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DXを成功させるカギ、ファシリテーション

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で5918人、そのうち東京1027人、神奈川255人、埼玉256人、千葉152人、愛知530人、大阪1172人、兵庫534人、京都136人、福岡337人沖縄76人、北海道234人などとなっています。全国の新規感染者は2回目の緊急事態宣言解除後最多となっています。東京では約3カ月ぶりに1000人を超え、大阪では、44人が亡くなり過去最多の死者数となりました。4都府県では緊急事態宣言下にありながら、「自粛慣れ」「コロナ慣れ」というか、緊張感が見られず、各地は昨年のGWと比べれば多くの人出であふれています。このままでは全国的に変異株が蔓延し、GWが明けることには再び全国的に緊急事態宣言を発令せざるを得なくなります。今年も「我慢のGW」です。出歩きたいのは分かりますが、そこはぐっと我慢です。路上飲みもやめましょう。人と飲みたければオンライン飲み会でもやりましょう。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「DXを成功させるカギは『ファシリテーション能力』を持つ人材である理由」という記事を取り上げます。

これまでも何度かDX(デジタルトランスフォーメーション)について書いています。世の中の流行りで何となく始めたために、何も進まないまま時間だけが過ぎているという企業も多いのです。これまで何度も書いたように目的と手段のはき違いです。DXにしてもそれは目的ではなく目的達成のための手段でしかありません。目的が明確でないのにDXを取り入れてもうまくいくはずがありません。

この記事では、DXを成功に導くために必要なのは、DXを推進するチームをまとめる「ファシリテーションスキル」を持つ人材であると言っています。

ファシリテーションとは、会議や研修、ミーティングなど様々な活動の場で、良質な結果が得られるように活動のサポートをしていくことを言います。司会・進行役を思い浮かべるかもしれませんが、若干異なります。司会・進行役はファシリテーションの一部にしかすぎません。参加者が集団で問題を解決するために認識の一致を確認したり、相互理解を深めたりするためのサポートをして、成果を生み出す手法がファシリテーションです。ファシリテーションの目的は、さまざまな価値観を有する参加者たちを一つに束ねるなど、目標達成に向けて円滑に進行することです。

先ほど書いたようにDXは目標達成の手段ですから、DXを成功に導くためにはDXを推進するチームをまとめる「ファシリテーションスキル」を持つ人材、つまりファシリテーターが必要だということになります。

これらを前提として、ダイヤモンドオンラインの記事に戻ります。

1.有能な人材を集めるだけではDXは決して成功しない。

 コロナ禍で会社の前途に不安を感じ、変化が必要だと感じ、差し当たって今流行りのDXでも始めようかという企業が増えています。しかし、それらの施策が経営企画部門、人事部門、技術部門などそれぞれの部門で個別に推進され、いずれも連携されずバラバラになっていることが多いのです。こうならないためには、経営陣が会社の今後の方向性を決め、その手段としてのDXと人的資源の強化を結びつけるところから始める必要があります。

 DXとは、本来、社会の構造や市場が大きく変化する中で、組織やビジネスモデルを変革させることです。しかし、多くの経営者は、デジタル化で利便性を追求し、数値で短期的な結果を得ようとしています。それでは本来の経営の方向性からかけ離れ、気づかないうちに手段が目的化して、DXと組織戦略が分断されることにもなってしまいます。 

 この記事では、DXの推進には、「プロジェクトチームの作り方」と「経営層とのミーティング」が重要になると言っています。

 DXを推進するチームには、変化する環境の中でトライ&エラーを繰り返し成長していくという変化対応力が必要になります。そのためには変化に応じてチームメンバーの入れ替えを行うなどの柔軟な対応が求められます。しかし、多くの企業では、最初に人材を集めたら、その後は人材の入れ替えは行わないという企業が多いです。有罪な人材を集めただけではDXは成功しないのです。優秀な人材を集めたがゆえに、各人がそれぞれ明後日の方向を向き、調整を行うことなく自分の思うがままに進め、ミスがミスを呼ぶということも起こり得ます。刻一刻変化する環境の中では、多様な人材を活用し、変化に応じて人材の入れ替えも必要なのです。そして、これらの多様な人材をまとめチームをつなげてDXを進めていくファシリテーターが重要になります。

2.DX推進のファシリテーターには「明るさ」が必要なワケ

 ファシリテーターに必要なスキルや役割として、一般に次のようなものが挙げられます。

  1. 目的地を定める・・・活動のゴール地点を定めること。目的地とはどのような状態を指すのか、何をテーマにしているものなのか、何のために活動を行うのか、活動のゴールを目指すためにどのような方法があるのかなどを明確にして、参加者と共有すること。
  2. 場の雰囲気づくり・・・常に中立的な立場ですべての意見に興味を示すような立ち居振る舞いが必要。意見対立で険悪な雰囲気になるような場合には、参加者の心理状態を読み取り、チーム全体が気持ちよく話し合いができるようにコントロールする。
  3. コミュニケーションの促進・・・お互いが理解し合い、共感・信頼関係が生まれるように参加者のコミュニケーションをうまく導くように意識して行動する。
  4. タイムキーパー・・・話し合いなど活動の時間管理を行い時間内にまとめる。
  5. 話を整頓してまとめる・・・参加者の多くの異なる意見やアイデアを活用して、今まで気づかなかった新たなものを見出すように進行する。
  6. コンセンサス・・・参加者から出た多くの意見をまとめ全員の合意が得られるように進行していく。

 ファシリテーターの的確な行動によって、参加者に新たな気付きや協働を生み、その結果、組織や社会、人に良い変化をもたらします。

 この記事では、ファシリテーターに必要なこととして、「明るさ」を挙げています。ここで言われている「明るさ」というのは、「先を見る目があることや出来事をネガティブではなくポジティブに受け取る明るさ」や「新しい情報を柔軟に取り入れようとする姿勢」さらに「関係している人や物事に興味や好奇心を持つこと」などを意味しています。そして、この「明るさ」を身につけるには

  • 周りの意見をしっかりと聞く傾聴力
  • 仲間と共創する力
  • 仲間をリスペクトする力
  • 仲間の意欲や創造力を引き出し質問力

を磨く必要があると言っています。

3.大事な経営者との距離感

 DXが失敗するケースとして、①経営者が担当者に丸投げしてしまうケース と ②経営者がリーダーシップを発揮しすぎてしまうケースがあります。

 こうした失敗事例に陥らないためには、まず経営者が有意義な目標を掲げることです。そうすれば、それに基づいてチームは具体的な目標を立てていくことができ、経営トップとしっかりとした合意が形成、共有されていきます。

 次に、経営者は、心理的に安全な環境を与えることが必要になります。それには、ゴールの共有とお互いへのリスペクトです。人はどんなルールで、どこまでやっていいか分からないと不安になるものです。そこで、活動のルールを設定して共有し、チームはトップとプロセスも共有するようにすれば、伸び伸びと活躍できるようになります。

 何度も言いますが、DXというのは目的ではなく手段です。そのためには目的なり目標なりを明確にしたうえで取り組むべきものなのです。目標設定においては当然経営理念や経営目標が関わってきます。担当者に任せきりにすべきものではありませんし、経営者だけで行えるものでもありません。経営者と組織・チーム、社員が一丸となって取り組んでいくべきものです。

DXは動態的なもので、決まりきった手順に則れば間違いなくゴールにたどり着けるというものではありません。ルーティン化もマニュアル化もできていませんし、できるようなものではありません。

この記事にあるようなファシリテーションスキルを持った人材を登用し、やりながら答えを作っていく、答えを見つけていくものなのです。