中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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ダウンサイジング

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1023人、そのうち東京272人、神奈川100人、埼玉84人、千葉163人、愛知33人、大阪60人、兵庫27人、京都9人、福岡32人などとなっています。検査数の少ない休日のデータとはいえ、もうすぐ1000人を切るところまで下がってきました。このままの状況で減少傾向が続いてくれればよいのですが・・・昨日は気温も上昇し春のような陽気になり、各地の人出が大幅に増えています。もうすぐ卒業・入学シーズン、花見シーズンとなり、さらに人出が増加することが予想されます。こうしたちょっとした気の緩みが再び感染拡大に結びつきます。これは昨年春以降繰り返されてきたことですが、どうも人間というのは思いのほか学習能力が低い生き物です。緊急事態宣言の期限まで2週間になりました。3月7日に期限通りに解除されるのか、それとも再び感染拡大に転じ再延長されるのかは、この2週間のわれわれの行動にかかっています。もう一度気を引き締め直して、残り2週間頑張っていきましょう。

さて、今日は、東洋経済オンラインの「企業も飲料も、日本社会で『ダウンサイジング』が進む必然」という記事を取り上げます。

ダウンサイジングとは、簡単に言えば、サイズ(規模)を小さくすることを意味します。例えば、コスト削減や効率化を目的として、あるいは新技術を用いて、モノのサイズを小さくする、高密度化・小型化するのもダウンサイジング(工業製品のダウンサイジング)ですし、企業の従業員を削減したり、組織再編を行い組織の規模を小さくするのもダウンサイジング(組織のダウンサイジング)です。

緊急事態宣言の延長、コロナ禍の長期化が続く中、この記事は「日本の社会でダウンサイジングの波が押し寄せている」と言っています。

電通、JT(日本たばこ産業)、エイベックス、日本通運などが本社ビルの売却を発表、もしくは検討中とのことですし、テレワークの普及で、事務所規模を縮小した企業も多くあります。

また、資生堂日立製作所オリンパスなど事業の売却・縮小を行ったり検討したりしている企業もあります。

このように大企業においても、事業再編、経営資源の集中化というダウンサイジングが進行中です。こうした流れは、大企業に留まらず、働き方改革が進むにつれて中小企業に広がっていくものと思われます。

さらに、ダウンサイジングは企業経営だけではなく、私たちの生活の中でも進んでいます。コロナ禍で外出自粛が続く中で、レジャーシーンでも個人志向の傾向が目立つようになっています。昨年から話題になっているソロキャンプ、100円ショップでもアウトドアコーナーが設置されるなどブームになっています。また、巣ごもり需要やコロナ感染予防のために一人用の小鍋が人気になり、ペットボトルにもダウンサイジング志向の傾向がみられるというのです。確かに、テレビCMでも、さまざまなシーンに応じて使い方を変える様々なサイズのペットボトル飲料が放映されています。

コロナ禍以前では、会社を訪問すると、茶碗、カップ、グラスに注いだお茶やコーヒーなどが出てきましたが、コロナ禍以降は、小容量のペットボトルを出す企業が増えているのです。これは、お茶などの飲み物の用意や後片付けの手間が省けるのはもちろんのこと、衛生意識の高まりが最大の要因です。

さらに、今年は、コロナ禍のオンライン授業の増加や保護者の経済状況、生活コスト、感染リスク防止などを背景に受験生の地元志向が顕著になっているのです。地方から上京して大学生活を謳歌するという時代ではなくなり、ここでもダウンサイジング、縮み志向になっています。

以上述べているように、企業経営から個人のライフスタイルまでダウンサイジングの波が押し寄せていますが、次のような懸念が指摘されています。

それは、企業の経営効率化に伴うリストラの加速や新規雇用の抑制です。すでにコロナ禍で業績が悪化し倒産した企業は1000件を超え、リストラにも拍車がかかっています。しかも、リストラの対象は、嘗てのように高齢者ではなく、中高年から30代と働き盛りの世代にまで低年齢化してきています。こうした動きが加速するようになれば、日本の国内経済、消費活動はますます縮んでしまいます。

一方、個人レベルでのダウンサイジング、縮み志向では、孤独化というネガティブな面が生まれることは否定できません。人とのかかわりが減り、孤独感にさいなまれ、不安やストレスで精神的に落ち込むことにもなりかねないのです。しかし、一人で過ごす時間が増え、あるいは家族と過ごす時間が増え、映画や書籍に触れる機会が増加し、インプットが増大するというメリットもあります。会社や学校といった集団から距離を置くことで、個としての可能性について思考し、これまで目を向けてこなかった地元・地域に軸足を置いたコミュニティーへの参加という新しい生活スタイルが生まれることもあります。

この記事では、「従来型の価値観、意識が変容していく中で、東京一極集中の中での組織・集団依存的なライフスタイルからの脱却という選択や、個人の意思表示としての選挙投票への参加というアクティブな動きにつながっていくかもしれない。日本が成長から成熟へと舵を切る時代に突入するシナリオの可能性だ」と言っています。

確かに、ダインサイジング、縮み志向は、デメリットはありますが、時代の流れとして受け入れ、それをうまく活用して未来につなげていくことが大事です。100年前にはスペイン風邪の流行から、世界各国が不況に陥り、第二次世界大戦に突入したという苦い経験がありますが、このことを忘れることなく、反面教師として、このような事態、悪夢を引き起こさないように各国が協働していくべきです。

いずれにしても、少子高齢化、人口減が進んでいく日本社会は、今後、総体として確実にダウンサイジング化し、縮んでいきます。この記事では「コロナ禍によるダウンサイジング化、縮み化現象は、国にとっても、企業にとっても、そして個人にとっても避けることはできず、かつてない転換期になる予兆となるかもない」と言っています。

ここで、ダウンサイジング・イノベーションについて触れてきます。

ダウンサイジング・イノベーションというのは、小型化、低コスト化を経て、従来市場を代替するとともに、新たなユーザーニーズを掘り起こし新市場を開拓するイノベーションのことです。代表的な分野としては、コンピュータがあり、大型コンピュータからモバイル端末へとダウンサイジングすることで市場を拡大しましたし、同様のイノベーションは自動車のパワートレインの分野でも発生しました。近年、複数の分野で、製品やシステムのダウンサイジングが進み、市場を変革、拡大しています。

ダウンサイジングはイノベーションの源泉となり、小型化、低コスト化を経て、従来の市場を代替するとともに、新たな顧客ニーズを掘り起こして新しい市場を開拓しているのです。

ダウンサイジングイノベーションによる新たな市場の立ち上がりは、IT関連の市場だけでなくあらゆる産業の市場に影響を及ぼします。政府においては、規制緩和や支援等によって、市場変革を後押しすることが求められます。また、民間企業も、市場の変化を敏感にとらえ、世界に先駆けて変革した市場の中核となる技術、製品、システム、サービスの開発にチャレンジすることが期待されます。

こうしたダウンサイジングイノベーションを視野に入れると、この記事が言うように、「かつてない転換期になる予兆である」というのはまぎれもない事実でしょう。