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行動スイッチの入れ方

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で9万5208人で、、ピークアウトしたという専門家もいます。しかし、検査数が減っているが現状で、ピークアウトしたとはまだ言えないのではないかと思います。岸田首相は「第6波の出口に向かって歩み始める」と言い、水際大作の緩和を進めようとしていますが、東京ではオミクロン株よりも更に感染力の強いステルスオミクロン株の感染者が見つかり、市中感染が広まれば、一気に拡大へと転じてしまいます。経済を回すことも重要ですが、バランスをとりながら慎重に進めていくしかありません。昨日書いた基礎疾患のない10代の学生の死亡ですが、容態が急変し搬送先が見つからずたらい回しにされた挙げ句亡くなっています。第5波の時にも自宅療養者が急変し亡くなるケースが多くありましたが、そうした事態を回避するための医療体制が検討されていたとは言えません。明らかに人災です。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「数値目標では社員がやる気にならない理由、『行動スイッチの入れ方』のコツとは」という記事を取り上げます。

先日来、「GRIT やり抜く力」などで、何度か長期目標の大切さを書いてきました。当然、長期目標の中には企業が設定する数値目標も含まれます。企業経営において数値目標は必要不可欠です。目標があることでその目標に向けて進むことができますし、数値による指標があると、計画も立てやすく、進捗状況や達成度も把握できます。

そして、長期目標を達成するための道のりとして、細分化して短期・中期的な数値目標を設定することも大切です。

ここで重要なのは、企業の数値目標と社員の目標とが一致していないということです。企業が達成すべき数値目標を設定したからといって社員のやる気が引き出されるわけではありません。例えば、経営者や上司が「今期は前期の10%アップの売上を目指す」「今期の売上は○○億円を目指す」と言っても、「よし、目標達成に向け頑張ろう!」と社員のやる気やモチベーションが上がるわけではありません。むしろ、モチベーションは上がらず、未達で終わるのがオチです。

それは、人間という生き物が、単に目標を数値化・言語化しただけでスムーズに行動できる生き物ではないからです。理路整然と論理で説明され、客観的な数値が示されても、「はい、分かりました」と行動に移せるわけではありません。「ロジックよりも感情」で書きましたが、人間は感情で動く生き物です。感情に訴えられなければ真に動こうとしません。いくら目標を明確化しても、感情が伴わない言葉では行動スイッチが入りません。

感情というのは、好き嫌いです。好きなことであれば、率先してやります。やりたいと思います。これは欲望です。「好きだ→やりたい」という欲望が湧かなければ、行動スイッチが入らず、行動できないのです。逆を言えば、行動スイッチさえ入れば、どんなに辛くても辛いと思わず頑張れる、続けられやり抜くことができるのです。

1.行動スイッチを入れるには『ぶっ飛んだ目標』が必要

 社員のやる気・モチベーションを引き出すためには、社員の感情に訴える別の目標を設定しなければならないということです。

 この記事では、「数値目標があっても動けないときに必要なのは欲望を伴った『ぶっ飛んだ目標』である』と言います。「ぶっ飛んだ目標」というのは、すぐに手が届くようなものではなく、実現可能性や感情のブレーキにとらわれない「心底、実現したい目標」のことです。

 以前「SF 思考」で書きましたが、日本電産会長の永守重信氏は「10億円企業になる」という目標を掲げる際に「やがて自家用ドローンが普及し、ロボットの数が人口を超える」「これによって精密小型モーターの受注が大幅に増える」という未来像を語ります。まさに数値目標とともに「ぶっ飛んだ目標」が語られています。永守氏の話にはストーリーがあり、聞く人が「ワクワクして面白く、やってやろう」とやる気にさせてくれます。

 この記事では「ぶっ飛んだ目標」というのは「旅」のようなものと言っています。旅をしなくても普通に生きていくことはできます。「ぶっ飛んだ目標」がない人は、旅の目的地を定めずに当てもなく彷徨っているようなものです。行きたい目的地が定まっていないので、人や周りに左右され、目先のことで一喜一憂し、うれしいことも辛いこともその場限りになってしまいます。せっかくの行動も努力も苦労も積み上がっていかないのです。目的地があると何があってもその目的地にたどりつくための努力をします。すべての行動や挑戦、苦労が目的地にたどり着くためのリソースとなるのです。

 「ぶっ飛んだ目標」を立てるコツは、「実現可能かどうか」ではなく「実現したいかどうか」です。やりたいという思いです。先が見通せず混迷した今の時代、「実現可能かどうか」など誰にも分かりません。自分の欲望に従って「実現したいかどうか」「やりたいかどうか」にフォーカスすることです。

2.「大切な価値観」から目的を作る

 「ぶっ飛んだ目標」が決まったら、「目的」と「取り組みたい内容」を明確にしなければなりません。目標が「ぶっ飛んだ」ものであっても、それに向けてもステップは重要です。目標が「ぶっ飛んだ」ものであればあるほど、緻密にステップを作らなければなりません。

 ここで重要なのは価値観です。人が行動する目的は、その人の価値観に根ざしているからです。その価値観を3つに大別しています。

  1. 人とのつながり・・・感謝されたり、絆が強まったり、人間関係が充実することを大切にする価値観
  2. 達成・・・目標を達成したり、困難な課題を乗り切れたりすることを大切にする価値観
  3. 技術の追求・・・専門性を深めたり、自分の意思や個性が尊重されたりすることを大切にする価値観

 これらは思考のベースになるもので、誰もが持っている価値観です。他だ人によって優先順位が異なります。

 3つのうちで「達成」を重視する人なら、数値モクヒョダケデも頑張って目標達成に突き進んでくれるかも知れませんが、「人とのつながり」を重視する人は数値目標だけでは行動スイッチが入らず、「お客様を笑顔にする」など価値観にあった目標が必要になりますし、「技術の追求」を重視する人は、自己の成長という価値観にあった目標を設定することで行動に結びつきます。

組織や個人の数値目標を立てる際、一歩踏み込んでモチベーションが上がる目標も合わせて設定すべきです。繰り返しになりますが、人間は「ロジックよりは感情」の生き物なので、感情を考慮に入れた目標設定が大切です。