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部下の叱り方

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2242人、そのうち東京440人、神奈川202人、埼玉121人、千葉106人、愛知247人、大阪153人、兵庫64人、京都64人、広島27人、副科66人、沖縄174人、北海道179人などとなっています。減少傾向にありますが、減少スピードが鈍化しています。群馬、石川、熊本に出されているまん延防止等重点措置は13日で解除するようですが、緊急事態宣言解除は統一的に判断し慎重に行うべきです。昨日、菅首相と各党党首との党首討論が行われましたが、菅首相は、相変わらず質問にまともに答えず、64年の東京オリンピックの思い出話を長々とするなどコミュニケーション能力の欠如を露呈しました。東京五輪開催の理由について国民に説明する絶好の機会であったにもかかわらず、五輪の意気込みを語っただけで五輪開催の意義について説明することはありませんでした。OICや一部の利権のためで明確な意義などなく説明することができなかったというのが答えでしょう。

さて、今日は、JBpressの「部下の叱り方『上手いか下手か』は業績と人材育成に関わる大問題」という記事を取り上げます。

年を重ねるにつれ「若い者に有益なアドバイスをしてあげたい」という気持ちが高まってきます。その思いが強すぎるとついつい強い言葉になることもあります。それが部下から見れば理不尽な叱り方かもしれません。しかし、かつては、上司が部下を飲みに誘い、お互いが本音で語り合うということで両者の溝を埋めていたということもありました。しかし、最近では、上司と部下との緊張感のあるやり取りとその緩衝材としての飲み会もなりを潜めてしまったように見えます。コロナ禍の影響もありますが、後で述べるように、それだけではありません。こうした状況は、部下や組織にとっていいことだとは思いません。

1.誰からの叱られない社会

 上司が部下のことを思って熱血指導をしても、それをどう受け取るかは「部下次第」です。場合によってはハラスメントだと訴えられることになりかねません。もしパワハラだと通報された場合、真相を探るよりも、取りあえず「上司を左遷」させる企業が多いのです。これでは、パワハラに該当しなくても、上司のサラリーマン人生は一発アウトです。一旦出世街道から外れた場合挽回が困難のなのが日本の企業です。このように叱る側のリスクは益々大きくなっています。だから、胸の中では「アドバイスしてやりたい」けれど、黙っている方が無難であるという風潮が生まれてきています。

 こうして、誰も叱らない社会、誰からも叱られない社会が生まれてしまっているのです。かつては、家では親が子供を叱り、学校では教師が生徒を叱り、近所のおじさん・おばさんが近所の子供を叱りという風に社会全体で子供の躾をしていました。しかし、そうしたことがほとんど見られなくなりました。

 上司が部下を厳しく指導しなければ、人材の成長は止まり、企業力も国力も低下します。これが今の日本の現状です。

2.パワハラと指導の分岐点

 パワハラだけでなくセクハラもそうですが、あらゆるハラスメントにおいて、ハラスメントとそうでないものとの境界線が極めてあいまいになっています。概してハラスメントというのはそれを受けた側の心情を中心に判断されてしまうということです。

 上司には上司の、部下には部下の言い分があります。しかし、ハラスメントは部下の心情で判断されることが多いのです。これはハラスメントの性質上やむを得ないことではありますが、もう少しこの点を明確化する必要があると思います。

 「叱る」ということは人材育成の一環です。「叱る」ことによって人材が成長し、企業にとっては生産性や業績が上がるという面もあります。意味のある叱り方とハラスメントとと分岐点について、企業がしっかりとした線引きのルールを作るということが必要ではないかと思います。どこまでが許される叱り方かが明確にルール化され示されていれば、上司はハラスメントと訴えられることを躊躇することなく人材育成に向けて叱ることができます。

3.叱責の作法

 この記事では、上司の部下に対する効果的な叱り方、怒っても思いが通じて受け入られる叱り方について説明されています。

  1. 叱る側も成長し続ける・・・上司が部下に対して上から目線で叱りつけているのでは、反感を買うだけです。今は環境変化のスピードが速く、上司と雖も生涯学び続けていかなければお荷物になってしまう時代です。上司と部下と立場は違えど同じ人間です。人間としては対等です。PTやITについては若者(部下)の方がスキルを持っています。若者(部下)に学ぶという姿勢も大事なのです。上司は部下を叱るということを通じて、部下だけでなく自分も成長できなければなりません。こういう意識が重要です。
  2. 言語化の訓練を自らに課す・・・部下を指導するときには、「何をどのように話すのか」、言葉を一つ一つ選び出す「言語化の訓練」が重要です。その時々の思い付きで指導するようではいけません。これまで自分が経験してきた事柄や得た知見を言語化してそれを伝えるということが大事です。何度も言っていますが、「暗黙知形式知化して共有する」ということが重要なのです。上司が部下に自分の経験を伝えたとしても、「なぜ重要なのか」が言語化されていないことから、部下は得心が行かず感情に任せた怒りや苛立ちを思えるのです。言語化して共有できなければいけないのです。
  3. 偉くなっても偉くいられない環境を選択する・・・お偉くなってしまった上司は部下の心理状態を見誤り、叱るタイミングや言葉の選び方を間違えやすくなります。ついつい、自分が若手の頃のことを忘れてしまっています。偉くなっても、リスクの高い仕事を自分で担当したり、厳しい顧客に自ら会いに行くという環境を作っていれば、部下の心理状態を見誤ることはなく、適切なタイミングで言葉の選び方を間違えることはありません。
  4. 叱りたい部下に質問を続け、一つでも褒めるポイントを見つける・・・何かトラブルが発生したとしても、部下が常に100%悪いということはありません。なぜそのトラブルが起きたのか、思い込みを一切排除してとことん質問して聞いてみることが大切です。その過程で、1つでも本人の前向きな姿勢が見つけられれば、厳しく叱る分だけ褒めてあげられるポイントになります。叱られて落ち込んでいる中で褒められると心の痛みは和らぎ、これから頑張ろうという気になり、上司に対する反感も湧きおこりません。

コロナ禍でリモートワークが浸透し、上司と部下との距離感がオフィス勤務の場合とは違ってきている昨今、今一度、組織における叱ることの意味を考え直してみるときかもしれません。