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定型業務における自律的モチベーション

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1万8416人で、1万人台をキープしています。いよいよ明日から訪日外国人観光客の受け入れが始まります。旅行業界や宿泊施設、その他観光地では期待の声が大きいものの不安を抱く人たちもいます。政府のガイドラインが発表されました。これは旅行業者・添乗員向けですが、それを外国人旅行者に守らせることができるかがポイントです。

さて、今日は、日本の人事部の「定型業務でも、やりがいは感じられる。従業員の『自律的モチベーション』を高める方法」という記事を取り上げます。先日も、目標設定理論でモチベーションの高め方について書きましたが、今日もモチベーションについてです。リモートワークが普及し、働き方が多様化する中で、従業員のモチベーションを維持・向上させることは、企業にとって重要な課題になっています。従業員が生き生きと働ける環境作りは大切ですし、従業員に与える仕事の質もモチベーションにとっては重要な要素です。しかし、パターン化された作業を繰り返す定型業務をこなしている従業員も多いのです。こうした定型業務に携わる従業員のモチベーションの維持・向上をどのようには図るかは重要です。同じことを繰り返す定型業務は、モチベーションを高めづらい側面があります。

1.リモートワークはモチベーションにどう影響するか

 コロナ禍でのリモートワークの普及で、働く環境が大きく変わったことは言うまでもありません。オフィス勤務の場合、身近にあるさまざまなものが私たちのモチベーションを刺激してくれます。通勤途中に見聞きするもの、オフィスでの同僚と顔を合わせ雑談をする、社内の雰囲気やそこで何気なく耳にする会話などなどがモチベーションの維持・向上に大いに役立っているのです。在宅勤務などのリモートワークの場合、自宅で仕事をすることが当たり前になり、仕事と家庭の境界が曖昧になり、オン・オフの切り替えができずにモチベーションの維持・向上が難しくなっています。仕事の忙しさによって家庭が疎かになり、逆に子育てや家事で思うように仕事に取り組めなかったりと、「ワーク・ファミリー・コンフリクト」が生じモチベーションが低下しているケースも見られます。

2.自律的モチベーションを高める取組み

 在宅勤務の場合、オンとオフとの切り替えが難しく、そのタイミングが分からない人は多いと思います。昨日の「タイムオフ」でも書きましたが、在宅勤務で通勤時間からは解放されたものの、ノンストップで休みなく、場合によっては土日まで仕事をしている人もいます。休むというのが難しいのが日本の企業ですが、長時間勤務をしたからと言って生産性が上がっているわけではありません。むしろ低下しているように思います。それは、在宅勤務での長時間労働でモチベーションが続かないからです。オフィス勤務の場合、同僚や上司などの他の人の眼がありました。在宅勤務の射場愛、人の眼はありません。サボろうと思えばできますし、誰からも注意を受けることはありません。こうした環境下では、自分自身でモチベーションを調整するスキルを持つことが重要です。この記事では、「自律的モチベーション」と呼んでいます。

 「じりつ」という言葉を漢字にすると「自立」と「自律」の2つがあります。「自立」というのは、他者の助けに頼ることなく自らの意思で仕事に取り組んでいる状態を指し、「自律」は自らを律して仕事に取り組むことを指します。リモートワークの場合、どうしても人の眼がなくサボろうと思えばサボれるので、自分で自分を律しながらモチベーションを維持・向上させなければなりません。だから「自律的モチベーション」なのです。

 自律的モチベーションを高めるには、仕事を始める際に目標をしっかりと設定し、どのような順番でタスクをこなすかを決めることが重要です。タスクのじゅんばんを決めるのに重要なのは「認知資源」です。わたしたちは、物事に集中したり、選択と判断をしたり、推論したり、アイデアを想像したりと多岐にわたる知的な情報処理を行なっていますが、このときに消費される知的エネルギーが「認知資源」です。認知資源は有限で、施行のたびに消費され、時間が経つと枯渇してしまいます。1日を通してモチベーションを維持するには、創造性の高い仕事や思考力が求められる仕事は午前中の認知資源が豊富なときに、メール太陽などの雑務は午後に行なうという、時間配分やタスク管理が重要なのです。

 また、長期的には、自分の仕事がどのような意義・意味があるのかを再定義することも重要です。働く人が主体的に自らの職務をデザインすることでモチベーションを高めることができます。仕事の目的や同僚・顧客などの関係者に与える意義を捉え直すことで、仕事内容の範囲を変えたりといった工夫に繋がっていきます。

3.モチベーションが保ちづらい職務

 組織には、さまざまな職務が存在し、その中には、モチベーションを保ちづらい食味も存在します。この記事では、「成功への接近が求められる職務」と「失敗からの回避が求められる職務」の2つに分け、後者はモチベーションが保ちづらい職務であるとしています。

 過去のモチベーション理論の多くは、「成功への接近が求められる職務」、つまり仕事をすることで成果が出る業務を前提としてきました。営業や企画などの仕事は仕事の成果が何らかの形で測定でき、顧客の評価も返ってくるため、モチベーションのサイクルを作りやすいと言えます。

 一方、安全の遵守や管理、トラブル対応など「失敗からの回避が求められる職務」では、反復的な定型業務をミスなくす住めることが当たり前とされ、何かトラブルが起きるととがめられてしまいます。経営や総務、人事の一部業務など管理部門も同様です。こうした仕事では比較的モチベーションを高めづらい傾向にあります。

 定型業務は目標設定や売上、顧客評価などによって達成感を得づらいため、モチベーションが低くなり安い傾向にあります。自分の仕事にやりがいを感じられないままだと、最悪の場合、離職に繋がります。

 しかし、会社の業務というのはどれも必要な業務で、定型業務がなくなれば、組織が回りません。定型業務も会社にとって必要不可欠な業務なのです。

 人は、「他の人や社会から必要とされたい」「自分の価値で世の中に貢献したい」という気持ちは誰でも持っています。それが満たされることで、自分の仕事に対する誇りが生まれ、モチベーション向上に繋がるのです。いかに定型業務でも、それが会社や社会にとってどれだけ役に立っているのかが分かり腹落ちできればモチベーションに繋がるのです。

 新幹線の車内清掃を担うJR東日本テクノハートの取組みがあります。清掃業務といえば定型業務の典型例ですが、同社では清掃に関するスタッフの仕事の定義を見直し、単に新幹線の清掃だけでなく「清掃を通してお客様の旅をお手伝いする」ことを目的としたのです。その結果、清掃スイッフは、自分の仕事に誇りを持ち目的に向かって高いモチベーションを保ち、自律的に行動するチームが生まれたのです。

4.業務の段階ごとに求められるマネジャー・人事の関わり方

 従業員に社会的貢献や仕事への誇りを感じてもらうためには、マネジャーや人事のマネジメントが重要です。単に仕事を与えて「ミスなくやってください」と言うだけでは自律的モチベーションは生まれません。

 実際の関わり方については、「着手段階」「途中段階」「完了・結果段階」に分けて考える必要があります。

  • 着手段階・・・「この仕事がどの容易な意味を持っているのか」「どんなことを期待しているか」を伝えることです。人は期待されると嬉しいし、それに応えたいと思うものです。
  • 途中段階・・・適切なタイミングで激励したり助言したりすることです。常に部下との信頼関係を構築に努め、「何かあったらいつでも相談してね」と言うことで、安心感を与えることができます。
  • 完了・結果段階・・・担当してもらった仕事に対するねぎらいと感謝を伝えることです。また、ポジティブなフィードバックを行うことです。

 従業員は定型業務だからと言って漫然ロ仕事を続けていくのではなく、日々の振り返りからポジティブな要素を見つけ、そのポイントに対してマネジャーや人事がねぎらいの声を掛けていくことを強く意識することです。

 最も重要なのは、リモートワーク時代に合った信頼関係を構築し、適切なマネジメントを行うことが重要なのです。