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ロジックよりも感情

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で8万1654人で、東京1万4445人、神奈川7459人、埼玉4565人、千葉3489人、群馬1172人、岐阜1049人、愛知5751人、大阪1万1881人、標語4944人、京都1951人、岡山1055人、広島1056人、福岡4509人、熊本1092人、北海道2660人などとなっています。全国的に病床使用率は上がっていますが、重症病床使用率はそれほど高くありません。問題は、コロナ病床確保のために一般病床が減らされているところにあります。一般病床の空きがないためにたらい回しされる救急患者も多く、これでは救える命も救えなくなります。オミクロン株の重症化リスクが低いのであれば、重症病床を減らし一般病床に転用するなど臨機応変な対応が必要です。

さて、今日は、東洋経済オンラインの「『論理的な上司』の話が部下に響かない納得理由」という記事を取り上げます。

1.ロジックよりも「感情」を大事に

 ビジネスの世界において、ロジックが重要とされ、「ロジカルシンキング」(論理的思考法)は必須のビジネススキルと言われています。これまでも色々な思考法を紹介しましたが、仮説思考、三段論法、帰納法演繹法、PDCAなどさまざまのビジネスシーンでロジックが重宝されています。

 ロジックがビジネスの世界で必要とされる理由には、次のようなものがあります。

  1. 課題解決・・・ビジネスにおいては大なり小なり、さまざまな問題や課題が出てきます。その原因を探り解決策を模索しなければなりませんが、原因分析や解決策の検討においては論理的に物事を考えるプロセスが極めて重要です。
  2. 円滑なコミュニケーション・・・ビジネスシーンの交渉においては、相手にわかりやすく、かつ相手が納得できるように伝える必要があります。論理的に筋道を立てて話すことで、有利に交渉を進めることができます。

 ビジネスの世界で、ロジックやロジカルシンキングが重要であることに疑いの余地はありません。しかし、人間は、ロジックだけで動くものではないのです。いかに論理的に正しくても、相手との関係性によって受け止め方は異なってきます。例えば嫌いな上司から、正論とも言えるアドバイスを受けたとしても、素直に受け入れることはできず時に反発したくなるものです。それが好きな上司からのアドバイスであれば、すんなりと受け入れます。これは、人間が論理的生き物ではなく、感情的な生き物だからです。

 論理的に相手を説得したり説き伏せたりするのは難しいのです。重要なのは相手の感情に訴えかけることです。

2.人は感情の生き物

 先ほども書きましたが、「人間は感情の生き物」です。極論すれば、人間は論理では動きません。感情で動くのです。好きなことは。論理的に正しいと言えなくてもやりますが、嫌いなことは、たとえそれが論理的に正しくやらなければならないとしてもやりません。

 ある意味、「好きか嫌いか?」という極めてシンプルな行動原理で動くのです。「好きか嫌いか?」というのは「価値観」です。人はさまざまな価値観を持っています。

 これまではビジネスの世界では、自分の価値観は押さえ込み会社の価値観にあわせなければならないとされてきましたが、ビジネスにおいても多様性が求められるようになると、自分の価値観をオープンにして自分の価値観にあった働き方をすることができるようになりました。

 ビジネスに限ったことではありませんが、論理的に相手を打ち負かし勝ったつもりでいても、「相手が言うことを聞いてくれない」ということは往々にあります。ロジックによって論破できても、相手の感情を害せば、関係性は悪化するだけです。論理で勝っても感情で負けたのです。

 重要なのは、「相手の心を理解する」ことです。いつも言っていますが、コミュニケーションというのは「言葉と思いのキャッチボール」で、相手とのより良い人間関係・信頼関係構築のツールです。相手を理解し共感することがコミュニケーションです。「相手の心を理解する」というのは、相手の話に傾聴し相手の情報を得て、相手を受け入れることです。

 感情を司るのは、「好きか嫌いか?」といった「価値観」です。「相手が大切にしているものは何か」と相手の価値観を理解しようとする姿勢が大切です。

 どのような職場にも、論理的に説明しても動いてくれない部下はいます。その部下は「本当はどうしたいのか」をとことん傾聴し相手の心(感情・思い)を理解することです。相手の思いや感情を理解することなくして、より良い人間関係や信頼関係は築けません。こちらが心を開いて相手の思いを理解しなければ、相手は心を開いてくれません。部下の方から心を開かせるというのはムリです。まずは上司が心を開くことです。

3.心の扉は内側からしか開かない

 有名な臨床心理学者カール・ロジャーズの言葉ですが、「心の扉は内側からしか開かない」のです。

 外からロジックという鍵を使って開こうとしても開けることはできません。心の扉を開けることができるのは、心の内側にある「感情」という鍵です。

 コミュニケーションというのは、外側からではなく、内側から働きかけることによって成り立つのです。

 これまでもフィードバックについては何度も書いていますが、部下は上司のフィードバックを素直に受け入れにくいものです。フィードバックというのは、本来ネガティブなものではなく、「上司がフィードバックを通じて部下に内省を促し問題解決させたり、問題解決の方法を教えたりする。部下はそれを受け入れて業務を遂行する」ものです。

 以前にも書きましたが、フィードバックで重要なのは次のポイントです。

  • 具体的、かつ客観的であること・・・抽象的な話では部下に伝わりません。具体的に且つ感情的・主観的にならず客観的に物事を捉えて部下に伝えることです。
  • 部下との信頼関係の構築・・・信頼関係が泣けれなドのように優れたフィードバックを行っても受け入れてもらえません。特にネガティブは話なら逆に反発を招きます。それではチームとしての成果にも悪影響です。信頼関係の構築には、これまでも何度か取り上げているように雑談力を磨きコミュニケーションを高めることです。
  • 信頼される人間になる・・・尊敬できる人物や信頼できる人からのフィードバックであれば素直に受け入れることができます。自分なら「こんな人からフィードバックされたい」と思うような人物像に近づけるように努力することです。
  • 従業員に責任を負わせない・・・ネガティブなフィードバックをする際、部下が何らかの言い訳をしてくる場合があります。「責任は上司である自分にある」と伝えることで、部下は言い訳めいた姿勢を取らず、反省したりどうすればいいかを考えたりするきっかけになります。

 ここにも出ていますが、重要なのは部下との信頼関係の構築と信頼される人間になるということです。

 信頼関係の構築、つまりお互いが心を開いた状況にならなければ、フィードバックはうまくいかないのです。

ビジネスにおいてロジックが重要なことは言うまでもありませんが、ビジネスは人と人との関係で成り立っている以上、感情を無視することはできません。相手の感情を理解することが最も重要なビジネススキルです。