中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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組織の停滞はリーダー・スタイルに原因

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で6806人、そのうち東京1052人、神奈川489人、埼玉513人、千葉354人、愛知679人、大阪1160人、兵庫367人、京都177人、福岡248人、沖縄255人、北海道110人などとなっています。首都圏など減少傾向が見られますが、茨城120人、静岡170人、広島107人と再び100人超えで増えてきているところもあります。分科会の尾身会長は、「一生懸命ワクチンを接種してもゼロにすることはできない。ウイルスとの闘いは続く」と言い、「ワクチンで逆に安心感が出て、感染対策を緩めると結果的に感染拡大する」「ワクチン接種率が上がったからといって行動制限を急に緩める必ずリバウンドがくるので、行動制限というのはしっかりと緊急事態宣言が解除した後、感染がある程度落ち着いたときに徐々にやっていくべき」と発言し、政府の拙速な行動緩和案の流れに釘を刺しました。

新型コロナ感染者数が減少していますが、その理由について専門家でも見解が分かれているようです。減少しているのは結構なことですが、その理由がわからないままでは今後の感染対策に活かすことができません。一方ではワクチン接種率が上がったことを指摘する意見もあれば、他方では接種率は「5割を超えたところで世代や地域格差もあり全体的な感染者数に影響を与えるまでには至っていない」という意見もあります。8月の記録的大雨による天候不順で外出を控えた人が増えたことが原因という声もあり、東京大学の沖田泰祐准教授らは、「11月末までにワクチンの2回接種が75%になるペースで進んだとしても、(既に人流は増えており)9月末の緊急事態宣言解除後2か月で1日平均5000人を超え、12月には1万人を超える」との試算を出しています。今後も減少傾向が続くことを期待したいところですが、人々の危機意識とリスク回避行動如何によると言わざるを得ません。ワクチン接種を終えたからと気を緩めずに、一人ひとりがこれまで同様感染防止対策をとるしかありません。

さて、今日は、日経ビジネスの「無能なリーダーが引き起こす『Mシンドローム』とは何か」という記事を取り上げます。この記事は、「ビジョナリー・カンパニー」の著者ジム・コリンズ氏がスタートアップや中小企業向けに書いた「ビジョナリー・カンパニーZERO」からの抜粋です。

先日の「マーケティング近視眼」でも書きましたが、成長企業や主要企業でもいつかは衰退します。企業の成長が脅かされたり、鈍ったり、止まったりする原因は、市場の飽和にあるのではなく、経営者による経営の失敗にあるのです。

いくら有望な市場でも、どれだけ有能な人材を集めても、リーダー次第で組織は停滞するのです。

1.組織の停滞はリーダーに原因

「ビジョナリー・カンパニーZERO」で「Mシンドローム」と名付けられた現象があります。Mとは、極めて無能な経営者のイニシャルであるとともに「malaise(停滞)」の頭文字を表しています。MはIQは高く、MBAと博士号を持ち、業界では20年以上の勤務経験があり、有力者とも親密、週の80時間働き、年率30%以上のペースで成長する市場に身を置いています。それにもかかわらず、Mの会社は創業当時こそ成功したもののその後伸び悩み、下降スパイラルに陥り、覇気のない停滞した凡庸な企業になっています。

この原因は、Mのリーダーシップスタイルに問題があったのです。

Mの特徴として次のようなものが挙げられています。

  • 「仲間をリスペクトせよ」と説いたが、自分は決して他の人をリスペクトしない
  • チームワークを説いたが、自分への服従を要求した
  • 優柔不断である。重要な判断に直面すると、延々と分析し、行動を先送りした
  • 明確な優先順位を決めない。部下には「すべてを最優先でやれ」と言い切った
  • 執務室に閉じこもり、社内や部下の様子を見ることがない
  • 常に部下を批判する一方、ポジティブな励ましの言葉をかけたことがない
  • 会社のビジョンをきちんと伝えたことがない
  • 話すときも書くとき難しい言葉や専門用語を使った
  • 会社の成長が頭打ちになっても、リスクを伴う新しい大胆な挑戦を拒んだ

Mの抑圧的で冷酷な態度が、組織全体を冷たい霧のように覆い、社員を暗い気持ちにさせ、自信を蝕み、徐々にエネルギーとインスピレーションを奪っていったのです。Mのリーダーシップが日を追うごとに、週を追うごとに、会社の息を止めていったのです。

Mの例からわかるように、偉大な企業への道を阻むのは往々にして無能なリーダーです。企業だけでなく政治も同じですが、この話はやめましょう(ただ、総裁選で無能なリーダーが選ばれないことを祈ります)。

どれほど最先端のテクノロジーがあっても、優秀な人材がいても、優れた戦略があっても、そして業務の遂行力があっても、リーダーシップ・スタイルがお粗末ではどうにもなりません。これはあらゆる企業に言えることですが、特にトップリーダーが日々の活動に与える影響が非常に強い中小企業ではとりわけその傾向が強いのです。

組織のトップのリーダーシップ・スタイルによって組織全体のトーンが決まります。トップの振る舞いが、会社・組織全体の行動パターンに影響を与えます。

2.リーダーシップのスタイルはさまざま

 誰もが同じリーダーシップ・スタイルを身につけることは不可能ですし、その必要もありません。リーダーシップ・スタイルは、人それぞれの性格的な特徴で決まるものです。効果的なスタイルは色々あって、自分の性格的特徴に合致したリーダーシップ・スタイルを身につければいいのです。

 優秀なリーダーでも、物静かで内気で控えめな人もいれば、陽気で社交的な人もいます。活発で衝動的な人もいれば、慎重な人もいます。年配で懸命で経験豊かな人もいれば、若く勢いがあり向こう見ずな人もいます。人前で話すのが得意な人もいれば、あがり症の人もいます。カリスマ的な人もいれば、そうでない人もいます。有能なリーダーといってもその性格は十人十色です。

 自分らしいリーダーシップ・スタイルを身につけるしかありません。別の誰かになろうとしても、自分にそぐわないスタイルを身に着つけても何の役にも立ちません。

この記事では、「あなたが他の誰かのスタイルを真似ようとするのも馬鹿げている。効果的なスタイルはあなたの内にある」と突き放したような言い方で終わっています。確かにその通りですが、どうやって自分に合ったリーダーシップ・スタイルを見つけ、それを磨いていけばいいいのでしょうか? これについては、教えてくれていません。

 自分の性格を客観的に把握して、自分とよく似た性格のリーダーを見つけ、そのリーダーシップ・スタイルや思考・行動様式を真似ていくことがスタートではないかと思います。この記事のように、他の人のリーダーシップ・スタイルを真似することが無意味だとは思いません。手本がなければ自分に合ったリーダーシップスタイルを見つけることはできません。まずは真似をして、自分に合わないところは軌道修正して自分なりのリーダーシップ・スタイルとして創り上げていくしかないのです。