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リーダーの心理機能

おはようございます。
岸田首相の支持率が大幅に下落しています。中途半端で実効性が期待できない統一教会被害者救済法、強引に推し進める防衛増税など、支持率低下は当然です。管政権に代わって誕生した岸田政権ですが、岸田氏は『人の話を聞く』ことが得意であったはずなのに、国民の声を聞こうとはしていません。これだけ支持率が低下しても、国民は何もできません。
「派閥の論理」、「村社会の論理」で一国の首相が決められる政治システムはいかがなものかと思います。数十年前から、こうした「派閥の論理」は問題視され批判されてきましたが一向に変わりません。「派閥の論理」で選ばれた総理が国民のために行動してくれるとは思えません。所詮は、閣内人事も「派閥の論理」で決められ、支持してくれた派閥の顔色を伺い、目は「外(国民)」ではなく「内(派閥)」に向いて行動するだけです。
一国の総理を国民が選べないという政治システムは問題です。一国のリーダーは国民自身が選出する大統領制に移行すべきだと考えます。
もちろん、管元首相にしても、岸田首相にしても優秀な政治家でしょう。しかし、優秀な政治家が、一国の首相・一国のリーダーにふさわしいかどうかは別問題です。
国に限らず、企業・その他どの組織でも、誰をリーダーにするかは悩むところです。それは、仕事ができる人が必ずしもリーダーとしてふさわしい行動をとれるとは限らないからです。だからと言って、仕事能力で劣る人物をリーダーに指名しても、仕事ができる人のモチベーションが下がり組織として大きな損失になり、また不満も噴出して混乱することにもなりかねません。望ましいのは、仕事ができる(仕事能力で優れた)人にリーダーとしてふさわしい行動・能力を身につけてもらうことです。つまり仕事ができる人にリーダーとしての資質を教え教育するということです。リーダーとしての資質には天性のものがあるようにも思いますが、ある程度は育成することで身につきリーダーとしてふさわしい行動を起こせるようになるでしょう。
以前にもリーダーやリーダーシップについて書きましたが、今日は心理学の立場から「リーダーとして力を発揮している人たちが身につけている心理機能」について説明します。
心理学においても、リーダーシップの研究が行われ、リーダーシップには、「主に2つの心理機能が求められる」とされています。その2つの心理機能とは、「課題遂行を志向する機能=集団としての目標達成に向けて皆を引っ張っていく機能」と「人間関係を志向する機能=集団のメンバーの気持ちや関係性に配慮して集団をまとめていく機能」です。
こうした理論の代表が三隅二不二博士のPM理論です。リーダーシップP行動(集団の目的達成機能を重視するリーダー行動 PはPerformanceの略 大文字Pは目的達成機能が強く、小文字pは目的達成機能が弱い)リーダーシップM行動(集団維持機能・人間関係を重視するリーダー行動 MはMaintenanceの略 大文字Mは集団維持機能が強く、小文字mは集団維持機能が弱い)の2つの次元で考えるものです。
三隅博士らの研究では、次のような結果になっています。
 1:P行動・M行動共に強いPMの場合・・生産性・モラール(士気)ともに最高
 2:P行動・M行動共に弱いpmの場合・・生産性・モラールとも最低
 3:P行動が強くM行動が弱いPmの場合とP行動が弱くM行動が強いpMの場合・・どちらも生産性・モラールは中間値をとるが、Pmの方がpMより生産性は高くモラールは低い
それでは、P行動=目標達成機能とM行動=集団維持機能に含まれる具体的行動とは何でしょうか。
P行動(目標達成機能)に含まれる10個の行動は次のようなものです。
 ➀目標を明確化し、部下に目標をたえず意識させる。
 ②目標達成のための計画を立てる。
 ③部署としての方針を決め、それを徹底させる。
 ④目標達成のための方法を具体化し、それを部下にしっかりと理解させる。
 ⑤部下に役割を割り振り、それぞれの役割分担を明確にする
 ⑥部下に行動の開始や役割の遂行を促す。
 ⑦それぞれの部下の仕事の進捗状況を把握する。
 ⑧目標達成の過程において生じた問題点を明確化し、その対処法についてアドバイスを与える。
 ⑨情報源・アドバイザーとしての役割を果たすべく、専門的知識や技能の習得に励む。
 ⑩それぞれの部下の成果を正確に把握し、正当に評価する。
M行動(集団維持機能)に含まれる10個の行動は次のようなものです。
 ➀快適かつ友好的な雰囲気の情勢・維持に配慮する。
 ②部下相互の交流を促進する。
 ③部下相互の情報交換を促進する。
 ④少数派にも発言の機会を与えるように配慮する。
 ⑤内部でいざこざが生じたときは仲裁する。
 ⑥集団の和を乱す部下に対しては適切な対応をする。
 ⑦部下一人一人の意見を尊重し、自主性・当事者意識を持たせる。
 ⑧部下一人一人の気持ちに配慮し、不平・不満に耳を傾ける。
 ⑨悩みや迷いを抱える部下の相談に乗る。
 ⑩部署の代表として、必要なときは他の部署の人たちとの交渉を行う。
三隅博士らの研究からすれば、P行動、M行動共に強いリーダーが生産性・モラールともに高く、優れたリーダーであることが分かります。しかし、上にあげたP行動の10項目、M行動の10項目の全てを兼ね備えたリーダーなど存在しません。普通はそれぞれの10項目のうちのいくつかの行動をとり、かつどちらかに偏りが見られるものです。それが個性です。リーダーと言えども完璧なロボットではありません。人間です。性格的に人をぐいぐい引っ張っていくのは得意だが気配りは苦手というタイプ(Pm)もいれば、人の気持ちに敏感で気配りはできるが目標に向けて皆を引っ張っていくのは苦手というタイプ(pM)もいます。
上記それぞれの10項目をチェックし、自分が得意なところと苦手なところを自覚し、自分の課題を把握して苦手・不得手なところを伸ばしていくように努力することも重要です。また、現実的には、リーダーが苦手とする心理機能をサブリーダーが担うなど、目標達成機能と集団維持機能を分担するようなリーダーシップ・システムを構築することも必要です。