょうか?①②から言えることは「100人の内80人は、予防接種を受けて受けなくても病気にかからなかった」また「100人の内10人は予防接種を受けて設けなくても病気にかかった」と言うことです。このことから「予防接種を受けたおかげで病気にかからなかったのは100人のうち10人だけ」「残り90人は予防接種を受けて設けなくても病気にかからなかった」ということで「予防接種を受けて効果がある確率は10%、受けても効果がない確率が90%」と言うことなのです。

高校生に戻ったつもりで情報科の授業を学ぶのも良いのではないでしょうか?

そのほかにビジネス思考に関連する本として、赤羽雄二著「ゼロ秒思考」(ダイヤモンド社)とグレッグ・マキューン著「エッセンシャル思考」(かんき出版)を挙げておきます。

「ゼロ秒思考」ですが、A4の紙に1件1枚で1分以内に書くことで考える力が鍛えられると言っています。「高校生が学んでいるビジネス思考の授業」で「主張・理由・反論をそれぞれ1行で書く」というのに通ずるところがあるように思います。

「エッセンシャル思考」とは最小の時間で成果を最大にする方法で、多数の瑣末なことの中から、少数の重要なことを見分ける技術、99%の無駄を捨て1%に集中する技術、努力せずに自動的にエッセンシャル思考を実現する技術などについて説明しています。いずれの本もビジネス思考として役立つものと思います。

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