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働かないおじさん問題

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で7万7450人で、先週の同曜日よりは1万人以上も減っています。ピークアウトし減少に転じているのなら悦ばしいことですが、実際の感染者は発表数値の数倍はいるとも言われており、実態が分からないのが現状です。大阪では感染者の増加に伴い病床使用率が上昇し、一般衣料にもしわ寄せがきている状況で、東京よりも深刻です。吉村知事は今日にも緊急事態宣言発出を政府に要請するか否か判断するようですが、問題はまん延防止等重点措置の延長か緊急事態宣言発出かではありません。重要なのは中身です。これまでと同じことをしていたのでは効果薄です。何度も言いますが、飲食店に絞った対策ではオミクロン株には打ち勝てません。オミクロン株は重症化リスクは低いとしても、感染者数が増加すればするだけ重症者・死者はデルタ株以上に増えます。経済を回すことも大切ですが、大阪に関して言えば、保健所の業務も回っておらず入力遅れがあるなど行政にも影響が出ています。まずは感染を押さえ込んでピークアウトさせることが先決です。オミクロン株の特徴を捉まえた対策の徹底が必要です。

さて、今日は、ITmediaビジネスの「これは立派な社会問題だ-『働かないおじさん問題』と正しく向き合うべき理由」という記事を取り上げます。

コロナ禍で多くの企業が苦境に立たされ、働き方改革に取り組んでいます。これまでのように「終身雇用」を守ることは難しく、「終身雇用」を前庭に企業運営、事業活動を考えることに限界を感じている企業も増えています。早期希望退職者を募り、人員削減を行なう企業も増えています。昨年夏にはサントリーの新浪社長の「45歳定年制』発言」が話題になりましたが、次第に現実味を帯びつつあります。早期希望退職者を募集する企業の大半は、40歳または45歳以上を募集対象にしているのです。

一方で、2021年4月には「高年齢者雇用安定法」が改正され、70歳までの終了機会確保が努力義務とされ、企業の状況と国の政策との間にずれが見られます。一方で故人に立場からすると、人生100年時代、老後2000万円問題など、裕福な老後を暮らせる人は一握りで、生きるためには働かなければなりません。いま特に問題なのが、定年間近のミドルシニア層です。彼らは、企業の中でもっとも人数が多く処遇も高く、個人の生活コストも高い40代・50代の労働者です。その中にいるのが「働かないおじさん」と言われる人々です。

1.「働かないおじさん」問題

 昨年度くらいから「働かないおじさん」という言葉を目にする機会が増えたように思います。

 「働かないおじさん」という言葉は「真面目に仕事をしないで給料をもらっている人」「働く意欲が低い年配者」を指す言葉のように思われがちですが、実際のところ、「本人が意図的にサボっている」というケースはあまりありません。

 「本人は真面目にコツコツと働いているが会社の新しい方向性とずれている」「働き方改革やDXにうまく適応できていない」「自律的に能力開発をして欲しいがこれまで学習習慣がついていないため何をして良いのか分からない」など、本人は働く意欲は十分にありながら、企業側の期待や環境変化にうまく応え切れていないのです。

 「働かないおじさん」というのは、「働かない」というよりは「うまく働けない」結果、周囲から「働いていない」と見られているのです。

 これは本人の問題というよりは企業側の問題です。経営者、人事、上司が問題意識を持って取り組まなければならない問題なのです。確かに、環境変化に適応できずどうして良いのか分からないのであれば、人に聞く・相談するなどすればいいので、本人にも問題はあるのでしょう。しかし、それを放置している経営者や上司、見て見ぬ振りをしている同僚にも責任はあるのです。

2.「働かないおじさん」問題は社会問題

 先ほど書きましたが、「働かないおじさん」問題は、本人だけでなく、企業や経営者、人事や上司、見て見ぬ振りをする同僚にも責任の一端はあります。

 社会は大きく変化し、先が見通せない状況になっています。この変化について行けないのは中高年だけではありません。おちおちしていると若者も時代の流れに取り残されるかも知れません。

 「働かないおじさん」問題は、「おじさん」と限定されていますが、「おじさん」に限ったことではないのかも知れません。そして、この問題はさまざまな要因が複雑に絡み合って生じた問題であり、IT技術の急激は進歩、少子高齢化や生産年齢人口減少が続く日本全体が向き合って解決すべき社会問題です。

⑴ 企業から見た問題

 バブル期の大量採用時代に入社した人たちが50代を迎え、今まさにミドルシニアとして企業の中心で活躍しています。この人たちが「はたらかないおじさん」 になるのは2つの原因があります。

  • ポストの確保・・・ポスト確保に苦労している企業は多いのです。仕事自体AI化、自動化が進む中で最新の技術や環境に適応できる人材でないと提供できる職務がないだけでなく、組織自体の運営が難しくなってきています。
  • 適切な処遇・・・環境変化に伴い、求められる人材も常に変化します。高度な能力と専門性をも知性かを出す人材に年齢や勤務年数を問わず高い処遇を提供することで組織の競争力を高める動きが加速しています。

 現在の処遇と能力・成果にギャップが生じている社員(特にミドルシニア層)に、今までのポストを維持しこれまで通りの処遇を継続することが難しくなっているのです。

⑵ 本人から見た問題

 本人自身が意図的にサボっているわけではありません。環境変化にうまく適応できず、周囲とギャップが生じているケースがほとんどです。

  • キャリアの問題・・・40代や50代で周りの期待に応えられずギャップが生まれた場合、それを放置してしまうと人生100年時代を見据えた職業人生をうまくコントロールできなくなります。
  • ライフの問題・・・期待とギャップが生じているのを放置すると、厳しい処遇を受け、降格だけにとどまらず早期退職を勧奨されることにもなりかねません。これでは人生設計が狂ってしまいます。

⑶ 日本社会から見た問題

 「働かないおじさん」問題は、日本社会としても看過できない問題です。日本の生産労働人口(15歳~64歳)は、1995年8716万人から2020年7471万人と約14.3%減少しています。この傾向は少子高齢化に伴い今後も続きます。

 今企業を支え、これから定年を迎える40代、50代のミドルシニアを含めた日本人全体が、より長く生き生きと活躍できる環境の構築が必要不可欠です。

「働かないおじさん」問題は、本人や企業の問題と短絡的に割り切るのではなく、本人・企業・社会(国も含め)が抱える複雑な問題として認識したうえで、最適解を模索して相互に協力しつつ解決を図っていくべき問題です。