中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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「ギャップなき人財企業」をつくる

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で602人、そのうち東京87人、神奈川51人、埼玉43人、千葉43人、愛知22人、大阪96人、兵庫26人、京都10人、福岡19人、沖縄9人、北海道5人などとなっています。東京は11か月ぶりに100人を下回りました。もともと少ない月曜日とはいえ、異常なほど(悦ばしいことですが)減少しており、嵐の前の静けさというか不気味な感じがします。週末の人出はどこも大幅に増えており、反動がくるのではないかと危惧します。

岸田新内閣がスタートしました。昨日の書いたように派閥に考慮した陣容で、適材適所に人を配置したとは到底言えません。岸田首相は「新時代共創内閣」と命名しましたが、国民に寄り添い国民と共に創るのではなく、3A(安倍・麻生・甘利)に寄り添い派閥と共に創る内閣にしかすぎません。組閣早々衆議院を解散し、今月31日に総選挙のようですが、何一つ政策を行わずしてボロが出ないうちに国民の審判を得ようという姑息な手段に打って出ようとしています。総裁選、次に総選挙と、選挙に明け暮れ、国民のために何一つ活動していない政権(自民党)に対し、厳しい審判を下すときです。

さて、今日は、東洋経済オンラインの「口先だけ『人を大事にしない会社』が今後陥る苦難」という記事を取り上げます。

これまで繰り返しているように、最も重要な経営資源は「ヒト・ヒト・ヒト」です。

「人材」に変えて「人財」という漢字が使われることもあります。「人材」という言葉に本来否定的な意味合いはありません。しかし、使い捨ての「材料」と捉えられかねないことから、会社にとって大切な「財産」という意味で「人財」という言葉が使われています。特に採用の場面で「人材募集」ではなく「人財募集」という語が多く使われるようになっています。本当に人を大切にしている企業なら、「人財募集」と書かなくても人は集まるはずです。あえて「人財」という言葉を選んで社内外にアピールする必要があるのは、従業員を大切にしない風土や実態をごまかし、少しでも印象をよくしようとしているのではないかと勘繰られてしまいます。

重要なのは実態です。実態が伴わなければ、逆に反感を買うだけです。

1.入社して「人財ギャップ」に驚くことも

 たいていの求人には社員を大事にしている姿勢が紹介されています。しかし、いざ入社してみると、求人で記載されていた内容と全く異なり、風土・社風・昇給制度・教育体制などでギャップを感じたという人は多いでしょう。

 確かに、人財企業と銘打って育児休暇の取得拡大や残業削減に積極的に取り組んでいる企業もあります。しかし、上司のパワハラに遭い人事に相談しても対策がとられない、ワークバランス重視という方針を聞いて入社したのに残業や休日出勤が多く体調を崩したなど、不満が爆発し離職が相次いでいる「人財企業」も多数あります。

 重要なのは、実態です。人を大切にするということは短絡的な経営資源としてではなく、長期的な経営資源と考えて教育し活動の機会を提供することです。人財企業と言いながら社員が早期に離職するようでは長期的な経営資源として活用できません。

 発展途上で、努力している最中の企業もあるでしょう。そういう企業は、できるだけ早くギャップを埋めるべきです。

2.「ギャップなき人財企業」を目指す取り組み

  1. 人的資本経営・・・アメリカの証券取引委員会が財務諸表に記載されていない情報の開示を義務化したことが発端となっています。この「非財務情報」には人や組織に関するものが含まれます。投資の判断材料となりうるレベルで、人材や組織に関する情報を開示するには、本気で社員を人財と考えて取り組む必要があります。
  2. ISO30414・・・国際標準化機構の人と組織に関する指標を開示することを求めた規格です。離職率や一人当たり研修費用、ダイバシティなどの取り組みが投資判断で必要との観点から義務化されました。

 例えば、離職率に関して、情報開示を拒否したり、「30%超で上昇中」などと開示すれば投資判断はマイナスに作用します。そこで、開示は望ましい数字に改善してから行うということを企業は考えるはずです。ギャップなき人財企業が目指されます。

 当面は上場企業が対象ですが、将来的に、採用力を強化するために非上場企業でも開示する企業が出てくる可能性はあります。

3.人的資本経営を目指す動き

 今後、人的資本経営を目指そうという企業は増えてくるように思います。

 ギャップを埋めるには、まずは、社員が何を望んでいるのかをはっきりと把握することがスタート地点です。

 コロナ禍で社員の意識も大きく変わりました。テレワーク、リモートワークといった新しい働き方も徐々に浸透しつつありますし、ライフイワークバランスに関する価値観も人それぞれになっています。これまでの価値観に縛られることなく、本音や潜在的な声を炙り出せる仕掛けが必要になってきます。

 ここで挙げられている取り組みとして、パルスサーベイという高頻度に仕事に対する質問を行う取り組みがあります。高頻度で質問を繰り返すことで、その回答から不満を抱いている社員は誰かが浮き彫りにされてきます。業績が高く不満を抱いている社員がいれば、辞められては困るので、この社員が抱いているギャップの改善は優先順位が高くなるでしょう。

 社員の生の声を聞いて、勤務形態に柔軟性を持たせることも重要になってきます。

3.働きがいのある会社=働きやすい会社ではない

 社員を大切にする会社は働きがいのある会社ですが、働きやすいとは限りません。

 社員を大切にする会社では、人財の育成に力を入れ学びなおしの機会が増えてきます。一方で、そこまで成長意欲がなくのんびり過ごしたい社員にとっては「過剰なサービスの提供」と映るかもしれません。

 働く個人としては、会社の姿勢についてしっかりと情報収集しつつ、自分に合う会社なのか、冷静に判断しなければなりません。

以前にも書きましたが、企業が持続的成長を進めるためには「人事制度から働き方・組織文化まで一体となった変革を推進し、『人財で勝つ』企業を目指す」べきです。

具体的な取り組みとして、

  • 多様な個の意欲・思いに真摯に向き合う
  • 個々のキャリア開発・評価・育成に対する労力を惜しまない
  • 組織運営や働き方の無理、無駄をなくし、従来以上に人材マネジメントに時間を充てる

などが挙げられます。

コロナ禍で在宅勤務・リモート勤務が一般化し、個人が自らの意志で働き方を選べるようになると、会社側もその存在意義や価値を明確に発信し、求心力を高めていく必要に迫られます。その中で重要なのは人財であり、様々な取り組みを通じて「人財で勝つ企業」を作り上げなければなりません。

最初に書いたように「ジンザイ」には様々な漢字が当てられます。生き生きと働く「人財」、粛々と仕事をこなすだけの「人材」、ただいるだけの「人在」、トラブルを引き起こす「人罪」などです。

強い組織を創るには、社員個人の成長を促し、社員一人ひとりが生き生きと働く『人財』になることが重要です。できるだけ早くギャップを埋めて「人財で勝つ企業」を作りましょう。