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アジャイル仕事術

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で18万6246人で過去最多、東京は初の3万人台(3万1878人)で35知府県で過去最多を更新しています。こうした感染状況で、濃厚接触者の追跡をやめると宣言する自治体もあれば、濃厚接触者の待機期間を5日に短縮するという政府、リスクマネジメントが全くできていません。社会経済活動と人の命のどちらが重いのでしょうか?社会経済活動も重要かも知れませんが、ここまで感染者が増加し、医療が逼迫しつつある中、何らの対策も打たずに重症者・死者を増やしていくつもりでしょうか?厚労省の専門家組織の会合が開かれ、「今後も感染者は増加し続ける」との見解が示され、複数の委員から「行動制限を検討する時期にあるのではないか」との声も出ています。専門家が「可能な限り接触機会を減らして」と呼びかけても効果がないなら、感染者数を抑え、亡くなる人を極力減らすためには行動制限もやむを得ない時期に来つつあるように思います。

さて、今日はダイヤモンドオンラインの「PDCAより今の時代に合う仕事術!『10年後を構想』するための思考法とは」という記事を取り上げます。

変化が激しく先行きが不透明な時代に、素早く成果を出す仕事のやり方があります。それがアジャイル仕事術です。

1.アジャイル仕事術

 アジャイル開発の手法をマーケティングや仕事に適用するのがアジャイル仕事術と呼ばれる方法です。アジャイル開発では、従来型のやり方に比べ2倍の仕事量を半分の時間で、4倍の生産性を上げることができると言われています。

 アジャイル開発は、ソフトウェアやシステム開発の開発手法として広がったものですが、元々はトヨタ生産方式富士ゼロックスの業務手法を野中郁次郎一橋大学名誉教授が「スクラム方式」と名付けたメソッドが基になっています。

 アジャイル開発は、「計画⇒設計⇒実装⇒テスト」という開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返すのが最大の特徴で、優先度の高い要件から順に開発を進めていき、開発した各機能の集合体として1つの大きなシステムを形成するものです。「プロジェクトに変化はつきもの」という前提で進められるので仕様変更に強く、プロダクトの価値を最大化することに重点を置いた開発手法です。

 アジャイルの手法は、元々はソフトウェアやシステム開発の手法ではないので、他のものに応用・適用することは何の問題もありません。

 アジャイルの手法というのは極めてシンプルで、「誰のためにやるのか」「何のためにやるのか」という点が最優先されています。

 アジャイル仕事術が生産性を上げることができるのは、

  1. ムリ・ムダ・ムラをなくし、生産効率・業務効率を上げることができる
  2. 顧客の動向、市場の変化に迅速に対応できるので、需要にあった製品・サービスづくりができる
  3. フィードバックループによる相乗効果が期待できる

からです。

2.新型コロナがもたらした新たな機会

 新型コロナウイルスの感染拡大によって社会や経済環境は大きく変わりました。自粛により外食機会が減り、オフィス勤務ではなくリモート勤務となり初対面の挨拶も対面でなくウェブで行なわれ、全国どこででも(交通の便の悪い地方でも)働くことができるようになりました。

 このような変化が起きると、産業構造も大きく変わります。外食店が淘汰され、オンラインで地方の珍しい食材を撃っている企業への特需が発生したり、可視化していた田舎の不動産価格が上昇し過疎化していた田舎がスマートシティに変化を遂げるということもあるかも知れません。

 これらはあくまでも、短期的に起きている現象で、10年単位の長いスパンで見た場合、より大きな構造変化が起きることが予想されます。

3.現状を改善するのではなく、未来を創造する

 大きく変化する環境で生き残るには何をするべきでしょうか?

 先日も「ワーク・シフト」の中で書きましたが、途方もなく大きな規模の創造的・革新的変化のプロセスが始まろうとしています。コロナ禍で社会環境の変化が著しくなり、先行きが見通せなくなっています。

 昨日の「アンラーン」で書きましたが、過去の古い慣習や行動にとらわれていたのでは前に進むことはできません。古い知識・慣習や行動を捨てることができるかが重要になります。過去の知識や行動にとらわれていたのでは、結局それを基にした行動や考えしか浮かんできません。それでは輝かしい明るい未来を作ることはできません。結局は過去にとらわれたくらい未来になってしまいます。

 日本企業の特技の1つにPDCAがあります。PDCAによって改善を繰り返すことも重要です。PDCAのサイクルを回すことで、日本企業は品質の高い製品・サービスを安く、早く提供することができていました。しかし、今後20年に起ころうとしている大きな変化や激動の中では、これまで通りPDCAを回し続けているだけでは時代の流れに取り残され、下手をすると生き残ることができなくなります。

 既存の業界、既存の組織、既存の制度に対して最適化していくことはゴールが決まっているときや平時においては極めて有効ですが、先行きが見通せない混迷の時代ではデメリットしかありません。これまで経験したことがない事態が起ころうとしているときには、過去の経験や知識、行動を基に意思決定や行動を起こそうとしても妙案は生まれません。

4.足し算思考ではなく、引き算思考をする

 我々人間は、既に保有しているものを基に思考しようとします。その方が簡単ですしメリットが見えやすいという特徴があります。しかし、過去の経験や古い知識の上に積み上げていくので、余分なものが膨れ上がり、新しいものが定着しません。新しい知識を取り入れるためには古い知識をアンラーンしなければならないのです。

 PDCAを回し改善していくことは、今あるものを良くしていくことです。今あるものに新しいものを加えて改善してことで足し算思考です。

新しいものを生み出しすためには、古い考えや行動を捨てなければなりません。これは引き算思考です。10年後、20年後といった長いスパンで考えた場合、今あるものの延長線上に考えるわけにはいかないのです。未来を見据えるには、目の前にあるものの意義や価値を疑ってみることが必要で、ときにはそれを潔く捨て去ることが大切です。