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ハックマンとオールダムの職務充実のための5つの職務次元

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で600人、そのうち東京116人、神奈川59人、埼玉65人、千葉73人、愛知8人、大阪38人、兵庫9人、京都13人、福岡15人、北海道63人などとなっています。元々検査数が少ない休日のデータの基づく数字なので、先週月曜と比較しても約86%と下どまりしていることに変わりはりません。その中で、埼玉の20人が変異株(ほとんどがブラジル型)で全国的に変異株が拡大している懸念があります。第4波を引き起こさないためにもしっかりとした感染防止策が必要です。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「はやりの理論を聞きかじっても組織がよくならないワケ、取り組むべき王道は?」という記事を取り上げます。

ここでははやりの理論として2018年~19年に流行った「ティール組織」が挙げられていますが、ティール組織は一つの理想形としては優れているものの実現可能性が低く、実務面で大きな広がりを見せることはありませんでした。それでは経営理論は役に立たないかというとそうではありません。どのような理論も、それを使う側の力量や使い方によって生きることも死ぬこともあります。経済理論が役に立たない机上の理論だと言うのは間違いです。

ここでは、「どんな企業でも目指すことができ、かつやればほぼ必ず成果が読める職務満足理論は存在する」と言っています。そして、その職務満足理論として、昨日書いたハーズバーグの動機付け要因ハックマン&オールダムの職務充実のための5つの職務次元が挙げられています。

職務充実のための5つの職務次元は、「効果的で、その気になればどんな職場でも実施可能な優れものの理論」と紹介されています。

ハックマン&オールダムは、仕事への内的動機付けが高まる要素を「職務設計の中核5次元」として説明しています。

  • 第1の次元=スキルの多様性・・・必要とされる能力や技能が多様であればあるほど自分の仕事は有意義で価値があり重要だと感じる
  • 第2の次元=タスクアイデンティティ・・・単なる大きな仕事の一部なのか、一貫して関わることのできる一定のまとまりのある仕事なのか、自分の仕事としてまとまりのある自覚を持てる仕事の方がアイデンティティが高まる
  • 第3の次元=仕事の有意義性・・・仕事の意味が自覚され、自分の仕事は価値があり重要だと感じるほど、内的動機付けは高まる
  • 第4の次元=自律性・・・自由裁量の範囲が大きければ大きいほど、自分の仕事の結果に責任を感じ、それが内的動機付けになる
  • 第5の次元=フィードバック・・・自分の仕事の成果を確かめることができるかどうか。言われたことをこなすだけなのか、上司や同僚を通じて自分の仕事がうまくいっているかどうかを知ることができるかで、モチベーションは大きく変わる

簡単に言えば、⑴何か新しい技能が身につく ⑵一人で完結できる ⑶自分の仕事に意味がある ⑷自分で決められる ⑸褒められ、アドバイスがもらえるという5つが重要だということです。

仕事を振る側も、この5つについて工夫をすると部下の動機づけにつなげることができます。

  1. スキルの多様性・・・職務を振り分ける際に、その人の持つ技能に加えて何か新しい技能が加わる仕事を設計する
  2. タスクアイデンティティ・・・最初から終わりまでという全体性を持つ仕事を振り分ける、それが無理なら、割り振った仕事が全体の中でどのような位置づけにあるかを説明し理解してもらう
  3. 仕事の有意義性・・・割り当てた仕事が社会に対して、会社に対して、さらに当人の現在と未来にとってどのような意味があるかを考え意味を見出させる
  4. 自律性・・・自分で判断して意思決定できる自由裁量の範囲を広げるようにする
  5. フィードバック・・・よかったことでも悪かったことでもコメントし合う

これらの5つの次元は、どんな仕事、どんな職場においても、簡単に実行できることです。ここではこの5つのポイントで、フィードバックが最も重要だと言っています。

私は、以前から「認めて、任せて、褒める」が重要だと書いていますので、フィードバックとともに自律性も重要だと思います。

次にこの記事ではリード・ハスチングス&エリン・メイヤー著「ノー・ルールズ」(日本経済新聞出版)のネットフィリックス社のフィードバックポリシーが紹介されています。この本は最近出版され、読もうと思っている本の1冊ですがまだ読んでいません。

ネットフリックスの「脱ルール」カルチャーとしては、

  • ルールが必要になる人材は雇わない
  • 社員の意思決定を尊重する
  • 不要な社内規定を全部捨てよ
  • 承認プロセスは全廃していい
  • 引き留めたくない社員は辞めさせる
  • 社員の休暇日数は指定しない
  • 上司を喜ばせようとするな
  • とことん率直に意見を言い合う

などがあります。

この記事では、ネットフリックスのAを頭文字にした4つのフィードバックポリシーについて説明されていますので紹介します。

  1. Aim to assist(フィードバックする場合は相手のためになることを)
  2. Actionable(フィードバックは相手が行動できることを)
  3. Appreciate(フィードバックを受けた人は感謝すること)
  4. Accept or discard(受け入れるか、受け入れないかは相手に委ねる)

「すべてのフィードバックをよく聞き、考慮して感謝する。しかしすべてに従う必要はなく、それらをどう判断するかは聞き手が判断する」ということです。

この記事では、「はやりの理論を持ってきて抽象的な議論に時間を費やすよりは、やれば必ず成果が上がる『ハックマンとオールダムの5次元』を職務設計の際に用いれば、格段に効果が上がるはずだ。そこに「フィードバックを重視した率直な文化」を加えたい」と言っています。

はやりの理論が全く意味がない・役立たないとは思いませんが、成果が上がると思われる「ハックマンとオールダムの5次元」を用いることとフィードバックを効果的に利用することは、生産性向上や部下の成長に役立つものと思います。