マーケターのように生きる
おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で8万9145人、日曜日としては最多となっています。重症者も3日連続で1000人を超え、65人が亡くなっています。高齢者の感染者数が増加し、それに伴い重症者が増えてきているといったところですが、軽症や無症状であった感染者が後遺症に悩んでいるという事例も増えているようです。オミクロン株の後遺症については、まだはっきりとしたことは分かっていないようですが、倦怠感や味覚・臭覚障害、思考力や記憶への影響、脱毛などデルタ株とほぼ同じで、デルタ株に比べると後遺症も軽症のようです。しかし、高齢者や11歳未満の児童の感染者が増えていることからすれば、こうした人たちの後遺症が深刻な問題になることも懸念されます。高齢者や子供、基礎疾患を有する人の命や健康を守ることが急務です。
さて、今日は、NIKKEI STYLEの「マーケター思考でキャリアづくり 『役立つ』で充実感 やりたいことは未定でOK」という記事を取り上げます。
将来のキャリアについてなりたい姿を明確にイメージできている人はどれくらいいるでしょうか? コロナ禍で先行きが見通せない現在のビジネス環境では、将来に対する不安があるだけで、輝かしい未来像を描くことは難しくなっているように思います。
この記事では、「具体的なキャリアイメージを持つ必要はなく『マーケターのように生きる』ことで、幸せなキャリアを築くことができる」と言っています。
1.マーケターとは?
この記事で「マーケターのように生きる」と言われる「マーケター」とはどのような人でしょうか?マーケターの仕事で思い浮かぶのは高校・宣伝ですが、マーケターの仕事は広告・宣伝だけではありません。広告・宣伝はマーケターの仕事のほんに一部にしか過ぎないのです。
マーケターの仕事であるマーケティングとは、著名なマーケティング学者のコトラーによれば「個人のニーズと欲求を満たすために、交換過程を通じてなされる人間の活動である」とされ、アメリカ・マーケティング協会の定義では「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナー、さらには広く社会一般にとって価値のあるオファリングスを創造・伝達・提供・交換するための活動とそれに関わる組織・期間、及び一連のプロセスを指す」とされています。日本マーケティング協会の定義は「マーケティングとは、企業及び他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行なう市場創造のための総合的活動である」となっています。
これらの定義を見てもなかなかイメージしにくいものですが、簡単に言えば「売れる仕組みとつくる」ことにつきます。ドラッカーは「マーケティングと販売は真逆である」「マーケティングは販売しなくても売れる仕組みをつくること」と言っています。
マーケティングのプロセスでは、市場を決めて顧客のニーズを探り顧客が欲しいものをつくる「マーケットイン」と、作り手が頭の中にあるアイデアから作りたいものを作る「プロダクトアウト」という2つのアプローチがあります。顧客ニーズを把握し顧客のニーズに合ったものを作る「マーケットイン」が正しいようにも思えますが、どちらが正しくてどちらが間違っているということはありません。時にイノベーションは「プロダクトアウト」から生まれることも多いのです。
この記事では、仕事に対する姿勢や人生に向き合うスタンスにも「マーケットイン」と「プロダクトアウト」があると言います。「マーケットイン」的な発想で生きることを「マーケターのように生きる」、「プロダクトアウト」的な発想で生きることを「アーティストのように生きる」と呼んでいます。これも、どちらが正しくて、どちらが間違っているということもありません。そうはいっても「プロダクトアウト」的な発想はなかなか出てきません。「アーティストのように生きる」には、それなりのセンスや才能が必要なように思います。普通の人間からすれば、ニーズを把握しウォンツに従いながら愚直に生きる方が生きやすいように思います。
2.「やりたいもの」がなくてもかまわない
先ほども言いましたが「アーティストのように生きる」のは難しいものです。アーティストのように生きるためには、プロダクトアウト的な発想・アイデアや才能が必要で、どうしても自分視点で物事を考えなければなりません。
しかし、「マーケターのように生きる」というのは、「マーケットイン」的な発想で、相手のニーズ、つまり相手に求められていることに従っていけばいいのです。自分のやりたいことよりも相手に求められていること、相手の役に立つことをやっていくという生き方です。これならば、自分が「やりたいこと」がなくても、まだ「やりたいこと」が見つかっていなくても、できます。
「自分の天職が何か」など分かりません。又、自分の好きなこと、やりたいことを仕事にできている人は一握りです。「自分のやりたいことができない」「自分がやりたいことが見つからない」などと悶々と過ごすよりも「人に求められている」ことを自分の転職と考えて、相手のニーズに応えられている、相手の役に立っていると考える方が、楽しく生きることができる、楽しく仕事ができるように思います。
ただ、マーケティングは相手のニーズを把握することだけでは成り立ちません。「価値の伝達」も重要です。これが広告・宣伝の部分ですが、日本人は自分をアピールすることが苦手です。「マーケターのように生きる」ためには、自分をアピールすることも忘れてはいけません。
外資系企業には「PIE(パイ)」という考え方があります。出世や昇進には「PIE:performance (実力) image(印象) exposure(露出)」の3つが必要で、その重要度は「実力:印象:露出=1:3:6」だというのです。出世や昇進を狙う者は当然実力があるのが前提で、印象、さらには露出がないとダメだということです。
自分の価値を買ってくれる人に、しっかりといい印象を植え付け目立つことができなければ、「これはあなたにやってほしい」「あなたでないとダメだ」ということになりません。「人に求められる」ことにならないのです。
マーケティングのプロセスを考えて、それを自分の仕事に対する姿勢や生き方の当てはめ「マーケターのように生きる」生き方もいいように思います。