中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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人材キャッシュフロー経営

おはようございます。

日本の労働法は、労働事件が発生した場合、労働者にとっては強い見方となりますが、社長・会社を守ってくれません。社長・経営者としては、経営判断をするときに常に「これはマズくないか」「法的にどうか」といったん立ち止まって考えておく必要があるのです。
中小企業経営の要諦は、人、設備、売掛金、買掛金及び在庫に伴うキャッシュフローをいかに握るかにあると言われます。この5つの要素について現金の流れをコントロールできれば、自社のキャッシュフローは自然と見えてきます。社長は、「今、現金がいくらあるのか」を知っているだけではダメなのです。「お金がどのように利用され(出ていき)、増殖してくる(戻ってくる)か」という一連の流れを把握していなければなりません。
会社から出入りするのはお金だけではありません。人も同じです。採用により入ってきて、退職すれば出ていきます。キャッシュと人の流れを統一的に把握することができれば、中小企業の組織を考える上で効率的です。そうした視点で体系化されたものが「人財キャッシュフロー経営」です。
中小企業の社長は、やむを得ない面もありますが、日々の資金繰りに追われキャッシュについては常に考えているものの、人の動きについてはあまり意識を向けていません。
今いる社員を基に、これからの10年間の社員の年齢と予想される人件費の推移を書いてみるということがひとつの示唆を与えてくれます。これを書き留めることによって、「3年後に製造責任者が退職するけれど、後任者は誰かいるか」「平均年齢が50歳を超える。若者が少ない」「現在の規定では7年後にかなりの退職金の支出が出る」「売上高の予想に対して、人件費の急増が心配だ」といった様々な課題が浮き彫りにされてきます。社長というのは近視眼的にしかものを見ていませんが、こうした点を書き留めることによって長期的な視点で俯瞰的に物事を見ることができるようになります。
経営に熱心な社長ほど、新しいものに飛びつき、新しい人事評価システムや賃金体系の確立に挑戦して失敗します。そして、失敗の原因を、「社員のレベルの低さ」や「導入した制度のせい」にしがちです。しかし、失敗の原因は、それぞれの制度がバラバラで体系化されていなかったから、つまり制度間の繋がりや関連性が意識されていなかったからです。「今いる社員で強い組織を作り上げる」ためには「人とカネの流れを作り、それを意識して事業を発展させる」必要があるというのです。そのためには、社長自らが汗水流して考え抜いて作り上げなければなりません。よく外部のコンサルタントなどに丸投げする社長がいますが、形式面だけは立派なものが出来上がりますが碌な内容のものは出来上がりません。会社の実情を十分に知らない者が作ってもその会社に合った最適なものが出来上がるはずはありません。
この「人財キャッシュフロー経営」では、各制度間の繋がりを重視し、特に採用から育成、退職に至るまで一連の社員の動きをお金の動きとともに社長自らの手で一気通貫したものに変えていくことが重要になってくるのです。
ジンザイ」という言葉にさまざまな漢字をあてはめられています。以前にも書きましたが、生き生きと働く「人財」、粛々と仕事をこなす「人材」、ただいるだけの「人在」、トラブルを引き起こす「人罪」などです。強い組織を作るには。社員個人の成長を促し社員一人一人が生き生きと働く「人財」となることが重要です。
人が事業(企業経営)の根幹にある」ということを念頭に置いて様々な経営判断を行うことが求められるのです。