中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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大切なのは「何を目的としてDXするのか」 

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で204人、15県で感染者ゼロとなっています。減少していますが、下止まりしているように見えます。ウイルスが消滅したわけではないのである程度の感染者が出ることはやむを得ず、増加に転じないことを良しとするべきでしょう。いつ起きてもいいように第6波に向けた医療体制の充実と国民一人一人の感染防止策と節度ある行動でが重要です。

さて、今日もDXです。さくマガの「『DX』自体が何かを生み出すわけではない。大切なのは『何を目的としてDXするのか』」という記事を取り上げます。

何度も言っていますが、DXは手段であって目的ではありません。この記事が言うように、大切なのは「なにを目的とするのか」ということです。DXは目的達成の手段なのです。自社が抱えている問題や課題を解決するためにDXやデジタル化が有用ならば導入すればいいのです。社会が「DX」と叫んで流行っているから飛びついても何の役にも立ちません。これも言っていますが、DXは単なるデジタル機器やツールの導入とは違います。トップが率先して取り組まなければならない全社的な戦略なのです。

この記事は「頻繁に『DX』が飛び交う現場で見え隠れするのは、DXという言葉の使い勝手の良さに依存して、安易に頼るリスクがある」と言っています。その通りです。

1.本質と離れて便利に使われがちな「DX」

 もともとDX(デジタルトランスフォーメーション)は、スウェーデンウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」ことです。

 一方で、ビジネスの場面では少し意味が違い、2018年経産省の「DX推進ガイドライン」では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。このことから、先ほども言いましたように、ビジネスにおいてはDXは全社戦略なのです。

 それはさておき、「DX推進」が政策として掲げられて以降、DXという言葉が独り歩きをしているように思います。

 「DXをやらなければ乗り遅れる」といった変な風潮が生まれ、ここぞとばかりにDXに飛びついているといった感じです。そうした企業ではDXの何たるかを知らず、デジタル技術やツールを導入すればDXをやったと自己満足し、結局は何一つ使いこなせず、DXの目的である組織の変革や競争上の優位の確立とは程遠いところにあります。

 経産省の定義でもわかるように、ビジネスにおけるDXは「顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革すること」ですが、実際には、顧客や社会のニーズに関する場面(顧客に対する価値創造を生む現場)で「DX」という言葉を聞くことはほとんどありません。単にデジタルツールを導入しデジタル技術を使えるエンジニアを増やし、あるいは外部の情報システム会社に丸投げするだけではDXはやったことにはならないのです。

 DXが有効に機能するということは、組織・制度の改革だけでなく、社員全員の意識改革が必要であり、そのためには経営者自身の意識改革・行動変革が重要です。

2.DXそれ自体が何かを生み出すわけではない

 DX自体が何かを生み出すことはありません。大切なのは、「何を目的としてDXを行うのか」「DXで何を達成したいのか」ということです。「流行っているから自社も」というのでは必ず失敗します。

 ①目的は何か? ②何のためにやるのか? ③なぜやるのか? この3点に焦点を当てることです。そうすれば、必ずしもDXにとらわれることはなくなります。まずはそこからのスタートです。目的達成や課題解決にDXが有用なら導入すればいいわけですし、ほかの方法で目的達成や課題解決ができるなら現段階でDXは必要ありません。

 先ほども言いましたが「『DX』という言葉が独り歩き」しています。これでは思考停止に陥ります。「DXを通して具体的に何をするのか」が明らかでないのに「DX」という言葉を使いさえすれば、まるで正しいことのように感じられ、誰も反対しないというのでは、間違いです。

3.DXに意義を与えるのはDXを利用して顧客に提供する「価値」

 DXという言葉に惑わされることなく、顧客にどんな価値を提供すべきか、ビジョンを鮮やかに描き出すことが重要です。

 ストルターマン教授の「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というのがDXの元々の考え方です。「顧客の生活に、良い方向に変化を起こすために何をなすべきか?」これを考えるのがDXのスタートラインです。DXを通して顧客の生活に起こす変化こそが、フォーカスすべき最重要ポイントです。

 経産省の定義でもわかるように、DXは、顧客のニーズや社会のニーズと密接にかかわっています。顧客が何に困っていて、どんなニーズがあり、何が好きで何が嫌いなのか、顧客を深く知れば知るほど、提供すべき価値の解像度は上がります。どんな価値を提供すればよいのかが把握できれば、そのための手段や業務に必要なツールはおのずと選定できる状態になります。

 「何をするのかビジョンを描くのが先、手段であるDXはそのあと」です。この順番を間違えないことです。

顧客に提供したい価値と、そのための手段としてDXが必要かどうかは別問題です。流行りだからと言う理由でDXに飛びつくのは筋違い、まずは自社の課題と問題を洗い出し、そのための手段としてDXが有用かどうかを考えて導入してください。