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休日の本棚 パーミッション・マーケティング

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で8249人で、東京1223人、神奈川443人、埼玉401人、千葉252人、愛知368人、大阪880人、兵庫202人、京都215人、広島619人、山口152人、福岡211人、沖縄1533人、北海道117人などとなり、16の都道府県で100人を超えています。東京都の小池都知事は、感染者の75%がオミクロン株という認識を示しましたが、ほとんどの都道府県でも同様の状況になっているものと思われます。オミクロン株は重症化リスクが低く単なる風邪であるという人がいますが、風邪はここまで感染力は強くありませんし、後遺症がどうなるのかもまだ分かっていません。又、新規感染者の6割が30歳以下で高齢者が感染した場合のリスクについてもはっきりしていません。医療体制を充実させ医療が逼迫しないように努めるとともに、我々一人一人が今一度気を引き締めて各人でとれる対策を徹底していきましょう。

さて、今日は、セス・ゴーディン著「パーミッションマーケティング」(海と月社)を紹介します。著者のゴーディン氏はヨーヨーダイン社を創業してパーミッションマーケティングの方法論を開発し、企業に提供していました。ヨーヨーダイン社は米国ヤフーに買収され、ゴーディン氏はヤフーの副社長になっています。

パーミッションというのは「許可」「許し」のことです。顧客の事前許可が重要なのです。以前はいきなり電話をかけるのが普通でしたが、今は予めメールで相手の都合を聞いて電話をするということが行われています。お互いに相手の時間に干渉しないようにしているのです。

以前はマーケティングと言えば、広告でした。昔は顧客が触れる情報量が少なかったので、広告で目立てば商品は売れました。ところが現在はネットやSNSをはじめ多くの情報が巷に溢れています。その分、顧客の時間と関心は希薄になり、広告を一方的に見せられても、振り向かなくなっています。

それにもかかわらず、多くの企業は大量の広告やメッセージを一方的に出し、売れなければ、結局「広告が悪かった、メッセージの出し方・内容が悪かった」と考え、再び同じ方法でマーケティングを繰り返しています。

1.パーミッションマーケティングとは

 パーミッションマーケティングとは、事前に許可(パーミッション)を得た顧客や消費者に対してのみ、ダイレクトメール等のマーケティング活動を行う手法です。先ほど述べた電話のケースと同じく、「予めダイレクトメールを送っていいですか」と尋ね許可を得られた顧客に絞ってマーケティングを行うという手法なのです。メールや広告というのは時には押しつけがましく、一方的に送られてきても見ませんし、却って好感度を下げることにも繋がります。

 パーミッションマーケティングでは、予め許可を得ているので、レスポンス率などコミュニケーションの効率が高まり、一方的な広告によるマイナスのイメージを払拭することができます。

 その実例として、オプトイン・メールと呼ばれるインターネットで配信されるダイレクトメール広告があります。予め登録した興味分野の情報を受け取るkょかをとった上で配信することで、広告メール自体が迷惑メールになることを防ぐことができるのです。

 当然許可を取りさえすればいいというわけではありません。十分な理解も得ずに許可を取り、強引なコミュニケーションをしてしまうと、結局は一方的な広告と同じになってしまいます。許可を取ること自体が目的ではなく、相手に迷惑がかからない、相手が不快に思わないように十分に配慮することが重要なのです。

2.パーミッションマーケティングの方法

 パーミッションマーケティングは、手順を踏み、顧客の信頼を得るマーケティング手法です。

 見込み客からパーミッションを得て、継続的に付き合いパーミッションを深めていくのです。顧客の数をむやみやたらと増やさず、一人ひとりと深く付き合っていくのです。パーミッションを得るには時間と投資の積み重ねが必要です。顧客の数ではなく、どれだけ深くパーミッションを得ているかが重要になるのです。

 パーミッションには、次の5つの段階があると言われています。

  1. すべて委任・・・顧客から意思決定を一任された最高レベルのパーミッション。いわゆるサブスクリプション(定期購読・継続購入)。顧客は時間とお金を節約でき選ぶ手間も省けます。パーミッションレベルは継続率で測ることができる。
  2. ポイント・・・スタンプやマイレージなど商品を買うたびにポイントがもらえるもの。集めれば更に集めたくなり、もっと購入するようになる。どれくらいポイントを使うかで、パーミッションレベルを計ることができる。
  3. パーソナルな関係・・・顧客と人間関係があるレベル。「営業は自分を売り込め」と言われるようにこのレベルにとどまることが多い。個人頼みの人間関係は数字で計れない。
  4. ブランドの信用・・・ゴーディン氏は「ブランドは過大評価されている。お金も時間もかかるのに、計測も制御もできない」と手厳しい。
  5. 現場・・・販売員と顧客の接触は一瞬。接客品質を高めるためマニュアルで顧客対応を徹底させる。

 これら5つ以外は最低レベルの「スパム」です。ようは迷惑メールにすぎません。ゴーディン氏は「マーケティングの大半はスパムだ。テレビCMも、知らない人に送りつけるDMも、パーミッションを得ずに送るという点では顧客の時間を盗んでいる」と厳しく指摘しています。

3.パーミッションのルール

 パーミッションにはルールがあります。

  1. パーミッションは流用できない・・・パーミッションは与えられた企業だけのものですし、与えた顧客だけのものです。他に流用することはできません。
  2. パーミッションは瞬間ではなくプロセスの積み重ね・・・広告やDMは見せた瞬間に勝負が決まるが、パーミッションは対話の積み重ね。忍耐強く育つのを待つ覚悟が必要。
  3. 顧客はパーミッションをいつでも取り消せる・・・広告は企業が主導権を握っているが、パーミッションは顧客が主導権を握っている。顧客との信頼関係の構築が何よりも大事だ。

 パーミッションマーケティング最大の敵は「すぐに結果を」と焦る気持ちやプレッシャーです。パーミッションマーケティングではすぐに結果を期待してはダメです。地道な努力の蓄積により、大きな成果が生まれるのです。日々じっくりと育て続ければ収穫はどんどん増えていくのです。成功は忍耐の先にあるのです。

パーミッションマーケティングはそれほど難しいことを言っていません。顧客一人一人に向き合い、より良い関係を構築することがマーケティングの基本だということです。多くの情報があふれ、人と人との関係が希薄になっている現在だからこそ、顧客と深く合っていくことが重要になってくるのではないでしょうか。