中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

テクノロジー導入は後出しじゃんけんでうまくいく!

f:id:business-doctor-28:20200407082516j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1133人、そのうち東京300人、神奈川91人、埼玉96人、千葉76人、愛知30人、大阪86人、兵庫78人、京都9人、福岡28人、北海道69人、宮城69人などとなっています。全国的に下げ止まりの傾向が続いていますが、各地で変異株の新規感染者が急増しています。いまのところイギリス型、南アフリカ型、ブラジル型、フィリピン型ですが、フランスでは新たにフランス型と言える変異ウイルスが見つかっています。このフランス型はPCR検査で陽性判定が出ないということなので、空港検疫で見逃されるとあっという間に広がってしまいます。しっかりとした水際対策が求められるところです。

さて、今日は、ビジネス+ITの「サイゼリアに学ぶテクノロジー導入、なぜ”後出しじゃんけん”でうまくいくのか」を取り上げます。

デジタル変革やDXについては繰り返し書いていますが、流行りに乗って導入したものの、どのような分野でどのように活用していいか分からない企業も多いのです。何度も言いますが、デジタル化やDXは手段であって、まず「何のために導入するのか」という目的が先になければなりません。

この記事は、AⅠを通じて人間と人間社会を見つめる研究者松田雄馬氏と、一橋大学ビジネススクール楠木建教授との対談です。

楠木教授は、その著「逆・タイムマシン経営論」の中で、経営者が陥りがちな罠(トラップ)の1つとして、新技術に過剰に期待してしまう「飛び道具トラップ」を論じています。「飛び道具トラップ」というのは、いつの時代も「次に来るのはこれだ」という話が来て、新しい経営手法やツールが飛び道具として独り歩きし、経営者を悩ます罠(トラップ)になってしまうことです。

今でいえば、DXやオープンイノベーションプラットフォーマー、サブスプリクションモデルなどで、経営者がAIやDXに大きな期待を寄せて「推進せよ」「他社動向を探れ」と命じるケースが当てはまります。

楠木氏も「それらは手段だということ。その向こうにある目的が『戦略次元のものなのか、それとも通常の業務の効率化という話なのか』まずそこをはっきりしましょう」と言っています。

「良いこと」と「悪いこと」の間で選択するのであれば、デジタル化やDXは良いことに決まっています。その選択は意思決定ではありません。意思決定というのは「良いこと」と「良いこと」の間で行われるものです。DXの取り組みで言えば、まず「自社の戦略がどういう文脈・ストーリーを持っているのか」を改めて考え、「その文脈の中にDXを位置づけたときにどう作用するのか」を考えることで、自社の目的に合致するならDX導入という意思決定を行い、目的に合致しないなら導入を見送るという意思決定をするというのが正しい判断・意思決定の仕方です。このようにすれば、「飛び道具トラップ」に陥らなくて済みます。

戦略とは「良いこと」と「良いこと」の選択の問題であり、楠木氏は「戦略とはAとBどちらの理を取るかである」と言っています。

この記事では、技術導入時期の正しい見極め方についてサイゼリアのキャッシュレス決済導入が紹介されています。

2017年頃、キャッシュレスサービスが台頭し、「これからはキャッシュレスだ。乗り遅れるな」という雰囲気がありましたが、サイゼリアではキャッシュレス化が進まず現金支払いが主流でした。これはキャッシュレス対応に乗り遅れていたのではなく、ちゃんと理由があったのです。「決済額の3%という手数料を支払っても5%の収入が増える」という時期・タイミングを待っていたのです。当時、サイゼリアの社長は「最終的にはキャッシュレスはやる。でも自分たちは後出しじゃんけんしたい」と語っていました。タイミングを待つということはビジネスとしては当然のことで、自社のビジネスにポジティブな影響を与えるようになるタイミングで導入すればいいのです。

楠木氏は、この事例について、「商売全体の文脈の中にキャッシュレスを位置づけている。これが経営です。『キャッシュレスを好む人が増えている』『インバウンドでキャッシュレスがないと需要を失う』というファクトがあったとしても、自分の商売には関係ないと割り切ることができた」と言っています。

その技術が本当に自分の会社に必要なのか、それは今なのか」という判断が重要なのです。これはデジタル化やDXにも当てはまります。